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中国囲碁ニュース

中国の著名な棋戦情報をお伝えします。

中国からの囲碁ニュースを皆様にお伝えします。

棋声人語 [ 2018年4月10日 ]

中国囲碁界「双豪時代」到来

図1:謝爾豪九段の特徴は参加できる試合には全て参加しているところだ。写真は2015年に行われた中国囲碁個人戦に参加している姿。

 2月8日、中国で20人目の世界チャンピオンが誕生した。東京日本棋院で行われた第22回LG杯朝鮮日報棋王戦の決勝三番勝負で、謝爾豪五段(19歳)が井山裕太九段(28歳)に勝利して、中国で最年少の国際棋戦優勝者になり、同時に九段に昇段した。また三か月前、謝爾豪と同い年の辜梓豪九段(19歳)が三星火災杯世界囲碁マスターズで優勝しており、中国では「双豪時代」がきたと言われるようになった。

 面白いことに、謝爾豪九段と辜梓豪九段は同い年なだけではなく、出身も同じ中国の湖北省。そして、同じく少年時代にその才能を見いだされ、上京して道場に入り勉強するようになった。やがて入段し二人はプロ棋士となったのだが、辜九段の順風満帆な道と比べると、謝九段はそうではなかった。謝九段は、2012年(平成24年)に13歳で芮廼偉九段、山下敬吾九段などの棋士に勝ち、史上最年少で国際棋戦の4強選手になった。当時これから素晴らしい成績をあげていくだろうと期待されていたのだが、それから6年もの間、実績を残せなかった。

 この経験は謝九段に同齢者が持っていない、大舞台で力を存分に発揮させる勝負強さを与えた。また、どんな勝負に対しても平常心を忘れないという心境が世界チャンピオンにつながった。LG杯決勝三番勝負の第2局、謝九段は必ず勝てるという局面でいくつかミスをしてしまい、井山九段に逆転された。普通の棋士なら心が折れるかもしれないが、謝九段は全然動じていなかった。また第3局でよい一局を打ち栄冠を勝ち取った。若い世代の中国棋士は長年、残酷でシビアな勝負の世界にいるためか、強い心を持っている棋士がたくさんいる。

図2:LG杯決勝三番勝負の第3局、謝九段が白番で井山九段と対戦する。
布石の段階では白18、20、22はとてもスマートな着想で、前日の失敗の影響は見受けられない。
謝九段の才能が十分に発揮されていると言えるだろう。

(記事 / 写真:楊爍)

棋声人語 [ 2018年3月30日 ]

西南棋王は西南からとは限らない

図1:決勝戦現場(写真提供:sina)

 今回で第17回を迎える中国西南棋王戦は3月9日、10日に行われた。西南棋王戦は、中国の西南地域の棋士が参加する棋戦ではあるが「包容的」と言える。西南生まれの棋士、たとえば唐韋星九段(25歳)。西南地域で登録した囲碁チームの棋士、たとえば柯潔九段(20歳)、時越九段(27歳)。また、西南地域と特に関係のない有名な棋士、たとえば、常昊九段(41歳)、芈昱廷九段(22歳)。皆この棋戦に招かれたことがある。そして過去には、中国東北部出身の王磊八段が優勝したこともある。このことは「アムールトラが西南王になった」などと冗談めかして語られている。

 第17回西南棋王戦の優勝賞金は、8万人民元(約135万円)から16万人民元(約270万円)と倍増した。そして、チベットチームの棋士である毛睿龍六段(26歳)と中国囲碁甲級リーグの成都チームに参加している韓国の崔哲瀚九段(32歳)が招待された。この棋戦の影響力は、もはや遙かに「西南」の範囲を超えたと言えるだろう。

