中国囲碁ニュース

中国の著名な棋戦情報をお伝えします。
中国からの囲碁ニュースを皆様にお伝えします。

棋声人語 [ 2019年9月27日 ]

柯潔九段が初めて棋聖に

 中国囲碁棋聖戦は固定の対局会場がないため、上海でも、河南の洛陽でも行われたことがある。過去には常昊九段(42歳)、周鶴洋九段(43歳)、兪斌九段(52歳)、周睿羊九段(28歳)が次々と棋聖になった。2018年、連笑九段(25歳)は第3回洛陽白雲山杯中国棋聖戦で周睿羊九段に挑戦、奪取し、棋聖になった。

 第4回棋聖戦は2018年12月に北京で行われた。200名以上のプロ棋士は「棋聖」という至高の栄誉を目指し対局に挑む。2019年2月、4月、6月、北京、湖北の武漢、河南の鄭州で本戦は三段階の試合に分けられ、行われた。いままで挑戦シリーズで優勝したことがなく、また棋聖戦の最高成績は8強の柯潔九段(22歳)が奮起し、柁嘉熹九段(28歳)、許嘉陽八段(20歳)、范蕴若八段(23歳)に連勝し、連笑九段への挑戦権を獲得した。

 中国囲碁界では、柯潔九段と連笑九段の仲がいいことはよく知られている。二人が一緒に旅したり、トレーニングしたり、ご飯を食べたりする写真もよくマスコミに載せられる。だが、勝負の前なら、兄弟同然の友情でも公平な競技にはかなわない。挑戦シリーズの三番勝負は8月3、5、6日にわたって河南・洛陽の白雲山で行われた。連笑九段は第一局をとり、二度目の優勝も目前だったが、中国棋聖戦ではいつも第一局に敗れた方が最後に微笑む。今回もその通りになった。二局目を勝ち取った柯潔九段に勝負の流れがやってきて、最終局では、天秤は何度も揺れていたが、好運に恵まれたのはやはり柯潔九段だった。

 柯潔九段はこの優勝が本当にうれしいようだ。80万人民元(約1200万円)の優勝奨金を獲得するだけでなく、「自分は国内の棋戦でもいける」ということを証明した。

図1:対局現場
図2:「棋聖」を決める決勝局。形勢は何度も変わったが、黒番の連笑九段にはやっと一挙にして勝利できるチャンスがやってくる。黒171のワリコミしたあと、黒173はA位で白を分断すれば攻め合いに勝てるが、実戦では勝てぬ道を選んでしまった。

(記事:楊爍)

棋声人語 [ 2019年9月26日 ]

浙江省地元棋士が上虞精鋭戦で活躍

 上虞は中国浙江省紹興市に属する区域の一つで、上古時期の中国「五帝」の一人――舜の出身地として知られている。堯舜は囲碁を創案し、自分の息子に教え育てたという伝説がある。また上虞地域の東山は東晋名相謝安の隠居地でもある。謝安は淝水の戦いの時には囲碁を打ちながら、談笑の間に敵を潰したという話も有名である。上虞と囲碁の文化は時を重ねるごとに繋がりが深くなっている。

 2018年から、上虞はプロ囲碁棋戦を始めた。2018年、聶衛平九段(66歳)、武宮正樹九段(68歳)、徐奉洙九段(66歳)などの8名の三国元老棋士を招いた。小林光一九段(66歳)は林海峰九段(77歳)、馬暁春九段(55歳)と聶衛平九段に連勝し、優勝した。

 2019年7月17日、18日、この棋戦は今年も行われたが、招かれた棋士が変わった。国際グループのほうは中韓のトップ棋士、柯潔九段(21歳)、朴廷恒九段(26歳)が勝敗を決める。国内グループのほうは馬暁春九段、常昊九段(42歳)、羅洗河九段(41歳)と古力九段(36歳)の四人の世界チャンピオンの戦いだった。結果、地元の棋士が上位を占めた。浙江省麗水市出身の柯潔九段はライバルの朴廷恒九段に勝利。浙江省嵊州市出身の馬暁春九段は、若い頃に戻ったように、常昊九段、古力九段の二人の後輩を下した。年も60歳に近い馬九段にとって、久々の優勝となった。

図1:柯潔九段と朴廷恒九段の対局は大会で最も注目された。
図2:久々に優勝して、馬暁春九段と弟子の羅洗河九段は目を合わせて笑った。
図3:国内グループの第1回戦。
図4:張璇八段(51歳)と王汝南八段(72歳)の解説会場の様子。

(記事/写真:楊爍)

棋声人語 [ 2019年9月20日 ]

倡棋杯 シドニーの旅

 倡棋杯中国プロ囲碁選手権戦は、応昌期(1917―1997)が創立した応昌期囲碁教育基金会が主催している。応昌期の息子の応明皓(1943-2019)が提唱した中国の重要な棋戦である。今回で第16回を迎えた。近年、倡棋杯の準決勝戦は中国以外の地域で行われるようになっている。アメリカのボストン、カナダのトロント、タイのバンコク、イギリスのロンドン。倡棋杯の足跡は、世界の様々な地域を辿っている。

 2019年7月9日、第16回倡棋杯準決勝戦はオーストラリアのシドニーにやってきた。世界大学生囲碁選手権戦とともにシドニー大学で行われた。しかし、いつもの海外の旅と違って、応昌期囲碁教育基金会理事長を26年も担当してきた応明皓は4月20日に病気で亡くなった。亡くなる二日前、応明皓は第16回倡棋杯の開幕式に出席した。そして、亡くなる前日はちょうど76歳の誕生日だった。

 対局は応明皓氏を追想する雰囲気の中で行われた。柯潔九段(21歳)、周睿羊九段(28歳)は、楊鼎新九段(20歳)、時越九段(28歳)を負かした。同時に行われた世界大学生囲碁選手権戦では、レベルが一番高いAグループの優勝、準優勝は共に韓国明知大学の学生に取られた。

 プロ棋戦が南半球で行われるのは今回が初めてだった。応明皓氏の逝去により、今後、応氏基金会の囲碁事業はどうなるのか、倡棋杯の海外の旅はまだ続くのか、囲碁界の注目になるだろう。

図1:試合はシドニー大学のQuadrangle楼で行われた。この百年以上の歴史を誇る建物はその佇まいから、「ハリポタ楼」と呼ばれている。
図2:四名の棋士はシドニー大学の芝生で記念撮影。左から柯潔九段、周睿羊九段、楊鼎新九段、時越九段。
図3:小動物が好きな柯潔九段は、シドニーのダーリングハーバーの前でかもめを撮っている。
図4:牧場を見学する時、羊の毛を切るのを見ている時でも、試合に参加する大学生が死活問題を出して、時越九段と検討する。

(記事/写真:楊爍)

棋声人語 [ 2019年9月19日 ]

江維傑 七年ぶりの棋戦優勝

 第10回中国囲碁龍星戦は今年3月、北京で開幕した。40歳以上、30歳から40歳まで、20歳から30歳まで、20歳以下及び女子の五つのグループに分けられて、その中から14名の棋士が選ばれ、8名のシード選手とともに本戦メンバーになる。本戦はA、Bの二組に分けられ、挑んでいく。

