囲碁ゲームサロン パンダネット

大会・イベント

中国囲碁ニュース

中国の著名な棋戦情報をお伝えします。

中国からの囲碁ニュースを皆様にお伝えします。

棋声人語 [ 2018年2月8日 ]

柯潔半目で新奥杯優勝

 中国主催の国際大会「新奥杯世界囲碁オープン戦」。その第1回大会は、2016年5月から始まり、約1年7ヶ月にわたって行われ、2017年12月20日から26日、河北省廊坊市でようやく決勝戦を迎えた。2017年5月、柯潔九段(20歳)と彭立堯五段(25歳)が決勝戦に進出を決めた時、誰もが柯潔九段が優勝すると予想していた。しかし、それから柯九段は低迷期に入り、烏鎮でAIに負けたり、囲碁甲級リーグで五連敗したり、夢百合杯、三星杯、LG杯でも調子を崩している。第1回新奥杯の優勝はどちらが本命なのか、分からない状況であった。

 決勝五番勝負の流れは、この7か月の柯九段の調子とよく似ている。第一、二局は柯九段の快勝で、二連勝で彭五段を追い詰めた。そして第三局も早い段階で優勢を築いたが、粘り強い彭五段は簡単にあきらめず、形勢を逆転し、半目勝ちをもぎ取った。 また第四局でも序盤で柯九段の珍しいミスを捕らえ、再度半目で勝った。優勝賞金220万元(約3800万円)のプレッシャーを背負い、勝負が決まる第五局もまた緊張感の漂う半目勝負であった。「強い者は運も強い」といわれるが、柯九段が勝利をおさめ、三十年前の加藤正夫九段が三度の半目勝負で十段を獲得したことの再現とはならなかった。

 3勝2敗で彭立堯五段を負かし、柯潔九段はようやく2017年度に入って初めての世界戦優勝を飾った。そして、2017年の最後の世界チャンピオンとなった。柯潔九段は2017年、勝つことが難しいAIと戦い、棋戦でエベレストの標高5000メートルに登り、そして中国最高レベルの全国運動会で金メダルを獲得した。とはいえ、半目勝利での世界戦優勝がなければ、2017年の柯九段は残念だったと思われていただろう。

図1:対局会場。
図2:柯潔九段はとっくにマスコミの寵児であるが、今回の優勝でますます注目を浴びるようになった。

 

 第四局の序盤、黒番の柯九段はミスを連発した。黒67では68のコスミを先手で交換すべきだった。また白72の時の黒73のアタリが自分の手を詰める大悪手で、下の五目が死んだ上に、二十目以上の連帯損失もした。柯九段においては、実に意外なミスであった。

 

 注目の第五局、彭五段の白196は悔しい一手だった。Aのトビくらいで真ん中の地を守れば、白番の方が少々優勢になったかもしれない。白196のハネが先手だと思ったようだが、しかし鋭い柯九段はBとコウを取ってから、Cの切りで中央を収束し、半目優勢となった。

(記事 / 写真:楊爍)

棋声人語 [ 2018年1月31日 ]

中国囲碁協会改選

 中国囲碁事業を管理する最高機構「中国囲棋協会」は1962年(昭和37年)に発足し、中国軍隊のリーダーである陳毅元帥(1901―1972)自ら創立を推進した。囲碁は体育項目の一つとして、ずっと中国政府に管理されている。中国囲棋協会は、中国のほかの体育協会と同じ、中華全国体育総会の付属であり、主に対外交流活動をしている。また、実際に囲碁を管理しているのは中国国家体育運動委員会(のちに国家体育総局に改名)の下の棋牌運動管理センターである。そして、棋牌運動管理センターは「中国棋院」というもう一つの名前でよく知られている。

 中国囲棋協会の管理機構は長い間、国家体育委員会、中国棋院のそれと重なっている。中国囲棋協会の初代主席である李夢華(1922-2010)は国家体育委員会の最高指導者。 2代目の主席である陳祖徳九段(1944―2012)は中国棋院の初代院長。そして、3代目の主席である王汝南八段(71歳)は中国棋院の2代目院長である。