 今回の試合では、中国囲碁界の第一人者である柯潔九段が8強戦で唐韋星九段に敗れた。続いて、唐九段は中国ランキング第2位である時越九段にも勝利した。だが、決勝戦では、中国ランキングの第3位芈昱廷九段に負け、中国ランキングトップスリーを下すという快挙を成し遂げることはできなかった。結果、芈昱廷九段が西南地域とまったく関係のない初の「西南王」となった。

図2:決勝戦は芈九段が黒番。白の右下隅が安定した後、黒55のボウシから61のキリが剛腕で、
右辺の白石はそれから60手もかけたにも関わらず、全滅してしまった。 芈九段の戦闘力は恐ろしい。

(記事:楊爍)

棋声人語 [ 2018年3月27日 ]

中国が初めて賀歳杯を失った

 中国中央テレビ(CCTV)主催の「賀歳杯」日中韓新春争覇戦の第五回大会が行われた。第四回まで、時越九段(27歳)、柁嘉熹九段(27歳)、柯潔九段(20歳)と中国の棋士が優勝してきた。特に、世界囲碁の第一人者となった柯九段は生放送での対局で、日韓の井山裕太九段(28歳)、李世乭九段(35歳)、朴廷桓九段(25歳)に勝ち続けてきた。今回は2018年2月5日から7日の日程で行われた。柯潔九段は北京中国中央テレビスタジオで行われる本棋戦に三年連続で参加し、三連覇を目指していた。

 だが残念なことに、今回、柯九段は幸運に恵まれていなかった。日本の一力遼八段(20歳)を下し、決勝戦は柯九段と朴九段の対局。ほとんどの世界囲碁ランキングで、常にトップツーを占めているのは朴九段と柯九段である。この二人の対決は頂上対決に違いない。朴九段と柯九段の今までの13回の対決が行われたが、その中の12回は白の勝ちだった。棋界歴代の「頂上対決」では、これは相当珍しいことである。

 決勝戦で、柯潔九段は黒を当て、やはり劣勢となり、中押し負けを喫した。だが、柯九段のスランプはもう知られていること。そして、この大会の一カ月後、柯九段は中国上海で行われた第19回農心杯で中国チームの主将として出場したが、韓国チームの副将金志錫九段に負けた。中国の賀歳杯での三連覇、農心杯での四連覇とはならなかった。

図1:右から一力八段、朴九段、柯九段。
図2:曹大元九段(56歳)、於之塋六段(20歳)が生放送で解説。
図3:決勝戦の棋譜。朴九段が打った白118のツケが鋭い。左辺の黒の大石が動き困難。
以下白122、124で黒は愚形に。この大石は結局殺された。

(記事 / 写真:楊爍)

棋声人語 [ 2018年3月15日 ]

中国棋聖戦復活

 中国囲碁界で最も不運な棋戦と言えば、棋聖戦ということになるかもしれない。中国の棋聖戦は、まず1999年(平成11年)上海で誕生した。日本伝統の「全段争覇制」と「最高棋士決定戦」などからなる棋戦であったが、三回のみで終了してしまった。月日は流れて、2012年(平成24年)、河南省洛陽市で新しい棋聖戦が開催されたのだが、この時もまた二年しか続かなかった。そして2017年、洛陽市は以前行われていた棋聖戦の回数を引き継いで、「白雲山杯」と改名し、これにより棋聖戦が中国囲碁界に復活した。

 「第3回洛陽白雲山杯 中国囲碁棋聖戦」は、棋士のランキングにより試合に参加する段階を分ける方式を取っている。2500ポイント以下の棋士は「予選」から参加し、2500から2600の棋士は「資格戦」からの参加、2700以上の棋士は直接8強から参加できるようになっている。このようなルールは中国囲碁界では初めてである。

 予選は2017年12月の初めに行われ、その予選を通過した24名の棋士は、年明け1月5日に、次に進む12人を決める「候補戦」を戦う。そして24名のシード棋士と3回戦による「資格戦」が行われる。それを通過した6名の棋士がランキング上位9名の強豪組と「本戦」で戦う。そして、二年間ランキング1位を維持している柯潔九段(20歳)には、さらにシードが与えられ8強として仲間たちを待っている。