 辜梓豪九段(21歳)の8連勝、楊鼎新九段(20歳)の4連勝の記録と比べると、今回の連勝者は少ない。Aグループでは、予選戦を突破し、改制後の龍星戦本戦に初めて進出した江維傑九段(27歳)は後輩の謝科七段(19歳)、楊鼎新九段、また同期の時越九段(28歳)に勝ったが、三連勝のあと、前回準優勝の連笑九段(25歳)に負けてしまった。Bグループの最多勝者また今回の最多勝者として、辜梓豪九段は范廷鈺九段(22歳)、芈昱廷九段(23歳)と二回の優勝者柯潔九段(21歳)に勝利。そして、Bグループの許嘉陽八段(20歳)は前世代の棋士孟泰齢七段(32歳)と兪斌九段(52歳)に勝ち、同グループ次多勝者の成績で準決勝戦に進出した。

 準決勝戦は5月に開かれた。辜九段は江九段に負け、連勝の勢いを止められ、決勝戦進出はかなわなかった。許八段は運が良く、連九段に勝ち、決勝戦に進出できた。決勝戦三番勝負は6月12日、13日、14日にわたって、天元囲碁チャンネルスタジオで行われた。江九段は第1局、3局で勝ち星をあげ、七年ぶりに棋戦で優勝した。清華大学に入った彼は感慨無量だった。許八段はCCTV杯に続いて、二ヶ月の間で二回も準優勝という結果で終わり、優勝にはあと一歩届かなかった。

 江維傑九段は新しい中国龍星として、日本、韓国の龍星戦優勝者と2020年に三国対抗戦を行う予定である。

図1:江維傑九段
図2:許嘉陽八段
図3:予選対局会場。200名近くの中国プロ棋士は「龍星」の称号のため戦う。
図4:龍星戦は中国では珍しくスタジオで行われる棋戦。

(記事/写真:楊爍)

棋声人語 [ 2019年8月27日 ]

中国姜堰黄竜士精鍛科技杯 中韓それぞれの勝敗の行方

図1:高星四段

 中日韓三国の最強の女流棋士が参加し、順番に出場する中国姜堰黄竜士精鍛科技杯世界女子団体戦は今年、第9回を迎えた。全部で14局行われる対局は二段階に分けられ、それぞれ4月、6月に江蘇省泰州市姜堰区で開催される。これはもう慣例になっている。

 今回の試合では中国チームの先鋒は、最近人気が高い美人棋士、高星四段(22歳)である。彼女は韓国の曹承亜二段(20歳)、日本の謝依旻六段(29歳)、韓国の呉政娥三段(26歳)に連勝し、自分の実力が美貌にも劣らないことを証明した。面白いことに、日本チーム二人目の万波奈穂四段(33歳)も有名な美人棋士で、しかも高四段との対戦で実力をうまく発揮し、今回の日本チームで唯一の一勝をとってくれた。

 その後、試合は残酷な中盤の戦いに入った。韓国の金彩瑛五段(23歳)が万波四段に勝利。そのあと、中国新人王になったばかりの周泓余五段(16歳)が金五段、日本の藤沢里菜四段(20歳)に連勝した。しかし、今度は韓国の副将の呉侑珍六段(21歳)が周五段、日本の牛栄子二段(20歳)、中国の李赫五段(27歳)、日本の上野愛咲美二段(17歳)に勝った。最後の戦いは中韓の四名の棋士の中で争うことになった。

 対局が行われた6月11日は呉六段の21歳の誕生日だった。だが、この日には幸運に恵まれていなかった。彼女は中国の副将の陸敏全五段(20歳)に負けてしまった。6月12日、韓国の主将の崔精九段(22歳)は不利な状況の中、陸五段と中国チームの主将の於之塋六段(21歳)に逆転勝ちし、自身の世界女流棋士の第一人者という地位を証明した。

 これで、トーナメント制を採用する黄竜士杯の今までの8回で、中韓それぞれ4回優勝したということになる。連覇を果たしたチームはまだいない。

図2:万波奈穂四段
図3:決勝戦会場
図4:崔九段(左)、呉六段(右)。崔九段が賞杯を手にする

(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)

棋声人語 [ 2019年8月26日 ]

夢百合杯 予選が始まる

 百霊杯は制度を改め、新奥杯は休止、そして、天府杯はトーナメント制となる。このことから、中国で現在続いている国際棋戦の中で唯一、公開予選制を採用しており、つまり世界各地の棋士が自由に参加申し込みをできる棋戦は夢百合杯だけになった。
2019年5月20日から24日まで、第4回夢百合杯世界囲碁オープン戦の国際予選が北京の中国棋院で開かれた。400名以上の棋士は五日間にわたって、44の本戦出場枠を手に入れるため、激しく戦いあった。
ホームということもあるのか、中国棋士が活躍を見せた。36の公開予選枠から35人の中国棋士が突破し、驚くほどの出場枠を勝ち取った。韓国棋士は申旻埈九段(20歳)のみ突破という結果になった。4つの女子枠から中韓はそれぞれ2名が勝ち上がった。4つのアマチュア枠は中国3名、韓国1名。あと4つの欧米枠は、ヨーロッパ囲碁連盟、アメリカ囲碁協会自ら選抜することになっている。

 日本選手は一人も本戦に進出できなかったが、はじめて国際棋戦に出る今年入段した仲邑菫初段(10歳)は中国囲碁界に強い印象を残した。彼女は世界トップの女流棋士である王晨星五段(27歳)との戦いで善戦し、良い勝負になった。また、北京に駐在する日本のマスコミも含め、多くのマスコミに報道された。仲邑初段は試合のあと、古力九段(37歳)と一緒に、主催側から特別に発行されたワールドカードをもらった。本戦の出場者として、堂々と10月9日の第4回夢百合杯の本戦の舞台に立つことになった。

図1:予選会場。
図2:羅洗河九段(41歳)が久々に試合に出場。昔のライバル李昌鎬九段(43歳)と一字違った李昌錫五段(23歳)に負けた。
図3:仲邑菫初段の対局は特別対局室で行われた。
図4:柯潔九段(21歳)も中国囲碁チームの訓練室で仲邑初段に指導碁を一局打った。

(記事/写真:楊爍)

棋声人語 [ 2019年8月16日 ]

世界マインドスポーツマスターズ戦は衡水で激戦

 中国各地方政府の支持により、「マインドスポーツゲームズ大会」という名前の、囲碁、中国将棋、チェス、ダイヤモンドゲーム、ブリッジなどが含まれる国際マインドスポーツの試合が誕生した。北京、江蘇の淮安でこれまで複数回行われている。2019年5月14日から18日まで、この試合のバトンは河北省の衡水市に渡された。

 衡水は白酒で知られているし、中国の「棋聖」聶衛平九段(65歳)の祖籍地でもある。今回聶九段が「錦を飾ってふるさとに帰る」のは盛大に歓迎された。聶九段と一緒にイメージ大使に就任したのは人気棋士の柯潔九段(21歳)である。彼も囲碁項目の参加者で、芈昱廷九段(23歳)、辜梓豪九段(21歳)とともに囲碁の男子団体戦に参加する。

 囲碁項目は男子団体、女子団体、ペア碁の三つに分けられている。中国、日本、韓国、中国台北、ヨーロッパ、北アメリカの六チームが参加する。団体戦はやはり中韓対抗の局面となった。男子の方は、中国チームは3:0で朴廷桓九段(26歳)、申眞諝九段(19歳)、李志賢(27歳)の韓国チームに完勝し、五戦全勝で金メダルを獲得した。於之塋六段(21歳)、王晨星五段(27歳)の中国チームは天台山杯での雪辱を果たすため奮起したが、崔精九段(22歳)、呉侑珍六段(21歳)の韓国チームに今回も負けてしまった。二つの団体戦では、日本チームは両方とも銅メダルだった。

