囲碁ゲームサロン パンダネット

大会・イベント

日本囲碁ニュース 2015 (その他)

日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。

日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。

囲碁ニュース [ 2015年12月24日 ]

年末回顧

 今年は井山裕太九段の年だったと言っても過言ではない。昨年末に王座、天元と相次いで失冠してから一転、自身が保持する棋聖、本因坊、碁聖、名人をすべて防衛した上に、王座、天元の挑戦者に勝ち上がり、タイトルを奪取。自身3度目となる6冠に復帰した。また、十段戦挑戦者決定トーナメントではベスト4まで勝ち上がっており、7冠挑戦が現実のものになりつつある。

 井山不在の唯一のタイトル、十段を獲得した伊田篤史八段の活躍も忘れてはならない。十段獲得時、伊田は21歳1カ月。これは最年少記録となる。本人としては「20歳までに7大タイトルの獲得を目標にしていた」ので決して早くないそうだが、それでも若き十段誕生は大いに世間を騒がせた。

 伊田のほかにも多くの若手が目覚ましい活躍をした。一力遼七段は農心杯の先鋒として出場し、開幕3連勝という好成績を残した。国際戦では不振が続く日本だが、一力の活躍に勇気づけられた人は多いだろう。また、許家元三段は阿含桐山杯で決勝に進出。最後は井山に敗れたものの、存在感を示した。

 女流では謝依旻六段が勝負強さを見せつけた。自身が保持する女流棋聖、女流名人をそれぞれ防衛し、女流本因坊を藤沢里菜三段相手に2連敗後の3連勝という劇的な内容で奪取。4年ぶりの女流3冠となった。藤沢は無冠となり悔し涙を流したが、謝の「藤沢さんが今の女流で一番強いと思っている」という言葉通り、抜きん出た力を持っていることは間違いない。近い将来必ずタイトル戦の舞台に戻ってくるだろう。また、女流棋聖では吉原由香里六段が、女流名人では青木喜久代八段が挑戦者に名乗りを上げるなど、ベテラン勢の活躍も印象に残った。

囲碁ニュース [ 2015年12月17日 ]

ASEAN囲碁研修

 世界規模でみると、囲碁人口は増加傾向にある。それは東南アジアも例外ではない。特にタイでは近年急速に囲碁普及が進み、昨年には世界アマチュア囲碁選手権を初めてバンコクで開催した。
 そんな中、日本棋院は「国際交流基金」の助成を受け、「ASEAN囲碁研修」を7日から15日の8日間にわたって行った。参加国はシンガポール(2人)、マレーシア(4人)、タイ(2人)、ベトナム(2人)の4か国、計10名。参加者はそれぞれ自国で囲碁の普及に何らかの形で携わっている。

 研修の主目的は日本における普及の状況やノウハウを紹介すると共に、各国の普及事情をヒアリングすること。日本棋院のプレゼンテーションでは水間俊文七段らが講師を務め大学や小学校への普及方法を紹介したほか、囲碁授業を行っている学校に実際に足を運ぶ見学ツアーを実施。また、参加者はそれぞれ自国での取り組みをまとめて発表を行った。
 ASEAN諸国は日本と比較して、人員面でも資金面でも決して恵まれているわけではないが、それぞれの国で工夫があり、日本が学ぶべき点も多かった。例えば、タイでは囲碁の効用が広く一般に認められており、そのため学校との提携や子ども大会の運営が進んでいるのはもちろん、少年鑑別所で囲碁が一つの更生プログラムとして取り入れられている。

 マレーシアのカイ・ヨン・チェンさんは「参加して、いろんなアイデアが得られた。タイで行われている子ども大会のようなことを自国でもしたいと思っていたが、今まで運営方法が分からずできなかった。今回、具体的なことをいろいろ聞けたので勉強になった」と話した。また、タイのカニン・チャッチャーヤヌソーンさんは「日本の小学校を見学して、子どもたちが熱心に先生の話を聞いている様子に感銘を受けた。また、マレーシアが行っている広報活動はインターネットを上手く活用していて学ぶべきところがたくさんあった」と振り返った。

囲碁ニュース [ 2015年12月8日 ]

国際アマチュア・ペア碁選手権大会 開催!

 第26回国際アマチュア・ペア碁選手権大会が5、6日の二日間にわたって、東京飯田橋の「ホテルメトロポリタンエドモント」で華やかに開催された。
 ペア碁の誕生は1990年、「女性に楽しんでもらいたい、そして国際親善のツールとして役立てたい」と(株)NKB社長(現会長)の滝久雄さんによって創案された。そのため、本大会は各国の選手が民族衣装を着て日本の棋士や愛好家とペアを組んで行う親善対局や、世界的なデザイナーであるコシノジュンコさんを審査員として招き、もっともおしゃれな着こなしの選手を表彰するベストドレッサー賞など、さまざまな工夫がされていて興味深い。
 今年は21カ国・地域32組64名が参加、また、昨年新設された第2回世界学生ペア碁選手権大会では11カ国・地域16組32人が参加し、白熱した戦いを繰り広げた。真剣勝負の中にもペア碁ならではの和気あいあいとしたムードがあり、社交のツールとしても非常に有効なのだなと改めて考えさせられる二日間となった。