 1月17日に本戦2回戦が終了し、檀啸九段(24歳)、連笑九段(23歳)、范廷鈺九段(21歳)、辜梓豪九段(19歳)が準決勝戦進出を決めた。鋭気を養って疲れた敵を待っていた柯九段だったが、范九段に負けて、ランキング上位で優遇されていた状況を生かすことができなかった。なお、一番人々を驚かせたのは2000年生まれの陳梓健六段であった。本戦2回戦で檀啸九段に敗れたものの、彼は予選から五つの難関を突破し、本戦1回戦で世界チャンピオンの江維傑九段(26歳)に勝ち、8強に入った。今後、準決勝戦と挑戦者決定戦は5月末に洛陽白雲山で行われる予定である。挑戦者決定戦の勝者は、周睿羊棋聖(26歳)に挑戦する。

図1:陳梓健六段
図2:柯潔九段(右)は范廷鈺九段に敗れた。

候補戦
資格戦
本戦

(記事 / 写真:楊爍)

棋声人語 [ 2018年3月8日 ]

00年以降生まれの棋士が天元に挑む

 AI時代の到来から、2018年の中国棋界でも大きな変化が起きた。その変化は1月22日に開幕した同里杯天元戦で顕著に現れた。

 天元戦は、2018年で最初に行われた中国国内のプロ棋戦だが、十年以上も続けてきたネット予選とお昼休憩のための打掛制度を廃止した。そして、試合の持ち時間を各3時間から2時間に減らした。これらは全部AIの発展が試合の公正性に影響しないように取った手段である。

 ネット予選が廃止されたため、もともと予選通過者に与えられていた枠は、前年度の個人戦男子の一位~三位、女子一位、また段位戦初段組、二段組、三段組、四段及び四段以上組の優勝者に与えられるようになった。重複があった場合は個人戦男子の順位を元に補充される。これにより、超新星である屠暁宇三段(14歳)が個人戦男子七位の成績により選ばれたのだが、芈昱廷九段(21歳)、辜梓豪九段(19歳)の若い世界チャンピオンに連勝し、棋界で注目されている。

 変化の物語はこれだけでない。以前、天元八連覇を遂げた陳耀燁九段(27歳)が、8年ぶりに天元戦に参加したのだが、一回戦で謝科五段(17歳)に敗れた。謝五段は、この勢いに乗り、范廷鈺九段(21歳)、時越九段(27歳)などの名将に勝ち、1月31日に行われた挑戦者決定戦でもCCTV杯優勝者の張濤六段(26歳)を負かした。謝五段は、タイトル戦決勝戦の舞台に出る中国棋界で初めての00年以降に生まれた棋士となる。

 挑戦手合三番勝負は4月中旬に江蘇省同里鎮で開かれる予定で、謝科五段が連笑九段(23歳)に挑む。

図1:謝科五段。
図2:屠暁宇三段。
図3:挑戦者決定戦の対局風景。

(記事 / 写真:楊爍)

棋声人語 [ 2018年3月2日 ]

中韓リーグ優勝者対抗戦

 20世紀末から21世紀の始めまでで一番偉大な棋士と言えば、李昌鎬九段(42歳)と言って差し支えないだろう。彼は囲碁の国際棋戦で最も多く優勝した。現在ではどんどん強くなっていく後輩たちと戦えなくなったが、2017年に正官庄チームを代表して、韓国囲碁リーグのチャンピオンとなった。そして、中国の囲碁ファンを驚かせる出来事があったのだが、2018年1月19、20日に、第1回中韓リーグ優勝者対抗戦が北京で行われることになった。つまり中国の囲碁ファンたちは久しぶりに「石仏」李昌鎬の風采を見ることができるということだ。