 2017年、中国体育改革は急速に進んだ。各運動管理センターの機能はだんだん縮小され、各協会によって独立的な市場メカニズムで運営されるようになった。王汝南八段は70歳を超えた故、中国政府の規定で協会の指導者を勤めることが出来なくなった。2017年12月29日、中国囲棋協会の改選会議が北京中国棋院で開かれ、元総参謀部少将である林建超氏(65歳)が4代目の中国囲棋協会主席に当選した。棋牌運動管理センター主任の羅超毅氏(57歳)、聶衛平九段(65歳)、浙江省体育局局長の孫光明氏(59歳)、常昊九段(41歳)、都市囲碁リーグ戦創立者の雷翔氏(50歳)が副主席に当選した。また羅超毅氏は秘書長を兼任することとなった。

 会議中、国家体育総局副局長の趙勇氏(54歳)は、中国囲棋協会は改革のスピードを速めなければならないと指摘し、そして、林建超新主席が改革の総方針、目標と計画を提出した。2018年の中国棋界は大きな変化を迎えるだろう。

【 歴代中国囲棋協会主席 】
初代 李夢華 氏(在任期間:1962年-1988年)
2代目 陳祖徳九段(在任期間:1988年-2006年)
3代目 王汝南八段(在任期間:2006年~2017年)
4代目 林建超 氏(在任期間:2017年~)
図1:改選会議左から常昊、聶衛平、羅超毅、趙勇、王汝南、林建超、孫光明、雷翔。
図2:中国各地の囲碁機構からの80余りの代表が会議に参加した。

(記事 / 写真:楊爍)

棋声人語 [ 2018年1月24日 ]

威孚房開杯新チャンピオン 范胤七段

優勝トロフィーを掲げる范胤七段

 年一度の「威孚房開杯 中国棋王争覇戦」は毎年下半期に北京中国棋院で行う1、2回戦に勝利した8名の棋士が、スポンサー企業のある江蘇省無錫市で準々決勝戦以降を戦うことになっている。この棋戦の特徴だが、新人が活躍する傾向がある。世界チャンピオンで優勝した棋士は少なく、これまで行われた13回のうち、孔傑九段(35歳)、時越九段(26歳)、柯潔九段(20歳)の三人だけだった。

 「第13回威孚房開杯」は12月28日に無錫で決勝戦が行われ、この対局が2017年最後のチャンピオン戦であった。決勝戦に進出した二人の棋士は特に有名な棋士ではないが、中国棋界では長年奮闘してきており、実力を発揮した棋戦も多々ある。一人は26歳の浙江省出身・張濤六段。試合が終わっても納得できる結果がでるまで休まずに検討することで知られている。2017年8月、彼はCCTV早碁戦で李欽誠九段(18歳)、柯潔九段などの名手に連勝し、優勝した。中国棋界の今年度のダークホースとなった。

  もう一人は20歳で広東の棋士である范胤七段。范七段は2016年に中国囲碁個人戦で優勝してから急成長を遂げ、囲碁甲級リーグの主力選手にもなった棋士だ。ちなみに、范七段と張六段は、相次いで中国国家囲碁集訓隊に選ばれ、今回の威孚房開杯では、張六段は実力者の芈昱廷九段(21歳)に勝ち、また范七段は世界チャンピオンになったばかりの辜梓豪九段(19歳)に勝利し、勝ち上がってきた。

 二人の決勝戦も非常に激しい内容で、結果は半目勝負で終わった。范七段はヨセの段階ではとても冷静で、半目で勝ちをもぎ取った。ちなみに、范七段は裕福な家庭に恵まれて、小さい頃はただの趣味として囲碁を勉強していたようだが、韓国の岳権道場で勉強したこともあるそうだ。プロになるか大学に入るか、かなり悩んでいたようだが、やはり囲碁に対する情熱がすべてに勝って、今日このトロフィーを手にすることとなった。

(記事:楊爍 / 写真提供:sina)

棋声人語 [ 2018年1月17日 ]