 大会結果は下記URLをご覧ください
http://www.pairgo.or.jp/amateur/26th/

初参加のブルネイ。
左・シデック アズマドさん、右・リム チャイフイさん
リムさん「ペア碁は難しいけどおもしろいわ」
ニュージーランド代表、
左・エドウィン フィーズさん、右・エマ レイノルズさん
エマさん「このマントはエミューの羽根で作られているの」


トルコ代表、
左・セヴァル アルタグさん、右・ハタキャン オズギュルさん
ハタキャンさん「僕たちは『ヒカルの碁』で囲碁を覚えたんだよ」
海外選手との親善対局。笑顔の花が咲いた。

囲碁ニュース [ 2015年12月2日 ]

女流本因坊奪還 謝女流3冠へ!

女流本因坊戦第5局終局直後【日本棋院提供】

 藤沢里菜女流本因坊に謝依旻女流名人が挑戦する第34期女流本因坊戦挑戦手合第5局が11月27日、日本棋院で行われ、謝が白番中押し勝ちを収めた。謝は3年期ぶりに女流本因坊を獲得。現在保有する女流名人、女流棋聖と合わせ、再び女流3冠に輝いた。
 本シリーズは藤沢の2連勝でスタートしたが、その後謝が3連勝するという劇的な展開だった。局後に感想を求められると藤沢は「実力ですが、悔しいです」と涙ぐんだ。一方謝は「連敗した時はもうだめかと思った。でも3局目はすべてを出し切って勝つことができて、それが大きかった」と振り返る。女流三冠返り咲きについては「まだ実感がわかない」と言いつつも、「藤沢さんは日本の女流で一番強いと思っている。(そういう相手と)挑戦手合という舞台で戦えたのは嬉しいし、今回のシリーズは決して内容がいいとは言えないが、運よく勝つことができたことも非常に嬉しい」と喜びを語った。

囲碁ニュース [ 2015年11月25日 ]

夫婦杯 三村ペア優勝!

 昨年新設された棋士同士の夫婦によるペア碁トーナメント戦、第2回夫婦(めおと)杯(主催・日本棋院、囲碁将棋チャンネル、協力・日本ペア碁協会、星野リゾート)の準決勝・決勝が11月22日、「いい夫婦の日」に日本棋院で行われた。
 決勝に進出したのは昨年と同じ鈴木歩六段・林漢傑七段ペア(前回優勝)と三村芳織三段・三村智保九段ペア(前回準優勝)。決勝戦は公開対局で、石田秀芳二十四世本因坊と吉原由香里六段による大盤解説会も同会場で行われた。序盤は黒番の鈴木・林ペアが模様を築き、白番の三村(芳)・三村(智)ペアが実利を稼ぐ展開に―。中盤、白が黒模様を荒らしに入ったところから難しい競り合いに発展した。大乱戦を制したのは三村(芳)・三村(智)ペア。白番中押し勝ちで昨年の雪辱を果たし、初優勝を飾った。
 夫婦杯のだいご味は棋士夫婦の普段の様子が垣間見えるところだろう。局後、林が「負けたのはすべて僕の責任です。家に帰ったら何でも言うこと聞きます」と肩を落とすと、鈴木六段が「負けてなくても、いつも何でも言うこと聞いてくれますよ」と優しくフォローしていたのが印象的だった。また、三村九段が「運よく勝てました。この大会のおかげで、一年間けんかをしないで、イライラしないで過ごすことができます」と笑いを含んだ挨拶をすると、三村三段は「主人がリードしてくれて勝つことができました」と夫を立てつつ喜びを語った。

囲碁ニュース [ 2015年11月18日 ]

女流本因坊戦 最終局へ

 藤沢里菜女流本因坊に謝依旻女流名人が挑戦する第34期女流本因坊戦第4局が11日、日本棋院で行われ、謝が白番中押し勝ちを収めた。本シリーズは藤沢の2連勝でスタートしたが、その後謝が持ち前のパワーを発揮し2連勝を返し、決戦は最終局へもつれ込んだ。最終決戦は27日、日本棋院で行われる。

囲碁ニュース [ 2015年11月4日 ]

