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囲碁ニュース [ 2019年1月18日 ]

欧州のプロ昇段システム、2年目を迎える

欧州囲碁連盟サイト(https://www.eurogofed.org/)には定期的に様々なプレーヤーによる記事が投稿されている。昨年末に、アルテム・カチャノフスキー2p(ウクライナ)による「欧州囲碁連盟の昇段システム」という記事が公表されたので、その内容を大まかに紹介したい。

欧州囲碁連盟でプロシステムが導入されたのは2014年で、現在までのところこのシステムを通じて6人が入段した。一方、プロの昇段システムが提案され、運用が開始されたのは2018年に入ってからのことである。このシステムはポーランドのマテウシュ・スルマ1pが中心になって考案したもの。その骨子は以下の通りである。

     
  • ・1-4pまでは「低段ポイント(LDP)」、5-8pまでは「高段ポイント(HDP)」と呼ばれるポイントを稼ぐことで昇段できる。昇段すると、0からの再スタートとなる。
  • ・1-4pでは、昇段に必要なポイントは、2p=40、3p=50、4p=60。
  • ・LDPに関しては、欧州および欧州外での大会(オンライン除く)において、アジア、欧州、北米などほかのプロに勝つことで得られる。基本的に1勝=1ポイントだが、世界戦本戦で勝った場合は、1勝=2ポイントが得られる。
  • ・これに加え、欧州選手権など大きな大会、また欧州外のプロが参加する大会に勝利すると、10ポイントが加算される。このほか、欧州のレベルB大会の優勝は2ポイント、レベルC大会の優勝は1ポイントが加算される。
  • ・5pに達すると、昇段基準が厳しくなり、HDPが必要となる。
  • ・HDP獲得は、世界大会の本戦入りが条件。ベスト16で1ポイント、ベスト8で2ポイント、ベスト4で8ポイント、決勝進出で16ポイントが得られる。昇段に必要なポイントは、5p= 5、6p=10、7p=15、8p=20。
  • ・9p昇段には、世界大会優勝が必要となる。

2019年頭時点での欧州プロのポイントは以下の通りである。

    段位 年齢 欧州囲碁連盟
レーティング
低段ポイント
(LDP)

1

イリヤ・シクシン

2p

28

2786

43

2

パヴォル・リジー

2p

23

2772

16

3

アルテム・カチャノフスキー

2p

26

2744

0

4

アリ・ジャバリン

2p

25

2737

9

5

マテウシュ・スルマ

1p

23

2729

39

6

アンドリー・クラヴェッツ

1p

28

2656

2

昇段ポイントは、プロシステムが始まった2014年に遡って計算された。ただし、皆が自ら計算して申告する、というシステムだったそうである。その結果、シクシン・プロは、すでに2017年時点で2pに昇段していたことが判明。見事2p昇段第1号となった。以来43LDPを集め、3pも目の前である。
欧州プロ第1号だったリジー・プロは、2018年3月に2pに昇段した。その後も欧州選手権に優勝するなど好調である。

欧州囲碁トップを走り続けるシクシン2p。(写真:欧州囲碁連盟)
現在2位につけるリジー2p。(写真:欧州囲碁連盟)

このほか、カチャノフスキー・プロ、ジャバリン・プロも2pに昇段した。ジャバリン・プロについては「彼は怠けていて2018年秋になってようやく点数を計算したところ、2018年1月時点で2pに昇段していたことが判明した」そうである。大胆不敵な(?)彼らしい逸話である。
スルマ1pは2pまであと1ポイント。今年中の昇段は間違いないであろう。最新のプロであるクラヴェッツ1pは苦戦しているが、こちらも是非頑張ってほしい。

左から欧州プロを指導する中国のバオ・ルン・プロ、ジャバリン1p、カチャノフスキー2p、クラヴェッツ1p。(写真:欧州囲碁連盟)
昇段システムを考案したスルマ1p。(写真:Olivier Dulac)

記事を執筆したカチャノフスキー2pによると、「制度は実験的なもので、将来的には変更も必要かもしれないが、現在のところ結果は上々だと思う」とのこと。

なお、2019年には2年ぶりに入段手合が開催される。5月半ば、仏ストラスブールにおいて、7人目のプロが決定することになる。

[ 記事:野口基樹 ]

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