日本囲碁ニュース

日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。

囲碁ニュース [ 2018年12月27日 ]

アマ碁界回顧2018

 今年のアマ碁界は若手の活躍が目立った。特に注目だったのが世界アマチュア選手権の日本代表を決める全国大会高校一年生の川口飛翔さんが優勝し史上最年少での日本代表となった。アマ名人戦でも19歳の栗田佳樹さんが優勝した。栗田さんは他にもネット棋聖戦でも優勝し二冠になっている。こういった若手が活躍する中でアマ本因坊戦では40代の平岡聡さんが優勝し名誉アマ本因坊の称号を獲得した。決勝ではアマ名人の栗田さんを破っている。
 学生碁界は群雄割拠の年となった。ここ2年、大関稔さんの活躍が続いていたが四年になった大関さんは優勝に手が届かないどころかなかなか勝ち進むことができなかった。学生本因坊戦では岡田健斗さん、学生最強位戦では山田真生さん、学生十傑戦では津田裕生さんが初優勝した。大関さんも年の最後には学生王座を獲得し四年間無冠の年はなく終わることができた。アマ名人の栗田さんは学生の中で最も注目をされていた一人であるが、学生大会は3つの準優勝で終わった。女子学生本因坊戦では藤原彰子さんが3連覇を果たし絶対女王の実力を見せつけた。
 三大大会以外ではアマ竜星戦で諸留康博さんが2人目の3連覇を果たし、赤旗名人戦では柳田朋哉さんが初の3連覇を達成した。
 来年は平成の元号も代わり新たな時代となるが、また注目の若手が現れるのか、ベテランが巻き返すのか。

山田真生さん(東京理科大学:左から2番目)が学生棋戦初優勝、学生最強位に
栗田佳樹さん(東京理科大学:左)、アマ名人戦に続き、ネット棋聖戦も優勝し、アマ二冠王となった。
大関稔さん(専修大学)、全日本学生囲碁王座戦で3回目の優勝。来年2月の世界戦に挑む。

囲碁ニュース [ 2018年12月19日 ]

井山、安堵の王座4連覇

 注目された第66期王座戦五番勝負(日本経済新聞社主催)の第5局が、12月13日に山梨県甲府市の「常盤ホテル」で行われた。早くから優勢となった井山裕太王座は、終盤秒読みとなっても手を緩めず、王座らしい最強の選択で白番中押し勝ちを収め、4連覇を決めた。一力遼八段の初の七大タイトル獲得は来年以降に持ち越しとなった。今年、碁聖、名人を立て続けに失い五冠となっていた井山は、局後に安堵した表情で「悪い流れを止めることができたのは、自分にとって大きいことでした」と語り、「もう一つ天元戦が残っていますので、そちらでもレベルの高い戦いができるように努力し、よい形で一年を終わりたい」と続けた。二年連続挑戦者に名乗りをあげ、今期は「あと一勝」まで迫りながら敗れた一力は「第4局以外は内容が良くなかったので、この結果も仕方ないです」と言葉少なにシリーズを振り返った。
 井山はこの防衛で、七大タイトル獲得数を「42」とし、趙治勲名誉名人の記録と並んだ。このことを記者団に尋ねられた井山は、「子供のころから憧れていた趙先生の記録に並べたのは不思議な気持ちです。自分でもよくできたと思います」とやはり安堵の表情で語った。

囲碁ニュース [ 2018年12月12日 ]

藤沢里菜、女流本因坊を奪還

 謝依旻女流本因坊の1勝2敗で迎えた第37期女流本因坊戦五番勝負(共同通信社主催)の第四局が、12月5日、東京都千代田区の日本棋院で行われた。「序盤から一手一手が難しかった」と謝が振り返った難戦は、黒番の謝が押し気味に進んだ。だが、途中後悔の手があり、藤沢里菜女流立葵杯が勝負強さを見せて抜き去り、白番中押し勝ちを収めた。藤沢は前期、2連勝からの3連敗で謝に敗れた。その悔しさを「忘れられない」とシリーズの前に笑顔で語っていたが、見事に雪辱を果たし奪還。女流名人、女流立葵杯と合わせて女流三冠となった。謝は史上4位の記録となる11年1か月の間タイトルを保持したが、無冠となった。局後「チャンスはあったかもしれませんが、これが今の実力です」と謝。藤沢は「とても嬉しい。シリーズを通して自分なりに戦えたかなと思う。これからも日々成長できるように精一杯がんばっていきたい」と語った。

天元戦も、最終局へ

 井山裕太天元に山下敬吾九段が挑戦する第44期天元戦五番勝負(新聞三社連合主催)は、第三局が11月23日に佐賀県鹿島市の「祐徳稲荷神社」で行われ、140手まで白番の井山天元が中押し勝ちを収めて2勝1敗とし、防衛に王手をかけていた。迎えた第四局は、12月10日、兵庫県洲本市の「ホテルニューアワジ」で行われた。
 予想に違わず序盤から激しい攻防が始まり、戦いが続き、立会人の山田規三生九段によれば、「形勢が二転三転する熱戦」となった。終盤に入り、「はっきり悪い手を打ってしまった」と井山天元。山下九段が逆転で白番2目半勝ちとし、スコアを二勝二敗のタイに戻した。第五局は、徳島県徳島市の「徳島グランヴィリオホテル」で12月19日に行われる。  井山五冠にとっては、13日の王座戦に続いての正念場となる。王座、天元どちらかを防衛すると、七大タイトルの通算獲得数が「42」となり、趙治勲名誉名人の歴代最多記録と並ぶことになる。

 その他、新棋戦「SGW杯中庸戦」(株式会社セントグランテW協賛)の本戦が12月8、9日に行われた。31歳以上60歳以下、かつ七大棋戦、竜星戦、阿含桐山杯の優勝経験のない棋士に出場資格があり、ネットによる予選を勝ち上がった16名が本戦に進みスイス方式で順位を決定するシステム。第一回は林漢傑八段が優勝し、賞金200万円を獲得した。
 また、12月10日には、上野愛咲美女流棋聖への挑戦をかけた第22期女流棋聖戦(NTTドコモ協賛)挑戦者決定戦が行われた。藤沢里菜女流三冠が謝依旻六段に白番中押し勝ちを収め、謝のリターンマッチ進出の望みは断たれた。上野女流棋聖の初防衛か、藤沢の四冠なるかが注目される挑戦手合は、来年1月17日に開幕する。

囲碁ニュース [ 2018年12月5日 ]

謝依旻女流本因坊、一勝を返す

 挑戦者、藤沢里菜女流立葵杯の二連勝で迎えた第37期女流本因坊戦の挑戦手合五番勝負(共同通信社主催)の第三局が、広島県尾道市「本因坊秀策囲碁記念館」で打たれた。瀬戸際に立たされた謝依旻女流本因坊だったが、藤沢の猛追をかわして白番中押し勝ちとし、一勝を返した。「昼食休憩あたりから苦しい形勢でした」と振り返る藤沢。しかしその後、謝に錯覚があり藤沢に盛り返され、リードはわずか。さらに、形勢判断が難しい中、コウ争いに突入する混戦となった。逃げ切った謝は局後、疲労困憊した様子で笑顔はなく、「後がないことに変わりはなく、次もベストを尽くすしかありません」と語った。第四局は、12月5日に日本棋院東京本院で打たれる。

一力遼八段が並び、王座戦は最終局へ

 井山裕太王座の二勝一敗で迎えた第66期王座戦五番勝負(日本経済新聞社主催)の第四局が、11月30に新潟県南魚沼市の「龍言」で打たれた。井山王座が一敗後に連勝して流れを引き寄せたかに思われたが、一力遼八段が精神力の強さを見せ黒番1目半勝ちを収め、シリーズは最終局にもつれ込むこととなった。意欲的に打ち進める一力が序盤にリードを築くと、井山王座は局面を難しくして勝負形に持ち込んだ。逆転のチャンスもあったようだが、一力が冷静に対処して危機を脱出した。解説の河野臨九段は「井山王座の反撃はさすがでしたが、最後は一力八段の冷静な判断が光りました」と話す。前期、3棋戦の挑戦者に名乗りをあげながら10連敗の苦杯を喫した一力八段は、何としても雪辱を果たしたいところ。碁聖、名人と失冠が続いている井山王座も、悪い流れを止めたい正念場。注目の最終局は、12月13日に山梨県甲府市の「常盤ホテル」で行われる。

囲碁ニュース [ 2018年11月26日 ]

井山王座、連敗を止め連勝。防衛に王手

  井山裕太王座に、一力遼八段が挑戦している第66期囲碁王座戦(日本経済新聞主催)五番勝負の第2局が11月17日、第3局が19日に、三重県志摩市の「志摩観光ホテル」で打たれた。一力八段の先勝でスタートした本シリーズ、連勝して一気に初の七大タイトル奪取を決めるかが注目された。また、井山王座は、碁聖、名人と続いて二冠を失い、過密スケジュールの中、七大タイトル挑戦手合も4連敗と苦しんでいた。2週間の休養を経た第2局の戦いぶりにも大きな注目が集まった。
 その第2局は、上辺一帯で、互いに生きていない石が絡み合う壮絶で難解な戦いとなったが、最後は井山王座が中央の黒の大石を仕留めて白番中押し勝ちを収めた。解説の中野寛也九段は「井山王座が優勢でも緩まずに最強手を打ち続けた快勝譜」と評した。続く第3局も、最強手を打ち続ける「井山流」で優勢を築き、黒番中押しでの快勝。スコアを2勝1敗と逆転し、防衛に王手をかけた。「負けない井山」が戻ってきたのか、一力八段の巻き返しが成るか、注目の第4局は、30日、新潟県南魚沼市の「龍言」で打たれる。

広島アルミ杯・若鯉戦、富士田明彦六段が初優勝

  30歳以下・七段以下の若手棋戦、第13回広島アルミ杯・若鯉戦(日本棋院、日本棋院広島県本部主催。広島アルミニウム工業株式会社特別協賛)が、11月17日、18日に広島市で行われた。本戦に勝ち上がった、女性棋士4名を含む16名のトーナメント戦で、1手30秒、1分単位で合計10回の考慮時間という「NHK杯方式」の対局だ。大会初日は1回戦と2回戦が行われ、ベスト4には藤沢里菜女流立葵杯・女流名人が勝ち残って注目された。大会二日目、芝野虎丸七段らを降して勝ち上がった、今年絶好調の小池芳弘三段と、今月名人リーグ入りを果たした2名、六浦雄太七段と孫喆七段らを破った富士田明彦六段が、決勝に駒を進めた。結果は富士田六段の黒番中押し勝ち。平成25年の第38期新人王戦優勝以来、二度目の公式戦優勝を決めた。

囲碁ニュース [ 2018年11月21日 ]

正力松太郎 囲碁殿堂入り

 10月29日、東京市ヶ谷の日本棋院において第15回囲碁殿堂表彰委員会が開かれ、正力松太郎が第15回囲碁殿堂入りを決めた。
 正力松太郎(1885年-1969年)は読売新聞社の社主として同新聞の部数拡大に成功し読売中興の祖と言われた。プロ野球をはじめ、多くの事に功績があり、○○の父といくかの分野で呼ばれている。
 そんな正力は昭和囲碁界の大スポンサーとして多大な貢献があり今回の殿堂入りとなった。
 創設間もない日本棋院が、脱退したメンバーで創設された棋正社と対立すると、正力は「院社対抗戦」を企画し、その様子を新聞に掲載した。対抗戦ではかつて本因坊家継承を争った本因坊秀哉 と雁金準一の対局が話題となり、読売新聞の売上げは一挙三倍に増えることになった。また、呉清源・木谷実の十番碁をはじめ、当時、囲碁界最強といわれた呉清源対トップ棋士の十番碁を次々と開催し、読売新聞の売り上げを伸ばすとともに、囲碁を全国に広めた。
 先の○○の父の中に、昭和囲碁界隆盛の父も含まれている。
 これまで本因坊算砂や道策、丈和、秀栄、秀哉といった江戸時代から明治、大正にかけての名人や昭和に活躍した棋士たちが、多く殿堂入りしていたが、昨年の正岡子規に続き棋士ではない人物の殿堂入りとなった。

