KUMON インタビュー
KUMONは「囲碁」の普及を応援しています
※文化庁の「令和6年度生活文化創造・戦略展開事業」に公文囲碁を入口とした囲碁の各種普及事業が採択され、
公文エルアイエルは囲碁の普及に取り組んでいます。

プリントを1枚1枚解いていく公文式。「昔やっていたよ」という方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。子どもたちが各々プリントを進めるのを「くもんの先生」が見守る風景は創業当時の約70年前から変わることがなく、デジタルやAIが席巻する現代において、奇跡と言っていいほど普遍的に映ります。
タイパやコスパが重視される昨今に「コツコツ」を絵に描いたような公文式はそぐわない。そのような意見もネット上に見受けられますし、実際、ChatGPTにワンワードを投げれば答えが返ってくるような時代です。もっと効率がいいやり方があると言う意見には説得力があります。しかし、日本におけるKUMONの存在感は変わらず、それどころか、むしろ国境超えて世界各国に広がっているという事実があるのです。なぜ、そんな事が起こるのでしょう。紐解いていくとそこには「究極のコツコツ」に貫かれた確固たる信念と、その信念が生んだ普遍性がありました。
KUMONのポリシーと戦略とは。そしてそこから派生した新展開とは。公文エルアイエルの後藤美晴さんに2回に分けて伺います。(インタビュア = 品田渓 / 記事の内容は2026年6月掲載当時)
① タイパ・コスパの時代において、
公文式が選ばれ続ける理由

