日本囲碁ニュース (棋聖戦)
日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。
囲碁ニュース [ 2024年10月29日 ]
10月28日の大一番2局
タイトル戦目白押しの中、10月28日も、大一番が2局打たれた。
第43期女流本因坊戦(共同通信社主催)挑戦手合五番勝負は、第3局が鳥取県湯梨浜町の「望湖楼」で打たれ、ここまで2連勝の藤沢里菜女流本因坊に、挑戦者の牛栄子四段が黒番中押し勝ちし、対戦成績を1勝2敗とした。藤沢がわずかなリードを守り続けていたが、判断が難しいなか、黒石を取りにいった決断から逆転を許すことに。藤沢は「また来週すぐに次局があるので、体調を整えて全力を尽くせたらと思います」、牛は「今日は誤算がありましたので、そこを反省して改善できたらと思います」とそれぞれ語った。第4局は、11月6日に千代田区の日本棋院東京本院にて打たれる。
第49期棋聖戦(読売新聞社主催)は、挑戦者決定戦変則三番勝負の第1局が組まれ、Sリーグ優勝の井山裕太王座とAリーグ優勝の山下敬吾九段が対戦した。山下はB、Cリーグの勝者・酒井佑規五段、Sリーグの2位の芝野虎丸名人を降しての勝ち上がりだ。結果は井山の白番中押し勝ち。アドバンテージの1勝を加え、2年連続での棋聖戦挑戦権を獲得した。井山は「厳しいリーグ戦、今日の一番を勝ち抜き、最高の舞台に戻れてうれしいです。一力棋聖は充実していますが、自分の今出せる最高のものを目指し、いい状態で臨みたい」と決意を語った。一力遼棋聖との七番勝負は来年1月16日に開幕する。
囲碁ニュース [ 2024年3月12日 ]
一力、棋聖三連覇
第48期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第7局が、3月7、8の両日、山梨県甲府市の「常盤ホテル」にて打たれ、一力遼棋聖が黒番中押し勝ちを収めて三連覇を達成した。最終局まで持ち込んだものの、井山裕太王座の4期ぶりの復位はならなかった。本局は本シリーズを象徴するかのように、早くから険しい局面に突入した。ネット解説の三村智保九段が「魂を削る戦い」と評した攻防は、「一日目で勝負が決してしまうのではないか」と検討陣が心配するほどに手数も進み、結局、井山が棋聖戦最長手数となる126手目を封じた(本因坊戦では128手、127手の記録があり、史上3番目)。二日目に入ると攻守が逆転し、一力が優位に立つ。中央の白を攻めながら着実にポイントを重ね、粘る井山を振り切っての勝利となった。激戦を制し、本因坊、天元と合わせて三冠を堅持した一力は、対局直後、「最終局は、悔いのないように、自分の信じた打ち方を貫くことを意識しました。結果を出すことができ、ホッとしています」と語り、喜びよりも安堵の表情を見せた。敗れた井山は「負けた碁もチャンスを作るところまではいけていたと思います。そのあたりの精度をあげていかなければいけません」と雪辱を期すコメントを残した。
囲碁ニュース [ 2024年3月5日 ]
井山勝利。棋聖戦は最終局へ
一力遼棋聖の3勝、挑戦者の井山裕太王座の2勝で迎えた第48期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第6局が、2月29日と3月1日、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」にて打たれた。本局も両者らしく互いに最強手を繰り出し険しい戦いの碁となったが、井山が力勝負を制して白番中押し勝ちを収め、決着は最終局へと持ち越された。序盤は互いに実利を取り合った。左辺の攻防でも黒番の一力が実利を優先し、井山が厚みを築く。ここでやや白がリードを奪ったようだ。右下の攻防では、一力が力強く白を切断。対して井山は、「いってみたくなった」と切断された中央の石を動き、戦場が右上に移りながら一気に急戦となる。その渦中に一力が封じて、1日目を終えた。