新世界チャンピオン辜梓豪

優勝した辜梓豪はインタビューを受けている(写真提供:囲碁天地)

 2015年(平成27年)、当時18歳だった柯潔九段はロケットのようなスピードで世に出て、百霊杯、三星杯、夢百合杯の三つの国際棋戦で優勝し、中国囲碁界に「柯潔時代」を作り上げた。この三年間で、唐韋星九段(24歳)、陳耀燁九段(27歳)は二度も国際棋戦で優勝し、また党毅飛九段(23歳)、檀啸九段(24歳)も優勝の悲願を叶えたのだが、柯九段は依然として中国最年少での世界チャンピオンである。囲碁界の世代交代は、いつも後輩が先輩を超える。先輩が戦場に戻って失われた土地を取り戻したことは、ほぼない。

 2017年12月7日、柯潔九段のライバルがやっと出てきた。柯九段より一つ下の辜梓豪五段(19歳)は三星杯決勝戦で初戦を落としたものの、2勝1敗で唐韋星九段に逆転で勝ち、初めて世界チャンピオンとなり、直接九段に昇段した。辜梓豪は今回の三星杯で、崔哲瀚九段(32歳)、李東勲八段(19歳)、朴永訓九段(32歳)などの韓国のトップ棋士に勝ち、名実伴う世界チャンピオンとなった。

 辜九段は中国湖北省出身、小さい頃、家があまり裕福ではなかったが、大きな経済的負担を抱えながら、北京に囲碁を勉強しに行った。そして入段に成功し、長年の努力を重ねて世界の頂点に至った。まさに囲碁界における一つの理想的な形である。じつは、辜九段は他の棋士と違い計画性がある棋士で、時間管理には結構厳しい。2016年初めて東京に国際新鋭対抗戦に参加に行った際、あらかじめ観光コースを完璧に作って、ちゃんとそれに従って行動し、頻繁に日本に行く引率者をも驚かせた。

(記事/写真:楊爍)

棋声人語 [ 2018年1月11日 ]

第19回阿含・桐山杯日中決戦

 2017年12月6日、冬の北京は寒風が骨にしみる。商業区にあるホテル「ウェスティン北京朝陽」で日中伝統の囲碁対抗戦――第19回阿含・桐山日中決戦が行われた。中国側は、決勝戦で柯潔九段(20歳)に勝ち、初めて優勝した柁嘉熹九段(26歳)。日本側はこの棋戦と同じ年齢の六浦雄太七段(19歳)。六浦七段が生まれた年の阿含・桐山杯日中決戦は、まだ馬暁春九段(53歳)と小林光一九段(65歳)の出場しており、それはスター達の時代だった。

 小林九段の時代が終わってから、日本囲碁界の勢いはだんだん衰えていき、日本の優勝者は日中決戦で13連敗を喫していた。2015年(平成27年)になって、やっと井山裕太九段(28歳)が一本を取り戻したが、翌年には河野臨九段(35歳)が柯潔九段に負けた。2017年の中国の優勝者は、世界戦で優勝経験のある柁嘉熹九段である。単に実力からみれば、日本の優勝者は確かに不利と見られた。

 ただ、柁嘉熹九段は優勝コメントで「六浦七段は実力者であった、来年自分もまた中国チャンピオンとして参加したいし、もっと若い日本チャンピオンとも出会い対戦したい」と述べた。

 阿含・桐山杯は早碁棋戦で、防衛制ではない。この19年、中国の阿含・桐山杯で二回連続優勝したのは劉星七段(33歳)一人だけである。陳耀燁九段(28歳)は三回決勝戦に進出したが、三回とも準優勝に甘んじており、縁がないとしか言えない。柁九段のこの二つの願いは、2018年にどちらか実現できるだろうか。

図1:対局現場。立会人の華学明七段(55歳)、記録係は陸敏全四段(18歳)と陳一鳴三段(26歳)。
図2:華以剛八段(68歳)と徐瑩五段のテレビ解説は阿含・桐山杯の定番。

(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)

バックナンバー