囲碁ニュース [ 2018年11月14日 ]

山下敬吾九段、1000勝目を棋聖戦挑戦者獲得で飾る

 井山裕太棋聖への挑戦権をかけた大一番 ―― 第43期棋聖戦(読売新聞社主催)の挑戦者決定変則三番勝負、第1局が、11月8日に打たれた。挑戦者決定トーナメントは、Cリーグ優勝の大西竜平三段がBリーグ優勝の芝野虎丸七段、Aリーグ優勝の村川大介八段を破る躍進を見せたが、続くSリーグ二位の河野臨九段戦で惜しくも半目届かず敗退した。変則三番勝負は、Sリーグ優勝の山下敬吾九段に1勝のアドバンテージがつくため、河野九段はまず1勝をあげて第2局に望みをつなぎたいところ。盤面は、序盤で黒番の河野九段がポイントをあげたかに見えた。山下九段は「左辺の黒を取りにいかなければならない形勢になってしまった」と振り返る。その左辺の黒を、河野九段は「さほどシノギに苦労はしない」と見ていたのだが、剛腕・山下九段の厳しい攻めに苦戦を強いられることとなった。6時間以上の「攻めとシノギ」が続き、きわどい形に持ち込むものの、最後は河野九段が力尽き投了。第2戦を待たずに、山下九段が挑戦権を獲得した。山下九段は、これで七大タイトル挑戦手合連続出場を「17年」とし単独二位に浮上。また、この大きな一勝が史上最短記録での1000勝目となる。局後山下九段は「目標にしていました。七番勝負に出場できることは本当に嬉しい。これまで井山さんにはひどい目にあっているので、何とかよい勝負にしたい。張栩さんに続きたい」と抱負を語った。

女流本因坊戦、藤沢里菜挑戦者が二連勝

 謝依旻女流本因坊に、藤沢里菜女流立葵杯が挑戦する第37期女流本因坊戦の挑戦手合五番勝負(共同通信社主催)の第二局が、11月9日に、日本棋院東京本院で打たれた。白番の藤沢が黒の勢力圏で鮮やかにしのぎ、謝の勝負手にも逆襲する力を見せ中押し勝ち。タイトル奪還に王手をかけた。
追い込まれた謝の巻き返しが期待される第三局は、11月24日に広島県尾道市「本因坊秀策囲碁記念館」で行われる。

囲碁ニュース [ 2018年11月8日 ]

張栩、10期ぶりに名人奪還

 第43期名人戦七番勝負(朝日新聞社、主催)の第七局が11月1、2日に静岡県河津町で行われ、271手まで、挑戦者の張栩九段が白番4目半勝ちを収め、10期ぶりに名人位を奪還した。2009年に囲碁界初の五冠を達成し、2013年に棋聖位を奪われ無冠となって以来、5年ぶりの七大タイトル獲得となる。井山裕太名人は、2015年以来、3年ぶりに五冠に後退することとなった。
張栩新名人は、「七局目というのは、僕の中で特別な感情を持っていて、一つ一つが人生の節目のように感じる。一局の勝ち負けでシリーズ全体の勝負が決まるという究極の状態で、その中でどれだけ自分の力を出せるか、どれだけおそれずに進んでいけるか、すごく人間性も試されているような気がする。もちろん勝ったことは嬉しいですが、思い切り自分らしく戦えたことが、すごく充実感があります」と振り返り、「ずっと目標にしていたことが現実になって夢のよう。ただこれからが大変。責任ある立場ですし、もっと日本囲碁界全体を盛り上げられるように、さらに精進しなきゃいけないなと思います」と語った。井山は「シリーズを通して、大事なところでミスが出た。それが今の自分の実力です」と淡々と振り返り、「自分には、まだ成長の余地がある」と前を向いた。

囲碁ニュース [ 2018年11月1日 ]

名人戦、最終局へ

 井山裕太名人の3勝2敗で迎えた、第43期名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)第6局が、10月22、23日の両日、静岡県熱海市の「あたみ石亭」で行われた。序盤は真似碁のような面白い進行となり注目されたが、その後を井山名人は「どちらかというと自信のない展開。ちょっとずつ、つらかったかもしれない」と振り返った。結果は、挑戦者の張栩九段の黒番中押し勝ち。本シリーズで挑戦者が初めて封じた一手も、勝利への執念が見えて印象深かった。張九段は局後、「わからないこともありますが、うまく打てたと思う。7局目が楽しみです。次もいい対局を見せたい」と語った。七大タイトルが最終局までもつれ込むのは2年ぶりとなる。7局目は11月1、2日に、静岡県河津町で行われる。その間に、王座戦、天元戦の挑戦手合も組まれており、疲れが心配される井山名人は「気持ちを新たに打ちたい」と前向きのコメントを残した。

王座戦開幕。一力が白星スタート

 井山裕太王座に一力遼八段が挑戦する第66期王座戦五番勝負(日本経済新聞社主催)が開幕し、第1局が10月26日に東京都目黒区の「ホテル雅叙園東京」で打たれた。一力八段は昨年、王座、天元、棋聖の挑戦手合に名乗りをあげながら、王者井山によもやの10連敗を喫した。「また、挑戦者に戻れてよかった」と語った一力八段の雪辱を期す強い思いは想像に難くない。中盤まで井山王座の打ち回しが冴え優勢を築いたが、終盤に入り失速。解説の高尾紳路九段は「終盤にこんなに乱れる井山王座を見たことがない」とコメントした。逆に一力は気迫で猛追し、ついに逆転を果たし、白番2目半勝ち。昨年の借りをまず一つ返した。井山王座は「気持ちを切り替えます。成長できるチャンスだと思って一生懸命打ちます」と話した。第2局は11月17日、第3局は19日にいずれも三重県志摩市で打たれる。勢いに乗って一気に一力がタイトルを勝ち取るか、井山王座が踏み止まるか注目される。

天元戦は、1勝1敗に

 井山裕太天元に山下敬吾九段が挑戦する第44期天元戦五番勝負(中日新聞社、新聞三社連合主催)も開幕した。10月19日に、福井県あわら死「あわら温泉まつや千千」で打たれた第1局は、壮絶な戦いの中、山下九段に失着があり、井山天元が白番中押し勝ちを収めた。第2局は、10月29日に北海道標津郡中標津町の「トーヨーグランドホテル」で行われた。中盤まで山下九段優勢の局面を井山天元が猛追する展開で、両者残り1分の中、312手に及ぶ熱戦となった。結果は、白番の山下九段が半目制し、対戦成績を五分に戻した。第3局は、11月23日に佐賀県鹿島市で打たれる。

囲碁ニュース [ 2018年10月25日 ]

第18回全国アマチュア囲碁団体戦東京大会

 10月21日、東京市ヶ谷の日本棋院において第18回全国アマチュア囲碁団体戦東京大会が行われた。1チーム3人の団体戦で76チームが無差別クラス、クラス別戦に分かれて熱戦を繰り広げた。無差別クラスは16チームが参加し、優勝チームは11月23日に大阪大会優勝チームと決戦対局を行う。
 無差別クラスは非常にレベルが高く、個人戦で全国優勝を狙えるメンバーでチームを組んでいるところが多く参加した。そんな激戦を勝ち抜き決勝に駒を進めたのは、「山田と愉快な仲間達」と「ちっちゃいものクラブ」である。両チームのどちらかが優勝するのではという前評判通りの決勝となった。
 山田と愉快な仲間達は、現在プロ試験受験中の山田凌馬さんを中心に集まった会で、アマ名人の栗田佳樹さんを主将に、元院生Aクラスの西山喬紘さんが副将、世界アマ日本代表の川口飛翔さんが三将と、今年のアマタイトルホルダー二人を擁する10代の若手チームである。
 対する、ちっちゃいものクラブは、今年の学生最強位である山田真生さんを主将に、アマ大会、学生大会で多くの優勝実績がある大関稔さんを副将、中学、高校と全国優勝し大学でも活躍する坂倉健太さんが三将の20代の学生メンバーである。メンバー3人とも身長が低いことからこのチーム名になったようである。  どちらも若手の強豪チームで熱戦が繰り広げられ、主将戦を栗田さんが、副将戦を大関さんが勝ち、1勝1敗となり見守られていた三将戦は時計の叩き合いで坂倉さんの時間が切れ、2-1で山田と愉快な仲間達が優勝を決めた。

大会風景
決勝戦 優勝の山田と愉快な仲間達(右)

囲碁ニュース [ 2018年10月18日 ]

張栩九段がカド番を凌ぐ

 井山裕太名人に張栩九段が挑戦している第43期名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第四局が10月10、11日の両日、第五局が4日後の15、16日に、それぞれ兵庫県宝塚市の「宝塚ホテル」、山梨県甲府市の「常盤ホテル」で打たれた。一週間に二局というハードスケジュールの中、第四局で井山名人が勝利して3勝目をあげるも、張九段が踏み止まって2勝目を返し、舞台は10月22、23日に静岡県熱海市の「あたみ石亭」で打たれる第六局に移されることになった。
 第四局は、一日目に黒番の張九段が優位に運びながら二日目に流れが一転して、井山名人が優勢に立ち中押し勝ち。防衛にあと一勝と迫った。
 第五局の対局地は、過去に2008年の第33期名人戦第七局、2011年の第35期棋聖戦第六局でも両者が戦った舞台で、いずれも初挑戦の井山を張栩が退けて防衛を決めている。2008年は井山の初の10代の名人の夢が砕かれた一局として、2011年は東日本大震災の日の対局として、記憶にも残る大一番だった。井山名人は「過去は過去」、張九段は「また、この対局地に戻ってきたかった」と臨んだ。穏やかな立ち上がりに見えたが、やはり難解な戦いへと突入し、張九段が白番9目半勝ちを収めた。張九段は「途中から思わぬ変化になり、相手の妙手もあり訳がわからなかった。運がよかった」、井山名人は「二日目に入り、大変かと思っていた。その後勝負形になったかと思ったが、最後の判断ミスがひどかった」とそれぞれに激闘を振り返った。

女流本因坊戦、藤沢が初戦を制す

 謝依旻女流本因坊に、藤沢里菜女流立葵杯が挑戦する第37期女流本因坊戦の挑戦手合五番勝負(共同通信社主催)が開幕。第一局が、10月10日に岩手県花巻市の「佳松園」で行われた。序盤、上辺の攻防で謝に悔いの残る手があり、早々と藤沢が優勢を築き、そのままやや一方的な展開となったようだ。結果は黒番藤沢の中押し勝ちとなった。謝は「序盤が悪すぎました。二局目まで時間があるので、気持ちを切り替えたい」と言葉少なに語り、藤沢は「五番勝負は長い戦いなので、体調管理にも気をつけ、これからも私らしく精一杯頑張りたい」と気を引き締めた。

大西竜平三段、二勝目。夢の実現なるか

 第43期棋聖戦(読売新聞社主催)は、挑戦者決定トーナメントが開幕している。棋士全員が一年目から挑戦者になる可能性がある新システムになってから4期目。大西竜平三段が、その夢を実現させるか注目が集まっている。
 9月27日に打たれた第一局は、Cリーグ優勝の大西三段対、Bリーグ優勝の芝野虎丸七段という注目のカードとなった。両者は、同学年で、棋士としてのスタートも同じ年。研究会も共にする友人でもあるが、実績面では芝野がやや先を行く。大西としては、何としても勝ちたいこの一局を制し駒を進めた。
 第二局、Aリーグ優勝の村川大介八段との一戦は10月8日に打たれ、大西三段が相手模様に深く踏み込む積極策を奏効させて白番中押し勝ちを収めた。この後に控えるのは、Sリーグ二位の河野臨九段と、Sリーグ優勝の山下敬吾九段。山下敬吾九段には二勝が必要となる。過去に、Cリーグ優勝者が三局目のSリーグの壁を破ったことはない。好調の大西が初の快挙を成し遂げるか、注目の第三局は今月22日に行われる。