右上は互いに生きる穏やかな道もあったようだが、一力の封じ手は最強の選択だった。その後のコウを井山が解消し、右上の黒を取って地合いでリードを奪う。一力は「取るくらいのことがないと大変」と中央の白の取りかけに向かった。だが、ここから井山が最強のシノギを見せ、逆に中央の黒を仕留めて鮮やかに勝負を決めた。最終局に持ち込んだ井山は「最後ですので、シンプルに、自分の力を出し切れるように精一杯やりたいと思います」、一力は「本局は初日にいろいろまずかったので、もう少し内容よく打てるようにがんばります」とそれぞれ抱負を語った。一力の防衛か井山の奪還か。第7局は、3月7、8の両日、山梨県甲府市の「常盤ホテル」にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2024年2月20日 ]
一力棋聖、防衛にあと1勝
2勝2敗で迎えた第48期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第5局が、2月15、16の両日に、千葉県勝浦市の「三日月シーパークホテル勝浦」にて打たれた。序盤から左辺で険しい競り合いに突入し、戦いに終始した本局は、黒番の一力が本気で白の大石を取りにいく勇断を決行し、井山の勝負手を振り切り鮮やかに仕留めての快勝となった。1日目を、一力は「序盤から一手一手、打ち方も判断も難しく、忙しい展開だった」、井山は「(左辺の一力の強手から)やや無理気味な戦いになってしまったなぁと思っていました。自分が一方的に弱い展開で、大変な気はしていました」と振り返る。2日目に入り、井山は左上を捨てて中央の白を取るフリカワリを目指したが、一力はそうはさせじと中央を動き出す。井山は以降を「自分にはなかなか思わしい手段が見えなかった」と完敗を認めるコメントが聞かれた。3勝目をあげ、三連覇にあと一勝と迫った一力は、「少し間隔がありますので、いい状態で臨めるように調整したい」と落ち着いて語り、井山は「3日後にも対局(名人戦リーグで一力と対戦)がありますし、まずは目の前のことを精一杯やっていきたいなと思います」と静かに語った。決着がつくのか、井山が三度タイのスコアに戻すのか。注目の第6局は、2月29日、3月1日に、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」にて行われる。
囲碁ニュース [ 2024年2月13日 ]
棋聖戦は2勝2敗に
頂上決戦、第48期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第4局は、2月8、9の両日に、一力遼棋聖の地元、宮城県仙台市の「宮城県知事公館」で打たれた。結果は、挑戦者の井山裕太王座が白番中押し勝ち。対戦成績を2勝2敗のタイに戻した。序盤は、井山が工夫の手を繰り出しながら実利を先行していった。少しずつポイントを重ねて優勢を築き、左辺から中央の黒模様がどのくらいまとまるかが勝負所になった。1日目の午後に入り、右辺で一力が渾身の手を放つが、続く井山の手も最善の受け。見応えのある攻防が続いた。一力は「右辺ではもう少しいい図があったような気がします」と振り返っている。2日目、右辺の攻防は井山がややポイントをあげ、さらに左辺に手をつけていく。ここで一力に後悔の手があり、「その後の井山さんの中央の打ち方は完璧でした」と新聞解説の孫喆七段。だが、その後も右辺と中央で難解な戦いが続き、一力にもチャンスがあったという。これを逃し、右辺の中央の弱い白石が安定しては、形勢がはっきりした。孫七段は「結果的に、白が悪い局面は一度もなかった。白の名局だったと思います」と評した。井山は次局に向け「精一杯準備して臨みたいと思います」と抱負を語り、一力は「地元開催のプレッシャーは、(対局が)始まってしまえばそんなに感じませんでした。精一杯やった結果なので仕方ない。次局もしっかりいい状態で臨めるように調整したい」と語った。第5局は、2月15、16の両日に、千葉県勝浦市の「三日月シーパークホテル勝浦」にて行われる。
