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ヨーロッパ囲碁ニュース

ヨーロッパの囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。

ヨーロッパからの囲碁ニュース・棋戦情報を皆様にお伝えします。

囲碁ニュース [ 2018年5月28日 ]

Kido cup、10周年を迎える

トップ8で優勝したカチャノフスキー1p(中央)の碁を李昌鎬9pが検討。(写真:欧州囲碁連盟、以下同)

独ハンブルクにおいて5月19-21日にかけてKido cupが開催された。今年は、10回目の節目の大会となった。今世紀に入って、欧州で多くの大会が生まれては消えた。10年継続する、というのは立派なことである。「Kido Cup」の名は、メインスポンサーの韓国企業Kido Industrialの名から来ている。またハンブルクには韓国棋院の尹暎善8p(女流)も在住していて、この大会は韓国の影響がとても強い。今年は特別な年、ということもあり、なんとスペシャルゲストで李昌鎬9pが訪れた。

トップ8で優勝したカチャノフスキー1p(中央)の碁を李昌鎬9pが検討。李9pは「一番印象に残っている勝利は?」「一番タフだった相手は?」「存命なら打ってみたかった相手は?」という質問に対してそれぞれ「林海峰9pに対する勝利」「依田紀基9p」「呉清源9p」と答えた。

欧州のプレーヤー8人を集めたトップ8には、パボル・リジー2p、イリヤ・シクシン2p、マテウシュ・スルマ1p、アルテム・カチャノフスキー1pの欧州プロのほか、アレクサンダー・ディナーシュタイン3p、クリスティアン・ポップ7d、ルカシュ・ポドペラ7d、タンギー・ルカルベ6dが参加。総当たりで覇を競った。結果はカチャノフスキー1pがほかのプロ勢をなぎ倒し、ポドペラ7dに屈したものの6勝1敗で優勝を飾った。2位には欧州プロ勢が5勝2敗で並んだ。

1

アルテム・カチャノフスキー

1p

ウクライナ

6-1

2

パボル・リジー

2p

スロバキア

5-2

2

イリヤ・シクシン

2p

ロシア

5-2

2

マテウシュ・スルマ

1p

ポーランド

5-2

5

ルカシュ・ポドペラ

7d

チェコ

3-4

6

クリスティアン・ポップ

7d

ルーマニア

2-5

7

アレクサンダー・ディナーシュタイン

3p

ロシア

1-6

7

タンギー・ルカルベ

6d

フランス

1-6

メイン大会は200人超を集めた。結果は現在ドイツ・イエナ在住の金永三8dが全勝優勝。ロブ・ファンザイスト7d(オランダ)が2位、ベンヤミン・トイバー6d(ドイツ)が3位、レミ・カンパニー5d(フランス、カナダ在住)が4位だった。 また、この他にもペア碁大会、ドイツ青少年選手権が開催され、実に充実したイベントとなった。

ペア碁大会の様子。
青少年選手権。

左から尹暎善8p、李昌鎬9p、Kido Industrialの朴CEO、メインオーガナイザーのシュテフィ・ヘップサッカーさんとトビアス・ベルベンさん。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年5月14日 ]

グランドスラム大会、シクシン2pが優勝

挨拶するマルティン・スティアスニー欧州囲碁連盟会長。(写真:欧州囲碁連盟、以下同)

欧州プロの大会としては最大級の大会である第4回グランドスラム大会が4月26-29日にかけてベルリンの中国文化センターで開催された。今年は囲碁のインターネットプラットフォームであるYike(弈客围棋)がスポンサーとなり、「Yike Cup」と名付けられたのが目新しい。

12人の参加者については、4月9日付の予選会に関する記事を参照して頂きたい。

さて毎年注目されるのが、アマチュア勢がプロ勢にどこまで食い込めるか、である。これまで3回の上位結果を見ると、以下のようになっている。

  1位 2位 3位 4位
第1回 (2015) シクシン1p
(当時、以下同)
スルマ1p ジャバリン1p ポップ7d
第2回 (2016) ジャバリン1p カチャノフスキー1p リジー1p スルマ1p
第3回 (2017) カチャノフスキー1p ディナーシュタイン3p リジー1p シクシン1p

