日本囲碁ニュース (その他)
日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。
囲碁ニュース [ 2023年11月28日 ]
一力、天元奪取にあと1勝
1勝1敗で迎えた第49期天元戦挑戦手合五番勝負(新聞三社連合主催)の第3局が、11月22日に福岡県福岡市の「大濠公園能楽堂」で打たれた。結果は挑戦者の一力遼棋聖が、関航太郎天元に黒番中押し勝ち。前々期に失った天元位奪還まであと1勝と迫った。序盤は、黒が実利を取り白が中央に巨大な模様を張る展開となった。一力は「昼休憩のあたりでは、白の中央がまとまりそうで自信がなかった」、関も「そんなに悪くないかなと思っていた」と振り返る。だが、一力が消しの好点に回り、関が実利を取る方向に転換する。このあたりから、徐々にAⅠの評価値は黒の勝率をあげていった。関は上辺の黒の大石を切り離して攻めに向かったが、コウを決行したのが無理気味だったようだ。コウダテが疑問で、「実戦のフリカワリならいけそうかなと思った」と一力。関も「コウを解消されたあたりでは、ちょっと大変そう」とうなだれた。その後は一力が盤石。右辺の黒をコウにしてシノギの目途を立てたところで関が投了を告げた。関は、「中盤、一手一手よくわからなくて、そのあたりで判断を間違えたかなと思う。次局は切り替えてやっていきたいと思います」と反省と抱負を語った。一力は、「次局まで2週間あり、その間に国際戦もありますが、どちらもいい状態で臨めるようにがんばりたい」と気を引き締めた。注目の第4局は、12月6日に兵庫県洲本市の「ホテルニューアワジ」にて打たれる。
広瀬、初優勝
30歳以下・七段以下の棋士によって争われる第18回広島アルミ杯・若鯉戦(広島アルミニウム工業株式会社特別協賛)の決勝戦が、11月26日に広島市で打たれた。今大会は第15回に藤沢里菜四段(当時)、第16回・17回に上野愛咲美四段(当時)が優勝して話題を集めた。今期は、女性棋士は加藤千笑三段が2回戦に進んだほかは、全員1回戦での敗退となった。決勝戦は、広瀬優一七段と小池芳弘七段の顔合わせ。広瀬が白番中押し勝ちを収め、本大会での初優勝を飾った。小池は3回目の決勝進出だったが、無念の結果となった。幼少期を広島で過ごした広瀬は、終局後のインタビューに応え「囲碁を始めたきっかけの場所で、若鯉戦は特別な棋戦です」と語り、「初めてのタイトル(新人王)から5年たち、成績が低い時期もありましたが、続けてきて結果も出てよかった。さらに上を目指して精進したい」と喜びを語った。
囲碁ニュース [ 2023年11月16日 ]
藤沢女流本因坊防衛
藤沢里菜女流本因坊の防衛か、上野梨紗二段の初戴冠か。注目を集めた第42期女流本因坊戦挑戦手合五番勝負(共同通信社主催)の第5局が、11月15日、日本棋院東京本院で打たれた。黒番の藤沢は、序盤から少しずつポイントをあげていった。さらに左下の白を取り込んで大きなリードを奪い、そのまま逃げ切るかと思われた。だが、そこから上野が魅せた。勝負手を次々と繰り出し必死についていく。藤沢が勝負を決めるべく上辺の白を取りに向かうが、ここで上野の勝負手が成功し、上辺が鮮やかに生還すると、半目を争うヨセ勝負となった。YouTube解説の首藤瞬八段らは「藤沢さんは動揺しているはず」と語り、現地の検討陣も「どちらが勝ってもおかしくない」と大熱戦を見守った。最終盤は、藤沢が精神力の強さを見せた。左上でコウを仕掛ける見事なヨセの手を打ち、「ここで勝ちを意識した」と振り返る。上野はコウ争いの中で少しずつ損を重ね、コウ材も尽き、無念の投了を告げた。4連覇(通算7期目)を果たした藤沢は、無冠も覚悟したと語り、「でも無冠になると国際戦に出場できないので…よかったです」と安堵の笑顔を浮かべ、大善戦の上野は「いろいろ足りない部分も感じ、勉強になりました」と朗らかに語った。
囲碁ニュース [ 2023年11月15日 ]
第20回囲碁殿堂入り
日本棋院において囲碁殿堂表彰委員会が開催され、中村道碩、牧野伸顕、加藤正夫の3名の殿堂入りが発表された。
中村道碩は一世本因坊算砂の弟子で、算砂より譲られ二人目の名人碁所になっている。囲碁家元四家の一つ井上家の元祖とされ、徳川幕府より50石を与えられている。
牧野伸顕は大久保利通の次男で政治家。囲碁界の大同団結により大正13年、大多数の棋士が集まり日本棋院が誕生するが、そのとき初代日本棋院総裁に選ばれる。
加藤正夫は木谷実門下の棋士で石田芳夫、武宮正樹とともに木谷三羽烏と呼ばれた。殺し屋のニックネームがあり、力で相手の大石を仕留める棋風が知られている。王座11期獲得など通算47のタイトルを獲得。平成16年には日本棋院理事長に就任、日本棋院の改革に取り組むも同年に死去。名誉王座の称号を贈られる。
赤旗名人戦 硯川さん優勝
第58回しんぶん赤旗名人戦全国大会が11月11日、12日の両日、東京都渋谷区の日本共産党本部で行われた。優勝者はプロの公式戦新人王戦への出場資格を得る。
昨年の優勝者の小野慎吾さん(招待)が初日で敗れる中、決勝に勝ち上がったのは小野さんを破った斉藤文也さん(東京)に勝利した硯川俊正さん(神奈川)と全国大会で準優勝経験多数の赤木志鴻さん(奈良)の対戦となり硯川さんが見事勝利した。赤木さんは「また準優勝か」と肩を落としていた。
硯川さんは元院生のトップで、プロ試験でもあと一歩までいった実力者。まだ20代でありプロであれば新人王戦に出ていてもおかしくない年齢である。新人王戦ではかつて共にプロを目指した仲間との対戦になってくる。
囲碁ニュース [ 2023年11月7日 ]
女流本因坊戦、最終局へ
藤沢里菜女流本因坊が1勝、挑戦者の上野梨紗二段が2勝で迎えた第42期女流本因坊戦挑戦手合五番勝負(共同通信社主催)の第4局が、11月7日、千代田区の日本棋院東京本院で打たれた。序盤は白番の上野がややリードしていたが、着実にポイントを上げながら藤沢がリードを奪い返す。黒が実利で先行し、白が下辺の黒への攻めを睨んだところで昼食休憩となった。藤沢は「先の長い碁になりそうと思っていた。自信があったわけではない」、上野は「自信があったわけではないが、いい勝負かなと思っていた」と振り返る。昼食休憩後、上野は下辺の黒に襲いかかるが、ここで藤沢が、立会人の蘇陽国九段らが「素晴らしい」と称賛した「二間」を放ち、鮮やかにシノぐと、勝負はほぼ決したようだ。上野も「『二間』がいい手というお話が今ありましたが、そこに打たれたら(白からの手段が)何もないなと思いました」と脱帽した様子だった。以降はつけ入る隙を与えず藤沢が黒番中押し勝ち。シリーズのスコアを2勝2敗のタイに戻し、勝負は最終局にもつれ込んだ。藤沢は「体調を整えて、自分の力を出し切れるようにがんばりたい」、上野も「体調管理につとめて、臨みたい」とそれぞれ抱負を語った。第5局は、11月15日、同じく日本棋院東京本院で打たれる。