囲碁ニュース [ 2018年10月11日 ]

一力遼八段、阿含・桐山杯初優勝

 阿含・桐山杯第25期全日本早碁オープン戦(日本棋院主催、毎日新聞、京都新聞後援、阿含宗特別協賛)の決勝戦が10日6日、京都市山科区の阿含宗釈迦山大菩提寺で行われた。決勝に勝ち上がったのは、本戦で伊田篤史八段、井山裕太六冠、許家元碁聖を破ってきた一力遼八段(21)と、同じく瀬戸大樹八段、張栩九段、余正麒七段を降した芝野虎丸七段(18)。台頭する若手の中でも、今最も注目を集める二人の決戦となった。
 序盤、黒番の一力が上辺の白に攻めかかる積極策に出ると、戦いは全局に波及し、若手らしい気合いの応酬となった。最後は下辺で起きたコウ争いが、形勢を決めたようだ。
 一力が213手で中押し勝ちを収め、初優勝を手にした。今年、竜星戦についで二つめの早碁棋戦の優勝となり、総タイトル数も7に伸ばした。
 局後一力は、「難しい戦いが続いたが、自然体で自分らしい碁が打てた」と決勝戦を振り返り、予選からの道のりを「際どい碁が多く、勝てたのは自信になります」と胸を張った。

囲碁ニュース [ 2018年10月5日 ]

張栩九段、一勝を返す

 井山裕太名人の二勝で迎えた、第43期名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第三局が、9月25、26の両日、鹿児島県鹿児島市「城山ホテル鹿児島」で行われた。挑戦者の張栩九段は、連敗後も「一番苦しい終盤戦の時間帯も集中力を切らさずに打てている。手応えを感じている」と語って本局に臨んだ。その言葉どおり、本局は、井山名人の必死の追い上げを、見事なヨセで振り切り、白番・張九段の4目半勝ちとなった。「まず、一勝を返したことが嬉しい」と局後に張九段は語り、「(散歩をしたおりに)名人戦を盛り上げられるようにと、西郷隆盛さんの像にも手を合わせた。それが良かったのかな」と記者陣を和ませ、「ますます盛り上げていきたい」と引き締めた。敗れた井山名人は「本局は苦しい時間が長く、チャンスがきた局面もあったが、はっきりと優勢にする手は見つからなかった。七番勝負は長いので、スコアは気にせず戦っていきたい」と語った。第四局は、兵庫県宝塚市「宝塚ホテル」にて、10月10、11日に行われる。

一力遼八段、二度目の竜星に輝く

 第27期竜星戦(囲碁将棋チャンネル主催)の決勝戦が、9月24日放映された。決勝に勝ち上がったのは、井山裕太棋聖、村川大介八段らを破った本木克弥八段と、許家元碁聖、今村善彰九段らを破った一力遼八段。前期に続き、注目の若手同士の決戦となった。険しい乱戦の中、やや優勢に進めていた白番・本木に錯覚があり、局面は一気に黒ペースとなり、一力が中押し勝ち。二期ぶり二度目の優勝を果たした。本木は「(錯覚に気がついたときは)ショックでした」と局後悔しさを隠しきれない様子。一力は「どちらに転んでもおかしくない難しい碁でしたが、粘り強く打てました」と喜びを語り、「今年から韓国も加わり、日中韓竜星戦になりました。こちらもベストを尽くしたい」と、早くも世界の戦いに目を向けていた。

広瀬優一二段が、新人王獲得

 25歳以下、六段以下の棋士による「若手棋士登竜門」――第43期新人王戦(しんぶん赤旗主催)の決勝三番勝負・第二局が、10月1日に、東京・市ヶ谷の日本棋院「幽玄の間」にて行われた。黒番・広瀬優一二段(17)が、大西研也三段(23)に4目半勝ちを収め、プロ三年目で初タイトル獲得を果たした。局後、「ずっと難しいと思っていた」と振り返り、「まだ実感がわかないのですが、今年は若手棋戦で優勝することが目標でしたので、達成できてホットしています」と笑顔で語った。

囲碁ニュース [ 2018年9月20日 ]

世界アマ 川口さん最年少V

 9月15日、16日の両日、東京市ヶ谷の日本棋院において第40回囲碁・将棋チャンネル杯世界アマチュア囲碁選手権日本代表決定戦の全国大会が行われ、高校1年生の川口飛翔(かわぐち つばさ)さん(埼玉)が16歳で最年少優勝を果たした。
 今大会の2日目(ベスト4)に勝ち進んだのは、昨年の優勝者である村上深さん、同じく準優勝の柳田朋哉さん、過去2回の優勝経験のある江村棋弘さんと川口さんの4名である。その中から川口さんと江村さんが決勝に進出した。
 江村さんは、先日の学生最強位戦で優勝した山田真生さん、今年のアマチュア本因坊戦で優勝した平岡聡さん、昨年優勝の村上深さんを破り決勝まで勝ち上がってきたが、16歳の優勝者誕生なるかという注目と空気の中、川口さんに敗れた。
 川口さんは院生でAクラスの経験があり、洪道場で腕を磨いた。プロ試験では惜しくもプロ入りを逃し、中学で院生を辞め、筑波大学付属駒場高等学校に進学した。今年は院生辞退後の規定で高校選手権には参加できなかったが、来年は注目選手の一人になるであろう。
 今大会優勝の川口さんは来年行われる世界アマチュア選手権に日本代表として挑む。川口さんは日本では最年少記録ではあるが、これまで中国や韓国では10代での代表は何人も出てきており、けっして珍しいことではない。プロだけではなくアマ碁界でも若手が活躍してきている。この勢いで来年の世界大会での川口さんの活躍を期待したい。

囲碁ニュース [ 2018年9月19日 ]

名人戦第2局 史上2位336手の激戦

 井山裕太名人先勝でスタートした第43期名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第二局が、9月12、13日に、愛知県田原市の「角上楼」で行われた。終局は午後8時7分。名人戦史上2番目の長手数336手(最長は第31期の364手)で、張栩九段の猛追を振り切って井山が白番2目半勝ちを収めた。井山は、二日目の午後4時16分、162手目から持ち時間が「残り1分」となり、その後を秒に読まれながら戦い抜いた。局後井山は「途中からはわからないことばかりでダメにしたかと思ったが、中央のヨセで得をしていけると思った」と振り返り、張は「最終盤にもチャンスがあったのに、ミスが出て残念。内容的には悪くないので、心を入れ替えて頑張ります」と決意を語った。第三局は、25、26日、鹿児島県鹿児島市「城山ホテル鹿児島」で行われる。

一力遼八段、二連連続、王座戦挑戦者に

 9月13日、一力遼八段と本木克弥八段による第66期王座戦挑戦者決定戦(日本経済新聞社主催)が行われ、239手まで、一力八段が黒番中押し勝ちを収めた。2期連続2回目の井山裕太王座への挑戦となる。一力八段は昨年、井山七冠に「天元」「王座」「棋聖」で挑戦し「十七番勝負」と言われたが、10連敗の苦杯を舐めた。その後、一時期不調だったが、自信を回復し好調の波に乗っている。師匠の宋光復九段は「大学が夏休みなことと、AIの勉強法を取り入れたことで、研究が楽しくて仕方ないようだ」と成長に期待を寄せる。一力は「タイトル戦の舞台に戻れてよかった。自分らしく悔いのないように精一杯戦いたい」と抱負を語った。

棋聖戦挑戦者決定トーナメント出場棋士決定

 棋聖戦も佳境に入っている。9月17日は、Sリーグ最終戦2局と、Bリーグ優勝決定戦が打たれ、挑戦者決定トーナメント出場棋士が出そろった。
 Bリーグ1組を制した秋山次郎九段と2組を全勝で駆け抜けた芝野虎丸七段の優勝決定戦は、芝野が中押し勝ち。芝野は「全勝できるとは思っていなかった。調子の波がいいので、がんばりたい」と語った。
 Sリーグの一局目は、張栩九段と河野臨九段の一戦。張は陥落が決まっており、河野は勝てば二位の可能性があり、敗れれば陥落の可能性があるという状況。結果は河野が細かい難戦を制し、まず残留を確定させた。
 もう一局は、一力遼八段と許家元碁聖戦。河野が勝った時点で一力の陥落が決定したが、深夜まで及ぶ熱戦を、一力が意地を見せて勝利した。勝てば二位が確定した許には、悔しい敗戦となった。
 この結果、挑戦者決定トーナメント出場棋士は、山下敬吾九段(Sリーグ優勝)、河野臨九段(Sリーグ二位)、村川大介八段(Aリーグ優勝)、芝野虎丸七段(Bリーグ優勝)、大西竜平三段(Cリーグ優勝)の5名に決定した。注目の1回戦、芝野対大西の対局は、今月27日に行われる予定だ。

囲碁ニュース [ 2018年9月12日 ]

女流本因坊戦、4年連続「謝×藤沢」の対決!

 謝依旻女流本因坊への挑戦権をかけた第37期女流本因坊戦(共同通信社主催)の本戦決勝戦が、9月6日、東京都市ヶ谷の日本棋院で行われた。決勝の大一番に勝ち上がったのは、タイトル奪還を期す藤沢里菜女流立葵杯(19)と、勝てば初の五番勝負登場となる上野愛咲美女流棋聖(16)。謝女流本因坊を脅かす若い2強の決戦となった。序盤から難しい戦いに突入し黒番の上野がリードを奪うと、藤沢が「シノギ勝負のつもりで」勝負手を決行。黒が取りかけのチャンスを逃した後コウになり、この折衝で白が逆転に成功したようだ。白番中押し勝ちを収め、藤沢が挑戦者に名乗りをあげた。
 女流本因坊戦は、藤沢が初めて番碁を経験した「思い入れの深い棋戦」。第33期にタイトルを手中にしたが、翌年、謝に奪われた。その翌年奪い返すも、再び謝に奪い返されている。昨年、第36期の第五局は、勝勢の碁を逆転される内容で「今思い出しても悔しい」と振り返る。雪辱への強い思いを胸に秘め、藤沢は「謝さんとは長期戦になると思うので、体調管理に気をつけて一局一局を精一杯打ちたい」と静かに抱負を語った。注目の第一局は、10月10日、岩手県花巻市「佳松園」で行われる。

囲碁ニュース [ 2018年9月5日 ]

山下敬吾九段、天元戦の挑戦者に

 第44期天元戦(新聞三社連合主催)の挑戦者決定戦が、9月3日、東京都市ヶ谷の日本棋院で行われた。
決定戦の舞台に勝ち上がったのは、「井山裕太七冠」の牙城を崩し、今年大注目の許家元碁聖(20)と、七大タイトル挑戦手合出場記録を更新し続ける、不屈の精神の持ち主山下敬吾九段(39)。結果は、山下敬吾九段が、226手まで白番中押し勝ちを収め、井山裕太天元への挑戦権を獲得した。期待された、許碁聖の二つ目の七大タイトル獲得はならなかった。
 AIを取り入れた立ち上がりから、両者の棋風がかみ合い戦いの碁となり、最後は右辺のコウ争いで決着がついた。山下九段の腕力が許碁聖の読みを上回った結果となったようだ。山下九段は、今年は本因坊戦に続いて二つ目の七大タイトル挑戦、天元戦では3期目のタイトル獲得を期しての8期ぶりの五番勝負進出となる。
 決定戦の局後、山下九段は「私が挑戦者になり、井山さんは喜んでいるかもしれません。なんとか井山さんを苦しめられるように頑張りたい」と抱負を語った。井山裕太天元との五番勝負は、10月19日に開幕。福井県あわら市の「まつや千千」で第一局が行われる。

囲碁ニュース [ 2018年9月3日 ]

名人戦七番勝負、開幕!

