囲碁ゲームサロン パンダネット

大会・イベント

日本囲碁ニュース 2016 (十段戦)

日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。

日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。

囲碁ニュース [ 2016年4月21日 ]

十段戦 井山7冠誕生!!

大勢の取材陣に取り囲まれる対局者

 午後5時21分、伊田篤史十段が投了すると、数十人もの取材陣が対局室(日本棋院本院・幽玄の間)へ大挙して押し寄せた。井山裕太棋聖が十段返り咲きを果たすとともに、悲願の7冠を達成した瞬間だった。どんな状況でも変わらず冷静なのが井山の持ち味。この時も感想を求められると、偉業を成し遂げた直後にも関わらずいつものように淡々と対局を振り返り、「ここ数年目標にしてきたことなので嬉しいです」と控えめに語った。一方の伊田は「ミスが多くて…、全然ダメです」と声を詰まらせた。
 井山が初めて史上初の6冠になったのは、2013年、棋聖戦挑戦手合で張栩九段を破った時だった。次は7冠と周囲の期待は高まり、井山自身もこのとき初めて7冠を意識したという。しかし、そこからの道のりは険しかった。その年の十段戦で結城聡九段にタイトルを奪われ、5冠に後退。その後、山下敬吾九段から名人位を奪うも、一昨年、残るタイトルである十段戦の挑戦者決定トーナメントの準々決勝で小林覚九段に敗れると、王座(挑戦者・村川大介八段)、天元(挑戦者・高尾紳路九段)と相次いで失冠。4冠にまで後退した。昨年、驚異的な精神力で立て直すと持っているすべてのタイトルを防衛。王座、天元、十段の挑戦者決定トーナメントを勝ち上がり、すべてで挑戦者となった。そしてその結果はご覧のとおりだ。
 7冠となってなお「自分はまだまだ未熟、もっと成長できる」と語る。日本の低迷が続く中、世界戦での活躍を期待する声も大きい。囲碁の7冠は今まで誰も見たことがなかった。井山ならこの先も想像を超える何かを見せてくれるに違いない。

 終局後に7冠達成の記者会見が行われた。様々な質問が寄せられたが、その中から主だったトピックスを下記にまとめた。

【7冠達成した感想】
ここ数年目標にしてきたことなので個人的には嬉しい。ただ、熊本の地震で大変な思いをしている方が多くいらっしゃるので、素直に喜べる心境にはなれないが、そういう方たちにも少しでもいいニュースとして受け止めてもらえれば…。

【これまでの道のりを振り返って】
6冠になってから7冠を意識し、目標にするようになったが、戦っていく中でその大変さを身をもって知った。特に6冠から4冠に後退した時は自分自身もう7冠は無理かと思った。(それだけに)今こうしていることが信じられないという気持ちが強い。

【なぜ強いのか】
まずい手を打つのは仕方ない。一喜一憂しないで今、この局面をどう打つべきかを考えるようにしている。その切り替えの良さは自分の長所だと思う。

【今後の目標】
究極の目標は世界で一番強くなりたいということ。今は中韓に1人ではなく、たくさん強い人がいて、本当の意味のトップレベルにはまだ劣ると思っている。自分にはまだまだ未熟な点があると感じていて、それは逆に言うと成長する余地があるということ。少しでも成長していきたい。

【将棋棋士、羽生善治名人について】
全盛期にどれだけ強いかということも大事だが、(羽生さんは)これだけ長く強さを維持しているということを特に尊敬している。囲碁は世界でも日本でも若返りが進んでおり、そうなるのは大変だと思うが、少しでも近づきたいと思っている。

【世界戦について】
出場できるチャンスが少ない状況だったが、チャンスがないわけではなかった。現状では期待に添えているとは言えない。世界戦も日本が頑張らないと盛り上がらないと思う。頑張って貢献していきたい。

【アルファ碁について】
興味深く観戦していた。棋士なら強い相手と打ちたいというのは自然と湧き上がる気持ち。そういう意味で個人的に対戦してみたいという気持ちはある。

総勢100人以上の取材陣が集まった
様々な質問が寄せられる

囲碁ニュース [ 2016年4月15日 ]

十段戦 伊田1勝返す!