 ペア碁はトーナメント制で、しかも混同抽選だった。そのため、1回戦から中韓対決となった。中国ペア於六段・芈九段が負け、第5位を争うことになってしまった。それに対し、くじ運絶好調の中国台北選手・白昕卉初段(18歳)・林立祥七段(26歳)ペアが欧米チームに連勝し、決勝戦まで進出した。だが、韓国の崔九段・申九段ペアに負け、韓国ペアの優勝となった。

図1:囲碁項目対局会場。
図2:柯潔九段の対局は特別対局室が設けられ、中央テレビによって放送される。
図3:向井千瑛五段(31歳)は女流棋界で無敵に近い崔精九段に勝利。
図4:中日元老聶衛平九段、王汝南八段(72歳)、武宮正樹九段(68歳)、小林光一九段(65歳)がそれぞれ自分の国の新鋭女子棋士と組んでペア碁の対戦をした。そして、武宮九段と森智咲初段(16歳)が優勝した。

(記事:楊爍)

棋声人語 [ 2019年8月15日 ]

天台山杯で韓国が連覇

 現在、国際女流棋戦は五つある。日本が新しく創立したSENKO杯以外、ほかの四つは全て中国の東南沿海部にある。江蘇の黄竜士杯勝ち抜き戦、穹窿山兵聖杯個人戦、福建の呉清源杯個人戦及び浙江の天台山杯団体戦である。

 浙江省天台県は兪斌九段(52歳)の故郷。また、女流棋士が多く輩出する地区でもある。例えば、朱菊菲五段(57歳)、金茜倩五段(55歳)、袁衛紅二段(43歳)、そして、天台県が所属する台州市の潘陽三段(22歳)。中国の一般的な県の一つにも関わらず、この国際女流棋戦を主催し続けるのは実に容易なことではない。これまでの8年間、「天台山杯」という名前が変わっていないが、スポンサーは二つのお茶のブランドから商業銀行に、また不動産会社へと頻繁に変わってきた。そして、2019年5月10日から12日までの第8回は当地のスポーツくじがスポンサーとなり開催された。

 本棋戦のこれまでの結果は、完全な中韓対抗になっていた。韓国の女流棋士が二連覇し、中国女流棋士が三度、連続優勝を果たした。第6回、7回は、韓国が優位に立った。団体戦の特殊性のため、第2回、7回では中国チームは韓国チームに勝ったが、日本チームに負けてしまったので、準優勝となった。しかし、第8回の天台山体彩杯世界女子囲碁団体戦の結果は早くも見えてきた。第1回戦で中韓が対戦した。韓国の強豪の崔精九段(22歳)、呉侑珍六段(21歳)、金彩瑛五段(23歳)はそれぞれ中国の於之塋六段(21歳)、王晨星五段(27歳)、陸敏全五段(20歳)を負かし、3:0で完勝した。中国台北チームと日本チームとの対戦でも一点も失わず、9戦全勝という成績で五回目の優勝を果たした。

図1:中韓最強の女流棋士が再び対戦。今回は崔精九段(右)が最後に微笑んだ。
図2:台湾の新星楊子萱三段(15歳、右)は全力を尽くし、日本の女流棋聖上野愛咲美二段(17歳)に勝った。これで中国台北チームは2:1で日本チームに勝って、第三位になった。
図3:呉侑珍六段。
図4:金彩瑛五段。

(記事/写真:楊爍)

棋声人語 [ 2019年8月14日 ]

王晨星がパートナーを変え日中韓ペア碁名人選手権で再び優勝

 中国安徽省合肥市が主催の日中韓ペア碁名人選手権は2013年(平成25年)に誕生した。第一回の大会で優勝したのは王晨星五段(27歳)・常昊九段(42歳)ペアであった。あれから、二人はこの棋戦に参加するたびにパートナーを変えた。常昊九段は過去二回、自分の奥さんの張璇八段(51歳)と組み、王晨星五段も何度も中国のトップ棋士の時越九段(28歳)とペアを組んだ。しかし、二人とも第一回大会以降、優勝したことはない。ちなみに、2016年に日本の東京で開かれたペア碁ワールドカップ 2016東京では、王五段と時九段がペアを組んで出場したが、成績が思う通りに行かなかった。

 2019年5月2、3日、王晨星五段と時越九段は再び第7回日中韓ペア碁名人選手権の出場者リストに現れた。だが、二人はペアではなかった。王五段のパートナーは「兄貴」から「弟分」の范廷鈺九段(22歳)に変わった。時九段は2018年中国女子個人戦の優勝者王爽四段(24歳)と組んでいた。

 この変化がよい効果をもたらした。王五段・范九段ペアは初戦で韓国ペア金彩瑛五段(23歳)・李昌鎬九段(43歳)ペアに逆転勝ちし、準決勝では前回の優勝者於之瑩・芈昱廷九段(23歳)ペアを負かした。そして、決勝戦ではなんと王四段・時九段ペアとの対戦となった。激戦の末、王五段・范九段ペアが優勝を飾り、優勝賞金20万元(約310万円)を獲得した。

図1:決勝戦会場。
図2:王晨星五段(左)と范廷鈺九段(右)ペアの呼吸がピッタリ合う。
図3:対局場は「三国文化遺跡金湯虎台」に設置された。主催側は広場で大型の棋盤を設けた。
図4:たくさんの有名な棋士による指導碁イベントは合肥市の小学校で行われた。

(記事/写真:楊爍)

棋声人語 [ 2019年8月13日 ]

女流棋士が「新人王」に

 新人王戦は中国、日本、また韓国にもある棋戦である。現在、韓国の新人王戦は休止しており、中国の新人王戦も2015年から2018年までの四年間中止したことがある。そして2019年、中国新人王戦は「ヘラクレス杯」という名前で再開し、ひとつの奇跡を見届けた。

 2014年(平成26年)、弱冠17歳だった女子棋士・於之塋四段(当時)は丁浩、趙晨宇、李維清など当時絶好調の新鋭を倒し、決勝戦の三番勝負で李欽誠初段(当時)に勝ち、新人王戦で優勝したはじめての女流棋士になった。あれから、於之塋の「女王」という称号が棋界で響いた。李欽誠は後に、アジア杯で優勝し、九段になったが、三番勝負で女流棋士に負けたことは今でも話題に出されるという。

 それから五年後の今年、女流棋士・周泓余五段(16歳)は、先輩である於之塋六段の通った道を進んできた。今回の新人王戦では何名もの男子棋士に勝って、また2019年5月6、7日に決勝戦の三番勝負で陳豪鑫四段(15歳)と対戦するようになった。今の中国の「10代」棋士の中では、陳四段は何度も囲碁甲級リーグに参加したこともあるし、韓国が主催の「国際英才戦」の優勝者でもある。間違いなく強豪であった。だが、歴史はまた繰り返された。しかも於之塋の2勝1敗のスコアではなく、周五段は2連勝を収め、三番勝負の決勝戦で男子棋士に完勝した。

 周泓余五段は静かで口数が少ないほうで、外見も同じ年齢の人より若く見える。於之塋六段とはタイプが違う女流棋士である。だが、於之塋六段と同じく男性が主流の囲碁界で女流棋士としての伝説を残した。