囲碁ニュース [ 2023年10月31日 ]
志田、初優勝
第6回SGW杯中庸戦(株式会社セントグランテW協賛)の本戦が、10月28、29日に行われ、志田達哉八段が優勝を決めた。本棋戦は、日本棋院所属の31歳以上60歳以下、かつ七大棋戦、竜星戦、阿含桐山杯、SGW杯中庸戦の優勝経験がない棋士が出場し、予選を勝ち上がった棋士16名が本戦に進む。28日に1、2回戦、29日に3、4回戦が行われ、3勝同士の優勝決定戦は、共に今年好調の志田と安達利昌七段の顔合わせとなった。志田はヨセを得意とする本格派。その強さが全面に出て、1手30秒(1分の考慮時間10回)の中、わずかなリードを守りきり、勝利を掴んだ。最終結果は、スイス方式により2位が溝上友親九段。安達とベテランの小県真樹九段が3位入賞を果たした。
囲碁ニュース [ 2023年10月24日 ]
上野梨紗、初戴冠にあと1勝
藤沢里菜女流本因坊に、急成長中の17歳、上野梨紗二段が挑戦する第42期女流本因坊戦挑戦手合五番勝負(共同通信社主催)が、進行している。第1局は10月12日に岩手県花巻市の「佳松園」で行われ、上野が逆転で先勝。上野は「第2局も楽しんで打ちたい」と若者らしく抱負を語り、敗れた藤沢は「ところどころで読みが雑だった」と反省した。4日後の16日、鳥取県湯梨浜町の「望湖楼」で打たれた第2局は藤沢が中盤でポイントをあげ、押し切って1勝を返した。どちらがリーチをかけるのか。シリーズの流れを決める注目の第3局は、21日に香川県坂出市の「坂井グランドホテル」で打たれた。序盤は、藤沢の模様と上野の実利という両者の棋風とは逆の展開となった。その後、上野が勝負所の戦いでリードを奪い、ネット解説の鶴山淳志八段が「完璧」と評する見事な収束で2勝目をあげた。「梨紗さんは、「第19回アジア競技大会」で世界のトップと戦い自信をつけたのではないか」(小林覚九段)、「とにかく内容が素晴らしい」(棋士多数)と上野への賞賛の声が多い。勢いに乗った上野が初のタイトルを手にするのか、藤沢が地力を見せ、切り替えて巻き返すのか。第4局は、少し時間をおき、11月7日に、日本棋院東京本院にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2023年10月21日 ]
アマチュアベア碁 関東代表決まる
10月15日、東京市ヶ谷の日本棋院において、第33回国際アマチュア・ペア碁選手権大会関東甲信越ブロック大会が開催され、16ペアが世界大会出場を目指し戦った。
昨年の関東甲信越ブロック優勝ペア、国際大会日本1位(世界大会2位)ペアは、内田祐里さん、藤原彰子さんという女流アマ優勝経験者であるが、今回はそれぞれ男性ペアの都合がつかずペアを変えての参加となった。そんな中、連勝で勝ち上がったのが、昨年も代表になった谷結衣子・大関稔ペア、倉科夏奈子・杉田俊太朗ペア、毎年参加を続けているベテランの吉田美穂・窪庭孝ペア、今年初めてペアを組んだ松本実優・小山光晶ペア。
決勝に進んだのは、昨年に続き安定した成績を見せる谷・大関ペアと初参加ながら常連ペアを倒して勝ち上がってきた松本・小山ペアである。決勝は途中、大関さんが頭を抱えるシーンもあり、松本・小山ペアがしっかりと勝ち、初参加で初優勝となった。谷・大関ペアは昨年に続き決勝で初参加ペアに敗れた。関東では二年続けて、個人では実力者として知られているがペア碁大会は初めてという同士のペアが優勝となった。
関東甲信越ブロックは上位5ペアが世界大会の出場権を獲得する。今年の代表は上記4ペアに、藤原彰子・石村竜青ペアが関東甲信越代表となった。関東代表は初参加の実力者同士ペア、代表常連ペア、久々の代表となったペアと様々。石村さんは「代表戦の方は初参加。昨年世界大会2位になった方とペアなのでプレッシャーがあった」、吉田・窪庭ペアは「10年以上ぶりぐらいの代表かなあ」と嬉しそうであった。
各ペアが出場する第33回国際アマチュア・ペア碁選手権大会は12月2日、3日に開催される。
囲碁ニュース [ 2023年10月3日 ]
日本、銅メダル2つ


第19回アジア競技大会に、囲碁競技が組み込まれ、9月24日から10月3日まで、男子個人戦、男子団体戦、女子団体戦が中国杭州で行われた。日本からは、男子個人戦に一力遼九段と芝野虎丸九段の2名、男子団体戦に一力、芝野、井山裕太九段、関航太郎九段、佐田篤史七段、女子団体戦に藤沢里菜六段、上野愛咲美五段、上野梨紗二段が出場し、男子団体戦と女子団体戦で銅メダルを獲得した。9月24日から28日にかけて行われた男子個人戦は、一力がベスト4に進出したが、準決勝で柯潔九段(中国)、3位決定戦で申眞諝九段(韓国)に敗れ、メダル獲得はならなかった。3位決定戦の直後、一力は「チャンスを見いだせないまま終わってしまった」と悔し涙を見せた。芝野は準々決勝で柯潔九段(中国)に敗れた。優勝は、許皓鋐九段(中華台北)。申眞諝九段(韓国)、柯潔九段(中国)という強敵を下しての見事な金メダルだった。団体戦は男女ともに9月29日から10日3日に行われ、男子は韓国が優勝、中国が二位。女子は中国が優勝、韓国が二位という結果だった。日本女子チームは準決勝で中国に1勝2敗で惜敗。藤沢は「終わった直後は結果を受け入れられませんでした」と悔しい気持ちを語ったが、チームで気持ちを立て直し、中国香港に勝利してメダル獲得につなげた。日本男子チームは準決勝の韓国戦に0勝5敗を喫したが、続く3位決定戦では、予選で1勝4敗のスコアで敗れた中華台北に4勝1敗とし、雪辱を果たした。芝野は「個人戦から苦しい対局が続いてしまいましたが、最後に勝ててよかった」、井山は「韓国戦では技術面やコンディショニングなど、課題を感じることが多かったです。難しい状況の中、最後中華台北に勝てたことはよかった」と振り返った。
囲碁ニュース [ 2023年9月26日 ]
史上初、女性新人王誕生