 伊田篤史十段に井山裕太棋聖が挑戦する森ビル杯第54期十段戦挑戦手合五番勝負第3局が14日、長野県大町市で行われ、伊田十段が黒番中押し勝ちを収めた。
 今期十段戦の注目度は最高潮に達していた。なぜなら井山棋聖は現在7大タイトルのうち6冠を保持しており、十段を奪取すると史上初の7冠となるからだ。そしてシリーズが始まり第1局、第2局を井山棋聖が勝利。あと1勝で7冠というところまで来ていた。圧倒的な力で君臨する井山棋聖だけに、本シリーズは3連勝で奪取するのではというムードも漂っていたが、伊田十段が意地を見せた。ギリギリのところで1勝を返し、伊田十段は心の底からホッとしたに違いない。局後の検討では笑みがこぼれたが、コメントを求められると「まだカド番なことは変わらない。次局も精一杯頑張るだけです」と表情を引き締めた。
 井山棋聖は挑戦手合で18連勝中だったが、これで連勝記録はストップ。しかし井山棋聖は「いつかは止まる。自分としては上出来です」とさばけた様子。「(本局は)いつも通り打ちたい手を打っていたが、力が及ばなかった。(次局も)自分らしく戦うだけです」と話した。
 第4局が行われるのは20日(水)、日本棋院東京本院。大注目の本シリーズはまだまだ続く。

終局直後の対局室。報道陣が大勢詰めかけた。
小林覚九段と万波菜穂三段による大盤解説会。
大盛況で満席となった。

囲碁ニュース [ 2016年3月10日 ]

十段戦 開幕!

 伊田篤史十段に井山裕太棋聖が挑戦する第54期十段戦挑戦手合五番勝負が8日、大阪府東大阪市の「大阪商業大学」で開幕した。6冠を保持する井山が十段を奪取すると七大タイトルのすべてを独占する七冠となるため注目度は非常に高く、開幕したばかりにも関わらず大勢の報道陣が集まった。
 黒番の伊田十段が右辺に厚みを築いたが、白番の井山棋聖も足早に左辺を連打し、序盤は模様の張り合いに。長期戦になるかと思われたが、終盤近くで伊田にミスがあり、井山の白番中押し勝ちとなった。終局後、次局に向けての抱負を求められると、伊田は「自分らしく打てれば」と意気込みを語り、井山は「星の上ではリードしているが、まだ先は長い。精一杯打つだけです」と気持ちを新たにしていた。第2局は23日、三重県湯の山温泉「湯元グリーンホテル」で行われる。

大勢の報道陣が詰めかけた
終局直後の両対局者



囲碁ニュース [ 2016年1月27日 ]

井山 十段挑戦へ!!

 7大タイトルのうち6冠を保持している井山裕太棋聖が、3月に開幕する十段戦五番勝負の挑戦者に名乗りを上げた。
 挑戦者決定戦は1月21日、日本棋院関西総本部で井山と余正麒七段によって争われた。白番の余が中盤で華麗な打ち回しでリードを奪い、日本棋院東京本院で盛んに行われていた検討では井山の勝ちは絶望的と思われていた。しかし、終盤に一瞬の隙をついて逆転。黒番中押し勝ちで挑戦権を手にした。
 井山は棋聖戦挑戦手合の最中で、現在のスコアは井山の1勝0敗。棋聖の防衛に成功すれば、いよいよ7冠制覇へ挑戦することになる。現在十段を保持しているのは伊田篤史八段だ。21歳と井山より下の世代で、一昨年の本因坊戦では初のリーグ入りで初挑戦をして井山と戦っている。その時には1勝4敗で退けられたが、昨年はNHK杯優勝、十段獲得と順調に実績を積み重ねている。どんな勝負が繰り広げられるのか今から楽しみだ。



バックナンバー