 2017年中国囲碁甲級リーグの優勝チームは、陳耀燁九段(28歳)、柁嘉熹九段(26歳)、韓一洲七段(20歳)、鐘文靖五段(26歳)などで構成されている中信北京チームだった。中信北京チームは初めて中国囲碁甲級リーグで優勝した。初回は中国で行われるので、中国リーグと同じ、4対4方式で対決が行われた。2回戦行うことになっているのだが、勝ち数の合計が同点だった場合、2回目に行われる主将戦の勝ち負けにより全体の勝敗を決めることになっていた。また、4局の対戦のうち、3局は持ち時間各2時間の対局で、もう1局は一手30秒の早碁である。これは標準的な中国甲級リーグの持ち時間である。

 中信北京チームは、陳耀燁九段が主将対決も含め2連勝、そして韓一洲七段も1勝したのだが、正官庄チームの李昌鎬九段が、韓七段、柁九段に連勝し「伝説再来」と思わず言ってしまうような見事な活躍を見せた。また主将の申真諝七段(17歳)が1勝、金明訓五段(20歳)が2勝を収め、正官庄チームが、総合成績5勝3敗で優勝した。

図1:ファンが多い李昌鎬九段は、対局後中国の愛好家にサイン。
図2:柁嘉熹九段(左端)と陳耀燁九段(右端)が、鐘文靖五段と一緒に検討。

(記事 / 写真:楊爍)

棋声人語 [ 2018年2月23日 ]

李世乭が「世界名人」を戴冠

 1988年(昭和63年)、中国の『人民日報』と日本の『朝日新聞』の努力で、中日両国の名人戦優勝者による対抗戦が行われるようになった。両国交流の良い機会でもある中日名人対抗戦は現在まで7回しか行われていないが、棋界では大きな影響力を残している。2010年(平成22年)、中国で中日韓三国の名人戦優勝者による「世界囲碁名人争覇戦」を創立された。この棋戦は湖南省常徳市で三回開かれたあと、2015年(平成27年)に千年の古都――陝西省西安市で一回行われ、そして、2018年(平成30年)に西南の辺境――雲南省保山市で第5回が開催された。

 これまで中日両国の名人戦はそれぞれ中国が第30回、日本が第42回と続いてきた。中国からは連笑九段(23歳)、日本からは井山裕太九段(28歳)が優勝者として参加した。しかし、韓国の名人戦は2016年(平成28年)の第43回を最後に終了している。それ故、当時優勝した李世乭九段(34歳)が韓国の最後の名人として、今回の世界囲碁名人争覇戦に参加した。

 30年が過ぎて、今の棋界はもはや馬暁春九段(53歳)や小林光一九段(65歳)が名人対抗の舞台で活躍する時代ではなくなった。だが、李世乭九段のような棋士は依然として棋界に「まだ若者の時代ではない」と宣告し奮闘している。今回の決勝戦では、早めに苦しい形勢に陥ったが、李九段は粘り強くチャンスを探っていた。そして、若い連九段の不思議なミスを追い詰めて、奇跡的に逆転した。このような勝ち方は李九段が最も活躍していた時期に頻繁に見受けられた。

図1:井山九段、連九段、李九段 抽選会での記念写真
図2:決勝戦対局会場。

 

 いままで李世乭九段は連笑九段との対戦で四戦全勝だった。これは連九段のトラウマになっていたかもしれない。今の状況では白番の勝ちが決まったと見られていた。黒163のワリコミが最後の粘りだ。白164では166のところにアタリすれば良かったが、連九段が打った164の抜きが大きなミス。黒165、167にツガれ、白にはシノギがなく、結局全部死んでしまった。

(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)

棋声人語 [ 2018年2月8日 ]

