
<講座テキスト>
坂井秀至八段
第1回
「小林光一名誉棋聖の実戦譜に学ぶ(1)」
今回は1976年に打たれた小林光一名誉棋聖の実戦譜を題材に勉強していきたいと思います。
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(手順図) 白△のノビで左辺の攻防が一段落したところです。黒1と下辺に展開し、白は2のツケから4と切り違えて上辺を仕掛けてきました。黒は色々な応手が考えられますが、黒5のノビから、黒3の石を捨てて黒7、9と左上隅を確定地にする変化を選びました。白は10、12と右辺の大場に回り、黒13のツケに白14とノビたところが今回のテーマ図です。 |
![]() 【テーマ図・黒番】 |
白△とノビてきたところです。小林光一名誉棋聖は候補手A・B・Cからどの手を選んだでしょうか? |
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(1図) 黒1(B)は不正解です。上辺だけを見ると第一級の大場なのですが、下辺へ白2と打ち込まれます。黒3とコスんで封鎖しても、白4のケイマで右下隅の白と簡単に連絡されて、黒地を荒らされてしまいます。 |
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(2図) 1図の黒3で、本図黒3のコスミツケから黒5とオサエ込むのも、白6の出から白8のノゾキでスペースを広げられます。続いて白10、12のハネツギには黒13と守るくらいですから、白14と打たれて生き形です。黒15とグズんでも白16と広げられると白のスペースは広く、黒はこの白の眼を取ることができません。 |
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(3図) 2図黒15で、本図の黒1とコスんで下辺から眼を取りにいっても、白2のアテから白4とツガれるくらいで白は生きています。 |
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(4図) 黒1(C)もBと同じく不正解です。右上隅の黒地を確定させる大きな場所ですが、やはり白2と打ち込まれるのが厳しく、下辺の黒地が大きく荒らされてしまうので失敗です。 |
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(正解・5図) 黒1(A)のコスミが正解です。下辺を大きな確定地にすることで、相手が右辺の白模様を広げてきたときに、黒は荒らしに専念することができます。実戦は白2と広げてきたので、ここで黒3と深く打ち込みました。実利作戦は打ち込むタイミングがポイントです。白4には黒5、7と様子見の黒△を活用しながら生きを目指します。白8のオサエには黒9とトンでいて問題ありません。次に黒12とマガれば黒は生き形なので白12と押すくらいですが、これには黒13とコスんでいればシノギ形です。たとえば白14と追いかけられても、黒15から17と備えれば、下辺の連絡や中央への眼持ちがあるので黒は心配ありません。本図は黒の大成功です。 |
| 実利作戦は先に実利を稼ぎ、適切なタイミングで相手の模様に打ち込むことが大切です。 |
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