日向はまぐり碁石まつり

 「はまぐり碁石」と「那智黒碁石」は愛棋家の憧れだ。現在ではプラスチック製やガラス製の碁石も多いが、日本で碁石と言えば伝統的に、白石にははまぐり、黒石には那智黒が用いられていた。今回紹介する「日向はまぐり碁石まつり」ははまぐり碁石の産地で年に1度開催されている囲碁大会だ。
 宮崎県日向市ははまぐり碁石の産地として有名で、今日まで伝統工芸士によって製造技術が継承されている。生産に技術と手間がかかるため他の素材に比べて値が張るが、貝ならでは独特の筋目と光沢がとても美しい。
 始まったのは1988年、日向市に息づく伝統工芸のPR活動を兼ねて行われた。大会で使用される碁石はもちろんはまぐり碁石。普段、アマチュアの大会ではなかなか使うことのできない一級品で対局できる魅力もあり、毎年多くの人が県内外から訪れる人気の大会へと成長した。
 27回目となる今年は10月31日に団体戦(3人1組)、11月1日に個人戦が行われ、およそ400人が出場。その他、プロ棋士による指導碁、大盤解説会などのサイドイベントや碁石や碁盤、日向市の特産物の即売会なども行われ、大賑わいを見せた。また、もう一つの碁石の産地、那智黒で有名な三重県熊野市との文化事業を進めていると言う。熊野市でも那智黒碁石の魅力を知ってもらおうと2013年に「熊野那智黒碁石まつり」が始まった。今年は11月21日、22日に行われる予定だ。

 豊かな自然に囲まれ、伝統工芸に触れ、一級品の碁盤と碁石を使い、愛棋家同士で親交を深める。贅沢な時間が過ごせること間違いない。みなさんも「日向はまぐり碁石まつり」に足を運んでみてはいかがだろうか。

囲碁ニュース [ 2015年10月28日 ]

一力 農心杯開幕3連勝!

 20日から23日にかけて中国重慶で行われた第17回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦第1ラウンド(第1戦から第4戦)で、日本チームの1番手、一力遼七段が開幕から白讚僖初段(韓国)、范蘊若四段(中国)、閔詳然四段(韓国)を破り、3連勝した。第4回戦で鄔光亜六段(中国)に惜しくも敗れたものの、世界の強豪相手にこの戦績は快挙と言える。
 本棋戦は日韓中による勝ち抜き団体戦。1チーム5人で、初戦は3チーム中2チームの1番手同士が対戦し、勝ったチームはそのまま1番手が残留、もう1チームの1番手と対戦する。一方、負けたチームは2番手に交代。このように勝ったら残留、負けたら交代を繰り返し、最後まで残ったチームの優勝となる。
 日本チームは井山裕太棋聖、村川大介王座、伊田篤史十段、河野臨九段、一力という布陣。日本の優勝は第7回以来なく、世界の壁は依然として厚い印象だが、若手の一力が幸先のいいスタートを切ったことで、日本チームの士気はぐっと上がったに違いない。
 第2ラウンド(第5戦から第9戦)は11月27日から12月1日にかけて韓国釜山で行われる予定。

囲碁ニュース [ 2015年10月15日 ]

中部総本部60周年

頭脳総合異種格闘技の模様

 日本棋院中部総本部創立60周年を記念した、「囲碁フェスタ2015」が11日、12日の二日間にわたって中部総本部で行われた。二日間で来場したファンは約600人。参加した棋士は退役棋士も含め、57名。まさに中部総本部総出の一大フェスタとなった。
 また、内容に趣向を凝らしたイベントが多かったのも印象的だった。認定大会や指導碁など、定番の催し物もあったが、中には「頭脳総合異種格闘技」(囲碁のルールと将棋のルールを掛け合わせたゲームを囲碁の棋士【伊田篤史十段、王景怡会津中央病院杯者】と将棋の棋士【澤田真吾六段、室田伊緒女流二段】で行う)や「だんご三世代囲碁大会」(世代の異なる3人でチームを組む団体戦。棋士も参加可。)といったイベントも。これらの工夫を凝らしたイベントの多くは棋士が自ら企画、運営に当たった。新しい囲碁の楽しみ方を棋士が提案するというユニークな試みに会場は大いに盛り上がった。
 中部総本部は棋士とファンの距離が近い。棋士がごく普通に運営側に回り、あるいはイベントに参加する。棋士とアマチュアの垣根を越えて、共にイベントを作り上げていく。そんな温かい雰囲気の中で、中部総本部は60周年という節目の年を盛大に祝った。

囲碁ニュース [ 2015年10月7日 ]

プロ棋士の研究事情 今研

今研の様子。
持ち時間30分、秒読み30秒の練習対局をしているところ

 今、日本の棋士たちは、国際戦で中国、韓国に圧倒されているために、ものすごく危機感が強い。一人で行う棋譜並べ、詰碁といった勉強はもちろん、有志で集まって実戦練習をしたり、知識を交換したりする研究会の活動も活発だ。
 今回取材したのは若手棋士の大部分が所属しているという研究会「今研(いまけん)」。毎週火曜日に30~40人ほどが集まって腕を磨いている。今研を主宰するのは張豊猷八段。5年前に中国や韓国に勝つために頑張ろうと、強化合宿を行ったのが始まりだった。「やってみたら好評で、もっと集まって勉強したいという声が多かったんです。それなら自分の勉強のためにも研究会をやってみようと思いました」と張八段。
 最初は20人ほどで始めた会だったが、今は所属人数40人以上の大所帯で、メンバーも王銘琬九段、趙善津九段といった百戦錬磨の大ベテランから、一力遼七段や本木克弥七段など一線で活躍している若手棋士まで幅広い。張八段は「井山さん(井山裕太棋聖)も東京で仕事がある時なんかは来てくれますよ」と話す。やはり、仲間同士で切磋琢磨することが何よりの勉強なのだ。
 取材をさせてもらったのは少しの間だったが、棋士たちの「もっと強くなりたい」という思いがビシビシと伝わってきた。中国、韓国に大きく差を付けられている昨今だが、日本の棋士たちも黙ってこの状況に甘んじているわけではない。そのことを強く印象付けられたひと時だった。