図1:決勝戦会場。(写真提供:sina)
図2:決勝戦の二局目は陳豪鑫四段が黒番だった。この一局はもともと陳四段が主導権を握っていた。しかし、周五段が白174で最後の一撃を打った時、黒175は大きなミスを犯した(A位でサガリを打つべきだった)。実戦では、白176が打った時、黒は大石の死活のため、177位で補うしかない。白180に7目取られて、形勢は一気に逆転し、周五段が勝利を収めた。

(記事:楊爍)

棋声人語 [ 2019年7月16日 ]

中国囲碁天元戦 連笑天元が三連覇

 1987年(昭和62年)に創立された中国囲碁天元戦はタイトル連覇者の舞台だった。劉小光九段(59歳)、馬暁春九段(54歳)は1980年代、1990年代では、それぞれ三連覇を実現したが、21世紀では、常昊九段(42歳)、古力九段(36歳)は五連覇、六連覇を果たした。2009年(平成21年)から、陳耀燁九段(29歳)の八連覇は馬暁春九段名人の十三連覇に続き、中国囲碁界のタイトル保持記録を作り出した。

 2017年(平成29年)、陳耀燁九段の後輩である連笑九段(25歳)が登場し、陳九段の記録は終止符を打った。また2018年に連九段は、後輩の謝科七段(19歳)の挑戦をはねのけた。2019年、第33回同里杯中国囲碁天元戦で挑戦権を獲得したのは范蕴若八段(23歳)で、連九段の同輩にあたる。先輩、同輩、そして後輩と一、二を争うのは、歴代トップ棋士たちの変わらぬ運命でもある。

 今回の天元戦では、范八段は驚くべき戦績をあげた。時越九段(28歳)、周睿羊九段(28歳)、陳耀燁九段(29歳)及び芈昱廷九段(23歳)という世界四大チャンピオンを次々と負かした。この戦績は本当に素晴らしいもので、そして、挑戦者決定戦で童夢成八段(23歳)に勝った。しかし、4月10日―13日にわたって江蘇蘇州呉江同里で開かれた三番勝負挑戦戦では、勝利の女神はやはりタイトル保持者側にあった。連九段は不利の局面で2勝1敗で范八段に勝ち、天元三連覇を成し遂げた。これで、天元戦を連覇してきた多くの先輩たちと肩を並べる結果を残した。

(記事:楊爍 / 写真提供:囲棋天地)

棋声人語 [ 2019年7月15日 ]

CCTV杯は「00後」優勝者を迎える

 2000年(平成12年)及びその後の年に生まれてきた棋士は、囲碁界では「00後」と呼ばれている。この中では、申眞諝九段(19歳)は今まで何度も韓国でタイトルを獲得したことがあり、韓国囲碁界の第一人者である朴廷恒九段(26歳)と肩を並べるようになった。だが、中国では「90後」の層が厚いあまり、「00後」の人数が多くても、正真正銘の国内棋戦優勝者はまだいなかった。

 3月28日に北京で開幕し、4月9日に浙江省平湖市で閉幕した2019年浙江平湖・当湖十局杯CCTV杯テレビ早碁戦では、中国「00後」棋士の初優勝が誕生した。CCTV杯は最も伝統的な囲碁棋戦の一つで、総計64名の第一線の棋士が参加する。そして、全6回戦の戦いを通じて優勝者を決める。30秒一手の早碁なので、番狂わせも多い。柯潔九段(21歳)は第一回戦で意外にも孫騰宇七段(27歳)に負けて敗退、ほかの実力棋士も続々と負けてしまった。このラウンドで何人の世界チャンピオンが負けるかを数えるのが数日間の中国囲碁愛好者の楽しみだった。

 8強戦で謝爾豪九段(20歳)が許嘉陽七段(19歳)の負けたとともに、十数人もいた世界チャンピオンが全滅した。4強戦は彭立堯六段(27歳)以外、全員20歳前後の若者が進出した。

 準決勝戦では、許嘉陽七段が彭立堯六段に勝ち、丁浩六段(18歳)は同齢の伊凌濤六段(18歳)に勝った。決勝戦では丁浩六段が一段上で1/4の僅かな優勢で勝ち、生涯初めての優勝を獲得した。

図1:丁浩六段が決勝戦中。
図2:本戦第一回戦で古力九段(36歳)は周睿羊九段(28歳)を制し、勝利。威厳を見せた。

(記事:楊爍/ 写真提供:囲棋天地)

棋声人語 [ 2019年7月10日 ]

陳一鳴が「女流名人」になる

陳一鳴三段が優勝カップを受賞。

 中国女流名人戦は2018年に再開された。4ラウンドの戦いを経て、二人のダークホース、陳一鳴三段(26歳)と王爽四段(23歳)が決勝戦に進出した。

 3月22、24日、北京を離れ、名人戦は賛助地の四川省南充市阆中古城にて、決勝戦の三番勝負を行った。これで、中国囲碁名人戦も中国女流囲碁名人戦も「天府の地」――四川省に根ざした。

 陳一鳴三段は女流囲碁界の「ついていない女」だった。2011年、2014年、三回も中国女流棋戦決勝戦に入ったが、それぞれ李赫五段(27歳)、唐奕三段(31歳)、曹又尹三段(32歳)に負けた。王爽三段の優勝の道も順調とは言えないが、2018年に全国個人戦女子組で優勝し、今回の女流名人戦では優勝者の有力候補於之塋六段(21歳)を負かした。於六段が優勝すると見込んでいた人が多いかもしれない中、見事勝利を掴んだ。

 決勝戦の三番勝負で、陳一鳴三段は完全勝利を収めた。彼女は絶好調で2:0で王爽三段に勝ち、新しい「中国女子名人」になった。来年は、タイトルの防衛者として、挑戦者の挑戦を待つことになる。決勝戦第2局の審判長は劉菁八段(44歳)だった。彼は陳一鳴三段の師匠である。劉八段の初個人優勝も26歳の時だった(2001年第3回阿含・桐山杯決勝戦で馬暁春九段に勝利)。さすが師弟、経歴まで似ている。

(記事:楊爍 / 写真提供:囲棋天地)

棋声人語 [ 2019年7月9日 ]

柯潔九段初めての「西南王」

 中国囲碁界のスター柯潔九段(21歳)にとって、2019年3月は調子が良くなかった。日本で行われた第3回世界囲碁選手権戦(WGC)の決勝戦では、勝利が見えていたにも関わらず、大きなミスをしてしまい、朴廷桓九段(26歳)に逆転された。柯九段はショックのあまり、対局後、記者からのインタービューも断った。

 日本から中国に戻ってから、柯九段は四川省成都市で開かれた第18回中国囲碁西南王戦に参戦した。この地域的な棋戦には主に西南地域(四川省、貴州省、雲南省、チベット自治区及び重慶市)を代表するプロ棋士と、特別に招かれた棋士しか参加しない。柯九段は浙江省出身だが、雲南チームと契約している。これまでの柯九段の「西南王」への道は険しく、決勝戦に入ったことはまだなかった。

 国際棋戦で優勝を失った柯九段はやっと今回の西南王戦で実力を発揮し、3月23、24日にわたった4ラウンドの試合では、唐韋星九段(26歳)、廖元赫七段(18歳)、楊鼎新九段(20歳)、党毅飛九段(24歳)に勝ち、初めて「西南棋王」になった。優勝賞金は16万元(約250万円)だ。