 井山裕太名人に、張栩九段が挑戦する第43期名人戦七番勝負(朝日新聞主催)が開幕した。第一局は、8月28、29の両日、東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で行われ、井山名人が239手、黒番中押し勝ちを治めた。

対局前夜、10期ぶりの復位を期す張九段は、「最高の舞台でまた戦えることに、いろいろな思いが込み上げている」、井山名人も「張栩さんとの名人戦は自分にとっての原点。また同じ舞台で戦えることを特別なことと感じている」と、それぞれ胸の内を明かした。
 対局一日目は、井山名人いわく「経験したことのない形になり、形勢がわからなかった」という難しい局面となった。二日目、右辺のコウ争いで井山名人がリードを奪い、粘る張栩九段を振り切っての勝利となった。
 局後、井山名人は、「はっきりいけると思ったのは最後のほう」と振り返り、「碁聖戦はストレートで敗れてしまったので、とりあえず1つ勝てたことはホッとしています。それよりも、自分なりに精一杯戦えたのがよかった」と語った。張栩九段は「封じ手あたりの局面が険しくて、いくら考えても答えがわからず、想定どおりといえば想定どおりなのですが、結局もっと先まで読めなくて…形勢が悪いことに気がつくのが遅かった」と分析した後、「力は出し切れたと思う。次もがんばるだけ」と表情を引き締めた。
 第二局は、9月12、13日に、愛知県田原市の「角上楼」で行われる。

囲碁ニュース [ 2018年8月23日 ]

アマ本因坊 平岡さん四度目の優勝

 第64回全日本アマチュア本因坊決定戦全国大会が8月18日、19日に東京市ヶ谷の日本棋院東京本院で行われ、64名の選手がアマチュア日本一を目指した。
 1日目は8人8リーグに分かれて3回戦の予選を行い、全勝者が2日目の本戦トーナメント進出者を決定する。大会会場は観戦が自由になっており、アマ名人の栗田佳樹さんがいるブロックが一番の注目を集めていた。このブロックは栗田さんの他にアマ名人戦の決勝で栗田さんに敗れた星合真吾さん、それぞれ過去にアマ名人戦で準優勝の経験がある夏冰さん、闇雲翼さんという若手強豪が集まったブロックで、栗田さんが勝ち抜けた。他のブロックでも過去3度アマ本因坊になった平岡さんと昨年のアマ本因坊である林隆羽さんが2回戦でぶつかるなど好勝負が各所で繰り広げられた。そんな中、優勝候補のひとりで、一昨年のアマ本因坊である大関稔さんが一回戦で敗退する波乱も起こった。
 激戦の予選リーグ、本戦トーナメントを勝ち上がり決勝進出を決めたのは平岡さんと栗田さんである。平岡さんは準決勝の坂本修作さんとの勝負を劇的な逆転半目勝ちで制し、決勝に勝ち上がった。また栗田さんは2週間前に行われた学生本因坊戦決勝で敗れた岡田健斗さんを準々決勝で倒して決勝に進出してきた。プロアマともに若手の活躍が目立つ中、47歳の平岡さんが19歳の栗田さんにどう戦うか、熱戦が期待されたが、平岡さんの完勝ともいっていい内容で決着し、6年ぶり四度目の優勝を果たした。
 平岡さんは、今回の優勝により名誉アマ本因坊の資格を得た。

囲碁ニュース [ 2018年8月16日 ]

王座戦、天元戦、挑戦者決定に向けて佳境

 許家元新碁聖誕生は、「井山裕太一強時代」の流れを変えていくのか、それとも井山裕太六冠が「三度目の七冠」に向けて、また時代を築いていくのか――今年の残る三棋戦が大いに注目される。まずは、名人戦リーグを全勝で駆け抜けた張栩九段が挑戦する名人戦挑戦手合七番勝負(朝日新聞社、主催)が今月28日に開幕する。そして、王座戦、天元戦の挑戦者争いも、大詰めを迎えている。
 8月10日には、天元戦の準決勝、許家元碁聖と平田智也七段の一戦が打たれた。許碁聖は六浦雄太七段、平田七段は芝野虎丸七段という、それぞれ急成長の注目若手棋士を準々決勝で破って勢いに乗っていた。共に初挑戦を目指す戦いは僅差となったが、黒番の許碁聖が逃げ切り、1目半勝ち。挑戦者決定戦に駒を進めた。
 8月13日は、王座戦の準決勝二局が打たれた。村川大介八段・一力遼八段戦は、最近連勝を伸ばすなど復調し、昨年の雪辱を期す一力八段が黒番中押し勝ち。院生時代からのライバル対決となった許家元碁聖・本木克弥八段戦は、先輩の本木八段が意地を見せて黒番半目勝ち。今年の許碁聖の大躍進にストップをかけた。
 天元戦の準決勝もう一局、山下敬吾九段・河野臨九段戦は、8月16日に打たれる。

囲碁ニュース [ 2018年8月9日 ]

記録を塗り替え、許家元新碁聖誕生

 290日続いた井山裕太七冠独占にピリオドが打たれた。井山裕太碁聖に、許家元七段が挑戦する第43期碁聖戦五番勝負(新聞囲碁連盟主催)の第3局が、8月3日、大阪市の日本棋院関西総本部で打たれ、224手まで、挑戦者の白番中押し勝ち。絶対王者に対して三連勝という見事な戦績で、許家元新碁聖が誕生した。20歳7カ月は、山下敬吾七段(当時)の21歳11カ月を抜き碁聖の史上最年少記録(七大タイトル全体では史上三番目の若さ)。また、入段から5年4カ月での七大タイトル獲得は、史上最短記録となる。
 許新碁聖は「一局目とこの碁はずっと悪かったので運がよかった。井山先生と番碁を打てるだけで嬉しかったです。タイトルを取れるとは思っていませんでした」と穏やかな笑顔で語り、六冠に退いた井山は「今の自分なりに精一杯やったので、この結果も仕方ないと思う。七冠は普通の状態ではないと思っていたので、防衛への意識は強くなかったのですが、五番勝負を盛り上げたかったので三局で終わってしまったのは残念でした」と、淡々と振り返った。
 今年ここまで28勝5敗という驚異的な数字で勝ち続けている許新碁聖は、王座戦、天元戦、阿含・桐山杯でもベスト4に進出しており、さらなる飛躍も期待される。

終局時の様子

囲碁ニュース [ 2018年8月2日 ]

世界戦で、日本勢ベスト4ならず

 7月下旬は、2つの世界戦が開催された。中国主催の第4回百霊杯世界囲碁選手権は、24日に中国・北京で開幕した。16名によるトーナメント戦となる「選手権戦」には、中国6名、韓国4名、中華台北1名、特別シード1名、そして、日本からは井山裕太七冠、山下敬吾九段、許家元七段、芝野虎丸七段の4名が参加した。1回戦で、井山裕太七冠が連笑九段(中国)に中押し勝ち、芝野虎丸七段が壇嘯九段(中国)に半目勝ちを収め、ベスト8に駒を進めたが、26日の2回戦では芝野七段が陳耀燁九段(中国)に、井山七冠も辜梓豪九段(中国)にそれぞれ敗れ、ベスト4進出はならなかった。この大会は、「選手権戦」と同時に、日中スーパー囲碁を記念した「元老戦」と「アマチュア戦」も設けられており、中国4名、日本4名で争われる元老戦では、依田紀基九段が常昊九段を破って決勝進出を決めた。
 韓国主催の第5回全羅南道国手山脈国際囲碁大会は、全羅南道康津郡にて28日に開幕した。16名のトーナメント戦「世界プロ最強戦」には、日本から井山七冠、結城聡九段、一力遼八段が参戦したが、いずれも初戦で敗退し、結果を残せなかった。

個人戦 井山裕太九段
個人戦 結城聡九段
個人戦 一力遼八段
個人戦会場

囲碁ニュース [ 2018年8月1日 ]

全国高校囲碁選手権

 7月23日~25日の三日間に渡り第42回文部科学大臣杯全国高校囲碁選手権全国大会が行われた。23日、24日の午前に団体戦、24日の午後から25日に個人戦という日程となっている。

 男子団体戦は3連覇を目指す春日部(埼玉)と灘(兵庫)による決勝となった。春日部は昨年のアマチュア本因坊である林隆羽さんが主将を務める強豪校であったが、2-1で灘が春日部の3連覇を阻止、19年ぶりの優勝を決めた。  女子団体戦は準決勝で昨年優勝の白百合(東京)を破った札幌南(北海道)と洛南(京都)の決勝となり、主将戦は破れたものの2-1で洛南が初優勝を果たした。

 男子個人戦はアマ大会で活躍している強豪が多く非常にレベルの高い争いとなった。その中で、昨年の中学生名人であり、世界アマチュア選手権全国大会ベスト4になった北芝礼さん(愛知)が予選リーグで敗退する波乱があった。ハイレベルな争いを勝ち抜き、準決勝に進出したのはアマ本因坊の林隆羽さん、同じ埼玉代表の林朋哉さん、中学生名人、ジュニア本因坊など中学生の大会をいくつも制した森田拳さん(京都)、院生でAクラスに在籍経験のある鈴木智大さん(神奈川)の4名である。埼玉のダブル林と言われている対決は林朋哉さんが制した。二人は共に三年生で、中学三年の時、中学生名人をかけ少年少女囲碁大会の全国大会で争ったときも林朋哉さんが制している。森田さんと鈴木さんは鈴木さんの時間切れ勝ちとなり、決勝は林朋哉さんと鈴木さんと対決となった。林さんが攻め、鈴木さんがしのぐ展開となり、林さんの攻めが決まり、林さん初優勝となった。  女子個人は昨年優勝の岩井温子さん(京都)と田中ひかるさん(北海道)の決勝となり、岩井さんが連覇を果たした。田中さんは団体戦にも主将として出場しており、ともに準優勝となった。

女子個人決勝 優勝の岩井さん(右)
男子個人決勝 優勝の林さん(右)
個人戦入賞者

囲碁ニュース [ 2018年7月26日 ]

張栩九段が名人戦挑戦者に名乗り

 第43期名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は、張栩九段が、初戦から勝ち続けて独走状態。7月19日に黄翊祖八段戦を制して7連勝とし、最終局を待たずに挑戦権を獲得した。張九段は、第29期、30期、32期、33期の名人。34期に井山裕太当時八段にその座を明け渡してから、9年ぶりの名人戦挑戦手合出場となる。「どの碁も難しかったが運がよかった」とシリーズを振り返った張九段は「本当に久しぶりのタイトル戦。ずっと出たいと思っていた。井山さんとの番碁には恐怖感がありますが、一生懸命打って、勝つことによって七番勝負と碁界を盛り上げたいと思います」と抱負を語った。井山裕太名人との挑戦手合七番勝負は、8月28日(火)に、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で開幕する。

依田紀基九段、マスターズカップ初優勝

 50歳以上の七大タイトル経験者16名(16名に満たない場合は予選を行う)による、第8回フマキラー囲碁マスターズカップ(日本棋院主催、フマキラー株式会社協賛)の決勝戦が、7月21日に、東京都千代田区に日本棋院東京本院で行われた。決勝に勝ち上がったのは、依田紀基九段と片岡聡九段。同日行われた大盤解説会場にも多くのファンが集まった。片岡九段が優勢の局面もあったが、厳しい打ち回しを見せた依田九段がポイントをあげていき、白番中押し勝ち。二度目の参加で初優勝を果たした。

囲碁ニュース [ 2018年7月18日 ]