第1回大会でポップ7d(ルーマニア)が4位に入ったのがアマチュア勢の最高記録である。若く勢いのある欧州囲碁連盟(EGF)のプロがほぼ上位を独占、昨年の大会でベテランのディナーシュタイン3p(韓国棋院)が準優勝を果たしたのはある意味快挙といえるかも知れない。
そういった意味で、今年新風を吹き込んだのがセルビア出身のデュシャン・ミティッチ7dである。

ミティッチ7d(右)は3人のプロをなぎ倒し、3位に入る快挙。
優勝したシクシン2p。集中力が素晴らしい。

デュシャンとニコラのミティッチ兄弟がセルビアのツートップとして欧州囲碁の舞台で活躍し始めてからもう随分になる。共に爽やかな青年である。日本棋院で院生も経験したニコラ7dの方は今回1回戦でジャバリン1pに敗れたが、デュシャン7dの方は最新のAI定石を上手く活用して、1回戦でディナーシュタイン3p、2回戦でカチャノフスキー3pを倒した。3回戦ではリジー2pに敗れ快進撃はストップしたけれど、その後の3、4位決定戦ではクラベッツ1pをこれまた破って見事3位に入賞した。

決勝に進出したのはシクシンおよびリジーの両プロで、共に成績優秀により最近2pに昇段している。結果はシクシン2pが白番6目半勝を収め、第1回大会以来の優勝を収めた。この両者は2月に行われた第3回欧州プロ選手権でも共に5勝1敗で1位、2位を分けた(リジー2pが優勝)。現在一番安定している2人と言えるかもしれない。

最終結果は以下の通り。
1回戦敗退
 アレクサンダー・ディナーシュタイン3p(ロシア)
 タンギー・ルカルベ6d(フランス)
 ニコラ・ミティッチ7d(セルビア)
 スタニスワフ・フレイラック6d(ポーランド)

1 イリヤ・シクシン 2p ロシア
2 パボル・リジー 2p スロバキア
3 デュシャン・ミティッチ 7d セルビア
4 アンドリー・クラベッツ 1p ウクライナ
5 アルテム・カチャノフスキー 1p ウクライナ
6 アリ・ジャバリン 1p イスラエル
7 マテウシュ・スルマ 1p ポーランド
8 コルネル・ブルゾ 6d ルーマニア

なお、グランドスラム参加者のうちフレイラック6dとデュシャン・ミティッチ7dは先日の「ぐるなび杯第39回世界アマチュア囲碁選手権戦」に参加。共に6勝をあげ、フレイラック6dは4位に、またミティッチ7dは7位に入賞する活躍を見せた。この2人が現在の所、来年のプロ入段(入段手合は今年は開催されない)の最有力候補と言えるだろうか。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年4月17日 ]

欧州ペア碁選手権、スイスで開催

参加者。(写真:Li Yue、 スイス囲碁連盟、以下同)

4月の第1週末、欧州ペア碁選手権がスイス南部の観光地アスコナで開催された。14ペアが参加した。

内訳は、
開催国スイス2ペア、
ロシア4ペア、
ドイツ2ペア、
チェコ2ペア、
フランス、
ルーマニア、
ウクライナ、
オランダが各1ペア。

対局の様子。
チェコのバルトバ(右)・シルト・ペア。
スイスのブランビラン・ブランビラン・ペア。

6回戦の末、ロシアのアイグル・ファズルジャノバ4d/アレクサンドル・ディナーシュタイン3pのペアが全勝優勝を果たした。昨年優勝のナタリア・コバレバ5d/ドミトリー・スリン7dのペアは3位だった。健闘したのがドイツ勢で、リーザ・エンテ3d/ベンヤミン・トイバー6dのペアが2位、マーニャ・マルツ3d/マティアス・パンコケ5dのペアが4位に入賞した。