●KUMON ≠ 塾?
今回は「タイパ・コスパの時代において、公文式が選ばれ続ける理由」と「公文式で継承する日本の文化」という2つのテーマでお話を伺いたいと思います。後者の方は主に公文囲碁についてです。
後藤さん)ありがとうございます。パンダネットさんには公文囲碁のデジタル化で大変お世話になりました。
こちらこそ、囲碁普及に力をお貸しいただいてありがとうございます。後ほどまた触れたいと思いますが、そもそも後藤さんとこうしてご縁ができたのは「公文囲碁」をデジタル化して復活させたいとお話をいただいたからでした。囲碁界にとって大きな新展開で、今後の広がりがとても楽しみです。ただ、一緒に事業を進めさせていただく中で疑問に思った事がありまして。KUMONは今では見ない地域はないほど広く浸透していますが、なぜそんなに影響力があるのだろうかと。
後藤さん)今の時代にこんなに受け入れられているのが不思議だと(笑)。
いえ(笑)。むしろ、KUMONの魅力って何だろうと興味がわきました。
後藤さん)公文式の原点は約70年前、高校の数学教師だった公文公(くもんとおる)が当時小学2年生だった息子に「高校で困らないように小学生のうちに微分積分が解けるようにしよう」と思いたち、一直線の学習計画を立てて作った手書きの家庭学習用の教材でした。その後、近所のお子さんもその教材を学びたいと評判になり、自分のところだけではいっぱいになったために公文式教室の先生になる方を募集して広がっていったという流れです。KUMONは日本全国・海外にも広がる組織になりましたが、今でも約70年前と骨子は変わっておらず、言われてみれば確かに普遍的なのかもしれません。
昭和から令和までほとんど変わっていないというのがすごいですね。塾をはじめ、通信教育など競合するサービスはたくさんあると思いますが、その中でKUMONはどんな立ち位置なのでしょうか。
後藤さん)私は、KUMONはKUMONという独立したジャンルであって、一般的な塾とは異なると思っているんです。KUMONが塾と違うところは大きく2つ。「自学自習」と「独自のプログラム教材」という点です。まず、「自学自習」からご説明します。普通、塾では分からない事があれば先生に聞きますよね?
そうですね。解き方を教わりますし、分からなければ質問します。
後藤さん)私は子どもの頃、公文式教室で数・英・国を習っていたのですが、先生から手取り足取り教わるということはほとんどありませんでした。もちろん、初めてやる問題には例題があって、その説明はしてもらえます。ヒントをもらうこともあります。でも、手取り足取り教えてくれるということはない。自分で考えることに価値があるという姿勢なんです。
それは大変そうですね。
後藤さん)だからこそのスモールステップと反復です。公文式は一気に難しいことを学習するのではなく、少しずつ、スラスラ解けるようになるまで何度でも繰り返し、着実に自力で進めることを目的としています。それが「自学自習」です。
「自分で学習を進める」、「自分で考える」を徹底するんですね。
後藤さん)大変そうに聞こえるかもしれませんが、自分にあった難易度の問題をスラスラ解けるようになると楽しいものです。つっかえる問題があっても、少し難易度が上がっただけなので頑張れば自力で答えに辿り着ける。私自身の経験を振り返っても、自力で解けた快感は大きかったと思います。
一般的に塾の先生は教えるのが役割、KUMONの先生は見守るのが役割、ということですね。多くの親御さんにとって、「勉強しなさい」と言わなくても、教えてあげなくても、自分で考えて進められるようになる、いわゆる「自走」できるようになるのは理想だと思います。公文式はそこを目標としているのですね。もう1つの「独自のプログラム教材」はどういうことでしょう。なかなか思い切っているような気がしますが。
後藤さん)KUMONが独自のジャンルと思う大きな理由は、学力を高めることを目的にはしていても、学校でスコアを取ることだけを目的にはしていないという点にあります。学習指導要領にそのまま準拠するのではなく、公文式独自のプログラム教材を学習するスタイルをとっています。
なぜ学習指導要領に合わせなかったのですか。
後藤さん)それは公文公が高校の数学教師として微分積分ができるようになるためには何が必要だろうか、と逆算して学習する順番を考えて作ったプログラム教材だからです。これによって、KUMONはより広がっていくことになりました。
●世界進出のカギは「普遍性」
「学習指導要領にそっていない事が広がることにつながる」とはどういうことでしょうか。
後藤さん)KUMONは1970年頃から海外に展開しはじめ、学習者は今、世界60を超える国と地域で355万人います。私自身もバングラデシュでの公文式教室の立ち上げに関わりました。文化も学校の仕組みも様々ですが、KUMONの教材は日本で使用するものとほとんど変わりません。
それで困ることはないのですか。
後藤さん)あまり困りませんね。はじめから独自のプログラム教材として日本固有ではない、ある種の普遍性があります。加えて「自学自習」がモットーなので、先生がその教科の専門家であることが第1優先ではありません。
KUMONは時代にも地域にも依らない「普遍性」を持っているのですね。
後藤さん)学習者が住んでいる場所を選ばないというのはKUMONの大きな強みだと思いますね。また、学習者の習熟度もその人なりに進めていけばいいので選びません。公文公は息子に、小学生のうちに微分積分をできるように望み、実際できるようになりましたが、誰もがそうならねばならないというわけではありません。例えば、KUMONは一部の少年院などでも導入されていますが、その中には当然、中高生でも小学校の早い段階で躓いてしまった方もいます。けれど、KUMONの教材には「あなたは何年生だからこの内容」などの目安はありませんから、各々ができるところからやればいいのです。
KUMONには「いつでも、どこでも、誰にでもできる」すごい普遍性があるんですね。正直なところ、お話を伺う前は公文式に対して少し「昔ながら過ぎるのではないか」と思うところもあったのですが、今はそれがグローバルな最先端のように感じます。次はKUMONが手がける生涯学習「公文囲碁」についても伺わせてください。
② 公文式で継承する日本の文化「公文囲碁」
約70年の歴史があるKUMONは「自学自習」を掲げたことで、いつでも、どこでも、誰にでもできる普遍性を手に入れました。皆さんはその公文が1985年に「公文囲碁」を提供していたことはご存知でしょうか。囲碁は入門から打てるようになるまでが難しく、途中で挫折する人も少なくありません。もしも囲碁が自学自習で打てるようになったら、囲碁を覚えるハードルがグッと下がるに違いありません。
パンダネットはKUMONグループで生涯学習事業を展開する公文エルアイエルと提携し、「公文囲碁」をデジタル化して復活させました。本稿では公文エルアイエルが書写や囲碁など文化の分野で公文式を提供する理由や「公文囲碁」への期待などを伺いました。