万波奈穂三段、初タイトル獲得

 第3回扇興杯女流囲碁最強戦(日本棋院主催、センコーグループホールディングス株式会社協賛)の決勝戦が、15日(日)に滋賀県東近江市「迎賓庵 あけくれ」で行われ、万波奈穂三段が、プロ入り13年目にして嬉しい初タイトルを獲得した。
 万波三段は、本戦1回戦で石井茜三段、2回戦で藤沢里菜扇興杯、準決勝で佃亜紀子五段と実力者を降して決勝に駒を進めた。決勝戦の前夜祭では「立葵杯の準決勝では、形勢が良くなり、決勝ではどんなあいさつをしようなど邪念がでた瞬間に悪手が続き負けました。今回は邪念をおさえたのが勝因でした」と会場を沸かせた。決勝戦ではまだ十代の新鋭の牛栄子二段を相手に、序盤の折衝でポイントをあげると、そのまま押し切って白番中押し勝ちを収め、初タイトルを獲得した。優勝後のあいさつでは、涙を浮かべながら感謝と喜びを語った。また、一夜明け、自身のツイッターに「寝てしまったら起きた時に全て夢になってしまうのではないかと思い、昨夜は寝られませんでした」と明かしている。本棋戦は二年前に設立され、第1回は謝依旻六段、第2回は藤沢里菜三段(当時)が優勝している。

囲碁ニュース [ 2018年7月17日 ]

本因坊文裕、本因坊七連覇

 第73期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催。大和証券グループ協賛)の第五局が、6月30日、7月1日に、福島県会津若松市の「今昔亭」で行われた。挑戦者の山下敬吾九段が中盤までは好調に打ち回したが、本因坊文裕(井山裕太七冠)の強打が決まり、その後も緩まず最強手を繰り出し続けて、白番中押し勝ち。初戦で黒星を喫した後の4連勝で本因坊位七連覇を果たした。本因坊文裕は「毎局ぎりぎりのところを結果的に勝ちにつなげることができ、大きな自信になりました」、山下九段は「全体を通して後半のミスが多くそれがだめでした。今回の反省を生かして、またこういう舞台に戻ってきたい」と、それぞれシリーズを振り返った。
七連覇については「よくここまで積み重ねられたというのが正直なところ」と語った本因坊文裕。通算在位7期は、史上3位タイ。また、七大タイトルの通算獲得数は41期となり、趙治勲名誉名人の持つ42期の最多記録に、あと一つと迫った。

見事に防衛した本因坊文裕、「本当に厳しい対局ばかりで、結果としては非常に幸運だったと思います。」と今シリーズを振り返った。
敗れた山下九段「中央の具合に錯覚があった。今回得たものを生かしてこういう舞台に戻ってきたい。」と感想を述べた。
終局時の様子

許家元七段が、碁聖戦五番勝負で二連勝

 因坊戦七連覇を達成した日から一週間とあけず、7月6日に、東京都市ヶ谷の日本棋院にて、井山裕太碁聖に許家元七段が挑戦する碁聖戦五番勝負(新聞囲碁連盟主催)の第二局が行われた。「昼食休憩前のあたりでは、やれるかと思ったのですが」と井山碁聖は振り返る。難解な読み合いの中、許七段の冷静な打ち回しが光った。互いに秒読みに入りヨセに突入した時点ではやや黒優勢だったという。二連勝とした許七段は「第三局も精一杯ベストを尽くしたい」と局後も冷静なコメント。追い詰められた井山碁聖は「第三局まで間が空くので、コンディションを整えて、悔いのないよう臨みたい」と語った。注目の第三局は、8月3日に大阪市の日本棋院関西総本部で行われる。

囲碁ニュース [ 2018年7月6日 ]

アマ名人戦 栗田さん優勝

 第13回朝日アマチュア囲碁名人戦全国大会が6月30日、7月1日の両日、東京市ヶ谷の日本棋院で行われ、57名の選手が全国大会優勝、その先の大関稔アマ名人への挑戦権を目指し競った。
 1日目はベスト8までの決定となる。2回戦から注目の対戦多く、第11期アマ名人の平野翔大さん(招待)と学生王座の豊田裕仁さん(東京)の対戦は3回戦開始予定時間を過ぎる大熱戦で、豊田さんが制した。世界アマ日本代表経験のある江村棋弘さん(兵庫)と学生十傑戦全国優勝の星合真吾さん(学生招待)は星合さんが半目で制した。他にも昨年準優勝の闇雲さん、3位の夏さんも2回戦で姿を消した。
 2日目に残った8人はいずれも強豪で、誰が優勝してもおかしくない顔ぶれとなった中、決勝進出を決めたのが、昨年の高校選手権全国優勝の栗田佳樹さん(招待)と星合真吾さんである。栗田さんも星合さんも元院生で1、2を争う実力者で、大盤解説の平田智也七段は「ベスト8は強豪ばかりですが、その中でも際立って強いお二人だと思う」と語った。会場に姿を見せた大関アマ名人は「最近この二人には負けているので、どちらが来ても厳しい戦いになる」と決勝戦開始前に語った。
 決勝は難しい戦いとなったが、中盤でポイントを上げた栗田さんがその後堅実に打ち、優勝を決めた。
 栗田さんと大関アマ名人の三番勝負は7月28日、29日に行われる。

第13回 朝日アマチュア囲碁名人戦 全国大会の特選棋譜再現はこちら <朝日新聞社特設ページへ>

会場の様子
決勝戦 優勝の栗田さん(左)
左から3位の豊田さん、優勝の栗田さん、
準優勝の星合さん、4位の小野慎吾さん

囲碁ニュース [ 2018年6月20日 ]

女流立葵杯、藤沢が防衛

 藤沢里菜女流立葵杯に、謝依旻女流本因坊が挑戦する第5期会津中央病院・女流立葵杯(日本棋院主催、温知会協賛)の第三局は、6月22日、東京・市ヶ谷の日本棋院で行われ、藤沢が黒番中押し勝ちで初防衛を決めた。序盤は藤沢が主導権を握るが、謝が巻き返して乱戦に突入。秒読みの中、必死の攻防が繰り広げられた。「チャンスはあったと思うが、読み切れなかったのは実力」と謝は熱戦を振り返り、藤沢は「途中から流れがおかしくなってしまったのですが、最後は下辺が手になったので幸いしました。初めて取った思い入れのあるタイトルなので、嬉しいです」と笑顔で喜びを語った。

碁聖戦第一局は、許家元七段が勝利

 井山裕太碁聖に許家元七段が挑戦する、第43期碁聖戦(新聞囲碁連盟主催)挑戦手合五番勝負が開幕した。第一局は、6月23日、石川県金沢市「北國新聞会館」で行われ、挑戦者の許家元七段が白番中押し勝ちを収めた。許は今年5月までは国内戦負けなし。その充実ぶりに、井山碁聖も「今期は許七段が(挑戦者に)くると思う」と予想していたという。七大タイトル初挑戦ながら、落ち着いて普段どおりの実力を発揮した許七段の今後の戦いぶりが大きく注目される。第二局は、7月6日に、東京・市ヶ谷の日本棋院で行われる。

第一局を制した許家元七段

囲碁ニュース [ 2018年6月20日 ]

本因坊文裕、防衛まであと一勝

 本因坊文裕(井山裕太七冠)が王手をかけるか、山下敬吾九段が巻き返すか――注目の第73期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催。大和証券グループ協賛)の第四局は12、13日、大阪府吹田市「ホテル阪急エキスポパーク」で行われた。序盤で流れをつかんだのは、白番の山下九段だった。二日目に入っても「挑戦者優勢」の声が多く聞かれたが、井山七冠の放った妖しい勝負手が山下九段の痛恨の一手を誘い、一気に形勢が入れ換わった。勝負強さを見せた井山七冠がそのまま押し切り中押し勝ち。三連勝と星をのばして挑戦者を追い詰めた。山下九段はあとがなくなったが、内容的には手応えを得た様子で、「次は今日のような碁を打って、何とかチャンスをつかみたい」と語った。第五局は、6月30日、7月1日に、福島県会津若松市の「今昔亭」で行われる。

会津中央病院・女流立葵杯、女流2強の挑戦手合は最終局へ

 第5期会津中央病院・女流立葵杯(日本棋院主催、温知会協賛)は、藤沢里菜女流立葵杯への挑戦者に謝依旻女流本因坊が名乗りをあげ、2年連続の同一カード。今期から挑戦手合三番勝負となり、第一局と第二局が、本因坊戦第五局と同じ舞台、福島県会津若松市の「今昔亭」で15日と17日に行われた。一局目は、黒番の謝女流本因坊が模様を張り、入ってきた白に襲いかかる展開。謝女流本因坊得意の攻めが炸裂して中押し勝ちを収めた。二局目は難しい大斜定石が2か所にでき、その組み合わせに成功した藤沢女流立葵杯が序盤からリードに立つと、その後もうまくまとめて黒番中押し勝ち。一勝一敗のタイに戻した。決戦となる第三局は、22日、東京・市ヶ谷の日本棋院で行われる。

囲碁ニュース [ 2018年6月13日 ]

本因坊文裕、中押しで連勝

 一勝一敗で迎えた第73期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催。大和証券グループ協賛)の第三局が、6月2、3日の両日、秋田県能代市「旧料亭金勇」で行われた。開始早々黒番の山下敬吾九段が仕掛け、20手目からねじり合いの接近戦に突入。延々と戦いが続く難解な展開となった。途中、本因坊文裕(井山裕太七冠)の打ち過ぎがあり、山下九段が優位を築きかけたが、新聞解説の高尾紳路九段によれば、中盤以降に二手、山下九段に悔やまれる手があり井山七冠にリードを奪われたという。「井山さんが長考した場面があり、そこで井山さんに対策を見つけられてしまったと感じた山下さんが、予定変更したようなのです」と高尾九段(真意と詳細は毎日新聞の観戦記をご参照ください)。ぎりぎりの精神状態で対局に臨んでいる様子が知らされる。終盤は山下九段が勝負手を次々と繰り出すも、井山七冠が的確に退け、中押し勝ちでシリーズ二勝目をあげた。山下九段が追う立場となった注目の第四局は、12、13日、大阪府吹田市「ホテル阪急エキスポパーク」にて。山下九段がタイに戻すか、井山七冠がリーチをかけるか。山下九段にとっては流れを変えたい正念場の一局となる。

囲碁ニュース [ 2018年6月8日 ]

第63回関東甲信越静囲碁大会

 6月2、3日の両日、東京市ヶ谷の日本棋院に於いて第63回関東甲信越静囲碁大会が行われた。本大会は関東甲信越静の1都9県(茨城を除く)の代表で行われる団体戦である。1チーム5人で、東京、神奈川、埼玉は毎年2チーム参加している。今年はその他に群馬が2チーム参加した。本大会は毎年各県が持ち回りで幹事をしており、その年の担当の県がチームの数を調整して合計で16チームになるようにしている。今年は埼玉の担当であったため今年の埼玉は4チームの参加だった。
 例年は東京、神奈川、埼玉が優勝争いをしており、今年もその例に漏れることなくこの1都2県が順当に勝ち星を重ねた。
 決勝は神奈川ヤング(大関稔・平野翔大・石村竜青・栗田佳樹・高根宏之)と埼玉しらこばと(中園清三・坂本修作・伊藤裕介・川口飛翔・中島光貴)で行われ、各対局はどれも接戦であったが5-0で神奈川ヤングが優勝を決めた。準優勝が続いていた神奈川は5年ぶりの優勝となり、埼玉は連覇を逃した。3位決定戦は東京が3-2で静岡を降した。
 今年の注目は群馬の2チーム参加で、うち1チームを10代の若手で揃えてきたことである。群馬の若者に囲碁を広めたいという思いが伝わってきた年であったと大会実行委員長が語った。

決勝戦 優勝の神奈川ヤング(右)

囲碁ニュース [ 2018年5月30日 ]

