
<講座テキスト>
坂井秀至八段
第3回
「小林光一名誉棋聖の実戦譜に学ぶ(3)」
今回も1985年に打たれた小林光一名人対石田芳夫天元の実戦譜を題材に勉強していきたいと思います。
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(手順図) 前回の碁の続きです。白は右下で実利を稼ぎ、黒は厚みを得たワカレになりました。白1のヒラキに対して黒は右下の厚みを活用するために黒2と構えました。白は3と上辺をヒラキ、黒4のカカリに白5とハサんで、黒6の三々から最もポピュラーな定石の進行となり、黒14まで左上隅が一段落したところが今回のテーマ図です。 |
![]() 【テーマ図・白番】 |
黒△と左上隅が一段落したところです。小林光一名誉棋聖は候補手A・B・Cからどの手を選んだでしょうか? |
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(1図) 白1(A)の二間ビラキは大きな手に見えますが不正解です。黒2のツケから黒6までと固められると、黒には右辺の広い模様を大きくまとめられそうなのに対して、白は上辺の生きている石から少し地を増やしただけの結果となります。本図は白の効率が悪い形です。 |
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(2図) 白1(C)のツメも好点ではありますが不正解です。白1に対して黒が手を抜くと白aから眼形を脅かすことができるのですが、黒2のブツカリで受けられると白3の守りが省きにくく、白は後手を引いてしまいます。黒4と右辺を広げられると、右辺の黒模様が大きくなり過ぎてしまうので、やはり白失敗です。 |
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(正解・3図) 白1(B)と右辺を荒らしに行くのが正解です。黒2のボウシで取りに来られるのが怖いのですが、白3のノゾキでかわすのが有力です。黒4のオサエには白5、7のハネツギから白9の三々で生きることができます。黒10には白11と受けていて問題ありません。白1の石は捨てても、黒地だった右上隅が白地になり、さらにaの断点もまだ残っているので、本図は白満足の変化です。 |
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(4図) 3図黒4で、黒1とツイできたら白2とハイ、黒3のオサエには白4とスベればほぼ生きています。本図は右辺の黒模様を大きく荒らすことができていますし、新たに作られた黒の厚みも、ちょうど白△が無力化しているので、やはり白成功です。 |
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(5図) 実戦は白1に対して黒2とサガリました。白は3と中央に逃げ、黒は4と上辺をツメました。白5とトンだところで黒6とノゾいた手が狙いを秘めた手です。もし白7とツグと黒8、10の分断が厳しく、白11の切りには黒12で白は連絡できません。このときに黒6と白7の交換がなければ白13のシチョウで取れるのですが、黒14がちょうど黒6と連絡して手数が伸びます。白15とカケても黒16、18で包囲網は破られてしまうのでゲタにはなりません。 |
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(6図) 5図の白7で、実戦は白7と右辺の白△を分断されないように守りました。黒は8、10、12を利かしてから黒14と下辺の白2子に迫りましたが、白15がバランスの良い手です。黒16から18の出切りには白19、21と守って下辺と連絡して治まったので、白は上手く右辺を荒らした結果になりました。黒22のゲタに、白23、25と右下の黒へ反撃する展開となりました。右下の黒が生きるのは容易ですが、厚みが地ににはならなかったので、本図は白成功です。 |
| 相手に模様を大きく広げられる直前に打ち込むのがポイントです。 |
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