 この棋戦とともに、主催側は聶衛平九段(66歳)の命名した三国元老戦「聶衛平杯」を開催した。おもしろいことに、聶九段は武宮正樹九段(69歳)と劉昌赫九段(52歳)に勝って決勝戦に入ったが、再び「一生のライバル」小林光一九段(66歳)に負けてしまった。小林九段が聶九段冠名の棋戦で優勝する、これも囲碁界の逸話になるだろう。

図1:試合前のくじ引き、柯潔九段は番号が「一」の扇子をとり、やはり「一」となった。
図2:優勝したあとの柯九段は熱情が溢れる「棋城」成都の囲碁愛好者と対面。
図3:小林光一九段と聶衛平九段の決勝戦の様子。

(記事:楊爍/ 写真提供:囲棋天地)

棋声人語 [ 2019年5月15日 ]

農心杯で見覚えのある光景

 

 2016年に始まって、2017年に終了した第18回農心杯では、日本の先鋒である一力遼七段(当時)は韓国チームの先鋒である、あの伝説の李世石九段に勝った。その後、中国チームの先鋒、范廷鈺九段は日韓選手七名に連続して勝ったが、韓国チーム主将の朴廷恒九段に負けてしまった。試合の最終決戦は中国の上海で行われた。日韓主将対決で、朴九段は日本チーム主将の井山裕太を負かしたが、その後、中国の二番手で出場した范蕴若五段(当時)に負けてしまった。三国それぞれ五人が出場する農心杯世界囲碁最強戦では、11局が行われたが、優勝チームが二名の棋士しか出場しなかった状況は、これがはじめてだった。

 信じられないことに、このような展開は2018年に始まって、2019年2月19日に終わった第20回農心杯で再び起こった。開幕戦では、日本チームの先鋒芝野虎丸七段は韓国チームの先鋒安国鉉八段(当時)に勝った。安八段は負けてしまった後、2018年の三星杯で中国の強豪唐韋星九段に勝ち、さらに決勝戦では第一人者柯潔九段を追い込み、実力を見せた。その後、范廷鈺九段はまた中国チームの先鋒として登場し、また芝野七段、申旻埈九段、本木克弥八段、崔哲瀚九段、許家元八段、李世石九段、一力遼八段を負かし、七連勝の壮挙を再現した。

 歴史はまた繰り返している。韓国チームの最後の一人、朴廷恒九段はもう一度范九段の連勝を止めた。2019年2月18日、試合会場は中国の上海に移った。朴九段は日本チームの主将井山裕太九段に勝った。この時、中国チームはまだ辜梓豪九段、党毅飛九段、時越九段、柯潔九段の四人が残っていた。党毅飛九段が自ら二番手として出場すると、結果は党九段の勝利。二年前と同じ展開が再び起きたのだ。范九段も党九段も一目半で朴九段に勝った。

(記事:楊爍 / 写真提供:sina)

棋声人語 [ 2019年5月14日 ]

謝爾豪が王者の中の王者になる

 

 中国囲碁界で一番強いのは誰だろうか。基準によって、いろんな回答ができる。例えば、ランキングナンバーワンが誰か、優勝回数が一番多いのが誰か、世界での優勝回数が一番多いのが誰かなど。

 2019年3月9日から15日、中国の棋界でトップ棋士が参加する新しい棋戦が開かれ、この疑問に新しい回答方法を提供した。それは浙江省嵊州市が主催の「王中王争覇戦」である。前年度の正式棋戦で獲得した優勝賞金がもっとも高い八名がダブルイリミネーション方式で「王中王」というタイトルを争う。

 試合参加者は2018年三星杯、竜星杯優勝者の柯潔九段(賞金合計200万元、約3300万円)、天府杯優勝者の陳耀燁九段(200万元、約3300万元)、LG杯優勝者の謝爾豪九段(180万元、約3000万円)、棋聖戦、天元戦優勝者の連笑九段(105万元、約1700万円)、倡棋杯、名人戦優勝者の芈昱廷九段(75万元、約1200万円)、衢州爛柯杯優勝者の檀啸九段(50万元、約800万円)、阿含・桐山杯、威孚房開杯優勝者の辜梓豪九段(35万元、約600万円)、CCTV杯優勝者の范廷鈺九段(25万円、約400万円)。

 中国ではダブルイリミネーション方式の棋戦は久々で、試合も結構劇的だった。柯潔九段は芈昱廷九段、陳耀燁九段に負けたため、二敗で失格。范廷鈺九段は陳耀燁九段、芈昱廷九段、連笑九段に勝ち抜き、勝ち組で優勝者になった。謝爾豪九段は一回戦で檀啸九段に負けてしまったが、その後、辜梓豪九段、陳耀燁九段、檀啸九段、連笑九段に勝利。最終的には、決勝戦で3/4子というわずかな差で范九段に勝ち、謝爾豪九段は100万元(約1600万円)の優勝賞金を手に入れ、多くの注目を集めた。

(記事:楊爍 / 写真提供:sina)

棋声人語 [ 2019年4月13日 ]

賀歳杯 柯潔が大きなミスで優勝を逃す

 中国中央テレビ局が主催した賀歳杯日中韓新春争覇戦は2019年に第七回を迎えた。五回までは中国棋士が優勝したが、第六回では中国の柯潔九段(21歳)は決勝戦で朴廷恒九段(26歳)に負け、中国は初めて優勝を逃した。第七回で、一力遼にかわって、芝野虎丸が日本代表になった以外、柯九段、朴九段も前回に引き続き参戦。今回の賀歳杯ではどんな展開になるのか、多くの人が期待していた。

 今回の試合ははじめて北京を離れ、四川省成都市にやってきた。試合前の組み合わせにより、一局目では柯九段と朴九段が再戦することとなった。息が詰まるほどの300手近い熱戦で、柯九段は崖に落ちそうな状況から抜け出して、かえって朴九段を窮地に追い詰めた。結果、半目で危うく朴九段に勝った。二局目では、朴九段は芝野七段を負かして復活し、柯九段と決勝戦で再度戦うことになった。

 2月2日、あと一日で中国の旧暦の大晦日になるこの日、世界トップレベルの柯九段と朴九段が再び向かい合って座った。今回は誰が崖に立つだろうか。序盤で不利になった柯九段は中盤に入ると、まばゆい反撃で優勢を取り戻した。しかし、あと何手かのヨセが残った時に、柯九段は簡単なキリの手段を見逃し、珍しい失着をしてしまい、結果は大敗。この失着があまりにも大きくて、柯九段がテレビの前でも思わず失態を起こしてしまった。

 賀歳杯の優勝、準優勝の賞金はそれぞれ80万元(約1300万円)と40万元(約650万円)。両者の差は日本十段戦の優勝に等しい。この失着の「値段」も相当なものだろう。

図1:決勝戦現場(写真提供:sina)
図2:決勝戦では朴九段は黒番で柯九段と対戦。黒221がツケた時、白222が先手を取れば連絡できたと誤解。白224の時も、黒はもともと白の三目を切断できるが、これでは逆転にはならない。チャンスをうかがっていた朴九段は白226が罠に踏み込んだのを見てから、逆転の手となる黒227を打ちおろした。これこそ、勝負師の冷血だろう。今回で朴九段は初めて黒番で柯九段を負かした。

(記事:楊爍)

棋声人語 [ 2019年4月12日 ]