本因坊戦七番勝負が開幕

二条城での対局の様子

 本因坊文裕(井山裕太七冠)に、山下敬吾九段が挑戦する第73期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催。大和証券グループ協賛)が開幕した。今シリーズは、明治維新から百五十周年を記念して縁のある地を巡っていくという。第一局は、5月15、16日に、吉田松陰、高杉晋作など幕末の立役者たちに縁がある山口県萩市「萩・明倫学舎」で行われた。前夜祭で山下九段は「井山さんの一強時代が続いては、井山さんのためになりません。吉田松陰先生の言葉になるように、我々名もなきものが引きずり下ろさなければ」とあいさつ。その熱い決意が盤上に伝わる内容の濃い壮絶な激戦となり、黒番山下九段が半目勝ち。昨年の名人戦第二局から続いていた井山七冠の挑戦手合での連勝を17で止めた。
 第二局は、翌週の23、24日、大政奉還にちなむ京都府京都市「元離宮二条城」で行われた。初めて「御城碁」が打たれた場所とも伝えられている。両対局者は和服姿で「二ノ丸御殿大広間」にて盤に向かい、「御城碁」を再現する形で対局が開始された。じっくりした展開から山下九段が「甘くした」と振り返るシーンがあり、ここでリードを奪った井山七冠がそのまま寄り切って黒番中押し勝ち。一勝一敗となった七番勝負の第三局は、6月2、3日に秋田県能代市「旧料亭金勇」にて行われる。

囲碁ニュース [ 2018年5月23日 ]

第8回東京23区対抗囲碁大会

 5月20日、東京市ヶ谷の日本棋院で第8回東京23区対抗囲碁大会が行われた。23の各区が9人の選手で戦う団体戦である。メンバーのエントリーにも特徴があり、5人の一般(うち1人は65歳以上のシニア)、女性1人、青年1人、子供2人にしなければならない。大会の面の他に各世代の交流の意味も含まれている。23区に区長会チームが加わり24チームで4回戦を行う。
 3回戦が終わったところで3連勝が文京区、世田谷区、豊島区の3チームとなり、4連勝が2チームになれば個人の勝ち数の合計が多い方が優勝となる。
 3連勝同士では文京区と世田谷区の対戦となり、豊島区は2勝1敗で個人勝ち数が多い千代田区との対戦となった。
 現在2連覇中で3連覇を目指す世田谷区は谷口洋平さんを主将とするチーム。対する文京区は昨年学生王座になった豊田裕仁さんをはじめ、東京大学のレギュラーなど学生が参加した。大熱戦の末、文京区が5-4で勝利した。
 一方の豊島区は中園清三さんが主将を務め、佐藤邦器さん、寺田浩さんとかつて全国大会で活躍したベテランを中心にしたメンバーとなった。豊島区は第1回の優勝区であり、常に上位に名を連ねているが、同じく上位常連の中野区、優勝経験のある渋谷区など、決勝でもおかしくない組み合わせを勝ち上がり、4回戦でも優勝経験のある千代田区との対戦となった。4回戦も制し4勝となったが、勝ち数が及ばず、今回は文京区の優勝となった。文京区は、本大会初めての優勝だった。

大会の様子
4回戦 優勝の文京区(左)

囲碁ニュース [ 2018年5月18日 ]

世界女子団体戦で日本チームが中国チームに勝利

 冠名協賛を変えながら第7回を数える天台山森然楊帆杯世界女子囲碁団体チャンピオンシップが、5月10日から12日、中国浙江省天台県で行われた。韓国、中国、日本、中華台北からの3名の代表選手による団体戦で、今年日本からは、謝依旻六段、藤沢里菜四段、上野愛咲美二段が出場した。優勝は韓国、2位は中国。日本は1回戦で中華台北に1-2、2回戦で韓国に0-3で敗れたものの3回戦・中国戦で藤沢四段が芮迺偉九段、上野二段が李赫五段を破って1勝をあげ、個人の勝ち星数で中華台北を上回って3位となった。初出場の上野二段が2勝の活躍を見せたのが頼もしい。

おかげ杯、許家元七段が初優勝

 30歳以下の棋士による非公式戦「第9回おかげ杯」(日本棋院主催。株式会社濱田総業協賛)が5月14日、15日の両日、三重県伊勢市のおかげ横丁で開催された。ベスト4には、一力遼八段、余正麒七段、許家元七段、中国から帰国したばかりの謝依旻女流本因坊が勝ち上がり、余七段と許七段が決勝戦に駒を進めた。結果は、許七段が黒番2目半勝ちを収め初優勝。「錚々たるメンバーの中、優勝できたのはとても嬉しいです。秋のおかげ国際も優勝できるようがんばりたいです」と喜びを語った。許七段は、今年に入って国内公式戦でも負け知らずの好調ぶりで、飛躍の年になるのではと注目される。

囲碁ニュース [ 2018年5月9日 ]

第30回テレビ囲碁アジア選手権、優勝は韓国の金志錫九段

 日本、中国、韓国のテレビ棋戦(それぞれNHK杯、CCTV杯、KBS杯)の優勝者、準優勝者で争われるテレビ囲碁アジア選手権が、5月1日から4日、今年は韓国ソウル市で開催された。日本からは井山裕太九段と志田達哉七段が参加したが一回戦で敗退。韓国の金志錫九段が初優勝を飾った。
 各国2選手と一回戦シードの前年優勝者によるトーナメント方式の本棋戦。志田七段は1日に韓国の朴廷桓九段と、井山九段は2日に范廷鈺九段と対戦した。大会前日、「私が生まれた1989年にスタートした大会なので親近感があります」(井山九段)、「世界のトップ棋士と打つ機会はないのでがんばりたい」(志田七段)と語って臨んだ両者だったが、志田七段は力を出し切れず、井山九段は逆に力みが出る内容となったようだ。
 金九段は「KBS杯ではなかなか決勝まで勝ち上がれず、この大会は初参加でした。優勝できてとても嬉しいです。支えてくれた妻に感謝しています」と喜びを語り、東京が開催地となる来年に向けて「日本のファンの皆さんに楽しんでいただき視聴率も増えるように、面白い碁を打ちたい」と抱負を語った。

囲碁ニュース [ 2018年5月2日 ]

芝野虎丸七段、日中竜星戦で柯潔九段に勝利

 第4回日中竜星戦(中国棋院、日本棋院、囲碁・将棋チャンネル主催)が、4月29日、中国北京市の中国棋院で行われ、日本竜星の芝野虎丸七段(18)が、中国竜星の柯潔九段(20)に白番中押し勝ちを収め、日本勢初の優勝を決めた。日中竜星戦は、日本と中国それぞれで開催される「竜星戦」優勝者が対戦する国際公式戦。過去3回はいずれも中国選手が勝利していた。
 NHK方式(1手30秒、考慮時間10分)の早碁で、日本では囲碁将棋チャンネルで生中継された。芝野七段は、背筋を伸ばして微動だにせず、全く音をたてずに石を打ちおろす独特の静かな対局スタイル。「相手が誰かということはいつも気にしない」と語るように、世界一とも称される柯九段に普段どおりの力を出し切った。中継の解説を担当した本木克弥八段は「序盤に芝野さんが仕掛け、そこでポイントをあげたかもしれません。その後、劣勢と見た柯潔さんの仕掛けに冷静に対処して、優勢を拡大。芝野さんの悪いシーンが見当たらなかった気がします。完勝と言ってよいかもしれません」と総評し、内容的にも素晴らしい優勝を讃えた。

囲碁ニュース [ 2018年5月2日 ]

オールアマ囲碁団体戦

 4月29日、東京市ヶ谷の日本棋院において第14回オールアマ囲碁団体戦が行われた。1チーム5名の団体戦で、無差別クラス24チーム、クラス別戦96チーム(A~Fクラス各16チーム)、600人が仲間たちとともに熱戦を繰り広げた。
 その中でも無差別クラスは多くの県代表や全国大会の上位者が参加する高レベルの戦いとなった。4回戦の結果で優勝を争う無差別クラスは3回戦終了時に3連勝がHIKARI、星研、碁鬼会の3チームとなった。
 全勝同士がHIKARIと星研の対戦となった。HIKARIは洪道場のメンバーで、院生出身者中心のメンバーである。主将の栗田佳樹さんは院生では1、2を争う実力者だった。副将以下も院生Aクラス経験のある20歳前の顔ぶれである。対する星研は主将の星合真吾さんを中心に集まった学生の研究会チームで、こちらも院生A経験者の集まりでこちらは20代前半のメンバーである。院生の先輩後輩対決ともいえる戦いは星研(星合真吾・石村竜青・石田太郎・平野翔大・豊田裕仁)が3-2で勝利し先輩の貫禄を見せつけた。
4勝が2チーム出れば個人の勝ち数の合計で優勝が決まるが、3連勝のひとつ碁鬼会が2勝1敗の初台碁聖選抜に敗れ、星研の優勝となった。

会場の様子
無差別クラスの決勝 優勝の星研(右)とHIKARI(左)

囲碁ニュース [ 2018年4月24日 ]

グロービス杯 中国・許優勝!

 第5回グロービス杯世界囲碁U-20が4月20日(金)~22日(日)にかけて、東京都千代田区のグロービス経営大学院で行われた。本棋戦はその名の通り、20歳未満の若手棋士による国際戦。NHK方式(1手30秒、考慮時間10分)の早碁で、グループリーグでベスト8を選出したのち、トーナメント戦を行う。参加者は日本6人、韓国3人、中国3名人、中華台北、欧州、北米、アジア・オセアニア各1人の計16人。日本からは国内予選を勝ち上がった六浦雄太七段、芝野虎丸七段、姚智騰四段、藤沢里菜三段、大西竜平三段、関航太郎初段が出場した。
 日本勢でベスト8に入ったのは姚と藤沢の2人。準々決勝で姚は申旻埈七段(韓国)、藤沢は申真諝八段(韓国)にそれぞれ敗れ、ベスト4の内訳は韓国勢3人、中国勢1人となった。決勝に勝ち上がったのは申と許嘉陽六段(中国)。申が優位に戦いを進めていたが許が驚異の粘りを見せ、結果は許の白番1目半勝ち。初優勝を飾った。  芝野や六浦など、国内ではトップ棋士入りしている若手が中韓棋士を前に相次いで沈んで行く中、唯一の1勝を挙げたのは藤沢だった。グループリーグ3回戦で中国の謝科五段に黒番中押し勝ちを収めたのだ。女流でただ一人代表の座を獲得し、さらに日本勢でただ一人中国の棋士を破った。日本勢全体としては振るわない結果の中で、ひと際光る活躍ぶりだ。偶然にも藤沢はこの1勝により規定の勝星数に到達し、四段への昇段を決めた。女流の枠、国内の枠に留まらない活躍を今後も期待したい。

囲碁ニュース [ 2018年4月13日 ]

井山 十段防衛!