囲碁ニュース [ 2015年9月24日 ]

世界アマ日本代表 平岡さんに!

 「囲碁将棋チャンネル杯 第37回世界アマチュア囲碁選手権 日本代表決定戦」が9月19日、20日の二日間にわたって行われた。
 本大会は全国の予選を勝ち抜いた54名と招待5名の計59名によるトーナメント戦。第一日目にベスト4までを決め、第二日目に準決勝、決勝を行う。強豪がひしめき合う中、決勝に勝ち上がったのは平岡聡さん(招待)と稲葉一宇さん(神奈川)だった。平岡さんは昨年の優勝者で、過去に2度世界アマで優勝した経験のある大ベテラン。対する稲葉さんはアマ大会で大きな実績はないものの、院生経験があり実力は折り紙付きだ。
 決勝戦は序盤の打ち回しで平岡さんが優位に立ったが、稲葉さんが猛烈な追い上げを披露。あわや逆転かというところまで追いつめたものの一歩届かず、平岡さんの優勝となった。最近は若手の活躍が目覚ましく、世代交代を感じることが多かったが平岡さんは、決勝ではもちろん、準決勝でも先月最年少アマチュア本因坊に輝いた芝野龍之介さんを破るなど、存分にベテランの貫録を示した。来年の世界アマは中国で行われる。世界戦への意気込みを求められると「今年はふがいない結果になってしまったので(第36回バンコク大会5位)来年はもう少し優勝に絡むことができるように頑張りたい」と話した。

世界アマ1 優勝した平岡さん。(対局直後・幽玄の間にて)
 
世界アマ2 決勝戦と平行して石田秀芳24世本因坊と
下坂美織二段による大盤解説会が行われた。

囲碁ニュース [ 2015年9月2日 ]

女流本因坊戦 謝女流名人挑戦へ!! 

 謝依旻女流名人が3期ぶりの復冠をかけて、第34期女流本因坊戦挑戦する。挑戦者決定戦が行われたのは8月27日。平成9年から11年と16年の通算4期女流本因坊を務めたベテラン、知念かおり四段を白番中押し勝ちで破り、見事挑戦権を獲得した。「序盤は地が足りなくて、少し悪いと思っていた。最後も正しく打たれていたら大変だった」と局後謝が話したように、どちらが勝つか分からない力と力がぶつかる難しい戦いだったが、最後は謝の勝負強さが光った。

 迎え撃つ藤沢里菜女流本因坊は尊敬する人にかねてから謝の名前を挙げていた。最年少女流本因坊として一躍有名になった藤沢にとっても、女流タイトル3冠を独占し、長きにわたって女流囲碁界をけん引している謝は憧れの対象なのだろう。謝もまた藤沢には早くから注目していたようで、藤沢がタイトルを取る以前から、謝が藤沢の対局を熱心に見ているのを目にすることがあった。

 トップをひた走ってきた謝と新星藤沢の対決はファンならずともワクワクする。謝自身も「初の五番勝負、どんな碁になるのか楽しみ」と声を弾ませた。謝によると藤沢は「バランス重視のオールラウンダータイプ」だそうだ。一方謝は「力強い」という言葉がぴったりな攻めの棋風。いったいどんな戦いになるのか、注目の五番勝負第1局は10月8日、岩手県花巻市で行われる。

囲碁ニュース [ 2015年8月28日 ]

史上最年少アマチュア本因坊誕生!!

 第61回アマチュア本因坊決定戦の全国大会が8月22日、23日の二日間にわたって日本棋院で開催され、芝野龍之介くん(神奈川・17歳)が史上最年少で日本一に輝いた。これは、第52回大会の村上深さん(当時22歳)の記録を大きく更新する快挙だ。

 17歳の優勝は多くの人を驚かせたが、若手の活躍が目覚ましい昨今では十分考えられることなのかもしれない。実際、本大会では優勝、芝野龍之介くん、準優勝、林隆羽くん(埼玉・15歳)、3位・山田凌馬くん(愛知・18歳)と1位から3位までを十代が独占する結果となった。アマチュア本因坊戦は日本アマチュア囲碁の最高峰。長年全国大会に出場している百戦錬磨のベテランが多く出場している中で、十代の若手が優勝することは一昔前まで、考えられないことだったが、ここ数年で事情が大きく変わってきたようだ。

 芝野くんは本大会に「優勝すると思って臨んだ」と話す。自信の背景には、院生でプロ修行をしていた頃に、しっかりと実力を身に付けたという自負があるようだ。大学受験を控えており、これから勉強も忙しくなってくるが、「他大会でも優勝を目指したい」と力強く抱負を語った。

囲碁ニュース [ 2015年8月19日 ]

女流名人戦 挑戦者決定リーグ 開幕!