柯潔九段 七度目の世界戦優勝

 三つのグループにわけてそれぞれ対戦するというルールに変わった第4回百霊杯世界囲碁オープン戦の本戦2回戦までは、2018年7月に北京で終わった。2019年プログループの4強は元老グループ、アマチュアグループの決勝戦選手と共に貴州安順にやってきた。ここは百霊杯のスポンサー百霊グループの本部である。

 プログループの4強は中国が三名、韓国から一名。準決勝戦では柯潔九段(21歳)は1目半の僅かな差で陳耀燁九段(29歳)に勝ち、そして、申眞諝九段(18歳)が辜梓豪九段(20歳)に逆転勝ちした。これで、決勝戦の三番勝負はまた中韓対決になった。

 この三番勝負の20日前に行われた天府杯世界囲碁選手権戦では、申眞諝九段は陳耀燁九段に負け、準優勝になってしまったこともあり、誰よりも世界で優勝したいであろう。 今回は、プレッシャーが百霊杯優勝を左右する重要な要因となった。これまで七回、世界棋戦の決勝戦に進出し、また、そのうち六回も優勝している柯九段が相手となると、申九段は第一局では安易に勝ち取ることができる道を捨て、あえて対抗する道を選んだ。そこから、逆転され、また二局目では序盤で重大なミスを犯し、0:2で負けてしまった。これで柯潔九段は四年ぶり、七度目の世界優勝を飾った。

 元老グループのほうでは、毎日15時間、碁の勉強を欠かさない依田紀基九段(52歳)は、今はもうのんびりと過ごしている馬暁春九段(54歳)に勝った。アマチュアグループの方では、王琛7段(26歳)は同年齢の白宝祥7段に勝ち、優勝した。

図1:プログループでは、柯潔九段が申眞諝九段に勝った。
図2:元老グループでは、依田紀基九段が馬暁春九段に勝った。
図3:アマチュアグループでは、王琛7段が白宝祥7段に勝った。
図4:聶衛平九段(66歳)、仇丹雲二段(39歳)が中央テレビで解説を生放送。

(記事:楊爍)

棋声人語 [ 2019年3月29日 ]

陳耀燁が天府杯で優勝

 中国が創立した新しい世界棋戦――天府杯の準決勝戦と決勝戦の三番勝負は2018年12月21日から26日まで、四川省成都市天府新区で行われた。これは2018年の最後の世界チャンピオンで、そして、準決勝戦はまた中韓棋士の対決になった。韓国棋士は、最も勢いのある朴廷恒九段(25歳)、申眞諝九段(18歳)。二人は韓国のランキングトップツーの選手である。対する中国は、陳耀燁九段(29歳)と江維傑九段(27歳)。韓国棋士より年齢は上、かつ中国でのランキングは十位前後である。

 だが、今回新棋戦の幸運は中国棋士にあった。準決勝戦では陳九段はライバルの朴九段に勝ち、これで、朴九段に対し、三年で七連勝をしたことになる。申九段は形勢が大きく遅れたが、逆に攻撃して、かろうじて江九段との試合を逆転した。そして、決勝戦の第一、二局では、陳九段と申九段それぞれ白番で一局ずつ勝利した。黒のコミが7目半の場合では、白の勝率が高いゆえ、決勝戦のニギリがとりわけ肝心になってくる。結果、初めて世界棋戦の決勝戦に進出した申眞諝九段が白をとった。

 陳耀燁九段からすると、相手は自分より11歳も年下で、連続で作戦を練るため、体力の負担もある。加えて決勝戦では黒番となった。このような不利な状況ではあったが、陳九段は自分の経験を活かし、劣勢でも辛抱強く耐えた。局面を長々と伸ばして、最後には厚みの優勢を発揮し、一気に白を潰して見事優勝した。

 試合後、そろそろ30歳になる陳耀燁九段は「人工知能「絶芸」に感謝したい。そのおかげで、私の棋力はまだ伸びた。私のピークはまだ到来していない」と気迫に満ちている発言をした。この発言もこの時代では、先輩棋士の「逆成長」と低年齢化の風潮との不屈な抗争を証明している。

図1:決勝戦現場(写真提供:囲碁天地)
図2:決勝戦の名場面。この時、白は優勢を占めている。左上のA位のケイマで黒の三子を取れば、優勢が確定した。しかし、若い申九段は右下で黒と激戦を展開し、右下の黒の隅を貫いた。黒87が曲がった時、普通白はA位で収めるのだが、申九段は巧みな一手を打った。白88のサガリ、約四目のキカシを取り、さすがに大きいが、得があれば損もある。B位に対して、実戦では黒のC、D、Eは全部絶対の先手で、外側が全部厚くなったうえに、重要なコウ立ても積もった。本局では、陳九段は混乱な局面で強引にコウを作って、右下の貯まったコウ立てで勝利を収めた。

(記事:楊爍)

棋声人語 [ 2019年3月28日 ]

女流名人戦でダークホースが遭遇

 中国女流名人戦は多難な棋戦である。1989年(平成元年)に北京で創立されたが、三回開かれた後、中止になってしまった。2001年(平成13年)、済南で再開されたが、この時も三回開催されただけであった。2010年、江蘇姜堰が再び女流名人戦を主催するようになったが、二回ほど開催したのち、三国女子トーナメントのスポンサーに変わったため、女子名人戦はまた中止になった。

 2018年11月の末、人民日報、人民ネットが推進役で、四川南充の阆中古城が出資する阆中古城杯中国囲碁名人戦がもう一度、角笛を響かせる。これで女流名人戦は、中国での四回目の復活である。試合が始まったら、番狂わせが次々と起こった。女流の第一人者である於之塋六段(21歳)は半目で王爽三段(23歳、当時)に負け、建橋杯優勝者の王晨星五段は、プロになったばかりの儲可児初段(16歳)に負けてしまった。8強戦では、ベテランの芮廼偉九段(55歳)が汪雨博二段(22歳)に負け、これにより中国女子囲碁の「鉄三角」は全員敗退した。

 2019年1月8日、準決勝戦は北京の人民ネットのスタジオで行われた。ダークホース同士の戦いでは、汪雨博二段の調子が悪く、2018年女子個人戦の優勝者、王爽四段に完敗した。一方、中国棋界に熱く期待された新鋭の周泓余四段(16歳)が初めて棋戦の準決勝戦に進出したが、プレッシャーが大きすぎたせいかいつもと違い、大差で陳一鳴三段(26歳)に負けた。

 陳一鳴三段も王爽四段も中国女子囲碁で最も注目されている棋士というわけではない。どちらが優勝しても、彼女達の初の女流タイトル戦優勝になる。決勝戦の三番勝負は3月の末に四川省の南充市の阆中古城で開かれる予定である。

図1:陳一鳴三段、王爽四段
図2:スタジオで行われた対局

(記事 / 写真:楊爍)

棋声人語 [ 2019年3月27日 ]

韓国が春蘭杯の優勝・準優勝を獲得

 9ヶ月のとても長い時間が経過し、第12回春蘭杯世界囲碁選手権戦は2018年12月17、19日に浙江省寧波市奉化市で再開した。この段階に入ると、日本棋士はもういなくなり、五名の中国棋士と三名の韓国棋士の戦いになった。奉化は中華民国の時期の国民党総裁蒋中正(1887―1975)の故郷として知られている。奉化区にある晋朝に作られた仏教の古寺雪窦寺は、今でも参拝客が多く訪れる。そして今回の棋戦はちょうど雪窦山のもとで行われた。

