パンダネット 囲碁入門

8日目…手筋とコツ- [1]ゲタ

碁を打つのに、いろいろなコツがあります。とくに互いの石が接触したときに、上手な打ち方をすれば優位に立てるのです。そういう接近戦のコツのことを、「手筋」と言います。「手筋」は実戦のいろいろな変化に、応用が利きます。たくさん知っていると、一手一手悩まなくてすみますし、上達につながります。

●8日目…手筋とコツ

碁を打つのに、いろいろなコツがあります。とくに互いの石が接触したときに、上手な打ち方をすれば優位に立てるのです。そういう接近戦のコツのことを、「手筋」と言います。「手筋」は実戦のいろいろな変化に、応用が利きます。たくさん知っていると、一手一手悩まなくてすみますし、上達につながります。


[1]ゲタ

a.石を追うと捕まらない
・ 碁を覚えたころは、相手の石を取るのが楽しくてたまりません。それは悪いことではないのですが、石を取りたいがために、むやみに追い掛け回してもうまくいきません。追うよりも、待っていた方が相手が逃げ場を失うこともあるのです。
b.待っていると有利
・ 相手を待って取り押さえる「手筋」があって、「ゲタ」と言います。とても便利ですから、ぜひ覚えてください。


【問題1】
・ 黒番で、白△の石を取りたいのです。この石を取れば、とても有利になるのです。単純に追いかけても取れませんから、「手筋」が必要です。実際の対局では、一回で結果を出さなければなりませんが、こういう勉強では、何度失敗してもいいのでいろいろ考えてみましょう。

問題1

・ 1図、黒1と打てば、次に白がこの石を逃げなければ、黒3で取れます。

1図


しかし、2図、黒1には白2と逃げます。さらに黒3と追いかけても、白4と逃げられると、白△の石と連絡して、強い石になります。この四個の白石を取るためには、×印の四カ所を封鎖しなければなりませんから、もう不可能でしょう。では、黒3で、(次の図へ)

2図

・ 3図、黒1の方から追えばどうなるでしょう。白2と逃げるのは当然ですね。こうなると、黒3と打っても、白4と逃げられて、白△の石と連絡して強くなります。この白も捕まえることはできません。

3図

・ 4図、今度は、黒1の方から追いかけてみましょう。白2と逃げたのを、黒3、白4、黒5とどんどん追いかけます。白6まで逃げると、もう捕まえることができないことがお分かりでしょう。黒5で、(次の図へ)

4図


・ 5図、黒1の方から追いかけても、白2と連絡されれば、これも捕まりません。

5図


・ 6図(正解)、白△の石は、黒が無理に追いかけても捕まりません。黒1と打って、待っているのがうまいのです。これが「ゲタ」と言う「手筋」です。追いかけないで網を張って待つ技術なのです。相手の白△の石が逃げようとしても、黒1が網の役割をして捕まえます。

6図

・ 7図、白1と逃げるのを、黒2と追いかけてはいけません。これではせっかくの「手筋」が台無しです。白3と逃げて、白△と連絡しては、もう捕まらない石になりました。これは黒2が間違えたのです。

7図

・ 8図、白1と逃げたときは、出口のある黒2の方を止めるのがうまいのです。これで白二子は逃げられません。×印のところに出て行っても無駄なのはお分かりでしょう。

8図

・ 9図、もちろん、白1と出ても、黒2で取られてしまいます。

9図


・ 10図、「ゲタ」という網に掛かると、白はどうにもなりません。白1の方に逃げても同じことです。黒2と逃げる先を止めれば、白二子は捕まっています。×印に出てもだめですね。

10図

【問題2】
・ 形が変わりました。これも黒番で、白△の一子を取ってください。単純に追いかけてもうまくいきませんから、「手筋」が必要です。

問題2

・ 1図、黒1から追いかけても、白2と逃げられます。黒3には白4で白△と連絡してしまいます。

1図

・ 2図、逆から黒1と追うのも失敗です。白2と逃げられていけません。黒3には白4で白△とつながります。黒3で、(次の図へ)。

2図

・ 3図、黒1の方から追いかけても、白2と逃げて、今度は白△の石と連絡します。

3図

・ 4図(正解)、黒1と網を掛けて待つのが正解です。これも「ゲタ」の形です。白△はもう逃げられません。

4図

・ 5図、白1と逃げても、黒2と出口を止めて捕まっています。これから白が×印に出ても取られます。

5図

・ 6図、白1も黒2で取られています。「ゲタ」は石を取るのに有力な「手筋」なのです。

6図


【問題3】
・ 今度は、白石が△の二つになりました。これも追いかけないで、待っていれば取れるのです。やはり、「ゲタ」の「手筋」が役に立ちます。

問題3

・ 1図、黒1は、次に白2などと他に打ってくれれば、黒3と打って白△二子が取れます。しかし、白2では当然逃げ出します。

1図

・ 2図、黒1には、白2で逃げています。黒3には白4で連絡します。黒3で、(次の図へ)