第48期新人王戦(しんぶん赤旗主催)決勝三番勝負の第2局が、9月22日、日本棋院東京本院で打たれた。1局目を制した上野愛咲美女流名人が、「ハンマー」と称される攻めの棋風で相手の石を召し取り、姚智騰六段に白番中押し勝ち。この瞬間、史上初の女性新人王が誕生した。敗れた姚は、「結果は残念。この経験を大切に、もっと強くなりたい」と語った。局後には記者会見が行われた。上野は、「一昨年、決勝の第3局で負けてしまい悔しかったのですが、今回リベンジでき、強い相手に勝って新人王になったのはうれしい」と喜びを語った後「(藤沢一就八段門下で幼い頃から切磋琢磨してきた)関君(関航太郎九段)、広瀬君(広瀬優一七段)が新人王を獲って、『あれ、どうして自分だけ?』と思っていて、そろそろかなと」と、ライバルの刺激があったことを明かした。また、記者からの「ご自身が女流棋士全体を引っ張っていこうという気持ちはありますか?」の質問に、「普通に突っ走っていきたいです」と答え周囲を笑わせた。「女性だから不利という思いは?」の質問には「全くありません」と笑顔で応じ、「今はまだ実力が足りませんが、伸びしろはあり、努力すれば(一般の)タイトルを獲る可能性は普通にあると思います」と語り、歴史が塗り替えられたことを印象づけた。
囲碁ニュース [ 2023年9月22日 ]
プロ棋士主催の囲碁大会 つるりん杯

9月10日、東京市ヶ谷の日本棋院において、つるりん杯団体戦が行われた。つるりん杯は鶴山淳志八段と林漢傑八段のコンビが仕掛けた大会。日本棋院の1階と2階が埋め尽くされる約300人の参加となった。審判長には安田明夏初段。
大会を行うにあたって、チラシ作りや参加者募集の呼びかけ、碁会所をまわりポスターやチラシ配り等も鶴山、林両プロが行った。当日の運営も行い、多くのファンとの交流する姿も見られ盛況であった。
大会の方ではアマトップクラスから級位者まで実に幅広い棋力の方が参加した。宝酒造が協賛ということもあり、子供の参加はできなかったが年代層も幅広かった。
無差別クラスではこの大会のために韓国から来日したチームもあった。「まず大会に出ることを決め、それから日本の観光コースを決めました」という韓国チームには韓国棋院の元研究生(日本でいう院生)も参加していた。結果としては李章元さん率いる大熊義塾に敗れ2位となったが選手3名とも楽しかったと語った。
最多出場となったのは横浜囲碁サロン桃源会で無差別からクラス別まで9チームのエントリーがあり、無差別クラス2ではそのうちの1チーム(主将は全国優勝経験のある土棟喜行さん)が、クラス別でも1チーム優勝している。
これまで棋士が主催するイベントはあったが、裏方で作業をするということはあまり無かったかもしれないが、ここ最近ではそういったことが増えてきていると思う。第2回のつりりん杯も企画したいとのことであり注目したい。
囲碁ニュース [ 2023年9月19日 ]
上野(愛)、史上初の女性新人王に王手
第48期新人王戦(しんぶん赤旗主催)決勝三番勝負の第1局が、9月12日に千代田区の日本棋院東京本院で打たれ、上野愛咲美女流名人が姚智騰六段を黒番中押しで降した。上野は一昨年に続いて二度目、姚は初の同棋戦決勝三番勝負進出となる。上野は一度築いたリードを維持し続け、劣勢を意識した姚が挑んだ戦いにも的確に応じて、ほぼ完勝の内容。局後には「序盤からずっとよくわからず、攻め合いやコウの判断をしてたのですが、自信はありませんでした。途中からは、間違えなければ少しいいのかなと」と振り返った。敗れた姚は「もう少し踏ん張れる場面があったかもしれませんが…(上野さんは)思っていた通りの強さ。隙がない。昨年も一局当たったのですが負けていて、一局くらいは勝ちたいです」と笑顔でインタビューに応え周囲を和やかにした。これに上野は「ほめていただけると思わなかったのでビックリです」と応じ、「次も頑張ろうと思います」と抱負を語った。後日、姚は、チャンスを逃した局面を「実戦は『あと一歩』よりもうちょっと足りない感じかな」と独特の言い回しで振り返り完敗を認めた後に、「三番勝負は初めてで、2回負けなければ負けないので相当自信があったのですが、いざ1回負けてみると、もう崖っぷち」と、明るい人柄そのままに、やはり笑顔だった。姚が巻き返すか、上野が連勝し史上初の女性新人王誕生となるか、注目の第2局は、9月22日、日本棋院東京本院で打たれる。
囲碁ニュース [ 2023年8月28日 ]
アマ本因坊戦全国大会 大関さんアマ名人本因坊に
8月26日、27日の両日、東京市ヶ谷の日本棋院において第69回全日本アマチュア本因坊決定戦全国大会が行われ、各都道府県の代表及び招待選手63名がアマチュア本因坊を目指し戦った。
予選リーグはどこも拮抗し、白熱した戦いとなった。そんな激戦の中、ベスト8に勝ち上がったのは、アマ名人の大関稔さん(神奈川)を筆頭に、昨年優勝の栗田佳樹さん(招待)、学生本因坊の川口飛翔さん(招待)、優勝経験のある村上深さん(東京)、アマ名人三番勝負進出の夏冰さん(京都)、そして星合真吾さん(東京)、杉田俊太朗さん(長野)、優勝多数の平岡聡さんを破った山下寛さん(大阪)という顔ぶれである。
誰が優勝としてもおかしくない中を勝ち進んだのは、大関さんと栗田さん。両者は全国の決勝やアマ名人三番勝負、世界アマ日本代表決定の名人対本因坊の一番勝負など、数々の重要対局を争ってきた現在の日本アマ碁界の両輪である。
結果は、難しい勝負を大関さんが制し、4年ぶり3度目の優勝となった。これで4連覇を果たしたアマ名人と合わせて、アマ名人本因坊の二冠に輝いた。そして、世界アマチュア選手権の代表決定戦は名人と本因坊の決定戦で行われることから、二冠となった大関さんが来年の世界アマ日本代表に決定。意外にも大関さんは初の日本代表であり、念願の日本代表となった。
惜しくも準優勝だった栗田さんは5大会連続の決勝進出であった。
囲碁ニュース [ 2023年8月11日 ]
日本代表チーム、アジア競技大会に向けて強化合宿


今年、中国・杭州で開催される「第19回アジア競技大会」には、囲碁がマインドスポーツ競技の一つして採用され、男子個人戦(9月24日~28日)、男子団体戦と女子団体戦(いずれも9月29日~10月3日)の3競技が行われる。日本からは囲碁競技の国内統一団体として2019年10月に発足した「一般社団法人全日本囲碁連合」から、男女8名の選手の派遣が決まっている。大会に向け、8月8日と9日の2日間、日本代表選手全員による囲碁強化合宿が「味の素ナショナルトレーニングセンター」で実施され、9日に記者会見と公開練習が行われた。合宿では、今大会で採用される「中国ルール」の説明、今大会と同じ条件(持ち時間など)での練習対局、AIを使ってのライバル選手の研究などの他、選手村での過ごし方や食事の講習会、アンチドーピングの講習会など、「アジア大会」に特化した内容が盛り込まれた。また、多忙な選手全員が集まり、大会に向けて団結し士気を高める目的もあったという。記者団からの質問に応じた選手8名の大会への抱負を以下にまとめてご紹介する。