 第12回春蘭杯の8強戦、準決勝戦はとてもドラマチックだった。2018年の後半以来、運が良くなかった韓国の朴廷桓九段(25歳)が中国の謝科六段に快勝した。一方で勢いの強い棋風で勇ましい中国の辜梓豪九段(20歳)は13歳も年上の韓国の朴永訓九段(33歳)に負けてしまった。それから、中国の柯潔九段(21歳)も党毅飛九段(24歳)も最も僅かな差――半目で危うくも金志錫九段(29歳)、陳耀燁九段(29歳)に勝った。だが、準決勝戦になると、半目で勝利した二人の中国棋士はその運気を失った。まるで「半目の神」が向こうに移ったように、柯九段も党九段も明らかに優勢を占めていた状況で、後半に致命的なミスを犯した。二人の朴九段は中国ルールで1/4目、3/4目の最少差で勝ってしまった。二人の韓国棋士の結果を合わせたら、やっと一目になる。「一目の重さが千キロもある」と言えよう。

 この中では、ライバルだった柯潔九段に勝った朴廷桓九段が間違いなく一番喜んでいただろう。しかし、棋壇の「老将」朴永訓九段に拍手を捧げなければならない。2016年から、30すぎの彼は奇跡的に毎年世界棋戦の決勝戦に入ることができた。人々を驚かせるだけでなく、「今はほんとうに低年齢化の時代だろうか」とも疑わせる。

図1:決勝戦で合流する二人の韓国棋士が対局場へ向かう。(写真提供:sina)
図2:準決勝戦では党毅飛九段が白番で朴永訓九段と対戦。前半では白がリードして、観戦の棋士でもAIでも白の圧勝だと思っていた。だが、優勢の中で党九段が朴九段の粘り強いヨセの実力を見逃した。黒179が白の最後の弱点を探る時、白180、184での連続のぬるい手で、黒181に先に1子を取られた。また185位に打たれると、黒がA位のキカシが残されて、形勢が逆転した。

(記事:楊爍)

棋声人語 [ 2019年3月4日 ]

江蘇チームが甲級リーグ戦で男女制覇

 中国女子囲碁甲級リーグ戦はスポンサーの中信置業公司によって命名された。2018年に上海、浙江、河南、広東、江蘇、湖北、河北、安徽、福建からなる10チームが3月から11月にかけて、18ラウンドにも及ぶ試合を経て、各チームの選手は他のチームの選手と二度対局をする。今回の棋戦のテーマは「貧困支援」で、18ラウンド中10ラウンドは貴州省毕節市、湖南省平江県、黒龍江省漠河市、山西省五台県など中国政府が認定した「貧困県」で行われた。また、試合の際、中信置業公司も当地に「貧困支援基金」を寄付した。

 2018年11月26日から27日にかけて第6回中国女子囲碁甲級リーグの最後の2ラウンドが雲南省昆明市で開催され、かもめが飛んでいる滇池のほとりで閉幕した。於之塋六段(21歳)、王晨星五段(27歳)、王祥雲三段(29歳)の江蘇チームは最後の2ラウンドの結果を待たずに優勝を決めた。17ラウンドで広東チームと対戦したが、広東チームの鄭岩二段(34歳)は出産を終えたばかりであり、蔡碧涵四段(28歳)も妊娠8ヶ月であったため、この一局は諦めるしかなかった。これで、江蘇省の優勢がより大きくなり、順調に第6回女子リーグ優勝を果たした。

 新鋭棋士である陸敏全四段(19歳)、尹渠二段(16歳)とスター人気棋士の黒嘉嘉七段(24歳)からなる厦門チームは準優勝した。ベテランの芮廼偉九段(55歳)と唐奕三段(30歳)の上海チームは三位だった。洛陽チームと浙江チームは残念ながら降格してしまった。2019年から、中国女子囲碁甲級リーグは三台制になる。二台制で無敵である江蘇チームの覇業がまだ続くかがこれからの見所になるだろう。

図1:江蘇チームが閉会式で受賞。左から監督の丁波五段(47歳)、於之塋六段、王祥雲三段。王晨星五段は子供の世話のため、閉会式に参加しなかった。
図2:閉幕戦の間、家族ペア戦も開かれた。武宮正樹九段(67歳)・武宮陽光六段(41歳)の親子は、聶衛平九段(66歳)・孔令文七段(37歳)親子ペアと常昊九段(41歳)・張璇八段(50歳)夫婦ペアに勝ち優勝した。
図3:武宮正樹九段が黒嘉嘉七段と高星四段(22歳)の対局を撮影する。
図4:日本棋院副理事長小林覚九段(59歳)が招かれて雲南のファンに指導碁している様子。

(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)

棋声人語 [ 2019年3月3日 ]

辜梓豪の不思議な幸運

 第14回威孚房開杯中国棋王争覇戦は2018年10月13日に北京で開幕した。2ラウンドの試合を経て、8名の棋士が突破し、12月3日から5日まで、江蘇省無錫市で決勝戦を行った。この棋戦の創立者沈森龍(1949年―2018年)がなくなった今、威孚房開杯がまだ続いているのは、中国囲碁界にとって大変貴重なことである。

 中国では、30歳を超えた棋士は「老将」と言われ、試合も少しずつ減っていく。威孚房開杯は彼らにとって数少ない大切な試合である。今回の試合では、劉星七段(34歳)と孟泰齡六段(31歳)が2000年生まれの新鋭棋士である謝科六段(18歳)と丁浩五段(18歳)に勝ち、「年はとっても意気はさかんである」という精神を示し、共に8強に入った。最近ではとても珍しい出来事である。

 だが、劉星七段は8強戦でもう一人の若手棋士許嘉陽七段(18歳)に負けてしまい、孟泰齡六段(31歳)も辜梓豪九段(20歳)に逆転された。辜九段は許七段に勝ち、決勝戦の相手は廖元赫七段(18歳)となった。状況はやはり変わらず、試合は若者の優勝争いとなった。

 廖七段は試合の半月前に新鋭戦の決勝戦にも入った。だが、優勢を握っていた状況で陳梓健七段(18歳)に負け、優勝を逃した。今回も意外なことに、二度目で決勝戦に入った廖七段はより大きい優勢を取ったにもかかわらず、より大きいミスを犯してしまった。辜九段は感嘆せずにはいられない幸運で逆転勝利した。2018年で阿含・桐山杯に次いで、第2冠を獲得した。

図1:決勝戦現場。(写真提供:sinaサイト)
図2:決勝戦は廖七段が黒番で辜九段と対戦する。この段階では、黒は必勝の形勢だった。白174の時、黒175は177でこたえればいいのに、実戦ではまるで何かに取り憑かれたかのように、2線下へ打った。白176のワリコミの後、黒は両方を同時に対処できなくなってしまった。

(記事 / 楊爍)

棋声人語 [ 2019年3月2日 ]

檀啸が衢州爛柯杯で初優勝

 

 中国で行われる世界棋戦の多くは二年に一度開催されるが、国内の棋戦で二年に一度開催されるのは衢州爛柯杯だけである。衢州爛柯杯の優勝賞金は棋聖戦の次に高い50万元(約800万円)である。2018年から32人のみの参加になってしまったが、参加棋士全員がトップ棋士である。試合を主催する衢州市も32名の棋士を地元に招き、当地で対局する。これは中国の棋戦では初めてのことである。

