日本囲碁ニュース (本因坊戦)

日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。

囲碁ニュース [ 2018年7月17日 ]

本因坊文裕、本因坊七連覇

 第73期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催。大和証券グループ協賛)の第五局が、6月30日、7月1日に、福島県会津若松市の「今昔亭」で行われた。挑戦者の山下敬吾九段が中盤までは好調に打ち回したが、本因坊文裕(井山裕太七冠)の強打が決まり、その後も緩まず最強手を繰り出し続けて、白番中押し勝ち。初戦で黒星を喫した後の4連勝で本因坊位七連覇を果たした。本因坊文裕は「毎局ぎりぎりのところを結果的に勝ちにつなげることができ、大きな自信になりました」、山下九段は「全体を通して後半のミスが多くそれがだめでした。今回の反省を生かして、またこういう舞台に戻ってきたい」と、それぞれシリーズを振り返った。
七連覇については「よくここまで積み重ねられたというのが正直なところ」と語った本因坊文裕。通算在位7期は、史上3位タイ。また、七大タイトルの通算獲得数は41期となり、趙治勲名誉名人の持つ42期の最多記録に、あと一つと迫った。

見事に防衛した本因坊文裕、「本当に厳しい対局ばかりで、結果としては非常に幸運だったと思います。」と今シリーズを振り返った。
敗れた山下九段「中央の具合に錯覚があった。今回得たものを生かしてこういう舞台に戻ってきたい。」と感想を述べた。
終局時の様子

囲碁ニュース [ 2018年6月20日 ]

本因坊文裕、防衛まであと一勝

 本因坊文裕(井山裕太七冠)が王手をかけるか、山下敬吾九段が巻き返すか――注目の第73期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催。大和証券グループ協賛)の第四局は12、13日、大阪府吹田市「ホテル阪急エキスポパーク」で行われた。序盤で流れをつかんだのは、白番の山下九段だった。二日目に入っても「挑戦者優勢」の声が多く聞かれたが、井山七冠の放った妖しい勝負手が山下九段の痛恨の一手を誘い、一気に形勢が入れ換わった。勝負強さを見せた井山七冠がそのまま押し切り中押し勝ち。三連勝と星をのばして挑戦者を追い詰めた。山下九段はあとがなくなったが、内容的には手応えを得た様子で、「次は今日のような碁を打って、何とかチャンスをつかみたい」と語った。第五局は、6月30日、7月1日に、福島県会津若松市の「今昔亭」で行われる。

囲碁ニュース [ 2018年6月13日 ]

本因坊文裕、中押しで連勝

 一勝一敗で迎えた第73期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催。大和証券グループ協賛)の第三局が、6月2、3日の両日、秋田県能代市「旧料亭金勇」で行われた。開始早々黒番の山下敬吾九段が仕掛け、20手目からねじり合いの接近戦に突入。延々と戦いが続く難解な展開となった。途中、本因坊文裕(井山裕太七冠)の打ち過ぎがあり、山下九段が優位を築きかけたが、新聞解説の高尾紳路九段によれば、中盤以降に二手、山下九段に悔やまれる手があり井山七冠にリードを奪われたという。「井山さんが長考した場面があり、そこで井山さんに対策を見つけられてしまったと感じた山下さんが、予定変更したようなのです」と高尾九段(真意と詳細は毎日新聞の観戦記をご参照ください)。ぎりぎりの精神状態で対局に臨んでいる様子が知らされる。終盤は山下九段が勝負手を次々と繰り出すも、井山七冠が的確に退け、中押し勝ちでシリーズ二勝目をあげた。山下九段が追う立場となった注目の第四局は、12、13日、大阪府吹田市「ホテル阪急エキスポパーク」にて。山下九段がタイに戻すか、井山七冠がリーチをかけるか。山下九段にとっては流れを変えたい正念場の一局となる。

囲碁ニュース [ 2018年5月30日 ]