一力遼九段(男子個人戦と男子団体戦に出場)「先に始まる個人戦の自分と芝野さんの成績によって団体戦の意識も変わると思うので、個人戦は重要だと思っています。全員強敵という意識はしていますが、全く手が届かないと感じる棋士はいませんので、十分チャンスはあるかなと思っています。国際大会でいい結果を残すことが、囲碁界の発展にもつながると思っており、責任も感じますし、自分自身やりがいも感じています」
芝野虎丸九段(男子個人戦と男子団体戦に出場)「団体戦は、非常に頼れるメンバーに恵まれまして、いい精神状態で打てるのではないかと思います。まずはメダル獲得。そして金メダルを目指してがんばりたいと思います。個人戦は、もちろんかなり厳しいとは思いますけど、可能性がないとは思わないので、一局一局集中するだけかなと思います」
井山裕太九段(男子団体戦に出場)「私は前回の2010年の広州アジア大会にも出場させていただきましたので、そのときの経験を今回チームに役立てることができればと思っています。スポーツ大会ということで、普段見ていただけない方にも囲碁に触れていただく機会でもあり、いいアピールをしたいなと思います。それぞれがベストのパフォーマンスをする。それが一番チャンスが広がることだと思いますので、まずは自分たちのベストを尽くすことが最低条件だと思っています」
関航太郎九段(男子団体戦に出場)「ライバルチームは、こちらの3名(一力、芝野、井山)の対策は練ってくると思うので、あまり注目も意識もされていない棋士がどれだけ勝てるかが重要だと思っています。一つでも勝ち星をあげることが目標です」
佐田篤史七段(男子団体戦に出場)「私は唯一予選から勝ち上がりました。世界に挑むのは特別な方だけという意識が棋士の中でも大きいと感じておりまして、もし自分が結果を出せたら、日本棋士全体の『世界に挑む』という空気が変わると思っていて、それは自分にしかできないことだと思っているので、それをモチベーションにがんばっていきたいと思っています」
藤沢里菜六段「前回の2010年は入段した年でして、先輩方が出場されているのを見ていつか出たいなと思っていたので、今回出させていただけてとても光栄に思っております。上野姉妹という強いメンバーと一緒に団体戦に出場するのですけれども、私が勝つことができれば、金メダルも夢ではないと思っているので、それまでにしっかり準備して精一杯がんばりたいと思います」
上野愛咲美五段「今回の大会では世界のトップの方々にお会いできるのと、対局させていただけるのがとても楽しみです。いつも以上に研究などをしっかりして、対局前はしっかり縄跳びを飛んで、今回もがんばろうと思います」
上野梨紗二段「一人だけ予選で選んでいただき、すごくうれしいです。世界戦のこんなに大きな舞台は初めてなんですけど、里菜先生と姉という心強いメンバーなので、自分が足を引っ張らないように、体力をつけたり、たくさん勉強してがんばりたいと思います」
囲碁ニュース [ 2023年7月25日 ]
牛が女流最強位連覇
第8回扇興杯女流囲碁最強戦(センコーグループホールディングス株式会社協賛)の決勝戦が、7月23日、滋賀県東近江市の「迎賓館あけくれ」で行われ、牛栄子女流最強が上野愛咲美女流二冠を破り二連覇を果たした。トーナメント方式での連覇は難しく、今回の牛の二連覇は大会史上初となる。序盤は上野がリードを奪った。だが、上野が左辺で利かそうとした手に、牛が受けずに反発したところから流れが変わる。上野は左上に連打するが、牛の読みが勝り一気に逆転した。その後、上野は次々と勝負手を繰り出して盛り返すが、牛も機敏に打ち回して中央一帯の攻防が一段落した時点では牛が優勢を築いた。その後、逆転は難しく、242手まで、白番の牛が中押し勝ちを収めた。牛は「今年に入って一番負けてしまっている時期が続き、まさか今回優勝できるとは思っていませんでした。本当に私にとって扇興杯は運のいい棋戦だなと思いました。毎年こちらで対局できることをこの上ない幸せだと思っておりますので、来年もこちらで打てるようにがんばりたいです」といつもながらの綺麗な日本語で喜びを語った。
囲碁ニュース [ 2023年7月19日 ]
アマ名人戦全国大会
7月1日、2日の両日、東京市ヶ谷の日本棋院において第17回朝日アマチュア囲碁名人戦全国大会が行われ、各都道府県の代表及び招待選手が大関稔アマ名人への挑戦を目指し戦った。
招待選手が順調に勝ち上がる中、宮岸黎明さん(石川)が、昨年の全国優勝者柳田朋哉さんを破りベスト8に進出した。その他にも学生招待の硯川俊正さんを2回戦で破った竹田幸一さん(広島)がベスト8に進んだ。
強豪が多い中でもアマチュア本因坊であり、世界アマ選手権の日本代表決定戦で大関アマ名人を破った栗田佳樹さん、現役の学生で学生囲碁界トップの川口飛翔さんの2名が特に注目を集めていた。両者ともにベスト8に勝ち上がったが、栗田さんは平野翔大さん(招待)に、川口さんは夏冰さん(招待)にそれぞれ敗れた。準決勝ではその両者が対戦し、夏さんが決勝進出を果たした。
決勝の相手は世界アマ日本代表経験のある森川舜弐さん(愛知)。ともにアマ名人では初の決勝進出である。結果は夏さんが勝利し全国初優勝となった。夏さんは少年少女囲碁大会で優勝はあるものの一般大会ではベスト4やベスト8が多く初の優勝。ベスト8では20代ばかりであったが最年長である。
大関アマ名人との三番勝負は7月29日、30日に東京市ヶ谷の日本棋院にて行われる。夏さんは「せっかくだから3局教えてもらいたい」と語ったが、心の中ではアマ名人奪取を狙っているだろう。全国大会の会場には大関アマ名人も挑戦者が誰になるのか観戦に来ていた。
囲碁ニュース [ 2023年6月20日 ]
上野、女流立葵杯防衛
上野愛咲美女流立葵杯に藤沢里菜女流本因坊が挑戦する第10期会津中央病院・女流立葵杯(一般社団法人温知会協賛)の挑戦手合三番勝負が、6月17日から19日に、福島県会津若松市の「今昔亭」で行われた。3局共に、日本女流界のトップ2にふさわしい大熱戦の末、上野が防衛を果たした。3日間で一気に決着のつく短期決戦は、対局者にはハードスケジュールだが、ファンには魅力的だ。17日に打たれた1局目は藤沢が、18日の2局目は上野が制して、19日の最終局を迎えた。中央で複雑かつ難解な攻防となり、ここで上野が読み勝ったようだ。その後は逆転を許さず、上野が黒番中押し勝ちを収めた。敗れた藤沢は、SNSで「最終局は、中央に錯覚があって残念な内容となってしまいましたが、これも実力なのでまた次に活かせるようがんばりたいと思います」とコメント。2連覇の上野は、「1局目は、おそらく逆転負け。コウの判断ができなかったり、里菜先生のヨセの力を見せられて、勉強になる一局でした。2局目も、コウがたくさん発生して難しい碁だったのですが、なんとか勝つことができました。3局目までいけるとは思ってなかったので、今日は打てるだけでとても嬉しい気持ちでした。今日の碁は、序盤から全然わからなくて、途中も何度か錯覚しそうになる難しい碁だったのですが、形がなんとなく黒にうまくできていて、運よく防衛することができました」と熱戦を振り返り、「今回はベスト4に妹(上野梨紗二段)も勝ち上がり、会津に一緒に来ることができ、妹も喜んでいて、ご飯や温泉や空気のよさに感動していました。私も今朝、散歩していたら自然がパワーをくれる感じがしました。会津では袴を着れるのも嬉しいですし、フルーツもいただけるようなので、来年も力をつけてがんばろうと思います」と喜びを語った。
