日本囲碁ニュース (名人戦)

日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。

囲碁ニュース [ 2018年11月8日 ]

張栩、10期ぶりに名人奪還

 第43期名人戦七番勝負(朝日新聞社、主催)の第七局が11月1、2日に静岡県河津町で行われ、271手まで、挑戦者の張栩九段が白番4目半勝ちを収め、10期ぶりに名人位を奪還した。2009年に囲碁界初の五冠を達成し、2013年に棋聖位を奪われ無冠となって以来、5年ぶりの七大タイトル獲得となる。井山裕太名人は、2015年以来、3年ぶりに五冠に後退することとなった。
張栩新名人は、「七局目というのは、僕の中で特別な感情を持っていて、一つ一つが人生の節目のように感じる。一局の勝ち負けでシリーズ全体の勝負が決まるという究極の状態で、その中でどれだけ自分の力を出せるか、どれだけおそれずに進んでいけるか、すごく人間性も試されているような気がする。もちろん勝ったことは嬉しいですが、思い切り自分らしく戦えたことが、すごく充実感があります」と振り返り、「ずっと目標にしていたことが現実になって夢のよう。ただこれからが大変。責任ある立場ですし、もっと日本囲碁界全体を盛り上げられるように、さらに精進しなきゃいけないなと思います」と語った。井山は「シリーズを通して、大事なところでミスが出た。それが今の自分の実力です」と淡々と振り返り、「自分には、まだ成長の余地がある」と前を向いた。

囲碁ニュース [ 2018年11月1日 ]

名人戦、最終局へ

 井山裕太名人の3勝2敗で迎えた、第43期名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)第6局が、10月22、23日の両日、静岡県熱海市の「あたみ石亭」で行われた。序盤は真似碁のような面白い進行となり注目されたが、その後を井山名人は「どちらかというと自信のない展開。ちょっとずつ、つらかったかもしれない」と振り返った。結果は、挑戦者の張栩九段の黒番中押し勝ち。本シリーズで挑戦者が初めて封じた一手も、勝利への執念が見えて印象深かった。張九段は局後、「わからないこともありますが、うまく打てたと思う。7局目が楽しみです。次もいい対局を見せたい」と語った。七大タイトルが最終局までもつれ込むのは2年ぶりとなる。7局目は11月1、2日に、静岡県河津町で行われる。その間に、王座戦、天元戦の挑戦手合も組まれており、疲れが心配される井山名人は「気持ちを新たに打ちたい」と前向きのコメントを残した。

囲碁ニュース [ 2018年10月18日 ]

張栩九段がカド番を凌ぐ

 井山裕太名人に張栩九段が挑戦している第43期名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第四局が10月10、11日の両日、第五局が4日後の15、16日に、それぞれ兵庫県宝塚市の「宝塚ホテル」、山梨県甲府市の「常盤ホテル」で打たれた。一週間に二局というハードスケジュールの中、第四局で井山名人が勝利して3勝目をあげるも、張九段が踏み止まって2勝目を返し、舞台は10月22、23日に静岡県熱海市の「あたみ石亭」で打たれる第六局に移されることになった。
 第四局は、一日目に黒番の張九段が優位に運びながら二日目に流れが一転して、井山名人が優勢に立ち中押し勝ち。防衛にあと一勝と迫った。
 第五局の対局地は、過去に2008年の第33期名人戦第七局、2011年の第35期棋聖戦第六局でも両者が戦った舞台で、いずれも初挑戦の井山を張栩が退けて防衛を決めている。2008年は井山の初の10代の名人の夢が砕かれた一局として、2011年は東日本大震災の日の対局として、記憶にも残る大一番だった。井山名人は「過去は過去」、張九段は「また、この対局地に戻ってきたかった」と臨んだ。穏やかな立ち上がりに見えたが、やはり難解な戦いへと突入し、張九段が白番9目半勝ちを収めた。張九段は「途中から思わぬ変化になり、相手の妙手もあり訳がわからなかった。運がよかった」、井山名人は「二日目に入り、大変かと思っていた。その後勝負形になったかと思ったが、最後の判断ミスがひどかった」とそれぞれに激闘を振り返った。

囲碁ニュース [ 2018年10月5日 ]