2図


・ 3図、黒1の方から追いかけても、白2と逃げて捕まりません。黒3には白4で白△とつながります。

3図

・ 黒1の方から追うのもいけません。白にはいろいろ打ち方がありますが、たとえば白2でも白△と連絡しています。

4図

・ 5図、黒1と一つ先を打っても、白2と逃げられると、もう捕まえることはできません。黒3と追いかけても、白4と出れば逃げられます。

5図


・ 6図(正解)、直接追いかけないで、黒1と先に打って待っているのが「ゲタ」です。これで白△の二子は逃げられません。それを確かめてみましょう。

6図

・ 7図、白1に出るのは、黒2と外側を止めて逃がしません。白3には黒4で、もうこれ以上白は手立てがありません。

7図


・ 8図、白1の方から逃げようとしても、黒2と止めれば出口がありません。白3は黒4で捕まっています。

8図


・ 9図、白1と飛躍するのはどうでしょう。黒2は失敗です。白3と連絡させてはいけません。

9図


・ 10図、白1には黒2の方から出て、白を遮断します。白3には黒4で、もう逃げられません。

10図


・ 11図、白1はどうでしょう。今度は黒2の方から出て遮断します。白3には黒4で捕まっています。
・ 「ゲタ」は基本的な「手筋」の一つですが、いろいろな変化を検証すると、たくさんの図が必要です。それを対局中に頭の中で、すべて順番に考えるのは大変です。こういう基本的な「手筋」は、ふだんから勉強して、慣れておくことが肝心です。そうすれば、いちいち悩まなくても、パッと思い浮かぶようになります。

11図


【問題4】
・ 今度は「ゲタ」の応用です。黒番で白△の石を取ってください。簡単ではありませんが、これも慣れれば自然に頭に浮かぶようになります。

問題4

・ 1図、やはり、単純に追いかけては取れません。黒1には白2と逃げます。このとき、黒△二子が危険なことに気が付いたでしょうか。続けて、黒3と追いかけても、白4と黒△二子を取られてしまいます。黒3で、(次の図へ)

1図

・ 2図、黒1と逃げても、白△の二個は取れません。白2の後、改めて黒3、黒5から追いかけても、白4、白6で、黒三子が取られるだけです。黒3で、(次の図へ)

2図

・ 3図、黒1の方から追っても、白2で白△とつながってしまえば、これ以上は手が出ません。

3図

・ 4図、黒1はどうでしょう。当然、白2と逃げます。ここまではいいのですが、次の手が発見できるでしょうか。

4図


・ 5図、黒1から順番に黒5まで追っても、白6まで逃げられた上に、黒△三子が逆に取られてしまいます。

5図

・ 6図、黒1に、白2と逃げたとき、黒3の方から追うものうまくいきません。白4で白△と連絡してしまいます。

6図

・ 7図(正解)、黒1は正しかったのですが、白2と逃がした後に「手筋」が必要だったのです。続いて、

7図


・ 8図(正解・続)、黒1と飛躍するのが、「ゲタ」の「手筋」でした。これで白△二子は逃げられません。

8図

・ 9図、白1と出ても、黒2と出口を止めれば逃げられません。

9図


・ 10図、白1の方に出ても、黒2で取れています。

10図


【問題5】
・ これも一手ではすみません。黒番で白△の二子を取りたいのですが、やはり「手筋」が必要です。

問題5

・ 1図、黒1と打って、次に白2などと他に打ってくれれば、黒3で取れますが、こんなことは期待できません。

1図


・ 2図、黒1には、白2と逃げて、白△二子と連絡します。こうなっては、もう手がつけられません。

2図

・ 3図、黒1と打って、白の連絡を邪魔したいのですが、白2と逃げたときに、慌てて黒3と封鎖を急いではいけません。白4と抜かれては、もう捕まりません。黒1は正しかったのですが、その後がいけないのです。

3図


・ 4図、黒1、白2の後を、もう少し考えてください。

4図


・ 5図(正解)、ここで、黒△の石を黒1と逃げるのが正解です。白△三子が「ゲタ」になっていることがお分かりでしょうか。白△はもう逃げられません。

5図

・ 6図、続いて、白1と出ても、黒2で止まっています。

6図


・ 7図、白1の方に逃げても同じことです。黒2で取られています。
・ 問題4、問題5は、「ゲタ」に導く高等戦術をお見せしましたが、こんな「手筋」も、慣れてくればすぐ発見できるようになりますから、がんばって勉強してください。

7図



●8日目…手筋とコツ


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