 井山裕太十段に村川大介八段が挑戦する第56期十段戦五番勝負の第3局が4月12日、長野県大町市「くろよんロイヤルホテル」で行われた。ここまで井山の2連勝。村川が1勝を返すか、井山がそのまま防衛するかという一局だった。
 本局が行われた会場は井山がタイトル戦で過去5回対局し、一度も勝っていないというジンクスがあった。しかし、結果は井山の白番4目半勝ち。大きなフリカワリを含む判断の難しい戦いを王者らしくまとめ上げ、3連覇を成し遂げた。実は井山は番勝負で17連勝中、昨年の名人戦第2局以降負けていない。2度目の七冠となったのは昨年の名人戦。そこから早くも王座、天元、棋聖、十段と防衛し、七冠を堅持したままタイトル戦を一巡する可能性が現実味を帯びてきた。

女流立葵杯 ベスト4出そろう

 第5期会津中央病院・女流立葵杯本戦トーナメントのベスト4が4月12日、出そろった。藤沢里菜立葵杯への挑戦権をかけて戦うのは謝依旻女流本因坊、吉田美香八段、田村千明三段、星合志保二段。準決勝は吉田―田村、謝―星合の組み合わせとなる。
 中でも注目なのは星合だ。吉田、田村とベテラン勢の活躍が目立つ中、若手で唯一ベスト4に入った。世界のトップは10代、20代があたりまえの時代だ。次は第一人者である謝と戦う。同世代の藤沢に追いつけるか、星合にとっては正念場と言えそうだ。準決勝、決勝は5月19日、20日に行われる。

囲碁ニュース [ 2018年4月9日 ]

本因坊 山下挑戦へ

 第73期本因坊戦リーグの最終局一斉対局が4月5日に行われ、山下敬吾九段が5勝2敗でトップとなり、本因坊文裕(井山裕太九段)への挑戦権を手に入れた。
 本リーグは混戦模様となり、最後まで誰が挑戦し誰がリーグを陥落するか、まったくわからなかった。最終戦を残し4勝2敗は山下敬吾九段、黄翊祖八段、伊田篤史八段の3人。挑戦権の行方は山下―黄の直接対決と伊田―芝野虎丸七段戦にゆだねられた。伊田は勝つと山下―黄の勝者と挑戦者決定プレーオフを打つことになるが、負けると残留プレーオフを打たなければならない。挑戦か陥落か、まさに天国と地獄だ。一方、山下―黄は勝てば最低プレーオフ、伊田が敗れればそのまま挑戦となる。
 結果は山下―黄は山下の勝ち、伊田―芝野は芝野の勝ちとなった。これにより山下の挑戦が決定。1人が陥落することになる残留プレーオフは伊田、余正麒七段、芝野の3人よって争われることになった。
 勝負の流れとは分からないものだ。リーグ4連勝でスタートした伊田はその後3連敗と失速し、ついに陥落の可能性まで出てしまった。一方、山下はリーグ開幕から2連敗を喫したが、その後はすべて勝ち挑戦権を手に入れた。
 井山と山下が番勝負を争うのは10回目となる。これは七番勝負・五番勝負対戦回数歴代1位に並ぶ記録。ここまでの対戦成績は井山の8勝1敗と大きく差を付けられているが、若手の台頭が著しい中、定期的に挑戦権を勝ち取る山下の底力はすさまじい。「井山さんが圧倒的過ぎて最近盛り上がっていない気がする。少しでも盛り上がるように自分を高めたいと思います」と山下は抱負を語った。

序列 棋士名 本木 羽根 山下 小林 伊田 芝野 成績 順位
1 本木克弥八段 3勝4敗 陥落
4月 2月 1月 11月 12月 3月 10月
2 羽根直樹九段 2勝5敗 陥落
4月 1月 2月 3月 10月 11月 12月
3 山下敬吾九段 5勝2敗 挑戦
2月 1月 4月 10月 3月 12月 11月
4 黄翊祖八段 4勝3敗 2位
1月 2月 4月 12月 11月 10月 3月
5 小林覚九段 2勝5敗 陥落
11月 3月 10月 12月 1月 4月 2月
5 伊田篤史八段 4勝3敗 残留PO
12月 10月 3月 11月 1月 2月 4月
5 余正麒七段 4勝3敗 残留PO
3月 11月 12月 10月 4月 2月 1月
5 芝野虎丸七段 4勝3敗 残留PO
10月 12月 11月 3月 2月 4月 1月

※2018年4月6日時点

囲碁ニュース [ 2018年3月29日 ]

ジュニア本因坊戦 森田拳さんV

  第21回花まる学習会杯ジュニア本因坊戦全国大会が3月24日、25日に毎日ホールで行われ、全国10地区22大会の予選を勝ち抜いた32名の小中学生が腕を競った。本大会は、小学生、中学生とわかれず、ともに参加できるのが特徴である。
 1日目の注目は昨年度夏の少年少女全国大会中学生の部で優勝した森田拳さん(京都・中3)と昨年のジュニア本因坊戦全国大会で中学生を押しのけて優勝した福岡航太朗さん(東京・小6)との対戦で、これを森田さんが制した。
 森田さんは2日目、ベスト8で今年度夏の少年少女全国大会中学生の部で準優勝だった福元倫太郎さん(東京・中3)との熱戦を半目差で制した。
 ベスト4に進出したのはいずれも強豪ばかりで、森田さん、今年度夏の少年少女全国大会中学生の部で優勝した北芝礼さん(愛知・中3)、小学6年のときにこども棋聖戦全国大会で優勝した田口昴征さん(埼玉・中2)、今年度のこども棋聖戦で全国優勝した保田翔太さん(愛知・小6)である。
 それぞれ森田さんが北芝さんを、保田さんが田口さんを降し決勝戦に勝ち上がった。もし保田さんが優勝すれば、昨年に続き小学生が優勝することとなり注目を集めたが、森田さんが勝利し見事優勝を果たした。

大会の様子
優勝の森田さん

囲碁ニュース [ 2018年3月27日 ]

ワールド碁女流最強戦 中国・於優勝!

  新設された日本開催の女流世界戦「SENKO CUPワールド碁女流最強戦2018」が3月14日から16日にかけて東京の日本棋院で行われた。参加選手は中国、韓国、中華台北、欧州から各1人と、第2回扇興杯女流最強戦ベスト4に進出した日本代表4人の計8人。トーナメント戦で優勝を争う。
 抽選の結果、一回戦の組み合わせは藤沢里菜三段(日本)―N・コヴァレヴァ アマ五段(欧州)、牛栄子二段(日本)―黒嘉嘉七段(中華台北)、謝依旻六段(日本)―於之瑩六段(中国)、向井千瑛五段(日本)―崔精九段(韓国)となった。この中で日本勢として勝ち上がったのは藤沢ただ一人。世界の壁を感じる厳しい結果となった。
 続く準決勝は藤沢―黒と於―崔の対決。藤沢は黒と国際戦で度々当たっており、分も悪くなかったが、本局では精彩を欠く内容で敗れてしまった。もう一方の於、崔はともに世界戦優勝の常連、世界の2トップと言える。ハイレベルな戦いを制したのは於。決勝は黒―於によって行われた。結果は白番於が優勢の中、黒の時間が切れて於の優勝となった。なお、藤沢―崔による3位決定戦は崔が白番中押し勝ちを収めた。最終的な順位以下の通り。優勝・於(中国)、準優勝・黒(中華台北)、3位・崔(韓国)、4位・藤沢(日本)

WGC 韓国・朴2連覇!

優勝した朴廷桓九段

日本開催の世界戦、ワールド碁チャンピオンシップ2018が3月17日から19日にかけて東京の日本棋院で行われた。昨年は日中韓の代表に和製AI囲碁ソフト、DeepZenGoを加えてのリーグ戦を行ったが、今年は形式が変わった。日本から井山裕太九段、山下敬吾九段、中国から柯潔九段、韓国から朴廷桓九段、申眞諝八段、中華台北から王元均八段が参加し、計6人によるトーナメント戦を行った。このうち、昨年優勝の朴と井山は1回戦シード。朴は柯―申の勝者と、井山は王―山下の勝者と戦うことになった。
1回戦の結果、準決勝は朴―柯、井山―山下の対決になり、それぞれ朴と井山が決勝に進出した。朴は柯と共に長く世界をリードしている第一人者だ。最近はAIの考え方を自分の碁に上手く取り入れ、さらに強くなったとも言われている。結果は朴の白番中押し勝ち。序盤からペースをつかみ、128手の短手数で押し切った。
「もう少し見せ場を作りたかった」と井山。国内では敵なしだが、世界では決して特別な存在ではない。「世界トップとの差を感じた」というのは本心だろう。日本でも若手が育ってきているとはいえ、井山と互角に戦える人材はまだいない。一人世界を目指す井山の孤独な戦いはまだまだ続きそうだ。

囲碁ニュース [ 2018年3月12日 ]

プロペア碁 加藤・井山ペア優勝!

優勝した加藤・井山ペア

プロ棋士ペア碁選手権2018の決勝戦が3月4日、日本棋院で行われた。決勝を争ったのは加藤啓子六段・井山裕太七冠ペアと鈴木歩七段・黄翊祖八段ペア。難しい読み合を制して加藤・井山ペアが白番中押し勝ちを収め、優勝を飾った。

十段戦開幕

  井山裕太十段に村川大介八段が挑戦する森ビル杯第56期十段戦挑戦手合五番勝負が3月6日、大阪府東大阪市「大阪商業大学」で開幕した。村川は井山の1つ年下の27歳。関西出身同士で仲が良く、幼少期から切磋琢磨してきた仲間と言う。2014年に井山から王座を奪取し、一躍有名になった。しかし翌年再び挑戦者となった井山と対峙し王座を奪還され、以来、挑戦手合では井山に勝てていない。今回巡ってきたチャンスを是非ともものにしたいところだ。
 開幕戦の結果は156手までで白番井山の中押し勝ちとなった。五番勝負はまだ始まったばかり。第2局は3月22日(木)に埼玉県戸田市の「戸田市文化会館」で行われる。

藤沢 女流名人2連覇!

  藤沢里菜女流名人に矢代久美子六段が挑戦する第30期女流名人戦挑戦手合三番勝負が3月7日、十段戦第1局の会場でもある大阪府東大阪市「大阪商業大学」で行われた。
藤沢の先勝でスタートした本シリーズ、本局は藤沢が防衛を決めるか矢代が1勝1敗に持ち込むかが焦点となった。
白番矢代の作戦が功を奏し、白優勢で局面が進んでいった。しかし途中矢代に誤算があり、一気に細かい形勢に。最後は藤沢が的確なヨセで黒番3目半勝ちを収めた。これにより藤沢は女流名人を初防衛。女流立葵杯、扇興杯女流囲碁最強位と合わせて三冠を堅持した。

囲碁ニュース [ 2018年3月2日 ]

女流名人戦 開幕!

  藤沢里菜女流名人(19歳)に矢代久美子六段(41歳)が挑戦する第30期女流名人戦三番勝負が2月28日、京都府京都市の「平安女学院大学 有栖館」で開幕した。
 女流名人戦は第29期まで挑戦者をリーグ戦で決めていたが、今期からトーナメント戦に変更された。矢代は女流本因坊2連覇の実績を持つ。一回戦で知念かおり六段、二回戦で中部総本部期待の若手、牛栄子二段、準決勝で奥田あや三段、決勝で井澤秋乃四段と実力者を破って挑戦者に名乗り出た。
 昨今は棋士の低年齢化が進み、20代で打ち盛り、30代でベテランと言われる時代になった。女流棋士も例外ではなく、ここ2、3年は謝依旻女流本因坊と藤沢を中心に、牛や上野愛咲美二段など若手が食い込むという構図になっていた。その中で今回ベテランの矢代が挑戦者になったことは、多くのミドルエイジ層に勇気を与えたと思う。
 挑戦手合三番勝負初戦の結果は途中黒番の矢代にミスがあり、藤沢の白番中押し勝ちとなった。このまま藤沢が押し切るか、それとも矢代が一矢報いるか、注目の第2局は3月7日、大阪府東大阪市の「大阪商業大学」で行われる。

第一局会見の様子
三番勝負第一局の様子

囲碁ニュース [ 2018年2月26日 ]

ジャンボ大会 多岐技会V

会場の様子

2月25日(日)、東京市ヶ谷の日本棋院において第47回ジャンボ大会月組が行われた。1チーム15人で行われる団体戦で、囲碁の団体戦では最大規模のものである。15人の人数になると親善や仲間との交流の意味もあるが、優勝を狙えるチームになるとメンバー全員が県代表クラスというチームもある。今回からクラス分けを行い、各20チーム、合計40チーム600人が参加した。

 県代表クラスの強豪メンバーが集うチームが多数出場するAクラスは多岐技(たきわざ)会と大熊義塾による決勝となった。
大熊義塾は関西棋院の大熊悠人初段が同世代の仲間を集めたチームで、元院生や学生大会などで活躍したメンバーである。結成当初は現役学生を中心としていたが、現在ではほとんどが卒業し現役学生はアマ名人の大関稔さん含め2人となっている。昨年の優勝チームあり、今年も優勝候補の一つである。1回戦では女流アマ優勝経験のある金井和子さん率いる金井囲碁教室、2回戦で関西棋院の洪清泉三段の主宰する洪道場、3回戦で学生トップクラスを集めた現役学生連合であるバトリアヌス帝国を破り4回戦の全勝決戦に進出した。