柯潔半目で新奥杯優勝

 中国主催の国際大会「新奥杯世界囲碁オープン戦」。その第1回大会は、2016年5月から始まり、約1年7ヶ月にわたって行われ、2017年12月20日から26日、河北省廊坊市でようやく決勝戦を迎えた。2017年5月、柯潔九段(20歳)と彭立堯五段(25歳)が決勝戦に進出を決めた時、誰もが柯潔九段が優勝すると予想していた。しかし、それから柯九段は低迷期に入り、烏鎮でAIに負けたり、囲碁甲級リーグで五連敗したり、夢百合杯、三星杯、LG杯でも調子を崩している。第1回新奥杯の優勝はどちらが本命なのか、分からない状況であった。

 決勝五番勝負の流れは、この7か月の柯九段の調子とよく似ている。第一、二局は柯九段の快勝で、二連勝で彭五段を追い詰めた。そして第三局も早い段階で優勢を築いたが、粘り強い彭五段は簡単にあきらめず、形勢を逆転し、半目勝ちをもぎ取った。 また第四局でも序盤で柯九段の珍しいミスを捕らえ、再度半目で勝った。優勝賞金220万元(約3800万円)のプレッシャーを背負い、勝負が決まる第五局もまた緊張感の漂う半目勝負であった。「強い者は運も強い」といわれるが、柯九段が勝利をおさめ、三十年前の加藤正夫九段が三度の半目勝負で十段を獲得したことの再現とはならなかった。

 3勝2敗で彭立堯五段を負かし、柯潔九段はようやく2017年度に入って初めての世界戦優勝を飾った。そして、2017年の最後の世界チャンピオンとなった。柯潔九段は2017年、勝つことが難しいAIと戦い、棋戦でエベレストの標高5000メートルに登り、そして中国最高レベルの全国運動会で金メダルを獲得した。とはいえ、半目勝利での世界戦優勝がなければ、2017年の柯九段は残念だったと思われていただろう。

図1:対局会場。
図2:柯潔九段はとっくにマスコミの寵児であるが、今回の優勝でますます注目を浴びるようになった。

 

 第四局の序盤、黒番の柯九段はミスを連発した。黒67では68のコスミを先手で交換すべきだった。また白72の時の黒73のアタリが自分の手を詰める大悪手で、下の五目が死んだ上に、二十目以上の連帯損失もした。柯九段においては、実に意外なミスであった。

 

 注目の第五局、彭五段の白196は悔しい一手だった。Aのトビくらいで真ん中の地を守れば、白番の方が少々優勢になったかもしれない。白196のハネが先手だと思ったようだが、しかし鋭い柯九段はBとコウを取ってから、Cの切りで中央を収束し、半目優勢となった。

(記事 / 写真:楊爍)

棋声人語 [ 2018年1月31日 ]

中国囲碁協会改選

 中国囲碁事業を管理する最高機構「中国囲棋協会」は1962年(昭和37年)に発足し、中国軍隊のリーダーである陳毅元帥(1901―1972)自ら創立を推進した。囲碁は体育項目の一つとして、ずっと中国政府に管理されている。中国囲棋協会は、中国のほかの体育協会と同じ、中華全国体育総会の付属であり、主に対外交流活動をしている。また、実際に囲碁を管理しているのは中国国家体育運動委員会(のちに国家体育総局に改名)の下の棋牌運動管理センターである。そして、棋牌運動管理センターは「中国棋院」というもう一つの名前でよく知られている。

 中国囲棋協会の管理機構は長い間、国家体育委員会、中国棋院のそれと重なっている。中国囲棋協会の初代主席である李夢華(1922-2010)は国家体育委員会の最高指導者。 2代目の主席である陳祖徳九段(1944―2012)は中国棋院の初代院長。そして、3代目の主席である王汝南八段(71歳)は中国棋院の2代目院長である。