囲碁ニュース [ 2023年6月9日 ]
関東甲信越静囲碁大会

第65回関東甲信越静囲碁大会が6月3日、4日の両日、長野県で行われた。本大会は関東甲信越静の各都県が毎年会場を持ち回りで行い、コロナで中止後、3年ぶりの開催となった。3日は前日からの大雨の影響で交通機関に乱れがあり、静岡県チームに遅れが出るなどあったが無事開催された。今大会では栃木県と群馬県の参加者が集まらず欠場となった。 近年ではアマ名人の大関稔さん、アマ本因坊の栗田佳樹さんを擁する神奈川県が圧倒的な成績を誇っていたが、両者ともに都合がつかず欠席となり、神奈川、埼玉、千葉が優勝を争う展開となった。 全勝で2日目に挑んだのは神奈川の2チーム。若手を中心に組まれた神奈川Aは石村竜青さんが主将を務める。ベテランで構成された神奈川Bは窪庭孝さんや佐々木慶さんという若手が活躍する以前には何度も神奈川県代表になったメンバーである。 神奈川Aは千葉Bとの対戦になった。千葉はAがベテラン、Bが若手で構成されており、近年の活躍ではBチームの方が活躍しているように思われる。中川道さん、丹羽準也さん、渡辺達也さんという学生囲碁界でも活躍したメンバーを擁していたが、3-2で神奈川Aが勝利した。もう一方は神奈川Bと埼玉Aの対戦となった。埼玉Aは日野大地さんを主将に実力者が揃っている。5-0で埼玉Aが勝利し決勝となった。 優勝決定戦の神奈川A対埼玉Aは3-2で埼玉Aが勝利した。神奈川の連覇を阻止し、埼玉が久々の優勝を手にした。
囲碁ニュース [ 2023年5月29日 ]
東京23区囲碁大会
第10回東京23区囲碁大会が5月21日、市ヶ谷の日本棋院において行われ、16区に合同チーム2つを合わせた18チームで争われた。今大会は一般5名内1名を65歳以上のシニア、女性1名、30歳以下の青年1名、子供2名の計9名で行われる。
3回戦が行われ、全勝対決は、毎回安定した成績の文京区と2回戦で合同チームの川口飛翔さんを破り5-4で制した千代田区、早稲田大学のメンバーを中心にした新宿区と江東区という組み合わせになった。それぞれ文京区と新宿区が制し、勝ち数の関係で文京区の優勝となった。
文京区は主将が体調不良で欠席したことで1人少ない8人で戦うことになった。副将には女流アマ優勝経験のある藤原彰子さん、昨年度学生大会2つ準優勝の曹睿梟さん、青年の部には高校時代に活躍した佐藤英一郎さんといった強力な布陣。最終戦の千代田区戦は8-1の勝利だった。
新宿区は主将、副将は早稲田大学のレギュラーでメンバーの大半が早稲田の学生である。昨年も全勝ではあったが勝ち数により2位だった。
チーム数の関係で、2連勝の世田谷区と1敗の渋谷区が最終戦を行うことになり、世田谷区が勝てば全勝が3つになるという状態であったが、渋谷区が勝利している。
今大会で10回となることで、過去10大会の成績を合わせたグランドチャンピオンが表彰され、世田谷区がグランドチャンピオンに輝いた。今大会は最終戦で惜しくも敗れたが過去に優勝経験もある強豪チームだ。
囲碁ニュース [ 2023年5月9日 ]
一力、テイケイ杯俊英戦を制す
棋聖対名人の注目の大一番———25歳以下の棋士が参加する第2回テイケイ杯俊英戦(テイケイ株式会社協賛)の決勝三番勝負の第2局が、5月6日、東京都千代田区の「竜星スタジオ」で行われた。ここまでの経緯は、予選を勝ち上がった12名が2リーグに分かれて総当たり戦を行い(優勝者は次期から出場できないため、前期優勝の許家元九段は出場していない)、Aリーグでは芝野虎丸名人が、Bリーグでは一力遼棋聖が、それぞれ5戦全勝で優勝を決め、決勝三番勝負に進出。4月1日に行われた第1局は、一力が芝野を降した。第2局は、序盤で黒番の一力が厚みを作り、白番の芝野が実利で先行する展開に。一力の「(黒も不満はないが)地は白に頑張られているので、判断はできなかった」、芝野の「不満はないと思っていたが、黒はかなり厚いのでこのあと次第かなと」という両者のコメントからは、判断が難しいながらも互角の形勢だったことが伺える。その後、一力の積極的な手から、右辺の折衝が険しくなる。芝野が白を生きにいった判断が、やや疑問だったようで、黒も逃げ出せたために外側の白が薄くなった。続く一力の鋭い攻めに対して、芝野はただ生きるだけでは不満と見て、黒地を減らしながらの生きを目指した。最後は上辺の黒との攻め合いにもつれる際どい戦いとなったが、一力が正確に攻め切り、白の大石を仕留めて勝ち切り、ストレートで優勝を飾った。局後の芝野は「結果はもちろん残念です」と言葉少なにコメントし、一力も「攻め方や左上の決め方が最善ではなかった」と反省の弁を残した。一力と芝野の対戦成績は昨年までは9勝9敗と並んでいたが、今年に入ってから一力が7勝2敗と差をつけた印象だ。また、絶好調の一力は、この勝利で11連勝とし、5月8日に打たれた名人リーグでも勝利し、連勝を12に伸ばしている。
囲碁ニュース [ 2023年4月20日 ]
レジェンド対決を趙が制す
60歳以上の棋士とテイケイ杯女流レジェンド戦ベスト4の棋士が参加する第2回テイケイ杯レジェンド戦(テイケイ株式会社協賛)の決勝戦が、4月8日、東京都千代田区の「竜星スタジオ」で行われた。決勝に勝ち上がったのは、趙治勲名誉名人と小林覚九段。過去に棋聖戦七番勝負を3期連続(第19期から21期)戦って以来の、両雄のタイトルをかけた決戦となった。序盤、趙が研究の手が繰り出すなど見所満載の本局は、互角のまま進行し、黒番の趙の実利対小林の模様という碁形となる。その白模様に趙が荒らしに入ると、得意のシノギで優勢を築きそのまま押し切る形となった。209手まで、趙が黒番中押し勝ちし、初優勝を飾った。また、通算獲得タイトル数を76とし、自身の持つ最多記録を更新した(2位は井山裕太本因坊の71)。
上野女流名人誕生