囲碁ニュース [ 2024年1月30日 ]
棋聖戦は一力が2勝目
一力遼棋聖に井山裕太王座が挑戦している第48期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)は、頂上決戦にふさわしい攻防が繰り広げられている。一力先勝で迎えた第2局は、1月20、21の両日に奈良市の「興福寺本坊」にて打たれ、井山の白番中押し勝ち。27、28の両日に栃木県日光市の「日光千姫物語」で打たれた第3局は、一力が白番中押し勝ちを収め、対戦成績を2勝1敗とした。第2局は、まず一力が、左上の黒の大石を捨てる大胆な構想でリードを奪うが、その後、井山が右上と左下の弱い白石を放置したまま大場に連打し、左下をしのいで一日目を終えた。二日目、一力が封じ手から右下の白模様に手をつけるが、その後の数手にやや反省があったようだ。右下の白地が大きくまとまり逆転。さらに、右上を捨てて右下を広げる形勢判断が光り、リードを広げるとそのまま押し切る井山の好局となった。第3局は、黒番の井山が積極的な打ち回しを見せ、リードを奪った。1日目を井山は「それなりに難しい形勢かなと思っていた」、一力は「序盤から判断が難しい展開でしたが、封じ手のあたりは、目に見える地は大変そうだった」と振り返る。2日目に入り、盤上は複雑かつ判断も着手も難しい局面が続く。「厳しくいけないと大変」と意識した一力が、中央の攻防で力を出し、井山の石に次々と迫って形勢不明となる。大ヨセに入り、検討陣からは「半目勝負」の声も聞かれた。ヨセに入ってからも見事な応酬が続くが、最後に右上を手にした一力に軍配が上がった。局後の一力は「秒読みに入ってから、あまりただしくは打てていなかったのと思うので、そのあたりは課題かなと思っています。少し間隔があくので、またいい状態にして臨みたい」と抱負を語った。井山は「常に形勢判断が非常に難しくて、はっきりしたことが分かってなかった」と振り返り、「一つ一つ、目の前の対局を精一杯やっていきたいと思います」と自分に言い聞かせるように語った。第4局は、2月8、9の両日、宮城県仙台市の「宮城県知事公館」にて打たれる。
囲碁ニュース [ 2024年1月16日 ]
棋聖戦開幕。一力初戦勝利
一力遼棋聖に井山裕太王座が挑戦する第48期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)が開幕した。第1局は、1月11、12の両日、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で打たれ、264手まで一力が白番中押し勝ちを収めた。互いの研究の深さが感じられる互角の序盤から、局面は次第に険しさを増していった。白番の一力が右辺を捨て、右上の黒への攻めに向かう。一時はAIの数値が「白90%」を示すほどに形勢は白に傾き、一力が封じて1日目を終えた。井山は「封じ手前の打ち方がよくなかったのか、封じ手の局面では、少なくとも最善からは遠いと思っていた」と振り返る。だが、2日目、井山は右上の黒の大石をコウに持ち込み、白のコウ材がやや小さく、コウを解消して黒が生きたあたりから井山が形勢を盛り返していった。息詰まる熱戦は、白がやや厚い「半目勝負」となり、ヨセに突入。一力に緩着があり、その瞬間、井山が逆転したようだ。ただ、井山の次の手が、敗着となったようだ。再び白が逆転。形勢は微細ながら、再逆転の機はないと判断した井山が投了を告げた。一力は「最後の最後に形が決まるまで自信が持てなかった。秒読みに入ってから精度を欠いてしまった手があったので、修正して次回に臨みたい」、井山は「最後はいくつか瞬間的に見えていたのにやれなかった部分があったのが残念でした。仕切り直して頑張りたい」と語った。次局以降も、互いに「好調」と語る両者の好局が期待される。第2局は、1月20、21の両日、奈良市の「興福寺」にて打たれる。