 2017年、中国体育改革は急速に進んだ。各運動管理センターの機能はだんだん縮小され、各協会によって独立的な市場メカニズムで運営されるようになった。王汝南八段は70歳を超えた故、中国政府の規定で協会の指導者を勤めることが出来なくなった。2017年12月29日、中国囲棋協会の改選会議が北京中国棋院で開かれ、元総参謀部少将である林建超氏(65歳)が4代目の中国囲棋協会主席に当選した。棋牌運動管理センター主任の羅超毅氏(57歳)、聶衛平九段(65歳)、浙江省体育局局長の孫光明氏(59歳)、常昊九段(41歳)、都市囲碁リーグ戦創立者の雷翔氏(50歳)が副主席に当選した。また羅超毅氏は秘書長を兼任することとなった。

 会議中、国家体育総局副局長の趙勇氏(54歳)は、中国囲棋協会は改革のスピードを速めなければならないと指摘し、そして、林建超新主席が改革の総方針、目標と計画を提出した。2018年の中国棋界は大きな変化を迎えるだろう。

【 歴代中国囲棋協会主席 】
初代 李夢華 氏(在任期間:1962年-1988年)
2代目 陳祖徳九段(在任期間:1988年-2006年)
3代目 王汝南八段(在任期間:2006年~2017年)
4代目 林建超 氏(在任期間:2017年~)
図1:改選会議左から常昊、聶衛平、羅超毅、趙勇、王汝南、林建超、孫光明、雷翔。
図2:中国各地の囲碁機構からの80余りの代表が会議に参加した。

(記事 / 写真:楊爍)

棋声人語 [ 2018年1月24日 ]

威孚房開杯新チャンピオン 范胤七段

優勝トロフィーを掲げる范胤七段

 年一度の「威孚房開杯 中国棋王争覇戦」は毎年下半期に北京中国棋院で行う1、2回戦に勝利した8名の棋士が、スポンサー企業のある江蘇省無錫市で準々決勝戦以降を戦うことになっている。この棋戦の特徴だが、新人が活躍する傾向がある。世界チャンピオンで優勝した棋士は少なく、これまで行われた13回のうち、孔傑九段(35歳)、時越九段(26歳)、柯潔九段(20歳)の三人だけだった。

 「第13回威孚房開杯」は12月28日に無錫で決勝戦が行われ、この対局が2017年最後のチャンピオン戦であった。決勝戦に進出した二人の棋士は特に有名な棋士ではないが、中国棋界では長年奮闘してきており、実力を発揮した棋戦も多々ある。一人は26歳の浙江省出身・張濤六段。試合が終わっても納得できる結果がでるまで休まずに検討することで知られている。2017年8月、彼はCCTV早碁戦で李欽誠九段(18歳)、柯潔九段などの名手に連勝し、優勝した。中国棋界の今年度のダークホースとなった。

  もう一人は20歳で広東の棋士である范胤七段。范七段は2016年に中国囲碁個人戦で優勝してから急成長を遂げ、囲碁甲級リーグの主力選手にもなった棋士だ。ちなみに、范七段と張六段は、相次いで中国国家囲碁集訓隊に選ばれ、今回の威孚房開杯では、張六段は実力者の芈昱廷九段(21歳)に勝ち、また范七段は世界チャンピオンになったばかりの辜梓豪九段(19歳)に勝利し、勝ち上がってきた。

 二人の決勝戦も非常に激しい内容で、結果は半目勝負で終わった。范七段はヨセの段階ではとても冷静で、半目で勝ちをもぎ取った。ちなみに、范七段は裕福な家庭に恵まれて、小さい頃はただの趣味として囲碁を勉強していたようだが、韓国の岳権道場で勉強したこともあるそうだ。プロになるか大学に入るか、かなり悩んでいたようだが、やはり囲碁に対する情熱がすべてに勝って、今日このトロフィーを手にすることとなった。

(記事:楊爍 / 写真提供:sina)

棋声人語 [ 2018年1月17日 ]

新世界チャンピオン辜梓豪

優勝した辜梓豪はインタビューを受けている(写真提供:囲碁天地)