 第28期女流名人戦の挑戦者決定リーグが今週いよいよ開幕する。現在女流名人位にいるのは圧倒的な力強さで君臨する目下八連覇中の謝依旻六段。その謝に挑むのは誰なのだろうか。

 挑戦権を賭けて戦うのは鈴木歩六段、青木喜久代八段、万波奈穂三段、加藤啓子六段、藤沢里菜三段、知念かおり四段、奥田あや三段の7名(リーグ内順)。いずれも実力のある強者で、誰が挑戦者になってもおかしくないが、その中でも得に注目を浴びているのは藤沢里菜三段だ。藤沢は昨年最年少で女流本因坊位を獲得した、今最も勢いのある女流棋士と言える。藤沢は以前から「あこがれの人は謝先生」と話しており、謝もまた藤沢のことを、プライベートでは年の離れた後輩として可愛がりながらも、盤上ではライバルとして強く意識しているようだ。二人の直接対決は誰もが見てみたいところだろう。その他、前回挑戦者となった鈴木も最近好調で、本因坊戦でリーグ入り一歩手前の最終予選に残っただけではなく、そこからさらに2勝を挙げるなど、女流棋士の枠にとどまらない活躍見せている。
 リーグは来年1月にかけて、月に1局のペースで打たれる。9連覇がかかる謝に挑戦するのは誰になるのか、目が離せない展開になりそうだ。

囲碁ニュース [ 2015年7月29日 ]

囲碁の甲子園 高校選手権


大会風景

 第39回文部科学大臣杯全国高校囲碁選手権大会の全国大会が7月25日から27日の三日間にわたって日本棋院で行われ、各地区予選を勝ち上がってきた強豪高が集結した。囲碁の甲子園とも評される高校選手権では男子団体戦、女子団体戦、男子個人戦、女子個人戦の4部門に分かれて戦う。いずれの部門もレベルが高く、白熱した戦いが繰り広げられた。

【男子団体戦】 団体戦は各校3人一組のチーム戦。前回大会優勝の仙台第二が一次リーグで敗退するという波乱の幕開けとなった。実力が肉薄する中で、決勝に勝ち上がったのは三連覇の実績を持つ開成と京都代表の洛南だった。洛南は優勝候補の仙台第二を予選で破り、決勝トーナメントでは浦和を降して勝ち上がったが、層の厚い開成の前に2-1のスコアで惜しくも敗れた。開成の優勝は2年ぶり。【優勝・開成高等学校、準優勝・洛南高等学校、3位・浦和高等学校、4位・桐蔭学園高等学校】

【女子団体戦】 決勝は豊島岡女子学園対戸山、前回大会と同じ顔合わせとなった。主将、三将戦が終わってスコアは1-1、栄冠の行方は副将戦に委ねられた。豊島岡副将の小西絢子さん(2年)が優勢のままヨセに入り、そのまま終局するかと思われたが、戸山副将の高久智妃(2年)さんが勝負手を放って最後の最後に大逆転。優勝は戸山に決まった。戸山主将の辻萌夏(2年)さんは「前回負けているので優勝できて嬉しい」とストレートに喜びを表現した。【優勝・戸山高等学校、準優勝・豊島岡女子学園高等学校、3位・栃木女子高等学校、4位・白百合学園高等学校】

【男子個人戦】 決勝トーナメントに残った出場者のほとんどにプロ修行経験があり、過去に類を見ないハイレベルな戦いとなった。その中で優勝を決めたのは坂倉健太さん(3年)。「ベスト16で全然ダメな碁を拾ったので、開き直って挑めた。リラックスして打てたのが良かったと思う」と勝因を分析した。【以下敬称略、優勝・坂倉健太(広島学院高等学校3年・広島)準優勝・赤木志鴻(大阪星光学院高等学校2年・大阪)3位・平野翔大(新宿山吹高等学校3年・東京)4位・西岡正織 和歌山工業高等学校3年・和歌山)】

【女子個人戦】 年々レベルが上がってきている中で、抜群の安定感で優勝したのは谷麻衣子さん(3年)。1年生で優勝し、昨年は準優勝、そして今年は再び優勝し、有終の美を飾った。「前回準優勝を経験したので、やっぱり優勝は全然違う。すごく嬉しい」と満面の笑みを浮かべた。【以下敬称略、優勝・谷麻衣子(湘南白百合学園高等学校3年・神奈川)、準優勝・福島みのり(渋谷教育学園幕張高等学校2年・千葉)、3位・藤原彰子(新宿山吹高等学校3年・東京)、4位・小長井優(東京大学教育学部附属中等教育学校2年・東京)】