張栩九段、一勝を返す

 井山裕太名人の二勝で迎えた、第43期名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第三局が、9月25、26の両日、鹿児島県鹿児島市「城山ホテル鹿児島」で行われた。挑戦者の張栩九段は、連敗後も「一番苦しい終盤戦の時間帯も集中力を切らさずに打てている。手応えを感じている」と語って本局に臨んだ。その言葉どおり、本局は、井山名人の必死の追い上げを、見事なヨセで振り切り、白番・張九段の4目半勝ちとなった。「まず、一勝を返したことが嬉しい」と局後に張九段は語り、「(散歩をしたおりに)名人戦を盛り上げられるようにと、西郷隆盛さんの像にも手を合わせた。それが良かったのかな」と記者陣を和ませ、「ますます盛り上げていきたい」と引き締めた。敗れた井山名人は「本局は苦しい時間が長く、チャンスがきた局面もあったが、はっきりと優勢にする手は見つからなかった。七番勝負は長いので、スコアは気にせず戦っていきたい」と語った。第四局は、兵庫県宝塚市「宝塚ホテル」にて、10月10、11日に行われる。

囲碁ニュース [ 2018年9月19日 ]

名人戦第2局 史上2位336手の激戦

 井山裕太名人先勝でスタートした第43期名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第二局が、9月12、13日に、愛知県田原市の「角上楼」で行われた。終局は午後8時7分。名人戦史上2番目の長手数336手(最長は第31期の364手)で、張栩九段の猛追を振り切って井山が白番2目半勝ちを収めた。井山は、二日目の午後4時16分、162手目から持ち時間が「残り1分」となり、その後を秒に読まれながら戦い抜いた。局後井山は「途中からはわからないことばかりでダメにしたかと思ったが、中央のヨセで得をしていけると思った」と振り返り、張は「最終盤にもチャンスがあったのに、ミスが出て残念。内容的には悪くないので、心を入れ替えて頑張ります」と決意を語った。第三局は、25、26日、鹿児島県鹿児島市「城山ホテル鹿児島」で行われる。

囲碁ニュース [ 2018年9月3日 ]

名人戦七番勝負、開幕!

 井山裕太名人に、張栩九段が挑戦する第43期名人戦七番勝負(朝日新聞主催)が開幕した。第一局は、8月28、29の両日、東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で行われ、井山名人が239手、黒番中押し勝ちを治めた。

対局前夜、10期ぶりの復位を期す張九段は、「最高の舞台でまた戦えることに、いろいろな思いが込み上げている」、井山名人も「張栩さんとの名人戦は自分にとっての原点。また同じ舞台で戦えることを特別なことと感じている」と、それぞれ胸の内を明かした。
 対局一日目は、井山名人いわく「経験したことのない形になり、形勢がわからなかった」という難しい局面となった。二日目、右辺のコウ争いで井山名人がリードを奪い、粘る張栩九段を振り切っての勝利となった。
 局後、井山名人は、「はっきりいけると思ったのは最後のほう」と振り返り、「碁聖戦はストレートで敗れてしまったので、とりあえず1つ勝てたことはホッとしています。それよりも、自分なりに精一杯戦えたのがよかった」と語った。張栩九段は「封じ手あたりの局面が険しくて、いくら考えても答えがわからず、想定どおりといえば想定どおりなのですが、結局もっと先まで読めなくて…形勢が悪いことに気がつくのが遅かった」と分析した後、「力は出し切れたと思う。次もがんばるだけ」と表情を引き締めた。
 第二局は、9月12、13日に、愛知県田原市の「角上楼」で行われる。

囲碁ニュース [ 2018年7月26日 ]

張栩九段が名人戦挑戦者に名乗り

 第43期名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は、張栩九段が、初戦から勝ち続けて独走状態。7月19日に黄翊祖八段戦を制して7連勝とし、最終局を待たずに挑戦権を獲得した。張九段は、第29期、30期、32期、33期の名人。34期に井山裕太当時八段にその座を明け渡してから、9年ぶりの名人戦挑戦手合出場となる。「どの碁も難しかったが運がよかった」とシリーズを振り返った張九段は「本当に久しぶりのタイトル戦。ずっと出たいと思っていた。井山さんとの番碁には恐怖感がありますが、一生懸命打って、勝つことによって七番勝負と碁界を盛り上げたいと思います」と抱負を語った。井山裕太名人との挑戦手合七番勝負は、8月28日(火)に、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で開幕する。

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