藤沢里菜女流名人に、上野愛咲美女流立葵杯が挑戦する博多・カマチ杯第34期女流名人戦(一般社団法人巨樹木の会、(株)トータル・メディカルサービス、(株)メディカルテンダー協賛)の挑戦手合三番勝負は、4月14日に第1局、17日に第2局が、いずれも東京都千代田区の日本棋院本院で打たれた。第1局は、終始手厚く優勢に打ち進めていた藤沢の初めてのミスを上野が突いて流れを変え、上野が力強く逆転勝利した。この勢いに乗った形で、第2局は序盤から上野が研究の布石で優勢を築き上げた。藤沢が地力を見せ、じわじわと追い上げ形勢は互角となったが、終盤に再び上野がリードを奪い、黒番中押し勝ちとした。上野は初の女流名人位を獲得し、女流立葵杯と合わせ女流二冠となった。また、女流5タイトルを全て一度は制し、女流グランドスラムを達成した。ヨセの勉強に力を入れてきたと語っていた上野は、成果を見事に結果につなげた。2局ともに終盤勝負を制し「昔だったら2局とも負けていた」と自信をのぞかせた。6連覇がかなわなかった藤沢は、「後半に反省点が多かったシリーズですが、自分の力は出し切れたと思います」と振り返り、「来期はリーグ戦からの戦いで(挑戦者までは)気が遠くなりますけど、しっかり力をつけ一局一局がんばっていきたい」と語った。
囲碁ニュース [ 2023年4月11日 ]
ジュニア本因坊 長尾くん優勝
3月18日、19日の両日、第26回花まる学習会杯ジュニア本因坊戦の全国大会が東京千代田区の毎日ホールで行われた。今大会は小中学生の区切りが無く、各地区の代表32名が各5回戦の熱戦を繰り広げた。
全勝対決は昨年優勝の樋口駿くん(中2)と長尾想太くん(小6)の二人。長尾くんが勝利し初優勝となった。小中学生が同じ舞台で戦うため中学生の方が多く上位を占める中、小学生での優勝となった。長尾くんは両親がともに学生時代に活躍した強豪である。
ジュニア本因坊戦は第21回からこどもチャンピオン戦と二つにわかれたが、それ以降での小学生の優勝は初である。小学生では第1回の井山裕太3冠(当時小3)など過去に4人である。
こどもチャンピオン戦全国大会
3月25日、26日の両日、京都府聖護院御殿荘においてボンド杯争奪第26回全日本こども囲碁チャンピオン戦全国大会が行われた。今大会は中学生、小学生が24名ずつそれぞれに分かれて5回戦を行う。
小学生の部では1週間前にジュニア本因坊となった長尾想太くんを破った刈谷研くん(東日本)と女子で4連勝した野中優希さん(東日本)の全勝対決となり、刈谷くんが優勝を果たした。刈谷くんは小6で、低学年の頃は院生経験のある実力者である。夏の少年少女囲碁大会では全国準優勝だった。
中学生の部では伊東信義くん(北海道)と坂下悠太くん(沖縄)という北海道、沖縄の全勝対決となった。結果は坂下くんの勝利し初優勝となった。
囲碁ニュース [ 2023年3月27日 ]
世界アマ 栗田さん代表
3月18日、東京市ヶ谷の日本棋院幽玄の間において大関稔アマ名人と栗田佳樹アマ本因坊による世界アマチュア選手権日本代表決定戦一番勝負が行われた。現在のアマチュア囲碁界をリードする両者であるが、世界アマの日本代表はどちらも今まで経験がない。両者はアマ強豪が集まる研究会でもよく対局をする仲で、大会でも十数局対戦しているが成績はほぼ五分だという。
本対局では、上辺で大関アマ名人が受けさせにいった手に対して栗田アマ本因坊が受けずに薄みを突き、流れを引き寄せた。局後、大関アマ名人は「受けさせてから戻るつもりだった。それほど厳しいとは思っていなかった」と後悔。その後に大関アマ名人に見落としがあり、栗田アマ本因坊が優勢になった。まだ難しい場面もあったが栗田アマ本因坊が手堅く勝利を収めた。
栗田アマ本因坊は現在大学院生で就職活動中だという。「忙しい時期ではありますが、せっかくの機会なので充実して臨みたい」と世界戦への抱負を語った。大関アマ名人は「前回に続きこの場に臨んだが負けてしまった」と悔しさを見せた。今年全国大会で再戦を誓う場面も見られた。
栗田アマ本因坊が参加する世界アマチュア選手権は2023年に中国で開催予定となっているが、日程や会場、リアル対局かオンラインかの詳細も決まっていない。また、世界アマ代表を決めるアマ竜星戦がコロナの影響で中止となっていたため、2年連続でアマ名人対アマ本因坊による決戦となったが、今年はアマ竜星戦が開催されるとのことである。
囲碁ニュース [ 2023年3月22日 ]
関、NHK杯初優勝
第70回NHK杯テレビ囲碁トーナメント(日本放送協会主催)の決勝戦が3月19日に放映。関航太郎天元が一力遼棋聖に白番半目勝ちを収め、初優勝を決めた。関は第67回に出場した時は2回戦で敗れている。3年ぶり、2度目の出場となる今回は、逞しく成長し、一気に頂点までかけあがった。一力は9回連続出場のうち、7回決勝に進出し、2連覇(通算3回優勝)中と早碁の強さを示しているものの、3連覇はならなかった。序盤、一力が左上で思い切った仕掛けを見せたが、関に立ち回られリードを許した。その後は、解説の本因坊文裕(井山裕太本因坊)の言葉を借りると「いろいろなところでコウができて、どんどん変化していったのですが、基本的には白の関天元が巧みにリードを保って終盤に入っていった」。途中、普段はあまり見せない一力の厳しい表情も映った。とはいえ、一力の一流の粘り強さから、中盤以降、次第に差は詰まり、半目勝負となる。終盤、下辺の折衝で一力に逆転のチャンスがあったが、これを逃し、関が半目逃げ切った。「お互いの良さが出た決勝戦にふさわしい大熱戦」(井山本因坊)だった。一力は「残念な気持ちはありますが、自分なりに精一杯やった結果なので仕方ない」と無念のコメント。関は「大変な相手ばかりだったので、まさかこんな結果を残せるとは思わなかった。(賜杯が)すごく重みがあります。早碁棋戦は苦手としていて、それを課題にずっと勉強してきたので、一つこういう形として残せてうれしいです。今期のNHK杯ですごく成長できたと思います」と喜びを語った。
上野が女流名人戦挑戦者
藤沢里菜女流名人への挑戦権をかけた、博多・カマチ杯第34期女流名人戦リーグが、全日程を終えた。7名によるリーグ戦・第7ラウンドのうち、3月13日に打たれた上野愛咲美女流立葵杯と謝依旻七段の一戦は、上野が優勝をかけ、謝が残留をかけた大一番。これに上野が勝利し、全勝でゴールして、4月14日から始まる三番勝負に名乗りをあげた。上野は「このメンバー相手に全勝できたのは自信になります。里菜先生と打てるのは楽しみ。ヨセを強化して臨みたい。三局打てるように頑張ります」と喜びと抱負を語った。3月16日には、最終局の仲邑菫女流棋聖と上野梨紗二段の対局が打たれ、仲邑が勝利。1敗で2位という結果に、仲邑は「(挑戦者となった)昨年よりリーグの成績は悪くならなくてよかったです。来年はもっと力をつけて挑戦者を目指したいと思います」、上野(梨)は3勝3敗で残留となったが「今期は最後、姉に助けてもらったようなものなので(もし、冒頭の対戦で謝が勝っていたら謝が残留。上野(梨)は、同星で順位も同じ牛栄子扇興杯と残留プレーオフを打つことになっていた)、来期は、姉の力を借りずに済むようにがんばります」と、それぞれ抱負を語った。謝、鈴木歩七段、小林泉美七段が陥落し、今期は世代交代が鮮明な結果となった。