2位に食い込んだ独エンテ(左)・トイバー・ペア。
昨年優勝のコバレバ(左)・スリン・ペア。
優勝したファズルジャノバ(左)・ディナーシュタイン・ペア。
最終順位は以下の通り。

順位

女性

男性

段級位

勝数

1

ファズルジャノバ

ディナーシュタイン

5d

ロシア

6

2

エンテ

トイバー

5d

ドイツ

5

3

コバレバ

スリン

6d

ロシア

4

4

マルツ

パンコケ

4d

ドイツ

4

5

カルルスベルク

トルビシン

4d

ロシア

3

6

ブルダコバ

ブルナエフスキー

5d

ロシア

3

7

ザルツコバ

ホラ

5d

チェコ

3

8

カオ

フネック

4d

フランス

3

9

バルトバ

シルト

4d

チェコ

3

10

ローロフス

アイクート

1d

オランダ

3

11

ペトラシェフスカ

スコシュコ

1d

ウクライナ

3

12

マスタン

キリラ

2k

ルーマニア

2

13

ベルジェ

ベルナー

4k

スイス

1

14

ブランビラン

ブランビラン

8k

スイス

0

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年4月9日 ]

ニシュ・オープン囲碁大会

 3月17日の週末にセルビアのニシュにおいて毎年恒例のオープン大会とグランドスラム大会予選会が開催された。

グランドスラム大会予選会

5月1日の週末にベルリンで開かれるグランドスラム大会には欧州プロ6人を含む12人が参加するが、このうち2人の枠が予選会の枠抜け者に当てられている。今年の予選会には12人が参加、5回戦を争った。

全勝者なしの激戦となったが、4勝1敗でスタニスワフ・フレイラック6d(ポーランド)、ニコラ・ミティッチ7d(セルビア)、コルネル・ブルゾ6d(ルーマニア)が並んだ。フレイラック6dはグランドスラムのスポンサーCEGO選考によるワイルドカードを通じた参加が内定していたため、結果としては3人共グランドスラムへの参加権を得ることとなった。

ポップ7d(左)とボビズ6dの対局。ポップ7dはニシュ・オープンに優勝した。
(写真:ニシュ囲碁クラブ、欧州囲碁連盟)
ドレアンゲナイジア6d(左)とフレイラック6dの対局。フレイラック6dは予選会1位だった。
(写真:ニシュ囲碁クラブ、欧州囲碁連盟)

グランドスラム参加者は以下の通りとなった。

欧州プロ(6)

イリヤ・シクシン

2p

ロシア

パボル・リジー

1p

スロバキア

アリ・ジャバリン

1p

イスラエル

マテウシュ・スルマ

1p

ポーランド

アルテム・カチャノフスキー

1p

ウクライナ

アンドリー・クラベッツ

1p

ウクライナ

ボーナス大会を通じたボーナスポイント(2)

アレクサンダー・ディナーシュタイン

3p

ロシア

タンギー・ルカルベ

6d

フランス

ランキング上位(1)

デュシャン・ミティッチ

6d

セルビア

予選会(2)

ニコラ・ミティッチ

7d

セルビア

コルネル・ブルゾ

6d

ルーマニア

CEGO推薦

スタニスワフ・フレイラック

6d

ポーランド

ニシュ大会

第46回となるニシュ大会には102人が参加。6d以上は15人近くにも及び、過去最高の盛り上がりを見せた。こちらも全勝者はなく、ルーマニアのクリスティアン・ポップ7d、パボル・リジー1p、ルカシュ・ポドペラ7d(チェコ)、ニコラ・ミティッチ7dが1敗で並んだが、規定によりポップ7dが優勝となった。

欧州青少年選手権

会場の様子(写真:ウクライナ囲碁協会、欧州囲碁連盟)
選手権のポスター。(写真:ウクライナ囲碁協会、欧州囲碁連盟)

今年の欧州青少年選手権は、3月末にウクライナの首都キエフにおいて開催された。12歳未満では99人、16歳未満では72人、20歳未満では37人が参加し、昨年のフランスに続く大規模の大会となった。

