日本囲碁ニュース (碁聖戦)

日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。

囲碁ニュース [ 2024年7月23日 ]

囲碁の総本山「日本棋院」、創立100周年を迎える

 公益財団法人日本棋院が、2024年7月17日に創立100周年を迎え、都内ホテルにて記念式典・祝賀会が開催された。国内外から関係者約450人が会場に集まり、日本囲碁界の記念すべき節目を盛大に祝った。

 記念式典では、先日7月9日に新しく理事長に就任した武宮陽光理事長が挨拶し、「棋院が置かれている経営環境には厳しいものがあり、財政問題、囲碁ファンの減少、世界戦への対応など、改善すべき課題が山積しているが、これらの課題を克服するために棋士職員一丸となって囲碁文化発展と経営改革にまい進していきたい。」と決意を語った。武宮理事長の挨拶に続き、日本囲碁界に多大な支援、協力をした企業、団体、個人に対して表彰を行う「特別感謝表彰」及び「特別功労表彰」が行われた。表彰が終わると、国内からは昨年の第19回アジア競技大会で囲碁日本代表選手を派遣した一般社団法人全日本囲碁連合の滝裕子会長、一般財団法人関西棋院の池坊雅史理事長、海外からは常旲中国囲棋協会主席、梁宰豪韓国棋院事務総長、林敏浩海峰棋院院長が挨拶し、創立100周年にお祝いの言葉が送られた。

 記念式典に続き行われた祝賀会では、創立100周年記念式典・祝賀会の実行委員長を務める小林光一名誉棋聖・名誉名人・名誉碁聖が挨拶し、これまでの囲碁ファンやスポンサー各社、関係者の支援に対する感謝と日本囲碁界への変わらぬ引き続きの支援を呼び掛けた。続いて、阪急阪神ホールディングスの角和夫代表取締役会長・グループCEO、日本サッカー協会の川淵三郎相談役、日本棋院と同じく今年100周年を迎える日本将棋連盟の羽生善治会長が祝辞を述べた。

 囲碁界で2度の七冠独占を達成して、将棋界の羽生会長と共に2018年に国民栄誉賞を受賞した井山裕太王座が所属棋士を代表して挨拶を行い、「これからも受け継いできた伝統は大切にしつつ、時代の変化には柔軟な対応していきたい」と話した。

 祝賀会では、今年新しく設立された女子の団体戦「日本女子囲碁リーグ」の開幕式が行われ、出場する5チームの監督と選手がユニフォーム姿でリーグ戦に向けた決意表明を行った。

囲碁ニュース [ 2024年7月22日 ]

井山、碁聖4連覇

 井山裕太碁聖の2連勝で迎えた第49期碁聖戦(新聞囲碁連盟主催)の挑戦手合五番勝負の第3局が、7月19日、千代田区の日本棋院東京本院にて打たれた。序盤は、挑戦者の芝野虎丸名人がリードを奪った。黒番の井山の模様に入り、上辺で生きて荒らしに成功。井山は「上辺を生かすのは予定の行動だったが、進んでみると、形勢に自信がなかった」と振り返る。劣勢を意識した井山が下辺に勝負手を放ち、下辺から中央に広がりながらの戦いは難しさを増していった。井山は「勝負手」について「成算があったわけではない」と苦しい状況を振り返ったが、巧みな打ち回しで下辺をコウにし、コウは譲って下辺の黒を取られたものの、振り替わりのような進行で上辺の白を取り逆転に成功。黒番2目半勝ちとし、シリーズ3連勝で4連覇を果たした。碁聖位通算10期は、小林光一名誉碁聖の9期を抜く記録で、棋戦優勝「76」は、趙治勲名誉名人の記録と並んだ。井山は今シリーズを「今の自分なりに力を出しきれ、一つ結果が出てうれしく思います」と振り返り、「趙先生の記録ははるか先のことだと思っていたので、そういうところに、記録の上だけですけれど、並べたことは感慨深いです」と語った。

囲碁ニュース [ 2024年7月16日 ]

井山、碁聖防衛にあと1勝

 井山裕太碁聖に芝野虎丸名人が挑戦している第49期碁聖戦(新聞囲碁連盟主催)挑戦手合五番勝負の第2局が、7月13日に石川県金沢市の「北國新聞会館」にて打たれた。現地にて大盤解説をつとめた林漢傑八段が「歴史に残る大石の生き死にを巡る名局」と振り返った本局は、芝野の猛攻をしのぎ切った井山が白番中押し勝ちをおさめ、シリーズ2連勝とした。序盤、芝野は右下で隅を捨てて右辺に厚みを築いた。井山がやや深めに消しに入ると、芝野は気合いのこもった打ち回しで取りに向かう。井山は「実戦のような本気の取りかけを、当初は想定していなくて、なんとかなるかなくらいに思って打っていたのですが…」と振り返る。右辺から中央にかけた白の大石は、いったんシノギ形を得るが、ここから芝野が左上の白に襲いかかり、絡み攻めに持っていき、攻めとシノギの険しさが増していった。中央がコウになり、芝野がコウを解消。「そのあと、もっといい打ち方があったかなと思います」と芝野。実戦は井山が黒との攻め合いに持ち込み、芝野を投了に追い込んだ。両者が「自分なりに、コンディションを整えて」(井山)、「気持ちを切り替えて」(芝野)と臨む第3局は、7月19日、千代田区の日本棋院東京本院にて打たれる。

囲碁ニュース [ 2024年6月25日 ]

井山碁聖、開幕局に勝利

 井山裕太碁聖に芝野虎丸名人が挑戦する第49期碁聖戦(新聞囲碁連盟主催)の挑戦手合五番勝負が開幕した。第1局は、6月21日、大阪市の「日本棋院関西総本部」で打たれ、井山が黒番中押し勝ちとし、4連覇(通算10期目)に向け好スタートをきった。4月に芝野から十段位を奪取した井山は「若い世代とも戦えることを結果で示せた」と語り、闘志と自信を印象づけたばかり。芝野としては雪辱を期したシリーズだ。布石は、黒番の井山がポイントをあげた。だが、右下でややがんばりすぎ、芝野の鋭い攻めを受ける。黒石が分断され、形勢は逆転。芝野も「(序盤の)右上で少し大変な形勢にしてしまったが、(右下の攻めで)少し盛り返したかなと思った」と振り返った。ただ、その後、芝野が切断して決めにいった手から、井山が巧みな打ち回しと見事な判断力を見せる。右下を捨てて大場に先着し、いつの間にか優勢を築き、そのまま寄り切って芝野を投了に追い込んだ。「左上に先着して、中央を囲ったあたりで、少し地合いでいけそうなのかなと思った」と局後の井山。次局に向けては「引き続き自分なりに精一杯準備したい」と語った。井山は夏に強いと言われる。碁聖戦挑戦手合では3期前に後半2連勝し、以来負けなしの9連勝とした。第2局は、7月13日に、石川県金沢市の「北國新聞会館」にて打たれる。

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