囲碁ニュース [ 2023年3月7日 ]
崔精が初優勝。上野(愛)は3位
「SENKO CUPワールド碁女流最強戦2023」(センコーグループホールディングス株式会社特別協賛)が、3月3日から5日に渡り、東京都江東区の「ホテル櫂会」にて対面式で開催され、韓国の崔精九段が、中国の周泓余六段との決勝戦を制し、初優勝を飾った。崔は「史上最強の女性棋士」と言われ、韓国国内の一般棋戦での活躍はもとより、昨年、三星火災杯世界囲碁マスターズでは、2回戦で一力遼九段を破った後も勝ち進み、女性棋士として初めて世界戦決勝に進出した衝撃が記憶に新しい。だが、第5回を数える今大会では、昨年も謝依旻七段に敗れるなど優勝経験がなかった。大会前日に同地で行われたレセプション・組み合わせ抽選の席で、崔はすべて日本語で「久しぶりにお会いできてとてもうれしいです。スポンサーの皆様、ありがとうございます。ですが、私はここを制覇しにきました。本当の私の力を見せたいと思います」とあいさつし、有言実行した。日本勢は、昨年の第7回扇興杯女流囲碁最強戦(同株式会社特別協賛)のベスト4に勝ち上がったメンバーが出場した。藤沢里菜六段は初戦で崔に敗れ、仲邑菫三段は準決勝で崔に惜敗。牛栄子四段は1回戦で、上野愛咲美四段は準決勝で、それぞれ周に敗れた。昨年優勝した上野は、仲邑を降し、三位に入賞し「また来年決勝に進出したい」。仲邑は「強い先生とたくさん打て、勉強になった。(崔九段に勝つまでは)まだまだ遠いです」と話した。崔は、対局時の厳しい表情とは一転、終始穏やかな笑顔で「優勝できてとてもうれしい。どの碁も難しかったが、昨日の仲邑菫三段との対局はとても思い出深い。対局の中で悪い流れの状況もあり、全体的にきつい試合でした」と語った。
囲碁ニュース [ 2023年2月28日 ]
囲碁AⅠの弱点が露呈
イギリスのフィナンシャル・タイムズ紙が、2月18日、アメリカのアマチュア、Kellin Pelrine氏が、囲碁AI「KataGo」を圧倒したと報じ話題になっている。ITベンチャーの「FAR AI」社が、「KataGo」と自社開発のAIとを百万回対戦させて見つけた攻略法を用いたという。この報だけを耳にすると、人間の囲碁の力がAⅠを上回ったと思う方がいるかもしれないが、そうではない。「元々、AIは死活が苦手だということは棋士はみんな知っていました。それが、今回顕在化しただけ。今回の攻略法も氷山の一角かもしれません。ですから、囲碁界よりもAI界の大ニュースです」と、AIに詳しい大橋拓文七段は語る。今回発見された「攻略法」はさほど難しくはないが、「KataGo」以外の全てのAIにも通用する。だが、いわゆる「悪い手」を何手も打つ手法なので、AIを混乱させることはできるものの、人間には全く通用しない。「ただし、AI界にとっては大問題でしょう」と大橋七段。「解決には2種類あり、根本的に死活を理解させることができればいいのですが、すごく技術革新がないとけっこう厳しいと思います。もう一つは応急処置ですが、『悪い手』によって負けたデータを大量に与え、これでは負けると認識させる方法しかないはずで、そうなると、『悪い手』の評価値が上がり、AIの棋力としてはすごく弱くなると思うんです」。今後のAI開発チームの対応が、注目される。
囲碁ニュース [ 2023年2月24日 ]
世界学生王座戦 金承遠選手(韓国)優勝

2月21日から22日にかけて、東京市ヶ谷の日本棋院において第21回世界学生囲碁王座戦が行われた。コロナ後、3年ぶりの開催となる。大会前日の20日には、レセプションも行われ各国の選手が交流と決意表明を行った。16名の選手が参加し、日本、韓国、中国、中華台北はそれぞれ2名(男女1名ずつ)が出場している。今回は中国のみオンラインでの参加となった。
上位四ヶ国が順当に勝ち上がるかと思われたが、タイのウィチリッチ選手が1回戦で韓国の羅選手(女性)、2回戦で中華台北の陳選手(男性)を破り注目を集めた。ウィチリッチ選手は他の国の選手たちとお祝いに出かけたそうである。
3回戦では日本の川口飛翔選手が中国を、韓国の金承遠選手がタイを破り、最終全勝対決となった。最終戦は地が足りないと判断した川口選手が稼いで頑張り、中央のシノギ勝負に賭けたが、金選手が適切に大石を仕留め優勝となった。川口選手は「頑張らずに中央に手を戻してヨセ勝負にしている方が最後までもつれたかもしれない」と判断を悔やんでいた。
優勝が韓国、2位が日本、3位が同率で中国と中華台北になった。3位の中国代表高選手は女性1位も併せて入賞となった。
日本の女性代表の田中ひかる選手は「2勝が目標だったので力はだしきれたかなと。普段は強い女性と打つ機会があまりないので良い刺激になった」
優勝の金選手は「代表として優勝出来てうれしい」と語った。
囲碁ニュース [ 2023年2月21日 ]
鈴木歩・山下敬吾ペアが優勝

囲碁界のオールスターゲーム、第29回「プロ棋士ペア碁選手権2023」(公益財団法人日本ペア碁協会主催)が、2月11、12の2日間にわたり、東京都「恵比寿 ザ・ガーデンホール/ザ・ガーデンルーム」にて開催された。タイトルホルダーと賞金ランキング上位者から男女16名ずつが選ばれる本大会は、棋士の間でも「出場すること自体が難しい、夢の大会」と語られる。14年ぶりとなる開催会場には多くのファンが集まり、熱戦を見守った。また、併催イベントとして、1、2回戦に敗れた棋士たちによる「シャッフルペア碁対局」(12日)、第15回関東ジュニアペア碁大会(11日)も賑やかに開催された。 ペア碁ならではのドラマが次々と生まれる中、ベスト4に勝ち上がったのは、牛栄子扇興杯・余正麒八段ペア、鈴木歩七段・山下敬吾九段ペア、辻華二段・河野臨九段ペア、青木喜久代八段・大西竜平七段ペア。決勝には、鈴木・山下ペアと辻・河野ペアが勝ち上がった。初出場の辻は「出場が決まってから、河野先生の碁を並べ、今までにないくらい勉強した」という。大盤解説の趙治勲名誉名人と二十四世本因坊秀芳(石田芳夫九段)が何度も「強い!」と絶賛する活躍ぶりで、河野も「一人で打つより一貫した碁が打てた」と振り返る。対する鈴木・山下ペアは、「後半に息が合い」、3局全て逆転勝ち。決勝戦は「今度こそ負けを覚悟した」と鈴木が振り返るが、やはり、後半にじわじわと追い上げ、ついに相手のミスを捉えて大逆転勝利となった。鈴木は「これまで準優勝が6回もあるのですが、優勝は2回目。前回は張栩先生とペアでした。やはり四天王は永遠に偉大だと思います」と会場を沸かせた。山下は「先日母を亡くしまして…でもこの二日間は碁盤に向かったら集中でき、母も見守ってくれていたんじゃないかなと思います。本当に優勝というものからすごく遠ざかっていまして、このタイミングで優勝できたというのは本当に自分にとってすごくうれしい」と、涙ぐみながら喜びを語った。