各カテゴリーの結果は以下の通り。

12歳未満

12歳未満の上位3人。

1

ステファン=アドリアン・ロタリタ

2k

ルーマニア

5-1

2

アルテミー・ピシュチャルニコフ

1k

ロシア

5-1

3

アルトゥール・ギマディエフ

4k

ロシア

5-1

4

エゴール・ラブロフ

3k

ロシア

4-2

5

アスカル・フサイノフ

2k

ロシア

4-2

ルーマニアのロタリタ2kとロシアのピシュチャルニコフ1kが1敗で並んだが、規定によりロタリタ2kが優勝した。ルーマニアは12歳未満のカテゴリーに強く、過去数年優勝者を輩出している。ロシア勢がこれに続く順位を独占するのも毎年恒例である。

16歳未満

16歳未満の上位3人。

1

アルベド・ピトナー

3d

ドイツ

5-1

2

ソラル・ゼモール

2d

フランス

5-1

3

サヴァ・メジン

2d

ロシア

4-2

4

リンブ・トゥ

2d

フランス

4-2

5

ジャコフ・ガルノフ

1d

イスラエル

4-2

ドイツのピトナー3dが初優勝した。フランスのゼモール2dはピトナー3dを破ったが、やはりフランスのトゥ2dに破れ、2位だった。

20歳未満

20歳未満の上位3人。

1

シナン・ジェポフ

5d

ブルガリア

5-1

2

マティアス・パンコケ

5d

ドイツ

5-1

3

エリアン=ヨアン・グリゴリウ

4d

ルーマニア

4-2

4

オスカル・バスケス

5d

スペイン

4-2

5

ヴァレリー・クルシェルニツキー

5d

ウクライナ

4-2

有力候補のバスケス5dが大ブレーキで2敗を喫した。優勝したのはブルガリアの新鋭ジェポフ5d。ドイツのパンコケ5dはジェポフ5dを破ったが、ルーマニアのグリゴリウ4dに破れ、1敗で並んだものの2位に終わった。

大会のビデオはこちら(http://eygc2018.org.ua/?page_id=220)から閲覧できる。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年3月14日 ]

第1回ブラチスラバ・Kedrosカップが開催

会場から見たブラチスラバの市内。
(写真:欧州囲碁連盟、以下同)

 3月10日の週末に、スロバキアの首都ブラチスラバにおいて第1回Kedrosカップが開催された。Kedrosとはスポンサーとなった地元IT企業の名前。ブラチスラバでは毎年6月に「スロバキア囲碁フェスティバル」という比較的大掛かりな大会が開催されているが、これ以外の大規模な大会が開かれるのは久しぶりとなる。10カ国から50人強が参加、またトップグループでは地元の英雄パボル・リジー1pに加え、アリ・ジャバリン1p(イスラエル)、ルカシュ・ポドペラ7d(チェコ)、ニコラ・ミティッチ7d(セルビア)、スタニスワフ・フレイラック6d(ポーランド)、ドミニク・ボビズ6d(ハンガリー)といった強豪が参加して賑やかな大会となった。

5回戦で優勝を飾ったのはポドペラ7dで、リジー、ジャバリンの両プロを破り見事全勝の成績だった。

大会の様子。
中央が優勝のポドペラ7d、右が2位のリジー1p、
左が3位のジャバリン1p。

大寒波「シベリアの熊」、大会にも悪影響

 2月の末から3月の頭にかけて「シベリアの熊」「パリ・モスクワ」などと呼ばれる大寒波が欧州を襲ったが、これが一部の大会運営にも悪影響を与えた。特に3月第1週末に開かれたダブリン「孔子杯」は、ここ数年大きな成功を収め、強豪の集まる大会だったが、大雪で飛行機のキャンセルなどが相次いだため今年の参加者はわずか10人あまりにとどまった。優勝したのは大会数日前にダブリンに到着して寒波を避ける手筋を放ったルカシュ・ポドペラ7dだった。

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年2月15日 ]