本因坊戦七番勝負が開幕

二条城での対局の様子

 本因坊文裕(井山裕太七冠)に、山下敬吾九段が挑戦する第73期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催。大和証券グループ協賛)が開幕した。今シリーズは、明治維新から百五十周年を記念して縁のある地を巡っていくという。第一局は、5月15、16日に、吉田松陰、高杉晋作など幕末の立役者たちに縁がある山口県萩市「萩・明倫学舎」で行われた。前夜祭で山下九段は「井山さんの一強時代が続いては、井山さんのためになりません。吉田松陰先生の言葉になるように、我々名もなきものが引きずり下ろさなければ」とあいさつ。その熱い決意が盤上に伝わる内容の濃い壮絶な激戦となり、黒番山下九段が半目勝ち。昨年の名人戦第二局から続いていた井山七冠の挑戦手合での連勝を17で止めた。
 第二局は、翌週の23、24日、大政奉還にちなむ京都府京都市「元離宮二条城」で行われた。初めて「御城碁」が打たれた場所とも伝えられている。両対局者は和服姿で「二ノ丸御殿大広間」にて盤に向かい、「御城碁」を再現する形で対局が開始された。じっくりした展開から山下九段が「甘くした」と振り返るシーンがあり、ここでリードを奪った井山七冠がそのまま寄り切って黒番中押し勝ち。一勝一敗となった七番勝負の第三局は、6月2、3日に秋田県能代市「旧料亭金勇」にて行われる。

囲碁ニュース [ 2018年4月9日 ]

本因坊 山下挑戦へ

 第73期本因坊戦リーグの最終局一斉対局が4月5日に行われ、山下敬吾九段が5勝2敗でトップとなり、本因坊文裕(井山裕太九段)への挑戦権を手に入れた。
 本リーグは混戦模様となり、最後まで誰が挑戦し誰がリーグを陥落するか、まったくわからなかった。最終戦を残し4勝2敗は山下敬吾九段、黄翊祖八段、伊田篤史八段の3人。挑戦権の行方は山下―黄の直接対決と伊田―芝野虎丸七段戦にゆだねられた。伊田は勝つと山下―黄の勝者と挑戦者決定プレーオフを打つことになるが、負けると残留プレーオフを打たなければならない。挑戦か陥落か、まさに天国と地獄だ。一方、山下―黄は勝てば最低プレーオフ、伊田が敗れればそのまま挑戦となる。
 結果は山下―黄は山下の勝ち、伊田―芝野は芝野の勝ちとなった。これにより山下の挑戦が決定。1人が陥落することになる残留プレーオフは伊田、余正麒七段、芝野の3人よって争われることになった。
 勝負の流れとは分からないものだ。リーグ4連勝でスタートした伊田はその後3連敗と失速し、ついに陥落の可能性まで出てしまった。一方、山下はリーグ開幕から2連敗を喫したが、その後はすべて勝ち挑戦権を手に入れた。
 井山と山下が番勝負を争うのは10回目となる。これは七番勝負・五番勝負対戦回数歴代1位に並ぶ記録。ここまでの対戦成績は井山の8勝1敗と大きく差を付けられているが、若手の台頭が著しい中、定期的に挑戦権を勝ち取る山下の底力はすさまじい。「井山さんが圧倒的過ぎて最近盛り上がっていない気がする。少しでも盛り上がるように自分を高めたいと思います」と山下は抱負を語った。

序列 棋士名 本木 羽根 山下 小林 伊田 芝野 成績 順位
1 本木克弥八段 3勝4敗 陥落
4月 2月 1月 11月 12月 3月 10月
2 羽根直樹九段 2勝5敗 陥落
4月 1月 2月 3月 10月 11月 12月
3 山下敬吾九段 5勝2敗 挑戦
2月 1月 4月 10月 3月 12月 11月
4 黄翊祖八段 4勝3敗 2位
1月 2月 4月 12月 11月 10月 3月
5 小林覚九段 2勝5敗 陥落
11月 3月 10月 12月 1月 4月 2月
5 伊田篤史八段 4勝3敗 残留PO
12月 10月 3月 11月 1月 2月 4月
5 余正麒七段 4勝3敗 残留PO
3月 11月 12月 10月 4月 2月 1月
5 芝野虎丸七段 4勝3敗 残留PO
10月 12月 11月 3月 2月 4月 1月

※2018年4月6日時点

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