第7回衢州爛柯杯は二段階に分けられている。5月11日と12日に32名の棋士が2ラウンドの試合で8強を決める。そして、11月29日から12月1日にかけて、その8強が再び衢州に集まり、三日間に渡る3ラウンドの試合で優勝者を決める。

第6回衢州爛柯杯の準優勝柯潔九段(21歳)はまたその実力を見せた。李欽誠九段(20歳)、江維傑九段(27歳)、廖元赫六段(17歳)、彭立尧六段(26歳)に連勝し、再度決勝戦に入った。だが、檀啸九段(25歳)は柯潔九段の誰にも止められないと思われていた勢いを止めた。2017年に春蘭杯世界選手権戦と倡棋杯中国囲碁選手権戦で優勝してから、活躍が目立たなくなった檀九段は2018年に父親になった。子供の母親はプロ棋士の賈罡璐二段(23歳)である。檀九段は前2ラウンドで童夢成六段(22歳)、辜梓豪九段(20歳)に勝ち、倡棋杯・名人戦の双冠王芈昱廷九段(22歳)、天元戦・棋聖戦双冠王連笑九段(24歳)と柯潔九段を順番に負かした。ちなみに、芈九段、連九段、柯潔九段は現在の中国ポイントランキングの前三者である。

中国国内の棋戦で優勝するのはどれだけ難しいかおわかりいただけただろう。

(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)

棋声人語 [ 2019年3月1日 ]

江蘇チームが甲級リーグ戦で男女制覇

 12月14日、2018年華爲手機杯中国囲碁甲級リーグ戦は26ラウンドに渡る長旅を経て、広東省深セン市で閉幕した。試合は中国科学技術会社華爲の本社で行われた。甲級リーグが華爲スマートフォンの冠名を得たのは2018年の中国囲碁界の大事件である。

 中国囲碁甲級リーグ戦は1999年に創立されて以来、2018年でちょうど20周年を迎える。そして、12月12日の第23ラウンドを終えると、結果が明らかになった。ランキング一位の江蘇チームの主将?昱廷九段(22歳)は、ランキング三位の杭州チームの主将朴廷桓九段(25歳)に負けてしまったが、童夢成六段(22歳)、黄雲嵩六段(21歳)、趙晨宇六段(19歳)の必死の努力が実り、李欽誠九段(20歳)、謝科六段(18歳)、連笑九段(24歳)の三大強敵を負かし、最終ラウンドの前に優勝を決めた。これで、江蘇チームはリーグ戦で男女制覇の偉業を果たし、2018年最大の勝者になった。

 準優勝は豪華メンバーが揃った厦門チームである。この結果を主将の柯潔九段はとても残念に思った。閉幕式で、柯九段は優秀主将、人気賞の二つの賞を獲得した。しかし、MVPの栄冠は芈昱廷九段に取られた。最多勝はこの一年で19勝を勝ち取った山東チームの超新星伊凌涛七段(18歳)である。彼は同時に新人賞を受賞した。

 中国囲碁甲級リーグ戦がリーグ形式で直接優勝者を決めるのは今年で最後となった。2019年から甲級リーグはレギュラーシーズンとポストシーズンの二段階に分けられる。また、参加するチームも16チームに増える。そして、今年唯一降格したチームはかつての王者李世石(33歳)が主将とする衢州チームである。

図1:江蘇チーム優勝記念撮影。左から黄雲嵩六段、趙晨宇六段、童夢成六段、芈昱廷九段、於之塋六段、コーチの丁波五段、チームリーダーの楊伊明。
図2:柯潔九段受賞。
図3:伊凌涛七段受賞。
図4:現場で囲碁の形をしているお菓子。

(記事 / 写真:楊爍)

棋声人語 [ 2019年2月4日 ]

連笑九段が棋聖になる

 

 近年、中国囲碁界の主なスポンサーは地元の文化、旅行の資源を宣伝しようとして、囲碁の試合を賛助し、注目を集めてきた。復活した中国囲碁棋聖戦がその一例である。洛陽白雲山の風景区がこの棋戦の費用を提供し、最終戦も河南省洛陽の白雲山で行われる予定である。白雲山までの道のりは遠く、洛陽市の高速鉄道の駅に着いてから、さらに三時間以上バスに乗らなければならない。棋士たちも囲碁普及の先駆として、このような旅の疲れは避けて通れない。

 2018年11月11、13、14日に第3回洛陽白雲山杯中国囲碁棋聖戦挑三番勝負が白雲山で幕を開けた。2017年11月15日の北京での棋戦についての記者会見からすでに一年も経った。この一年の間に連笑九段(24歳)は許嘉陽六段(19歳、同時)、陳耀燁九段(29歳)、范廷鈺九段(22歳)それに辜梓豪九段(20歳)に勝ち続けてきた。連笑九段が天元戦と名人戦の優勝者であるため、中国囲碁界の三つの挑戦制タイトルを収めることができるかどうかが棋界の話題になっている。

 連九段は10月に芈昱廷九段(22歳)に負け、名人のタイトルを失ったが、優勝賞金が80万元(約1260万円)の棋聖戦は、活躍が期待できるであろう。なぜなら、棋聖戦は2014年(平成26年)から2017年(平成29年)にかけて開催されなかったこともあり、タイトル所持者である周睿羊九段(27歳)がベストコンディションではないからだ。連九段は1局目で負けてしまったものの、残りの2局とも勝ち、2:1で周九段を負かし、挑戦に成功した。

 四年前の第2回棋聖戦では、連笑九段の周睿羊九段に対する挑戦は失敗に終わった。しかし、四年経った今、再度同じ舞台で同じ相手と戦い、勝利を収めることができた。この四年間の道のりは連九段の成長の道のりでもある。

(記事:楊爍 / 写真:sinaサイト)

棋声人語 [ 2019年2月1日 ]

00後陳梓健が新鋭戦で優勝

 中国囲碁新鋭戦は2017年(平成29年)に新しく創立された棋戦である。18歳以下の男子プロ棋士と20歳以下の女子プロ棋士を対象にした棋戦である。2017年には「呉清源杯」と命名されたが、名前の商標権などの問題があり、2018年にその名をスポンサーである「博思ソフト杯」に変えた。

 予選、本戦の前2ラウンドは2018年10月に北京で行われた。突破してきた8名の棋士は11月22日から24日にかけて福建省福州市に行き、博思ソフト社の社内で決勝戦を行った。8名の棋士の中では、廖元赫六段(17歳、当時)が最も注目されていた。参加条件に満たし、ランキングの順位が一番高い棋士である謝科が今回応募しなかった。

 8強戦と準決勝を終えると、廖六段は屠暁宇三段(15歳)、李維清五段(18歳)に勝ち、期待通り決勝戦に進出した。しかし、二ヶ月前に全国囲碁個人戦男子グループで優勝した陳梓健七段(18歳)も人に遅れをとらず、沈沛然五段(16歳)と胡暁二段(17歳)を負かした。今囲碁界に唯一の新鋭戦の優勝をかけた熱い戦いが繰り広げられた。決勝戦では陳七段が中押し勝ちし、「00後」として双冠王となり、12万元(約190万円)の賞金を得た。

 2000年代生まれの棋士たちの退場とともに、中国囲碁新鋭戦も2019年から新時代に入るだろう。数多くの同年代の強敵との競争から突破してきた陳梓健七段はたしかに幸運である。

図1:決勝戦の場面
図2:陳梓健七段

(記事 / 写真:楊爍)

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