第3回欧州プロ選手権、リジー1pが初優勝

第3回となる欧州プロ選手権が2月5-9日、ルーマニアのヴァトラドルネイにおいて開催された。

ヴァトラドルネイの町並み。ルーマニア北部ブコヴィナ・モルダヴィア地方にあるスキーリゾートである。
(写真:EurogoTV、Judith van Dam)

 欧州プロ選手権は、第1回、2回とロシアのサンクトペテルブルグで開催されており、第1回はフランスの樊麾(ファンフイ)2pが、第2回はイリヤ・シクシン1p(当時)が優勝している。

メインオーガナイザーのカタリン・ツァラヌ5p(右)夫妻。(写真:EurogoTV、Judith van Dam)
参加者のプレート。(写真:欧州囲碁連盟)

 ルーマニアではここ数年囲碁関連行事を盛り上げようとする動きが盛んで、ヴァトラドルネイでの冬季囲碁キャンプもその一つ。今回の欧州プロ選手権は、この囲碁キャンプに併せて行われた。同時に、欧州囲碁連盟(EGF)アカデミーのキャンプも行われている。

プロ選手権に参加したのは昨年の優勝者イリヤ・シクシン2p(最近、昇段点に達し、欧州プロとしてはじめて2pに昇進した)をはじめとする欧州プロ6人(パボル・リジー1p、アリ・ジャバリン1p、マテウシュ・スルマ1p、アルテム・カチャノフスキー1p、アンドリー・クラベッツ1p)に加え、アレクサンダー・ディナーシュタイン3pを加えた7人で、総当たり戦で覇を争った。


ディナーシュタイン3p(左)対カチャノフスキー1pの対局。(写真:EurogoTV、Judith van Dam)

ジャバリン1p(左)対シクシン2p。ジャバリン1pは、先日のグランプリファイナル戦と打って変わって不振だった。(写真:EurogoTV、Judith van Dam)
最終結果。(写真:欧州囲碁連盟)
優勝したリジー1p。(写真:欧州囲碁連盟)

 結果は、パボル・リジー1pが最終戦でジャバリン1pに負けたのみの5勝1敗で見事優勝を果たした。リジー1pは欧州囲碁連盟(EGF)のプロ第1号。その後は大きな大会での優勝がなかったが、今回は独特の鋭い棋風が開花、苦しい碁も見事な逆転で勝利につなげた。

 なお、2位はシクシン2pで、やはり5勝1敗だったが、直接対決でリジー1pに負けたのが響いた。3位はカチャノフスキー1pが占めた。

 囲碁キャンプは週末にも続き、新設となる「Vado Cup」をはじめ様々な大会が催される。

囲碁キャンプに参加する子どもたち。シチョウ…かな?(写真:EurogoTV、Judith van Dam)

[ 記事:野口基樹 ]

囲碁ニュース [ 2018年1月29日 ]

第1回グランプリファイナル、ジャバリン1pが優勝

 1月18-21日にかけて、第1回グランプリファイナル大会がチェコ・モラビア地方のオロモウツにあるパラツキー大学において開催された。「欧州グランプリ」を構成する10大会の結果により選抜された16人のプレーヤーが参加した。
 「欧州グランプリ」は欧州囲碁連盟(EGF)が2015年以来実施しているシステム。これは「積極的に大会に参加している欧州出身プレーヤーのパフォーマンスを測り、成績優秀者を表彰する」ことが目的とされていて、1年の間にEGF圏内で比較的重要な大会に参加したプレーヤーに成績によって得点を与え、その総合点を争う、という内容。こうしたシステムは以前、トヨタやパンダネットも主催していていた。「欧州グランプリ」を構成する「比較的重要な大会」としては、毎年5月にベルリンで開催されるグランドスラム大会に加え、得点配分の高さに従ってAランク大会からCランク大会までがある。こうしたランクはどのように決定されるか、というと、一言で言えば大会組織者がEGFに納める金額の差によるものである。今回のファイナル出場者を決定した2017年の大会を見ると、Aランク大会は独オーバーホフ欧州コングレスにおける欧州選手権のみ、Bランク大会は4大会(サンクトペテルブルク、ダブリン、パリ、アムステルダム)、Cランク大会も4大会(セルビアのニシュ、ウィーン、チェコのパルドゥビツェ、アムステルダムの欧州日本棋院25周年大会)で、グランドスラムを加え全部で10大会となっている。
 「欧州グランプリ」は欧州プレーヤーに大きなモチベーションを与えるシステムではあるが、グランドスラム大会での得点配分が高いため、その勝者がほぼ自動的にグランプリの勝者にもなってしまうことが欠点である。今回、「グランプリファイナル」と呼ばれる大会が創設されたのには、恐らくその点を修正する意味もあるのだろうと思われる。また、今年はプロ選考手合が開催されないのも関係しているのかもしれない。
 さて、参加したのは以下のプレーヤーで、第1段階では4人の総当たりリーグ戦を争い、上位2人が決勝ステージに進出する、というサッカー・ワールドカップのようなシステムである。