弊社は主にオンライン囲碁対局サイトの運営やペア碁の普及などを行っています。日本国内では囲碁人口が減っており、普及に関して何かできないかと考えていたところでしたので、「公文囲碁」との出会いはまさに僥倖でした。
後藤さん)「公文囲碁」は弊社が提供する「生涯学習」の一環として1985年に開発されました。その後、いったん途切れてしまっていたのですが、デジタル化で復活させようとお話をいただいて、こちらも大変ありがたかったです。
実は弊社の社員の一人が1990年代に公文囲碁で囲碁を覚えたんです。そのままずっと囲碁に携わっているわけですから、公文囲碁が彼の人生を変えてしまったと言っても過言ではありません。さて、公文囲碁の話をする前に、まずはKUMONの生涯学習について教えてください。KUMONの生涯学習にはどのようなものがあるのでしょうか。
後藤さん)現在、公文エルアイエルが提供しているのは公文書写と公文囲碁です。公文書写は教室もしくは通信での学習、公文囲碁はパンダネットさんのご協力の元、オンラインでの学習として提供しています。メソッドは公文式そのものです。最初は自分で取り組める簡単なところから始まり、スモールステップで着実にレベルアップできます。いわゆる一斉授業形式で教える先生はおらず、先生のサポートも受けつつ、それぞれの学習者が自分のペースで進めます。
囲碁はルールがシンプルな一方で、自分で最後まで打ち切れるようになるまでが難しくハードルが高いと言われてきました。公文式で、自分で進めていくうちに最も難しいそこの部分がクリアできると分かれば気軽に始められますね。
後藤さん)そうですね。その部分はデジタル化したことでより分かりやすくなったと思います。AIボット対局なども取り入れ、実戦に近い形で練習できるようにもなっているので、近くに教室がない地域にお住まいの方や、ご自分が好きな時に好きなようにやりたいという方にぜひやってみていただきたいと思います。

ところで、KUMONといえば算数などいわゆる学校の教科のイメージでしたが、なぜ公文書写や公文囲碁を提供するようになったのでしょうか。
後藤さん)一つには「自学自習」は誰にとっても有益だろうということですね。私自身、公文書写や公文囲碁をやっていますが、仕事や日常生活とは別に、一人で落ちついて机に向き合い学習する時間はなかなかいいものです。もう一つは日本の文化を継承していきたいという想いです。日本の囲碁人口が減っているということですが、書写もまたPCやスマホの出現で日常生活の中で手書きするシーンは減少しました。時代の流れといえばそうなのですが、せっかくの日本の文化ですから大事にしたいですし、継承されるよう貢献していきたいと思っています。
公文式は世界中に広がっていますが、公文囲碁も海外に展開することを考えていらっしゃいますか。
後藤さん)はい。囲碁の競技人口は国内では減少しているようですが、世界では増えていると聞きます。すでに公文囲碁の英語版“KUMON GO”はリリースしており、海外で学習者が増えることを期待しています。
現在、国際囲碁連盟の加盟国は79カ国・地域で、世界の囲碁人口は1800万人以上と言われています。身近に囲碁教室がある国、地域ばかりではありませんから、公文式の「いつでも、どこでも、誰でもできる」良さが生きてきそうですね。
後藤さん)そうなったら嬉しいですね。KUMONにはおかげさまで約70年の歴史がありますが、自分が子どもの時、そして大人になってからもKUMONの教材で学んだことで、「KUMONの可能性を追求し、より多くの方に学んでいただきたい」という想いがあります。公文囲碁に関してはデジタル化を含めて新展開です。日本の良い文化を継承し、世界に広げていくというのは素晴らしいことですし、囲碁にはそのポテンシャルが十分あると思います。私自身、今後の発展をとても楽しみです。

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◆ “公文囲碁”で基礎を学習「パンダネット囲碁入門」
“公文囲碁”による基礎学習と、パンダネットの囲碁AIロボットとの実戦対局を組み合わせた、「学習」と「実戦」のサイクルが組まれた、これまでにない囲碁入門者に向けたサービスです。詳しくはオフィシャルホームページをご覧ください。
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