個人戦優勝者
団体戦優勝チーム

囲碁ニュース [ 2015年7月22日 ]

『呉清源とその兄弟』

 今回は本を一冊ご紹介したい。
 昭和を代表する大棋士、呉清源九段を囲碁が好きな方で知らない人はいないだろう。打ち込み十番碁で当時の名だたる棋士をことごとく先相先ないし定先に追い込み、盟友木谷実九段とともに新布石時代を作り上げた。昨年の11月30日に100歳で惜しまれながらその生涯を閉じたが、残された棋譜は色褪せることなく、今なお棋界に影響を与え続けている。

 『呉清源とその兄弟』はノンフィクション作家の桐山佳一氏によって膨大な取材を元に書き上げられた一冊だ。呉家が歩んだ軌跡を丹念に追いかけながらも、小説のようなタッチなので読みやすい。一つ一つのエピソードから、碁への純粋な気持ちや苦悩、平和への思いがうかがい知ることができる。
 呉清源が歩んだ道のりが、囲碁ファンにとっては最も気になるところだ。だが、兄二人の生涯もまた波乱に満ちていて思わず引き込まれる。長兄は家族を支えるために満州国で吏官となり、次兄は国を救うために共産党に入党し、抵抗運動に身を投じた。第二次世界大戦のさなか、運命に翻弄されながらも自分の道を見失わなかった呉家三兄弟の生きざまは、きっと多くの人の心に感動を呼ぶだろう。

『呉清源とその兄弟―呉家の百年』 桐山佳一著 岩波現代文庫

囲碁ニュース [ 2015年7月15日 ]

「GO・碁・ジャパン」の夏合宿

 世界戦で日本が勝てなくなってから久しい。そんな状態から脱するために、一昨年ナショナルチーム「GO・碁・ジャパン」が結成された。日本チームとして、一致団結して世界戦での成績向上を図る目的だ。
 その「GO・碁・ジャパン」メンバーの夏合宿が神奈川県三浦市のマホロバマインズ三浦で7月12日から15日の四日間にわたって行われた。昨年は冬に行ったが、もっと集まって勉強したいという若手棋士の声を受けて、今年は夏にも開催されることになったという。参加棋士は村川大介王座、高尾紳路天元らトップ棋士と藤沢里菜女流本因坊、金沢真七段ら若手棋士、約40名。対局を中心に、朝から晩まで囲碁漬けの四日間を過ごす。
 ナショナルチームの監督、山城宏九段によれば日本と中韓の差はとんでもなく大きい。特に読みとヨセの力に差をつけられていて、日本が追い付くには5年から10年はかかるだろうと言う。しかし、だからと言ってただ手をこまねいている分けにはいかない。「今回の合宿もそうだが、伸びしろのある若手を中国に派遣するなど、今できることをやっていくしかない」と山城九段。「強くてやる気のある若手は大勢いる。そういう若い人に頑張ってもらわないと」と今後を担う若手棋士に大きな期待を寄せていた。

開会の挨拶をする山城九段
合宿対局の模様

囲碁ニュース [ 2015年7月8日 ]

会津中央病院杯 王初タイトル!

 会津中央病院杯の決勝戦、謝依旻女流名人対王景怡二段が7月2、3日の二日間にわたって福島県会津若松市の「今昔亭」で行われ、王が白番1目半勝ちを収めて初タイトルを獲得した。
 本棋戦は昨年新設された女流棋戦で、女流棋戦初となる二日制(持ち時間各5時間)の導入や、袴での対局など、ユニークな試みがなされている。昨年の第1回大会では藤沢里菜女流本因坊が初タイトル(当時)を獲得し話題となった。
 本戦はシードの藤沢、謝と予選を勝ち抜いた6名(加藤啓子六段、桑原陽子六段、鈴木歩六段、石井茜二段、王、金子真季初段)の計8名によるトーナメント戦で、王は金子、加藤を破り決勝に進出。もう一つの山では謝が桑原、藤沢を降して勝ち上がってきた。謝は女流名人、女流棋聖の二冠を持つ第一人者、一方の王には大きな実績はなく下馬評では謝が有利と見られていた。しかしいざふたを開けてみると、王は充実した内容で謝と互角以上に渡り合い、最後は1目半勝ちで新女王に輝いた。

【王景怡二段 プロフィール】

中部総本部所属棋士
昭和61年7月9日生
平成20年入段
父は王立誠九段

囲碁ニュース [ 2015年7月1日 ]

マスターズカップ 決勝は趙VS武宮

 今年で5回となるフマキラー囲碁マスターズカップは50歳以上の七大タイトル経験者によるトーナメント戦だ。大竹英雄名誉碁聖や小林光一名誉棋聖など往年のスターが大集結し、囲碁ファンにとってはたまらない。決勝に進出したのは2回の優勝経験を誇る趙治勲25世本因坊と宇宙流の武宮正樹九段。棋風がまったく異なる二人が、今ひとたび向かい合ってどのような戦いを繰り広げるのか―。注目の決勝は7月11日に行われる。