Aグループ
名前 段位 出身国 結果(勝-敗)
アルテム・カチャノフスキー 1p ウクライナ 2-1
タンギー・ルカルベ 6d フランス 1-2
アリ・ジャバリン 1p イスラエル 2-1
ニコラ・ミティッチ 6d セルビア 1-2
Bグループ
名前 段位 出身国 結果(勝-敗)
パボル・リジー 1p スロバキア 1-2
アレクサンダー・ディナーシュタイン 3p ロシア 2-1
クリスティアン・ポップ 7d ルーマニア 3-0
チャバ・メロ 6d ハンガリー 0-3
Cグループ
名前 段位 出身国 結果(勝-敗)
マテウシュ・スルマ 1p ポーランド 3-0
ドミニク・ボビズ 6d ハンガリー 0-3
アンドリー・クラベッツ 1p ウクライナ 1-2
デュシャン・ミティッチ 6d セルビア 2-1
Dグループ
名前 段位 出身国 結果(勝-敗)
マイリヤ・シクシン 1p ロシア 3-0
ルカシュ・ポドペラ 7d チェコ 0-3
ビクトール・リン 6d ウィーン 1-2
オスカル・バスケス 5d スペイン 2-1

見事枠抜けを果たしたバスケス5dは7位に入賞。
順位戦ではポップ7dを血祭りに。
(写真:Judith van Dam – EurogoTV)

 プロではリジー1pとクラベッツ1pが脱落。逆にアマチュアからはデュシャン・ミティッチ6d、ポップ7d、そして若手期待の星であるバスケス5dが見事枠抜けを果たした。

 ノックアウト方式で行われた決勝ラウンド1回戦では、ジャバリン、スルマ、カチャノフスキー、シクシンの欧州プロ4人がアマ勢を葬り去って準決勝に駒を進めた。やはり欧州プロ勢の壁は厚く、これを破るのは至難の業である。決勝に進出したのはジャバリン1pとカチャノフスキー1pで、結果はジャバリン1pが根性のシノギを見せて優勝した。ジャバリン1pは昨年はグランドスラム大会で最下位に沈むなど大ブレーキで、ほとんど活躍がなく心配させたが、今回の優勝が再上昇のきっかけとなるか。

ジャバリン ジャバリン ジャバリン ジャバリン
ディナーシュタイン
スルマ スルマ
バスケス
カチャノフスキー カチャノフスキー カチャノフスキー
ポップ
シクシン シクシン
ミティッチ

優勝を飾ったジャバリン1p。
(写真:Judith van Dam – EurogoTV)
最終結果は以下の通り
1 アリ・ジャバリン 1p
2 アルテム・カチャノフスキー 1p
3 イリヤ・シクシン 1p
4 マテウシュ・スルマ 1p
5 デュシャン・ミティッチ 6d
6 アレクサンダー・ディナーシュタイン 3p
7 オスカル・バスケス 5d
8 クリスティアン・ポップ 5d

[ 記事:野口基樹 ]

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