決勝戦、優勝の多岐技会(左)

多岐技会は元アマ本因坊の瀧澤雄太さんが主宰している研究会で幅広い年代層の方が集まっている。坂本修作さんや森洋喜さんといった全国優勝経験者や癸生川聡さんといった学生タイトル者など多彩なメンバーが集まっている。毎年、優勝争いをするものの優勝経験はない。1回戦では世界アマ選手権世界戦優勝経験のある今村文明さん主宰の明友会、2回戦で平岡聡さんなど全国大会優勝経験者など県代表クラスが多く所属する団碁汁、3回戦でアマ強豪の永代和盛さん率いる永代塾を破り4回戦の全勝対決に進出した。
大熊義塾、多岐技会の両チームは毎年のように対戦して熱戦を繰り広げている。最終戦は9-6で多岐技会が勝利し念願の初優勝となった。主将の瀧澤さんは「優勝はチームのみんなが頑張ったおかげ。結束力が高いです」と語った。

囲碁ニュース [ 2018年2月19日 ]

プロ棋士ペア碁選手権

  プロ棋士ペア碁選手権2018の準決勝までが10日、日本棋院で行われた。参加したのは前年度チャンピオンの藤沢里菜女流名人・羽根直樹九段ペアなど16組32人のトップ棋士。ペア碁ならではの豪華なメンバーで華やかに開催された。
 3回戦行われ、決勝に勝ち進んだのは鈴木歩七段・黄翊祖八段ペアと加藤啓子六段・井山裕太棋聖ペア。鈴木・黄ペアは1回戦で知念かおり六段・河野臨九段ペア、準々決勝で牛栄子二段・平田智也七段、準決勝で謝依旻女流本因坊・伊田篤史八段を破って決勝進出。一方の加藤・井山ペアは前年度チャンピオンの藤沢・羽根ペアを破って準決勝に進出した向井千瑛五段・山下敬吾九段ペアを破って決勝に進出した。決勝は3月4日に日本棋院で行われる。

多くの観客で賑わった
謝女流本因坊・伊田八段ペア 対 石井三段・一力八段ペア
決勝戦に進んだ鈴木七段・黄八段ペアと加藤六段・井山七冠ペア

井山 棋聖防衛!

  一力遼八段が井山裕太棋聖に挑戦する第42期棋聖戦挑戦手合七番勝負第4局が15、16日、岩手県大船渡市の「大船渡市民文化会館」で行われ、井山が黒番中押し勝ちを収めた。これにより開幕から4連勝で防衛、六連覇を達成した。
 一力対井山の番勝負は王座、天元、棋聖と3棋戦に及んだ。結果は井山の10勝0敗。一力はポスト井山の最有力候補の一人であり、国内においては間違いなくトップ10に入る逸材だ。その一力を全く寄せ付けることなく圧勝した。本シリーズでは改めて井山の規格外の強さが証明されたと言えるだろう。



囲碁ニュース [ 2018年2月9日 ]

LG杯決勝 謝初優勝

  日本の井山裕太九段(28)と中国の謝爾豪五段(19)による第22回LG杯朝鮮日報棋王戦の決勝三番勝負第3局が2月8日、日本棋院で行われた。結果は謝の白番中押し勝ち、LG杯初優勝を果たした。
 本棋戦で日本勢が決勝に残ったのは2005年の張栩九段以来実に13年ぶり。中韓に押され長らく国際戦優勝から遠ざかっていただけに、井山への期待は大きく膨らんでいた。まずは第3局までの流れを振り返ろう。
 LG杯はシード選手16人と統合予選を勝ち上がった16人の計32人によるトーナメント戦だ。井山は一回戦で李映九九段(韓国)、2回戦で周睿羊九段(中国)、3回戦で楊鼎新六段(中国)に勝ち、準決勝では世界ランク1位と言われる柯潔九段を破って決勝に進出した。そして決勝三番勝負、第1局は一進一退の攻防が続いたが井山の僅かな隙を突いて謝が白番中押し勝ち。第2局は謝が早くから優勢を築き、井山は一時、絶望的な形勢に追い込まれながらも驚異の粘りで奇跡的に逆転。白番半目勝ちを収め、最終局に希望をつないだ。
 第3局当日は日本棋院全体が異様な熱気に包まれていた。大盤解説会は200人以上が入る大ホールで行われたにも関わらず、すぐに満席になり立ち見客が多数出た。また、報道陣が多く詰めかけたのはもちろん、日頃切磋琢磨している棋士も多く集まり、固唾を飲んで見守った。
 結果は井山にとって、また日本のファンにとって残念なものではあったが、「世界一を賭けた戦いの盛り上がり」を間近で感じることができたのは囲碁界全体にとって大きな財産になっただろう。ともすれば、世界一は遠い世界の話になりかねないほど、日本と中韓の差は開いている。しかし井山は本棋戦を通じて、世界一を実現できる可能性があるとはっきり示した。表彰式で井山は「世界戦の決勝という舞台で戦えたことは財産になった。今後自分の碁を見つめ直して、またこういう舞台に戻って来られるように努力したい」と語った。これまで着実に、一つ一つ結果を積み上げ、その結果が二度の七冠という偉業につながった。おそらく国際戦も同様だ。今回の戦いは積み上げた一つの結果に過ぎない。孤高をいく井山の挑戦は続く。

対局開始
井山裕太九段
謝爾豪五段
表彰式にて賞金を受け取る両対局者

囲碁ニュース [ 2018年1月30日 ]

村川 十段挑戦へ!

終局直後の様子。挑戦権を手にした村川八段。

  第56期十段戦の挑戦者決定戦が1月25日、関西棋院で行われた。井山裕太十段への挑戦権をかけて戦ったのは村川大介八段と志田達哉七段。村川は2014年に当時六冠だった井山から王座を奪取した実力者。関西棋院所属で井山の親友としても有名だ。一方の志田は中部総本部の隠れたエース。古碁を彷彿とさせる独特な棋風で知られている。あまり接点がなさそうな二人だが、実は両者とも27歳。誕生日も村川が12月14日、志田が12月6日と8日しか違わない。
 結果は村川の白番中押し勝ち。安定感のある内容で十段戦初挑戦を決めた。五番勝負は3月6日、大阪府東大阪市「大阪商業大学」で開幕する。


上野 女流棋聖奪取!

  謝依旻女流棋聖(28)に上野愛咲美二段(16)が挑戦する第21期女流棋聖戦挑戦手合三番勝負第2局が東京都千代田区「竜星スタジオ」で行われた。第1局目は上野の力強い攻めが冴え、白番中押し勝ちで上野が勝利。第2局はこのまま上野が初タイトルとなるか、謝が意地を見せるかが注目されていた。
 1局目と同じく激しい戦いの碁となった。上野は自他ともに認める戦い好き。存分に持ち味を発揮して黒番中押し勝ちを収めた。これにより上野は2勝0敗でタイトルを奪取。嬉しい初タイトル獲得となった。16歳3カ月での女流棋聖獲得は最年少記録。女流タイトル全体では藤沢里菜女流名人の15歳9カ月(会津中央病院杯)に次ぐ記録だ。伸び盛りの16歳。今後目の離せない存在になっていきそうだ。

囲碁ニュース [ 2018年1月29日 ]

プロ・アマ本因坊対抗戦

対局する本因坊文裕とアマ本因坊林隆羽さん

1月13日(土)、東京・池袋のサンシャインシティ文化会館において第55回プロ・アマ本因坊対抗戦が行われた。現在、囲碁界最強の本因坊文裕(井山裕太本因坊)に、史上最年少17歳でアマ本因坊になった林隆羽さんが挑戦した。手合割は毎年の結果で変動し、今回はアマの二子コミなしである。
当日は同会場の別フロアで大盤解説も行われており、多くの囲碁ファンが来場した。置石は通常の配置ではなくアマが自由に置ける自由置石制となっており、置石クイズなども行われる。
熱戦ではあったが、文裕が力を見せ中押し勝ちを収め、自身でプロ4連勝となった。来年も文裕がこの場に立つのだろうか、次回アマ側の奮起も期待したい。


プロ・アマ名人戦

  1月28日(日)、東京・築地の朝日新聞東京本社において第12回プロ・アマ囲碁名人戦が行われた。名人は井山裕太名人、アマ名人は大関稔さん。大関さんは学生タイトルを制覇するなど、ここ2、3年大活躍している。
 両者がこのような公式のプロアマ戦で対戦するのは4回目。昨年は、プロ・アマ本因坊対抗戦、学生王座記念対局、一昨年にも学生王座記念対局で顔を合わせている。初戦では大関さんが勝利したが、その後、井山名人の連勝となっている。
 また、これまでの3局は二子の手合いであったが、今回は先番6目半のコミもらい(逆コミ)である。
 今局は井山名人の強さが際立った1局となり、快勝と言って良い内容でプロの力を見せつけた。これで通算成績はプロ側の8勝3敗となった。また今回は敗れたが、大関さんは、実力者であり今後さらなる活躍が期待される。

囲碁ニュース [ 2018年1月18日 ]

青木喜久代 600勝達成

  青木喜久代八段は11日の碁聖戦予選Cで戸沢昭宣九段に不戦勝し、通算600勝(508敗4持碁)を達成した。女流棋士では杉内寿子八段以来、史上2人目の快挙だ。
 青木八段は49歳。1986年に17歳で入段し、女流名人など様々なタイトルを取ってきた。若手の台頭著しい近年でもその存在感は揺るがない。2012年の女流棋聖戦では謝依旻六段を破りタイトルを奪取。2016年には女流名人挑戦、会津中央病院杯準優勝と特出した成績を収めている。
 通算成績は非公式戦を含まないため、想像以上にハードルが高い。しかも600勝達成時に49歳というのは若い(杉内八段は87歳で達成)。青木八段に心からの称賛を送るとともに、今後も若手女流棋士たちの高い壁であり続けて欲しいと願う。



棋聖・女流棋聖 今週開幕!

  井山裕太棋聖に一力遼八段が挑戦する第42期棋聖戦七番勝負の開幕局が1月18、19日に東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で行われる。一力の挑戦は王座戦、天元戦に続き3棋戦連続となる。王座戦、天元戦ではともにストレート負けを喫したが、棋聖戦ではどうか。井山‐一力17番勝負の最終章がいよいよ始まる。
 もう一つの棋聖戦、女流棋聖戦は19日に開幕する。こちらは謝依旻女流棋聖に入段二年目の若手、上野愛咲美初段が初挑戦する。謝が貫録を示すか、それともニューヒロイン誕生なるか、こちらも注目だ。

囲碁ニュース [ 2018年1月9日 ]

囲碁井山・将棋羽生 国民栄誉賞決定

  井山裕太七冠(28)と将棋の羽生善治竜王(47)の国民栄誉賞授与が1月5日、正式に決定した。国民栄誉賞は1977年に設立され、これまでにスポーツ、文化、芸能関係者23人と1団体が受賞している。囲碁、将棋の棋士の受賞はそれぞれ初めて。表彰式は2月13日に首相官邸で行われる予定だ。
 井山七冠は中学一年生でプロ入りし、19歳で七大タイトルの一角、名人を史上最年少で獲得した。2013年には囲碁界初の六冠に。その後一時は四冠にまで後退するのも、不屈の精神力で一つ一つタイトルを積み重ね、2016年に1度目の七冠を成し遂げた。同年、名人を失うも保持する全てのタイトルを防衛。そして2017年、名人を取り返し、2度目の七冠を達成した。これは囲碁将棋ともに前例のない快挙。現在も七冠を維持し続けている。
 羽生竜王は1996年に史上初の七冠を達成した。永世称号は七大タイトルをそれぞれ所定の回数保持、または連覇することによって得られる。羽生は長く第一人者であり続け、通算タイトル獲得数は99を数える。2017年、永世竜王の資格を獲得すると同時に永世七冠を達成。金字塔を打ち立てた。

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