囲碁ニュース [ 2015年6月29日 ]

女流本因坊戦 ベスト4出そろう

 第34期女流本因坊戦の挑戦者を決める本戦トーナメントでベスト4が出そろった。昨年最年少(16歳)で女流本因坊位に輝いた藤沢里菜二段に挑むのはだれか、目が離せない。

 今期は前年度覇者の向井千瑛五段が初戦で敗退するなど、波乱の幕開けとなった。ここまで2回戦が終わり、残ったのは謝依旻女流名人、吉田美香八段、知念かおり四段、下坂美織二段。その中で、優勝候補の筆頭は謝だろう。2013年に向井千瑛五段に女流本因坊位を奪われるまで女流名人、女流棋聖と合わせて三冠を手中に収め、絶対的な存在として君臨した。本因坊位を失った後も、二冠を堅持。第一人者としての貫録を示した。トップで活躍し続けている謝は藤沢にとって「あこがれの人」と言う。二人の5番勝負を切望するファンは多いはずだ。

 タイトル経験豊富なベテラン勢に混ざって、本期が本戦初出場の下坂が4強入りしたのも特筆すべきだろう。下坂は棋士の中では珍しく、院生に入らずにアマチュア大会で腕を磨いたという経歴の持ち主。プロ入り後はNHK杯の聞き手を務めるなど幅広く活躍し、お茶の間の人気者となった。挑戦者の座にここまで近づいたのは初めて。どこまで迫れるかが楽しみだ。

囲碁ニュース [ 2015年6月10日 ]

第60回 関東甲信越静囲碁大会

 6月6、7日の二日間にわたって第60回関東甲信越静囲碁大会が東京都で行われた。その名の通り関東甲信越の各都県と静岡県を加えた10地域16チームによる5人1組の団体戦だ。

 毎年近隣地域の囲碁愛好家が親交を深めるために行っている本大会は今回で節目の60回を迎えた。開催運営は各都県の持ち回りで、今年は東京都の担当年。大きなスポンサーはなく、担当都県の負担は決して軽くはないが、愛好家が自主的に開催している大会が60年間脈々と受け継がれてきた意義は大きい。開会式で実行委員長の金井和子さんが「先輩方がこの素晴らしい大会を途切れることなく続けてくださったことに感謝している。今度は若い世代の方々が受け継ぐ番。囲碁振興のために力を尽くしてほしい」とあいさつすると、会場中が温かい拍手で包まれた。

 出場チームの中でひときわ注目を集めたのは、かつてのアマチュア囲碁界をけん引してきたトッププレーヤーで構成された「レジェンドチーム」だった。レジェンドの名にふさわしく、主将から順に、平田博則、菊池康郎、原田実、中園清三、金井和子(敬称略)という豪華メンバー。平田さんや菊池さんなど、ご高齢のため普段は大会に出場されない方と対局できるチャンスとあって、会場は大いに盛り上がった。

 優勝は2年連続で「東京Aチーム」、準優勝は「東京レディースチーム」、3位に「レジェンドチーム」が入り、往年の貫録を示した。

囲碁ニュース [ 2015年5月13日 ]

第2回グロービス杯 ベスト4中韓独占

「グロービス杯世界囲碁U-20」は昨年からスタートした新棋戦で、2011年に「世界選手権・富士通杯」が休止されて以来の日本発の国際棋戦だ。参加者は20歳未満(1月1日時点)に限定され、日本6名、中国3名、韓国3名、台湾1名、欧州1名、北米1名、オセアニア1名の計16名によってトーナメント方式で行われる。昨年の第1回グロービス杯では日本勢同士の決勝戦となり大いに盛り上がった経緯があり、今年も日本選手への期待は高かったが、結果は厳しいものだった。
 日本からは一力遼七段(前回覇者・シード)をはじめ、余正麒七段、本木克弥三段、藤村洋輔二段、佐田篤史二段、小山空也二段が出場したが、ベスト8に残ったのは余と佐田の二名に止まった。日本優勝の望みは二人に託されたが、中韓の選手はいずれも世界で活躍する強敵。両者ともギリギリまで奮闘したが一矢報いることができず、日本勢は準々決勝で全員が敗退することとなった。
 ベスト4の顔ぶれは、黄雲嵩四段(中国)、李欽誠二段(中国)、羅玄六段(韓国)、李東勲五段(韓国)。その中でハイレベルな戦いを制し優勝に輝いたのは中国の黄雲嵩四段だった。第16回三星火災杯でベスト4に入った実績を持つ羅玄六段に決勝戦で快勝した黄は、優勝した感想を求められると「気持ちいいです」と喜びを素直に表現した。

囲碁ニュース [ 2015年5月7日 ]