 2015年(平成27年)、当時18歳だった柯潔九段はロケットのようなスピードで世に出て、百霊杯、三星杯、夢百合杯の三つの国際棋戦で優勝し、中国囲碁界に「柯潔時代」を作り上げた。この三年間で、唐韋星九段(24歳)、陳耀燁九段(27歳)は二度も国際棋戦で優勝し、また党毅飛九段(23歳)、檀啸九段(24歳)も優勝の悲願を叶えたのだが、柯九段は依然として中国最年少での世界チャンピオンである。囲碁界の世代交代は、いつも後輩が先輩を超える。先輩が戦場に戻って失われた土地を取り戻したことは、ほぼない。

 2017年12月7日、柯潔九段のライバルがやっと出てきた。柯九段より一つ下の辜梓豪五段(19歳)は三星杯決勝戦で初戦を落としたものの、2勝1敗で唐韋星九段に逆転で勝ち、初めて世界チャンピオンとなり、直接九段に昇段した。辜梓豪は今回の三星杯で、崔哲瀚九段(32歳)、李東勲八段(19歳)、朴永訓九段(32歳)などの韓国のトップ棋士に勝ち、名実伴う世界チャンピオンとなった。

 辜九段は中国湖北省出身、小さい頃、家があまり裕福ではなかったが、大きな経済的負担を抱えながら、北京に囲碁を勉強しに行った。そして入段に成功し、長年の努力を重ねて世界の頂点に至った。まさに囲碁界における一つの理想的な形である。じつは、辜九段は他の棋士と違い計画性がある棋士で、時間管理には結構厳しい。2016年初めて東京に国際新鋭対抗戦に参加に行った際、あらかじめ観光コースを完璧に作って、ちゃんとそれに従って行動し、頻繁に日本に行く引率者をも驚かせた。

(記事/写真:楊爍)

棋声人語 [ 2018年1月11日 ]

第19回阿含・桐山杯日中決戦

 2017年12月6日、冬の北京は寒風が骨にしみる。商業区にあるホテル「ウェスティン北京朝陽」で日中伝統の囲碁対抗戦――第19回阿含・桐山日中決戦が行われた。中国側は、決勝戦で柯潔九段(20歳)に勝ち、初めて優勝した柁嘉熹九段(26歳)。日本側はこの棋戦と同じ年齢の六浦雄太七段(19歳)。六浦七段が生まれた年の阿含・桐山杯日中決戦は、まだ馬暁春九段(53歳)と小林光一九段(65歳)の出場しており、それはスター達の時代だった。

 小林九段の時代が終わってから、日本囲碁界の勢いはだんだん衰えていき、日本の優勝者は日中決戦で13連敗を喫していた。2015年(平成27年)になって、やっと井山裕太九段(28歳)が一本を取り戻したが、翌年には河野臨九段(35歳)が柯潔九段に負けた。2017年の中国の優勝者は、世界戦で優勝経験のある柁嘉熹九段である。単に実力からみれば、日本の優勝者は確かに不利と見られた。

 ただ、柁嘉熹九段は優勝コメントで「六浦七段は実力者であった、来年自分もまた中国チャンピオンとして参加したいし、もっと若い日本チャンピオンとも出会い対戦したい」と述べた。

 阿含・桐山杯は早碁棋戦で、防衛制ではない。この19年、中国の阿含・桐山杯で二回連続優勝したのは劉星七段(33歳)一人だけである。陳耀燁九段(28歳)は三回決勝戦に進出したが、三回とも準優勝に甘んじており、縁がないとしか言えない。柁九段のこの二つの願いは、2018年にどちらか実現できるだろうか。

図1:対局現場。立会人の華学明七段(55歳)、記録係は陸敏全四段(18歳)と陳一鳴三段(26歳)。
図2:華以剛八段(68歳)と徐瑩五段のテレビ解説は阿含・桐山杯の定番。

(記事:楊爍 / 写真提供:囲碁天地)

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