囲碁ニュース [ 2023年1月31日 ]
仲邑大逆転で最終局へ
上野愛咲美女流棋聖が先勝して迎えた第26期ドコモ杯女流棋聖戦三番勝負(株式会社NTTドコモ協賛)三番勝負の第2局が、1月26日、東京都千代田区の日本棋院で打たれ、挑戦者の仲邑菫三段が大逆転の末、白番半目勝ちを収めた。第1局の序盤で優勢を築かれた上野は、本局では徹底した実利作戦を決行した。一方、第1局の中盤以降、上野の「ハンマー」攻めを受け大石を取られた仲邑は、戦いになるのを「警戒しすぎ」、厚く打ったものの「甘すぎて相当悪かった」と振り返る。上野はさらに白の勢力圏だった左辺、左下を荒らし、はっきり優勢を築いた。だが、ここから仲邑が追い上げた。右辺で巧みに石を捨て中央に地をつけると形勢は互角に。その後も最善を尽くしヨセで抜き去った。敗れた上野は「楽観が全て。安全運転ならいいのですが、ただの緩み」と敗因を語って反省しきり。仲邑は「自分の力を信じて打てました」と笑顔を見せ、「第3局は勝ち負けよりも、自分の打ちたい手を打って、持っている力を出せるようにがんばりたい」と語った。後日の情報によると、上野は「局後に(3時間以上)詰碁をして、親友の茂呂有沙二段とご飯を食べたら(敗戦は)ふっきれました」とのこと。この前向きな上野が3連覇を成すのか、仲邑が史上最年少のタイトルホルダーとして歴史に名を刻むことになるのか。注目の第3局は、2月6日、東京都千代田区の日本棋院にて行われる。
囲碁ニュース [ 2023年1月24日 ]
女流棋聖戦開幕。上野が白星発進
21歳の若きタイトルホルダー、上野愛咲美女流棋聖に、13歳の仲邑菫三段が挑戦する第26期ドコモ杯女流棋聖戦三番勝負(株式会社NTTドコモ協賛)三番勝負の第1局が、1月19日、神奈川県平塚市の「ホテルサンライフガーデン」にて行われた。上野は昨年も、全棋士で勝ち星1位(54勝20敗)、広島アルミ杯若鯉戦二連覇、SENCOCUP優勝など目覚ましい活躍を見せたが、仲邑の急成長ぶりもこれに劣らない。仲邑を誘って研究会を主宰している一力遼棋聖は「昨年の4月くらいまでは、打っていても負ける感じはしなかったのですが、最近はずっといい勝負という内容が多い。国内の10代の棋士では菫ちゃんが強くなった。この一年でさらに」と語っている。さて本局は、序盤は仲邑が優勢を築いた。左下の折衝で上野が悔いた手順前後に的確に応じ、白の形を崩しつつ、右辺の黒模様を盛り上げる。だが、ここから上野が挽回した。右辺の黒のヒラキにツケ、仲邑を悩ませた後、巧みな打ち回しでポイントを上げ、上辺の白模様も盛り上げた。仲邑が白模様に臨み勝負をかけたが、最後は「ハンマー」の異名をもつ上野らしく、絡み攻めから黒の左上の大石を仕留めて勝負を決した。上野が一気に防衛するのか、仲邑が巻き返すのか。注目の第2局は1月26日に東京都千代田区の日本棋院にて行われる。
囲碁ニュース [ 2023年1月18日 ]
東日本大学OB・OG 慶應4連覇

1月15日、東京市ヶ谷の日本棋院にて東日本大学OB・OG対抗戦が行われた。コロナ後3年ぶりの開催となり、33チームが参加となった。本大会は各校13人で1チームとしているが、大学によっては人数が集まらないところもあるため5人制のブロックもある。13人制ではAブロックにこれまでの実績により上位12チーム、Bブロックに下位13チームとして、5人制が8チームとなった。
どこも現役の頃やOB戦でも伝統の一戦といったところが多かったが、Aブロックでは3連勝同士で慶応義塾大学と早稲田大学の決勝となった。これまで3連覇している慶應も、打倒慶應を目指している早稲田も若手が中心となった。ともにコロナにより中止されていた3年の間に卒業したメンバーが多く、慶應では坂倉健太さんや中島光貴さん、早稲田では星合真吾さんや石田太郎さんといった現役時代に活躍したメンバーである。早慶戦は7-6で慶應が制し4連覇となった。3位は東京大学となった。
Bブロックではともに圧倒的な成績で勝ち上がった東北大学と日本大学による全勝決戦となった。東北大学は主将の平岡聡さんを中心にしたチームで、最終戦では平岡さんが日本大学の主将石村竜青さんに半目勝ちするなどして優勝となった。2位は勝ち星の差で北海道大学となった。3回戦で北海道大学は平岡さん破るなど上位を打ち抜いたが9-4で東北大学の勝利となった。3位が日本大学。
5人制のCブロックでは大関稔さんを主将にした専修大学が全て5-0の完全優勝を果たした。メンバーもトップクラスが多く、13人集まれなかったのが惜しいと言える。
囲碁ニュース [ 2023年1月3日 ]
上野、2年連続最多勝
あけましておめでとうございます。
日本棋院は、昨年2022年の公式対局を12月26日に終え、28日、年間最多勝、最多対局、勝率1位、連勝記録1位の棋士を発表した。最多勝は、上野愛咲美女流立葵杯(54勝20敗)が対局数と共に2年連続で1位となった。最多勝、対局数いずれも、2位は藤沢里菜女流本因坊(51勝22敗)、3位は仲邑菫三段(48勝22敗)、4位は一力遼棋聖(47勝21敗)、5位は芝野虎丸名人(44勝19敗)という結果で、上位3名を女性棋士が占めた。3名は、一般棋戦の他に女流棋戦、若手棋戦が加わるアドバンテージがあるものの、活躍ぶりは特筆に値すると共に、今年のさらなる活躍にも期待がかかる。12月26日に、碁聖戦本戦1回戦で伊田篤史九段に白番中押し勝ちし、昨年最終戦を白星で飾った藤沢は「過去最多の対局を打たせていただき、1年を通して精一杯頑張れたと思う。体力面、精神面の課題も感じ、今後少しずつ高めていき、目の前の一局一局に丁寧に取り組み、一歩でも前進していきたい」と語った。勝率1位は小池芳弘七段(.7593)。小池は自身のツイッターで「今年は大事なところで負けが続きましたが、ちょっとだけ報われた気分です」と初の1位にコメントした。連勝記録は、16連勝した許家元十段が初の1位となった。