大人気 宝酒造杯

 参加資格は法的にお酒が飲める20歳以上であること、ただそれだけ。今年で第8回目を迎える宝酒造杯は今最も人気のアマチュア大会である。

 本大会はその名の通り、京都にある酒造メーカー、(株)宝酒造が主催している。そのため大会会場には宝酒造のお酒が自由に飲める試飲コーナーがあり、お酒好きにはたまらない大会だ。段級位でクラス分けされているので級位者でも安心して出られる他、指導碁や棋士のサイン会、詰碁コーナーなど対局以外にもイベントを用意するなど、多くの人が楽しめるように細部に至るまで実によく考えられている。
 そしてこの大会の最大の特徴は、主要都市だけではなく、様々な地域で開催されている点だろう。各大会で優勝した人はクラスに関わらず京都で開催される全国大会に行けるというのも新しい。年々開催地区は増えており、今年は京都、東京、札幌、岡山、福岡、横浜、仙台、広島、新潟、大阪、名古屋の全11地区で開催される予定だ(京都大会は開催済み)。地区ごとに開催日程が異なり、出身地に関わらず大会にエントリーすることができるため、中には東京から仙台や広島まで、はるばる参加しにくる熱心な宝酒造杯ファンもいるほどだ。
 ほろ酔い気分で打つもよし、勝って勝利の美酒を飲むもよし、負けてヤケ酒を仰ぐもよし…。お酒の味が分かる大人にしか許されない宝酒造杯、みなさんも参加してみてはいかがだろうか。

囲碁ニュース [ 2015年4月22日 ]

日本で広がる「囲碁カフェ」

 喫茶店にコーヒーを飲みにきたついでに、ちょっと囲碁でも打とうかと碁盤を広げる…。いわゆる「碁会所」が存在しないヨーロッパではそれが普通の光景だった。棋士の円田秀樹九段(関西総本部所属)は海外指導員としてヨーロッパに訪れた時に自由で開放的な欧州スタイルに感銘を受けたそうだ。そして、日本でもこんな風に碁が楽しめればという思いから2009年に囲碁の打てるカフェ&バー「エストレラ」を地元大阪でオープンした。ねらい通り、普段碁会所に足を運ぶことのない若者や会社帰りのサラリーマンがふらりと立ち寄るようになり、今では若い世代への普及の拠点としてなくてはならない場所になっている。

 東京にも何店か囲碁カフェはあるが、その中でも特に新橋にある囲碁将棋喫茶「樹林」が最近注目を集めている。実は、「樹林」は40年以上も続く老舗の喫茶店。昔から店内に碁盤を置いていたと言うから囲碁喫茶歴は長い。しかしその当時は対外的なPRをしておらず、馴染みのお客さんが内々で楽しむ場に過ぎなかった。それをガラッと変えたのが現在の店長、中山佳祐さん(27歳)。3年前にお店を引き継いで以来、積極的にイベントを仕掛けて若い層の開拓を行ってきた。イベントの中にはリーグ戦などいかにも囲碁らしいものもあるが、中には「日本酒の会」や「お花見」といった一見囲碁とは関係のないものも多い。「今はパソコンを開けば碁が打てる時代。足を運んでもらうためには単に囲碁を打つだけではない、何か楽しいきっかけを作るとこが大切」と中山さんは言う。 囲碁は奥深くて面白いゲームだが、それだけではなかなか人は集まらないのも事実だ。多くの人に気軽に囲碁を楽しんでもらうためには、囲碁の面白さプラスアルファ「何か」が必要なのかもしれない。そして、その「何か」を提供する場として、囲碁カフェの持つ可能性は大きい。

エストレラ http://estrela.sharepoint.com/Pages/default.aspx
樹林 http://jurincafe.jp/

囲碁ニュース [ 2015年4月8日 ]

大人気 囲碁クエストとは

 今の時代ではネット上で囲碁を楽しむのは普通のこと。パンダネット、幽玄の間、KGSなどさまざまな対局サイトがあり、時間や場所を問わず対局できる。しかし一方で、ネット碁で楽しめるのはすでに囲碁がある程度できる人だけだという指摘もある。実際、囲碁はルールを覚えても自分の力で一局打ち切れるようになるまでにかなり練習が必要だ。ルールを覚えたからとすぐに対局サイトに登録しても、なかなか打ってくれる相手は見つからないし、せっかく対局ができても負けてばかりではつまらない。
 そんな中、ルールを覚えたばかりの人でも気軽に楽しめると評判になったのが、「囲碁クエスト」という対局アプリだ。参加者がハンドルネームを使って交流対局するという点は他のサイトと同じだが、そこには誰でもが参加できるように、様々な仕掛けがあった。以下、思いつくままに「囲碁クエスト」ならではの工夫を列挙してみる。
① 持ち時間の短い9路盤・13路盤の対局であるところ(一局の回転が速く、初心者にも手を出しやすい)
② 段級の申請がなく、代わりにレーティングが実戦対局の成績によって上下するところ
 (自分で級が分からなくても参加できる)
③ 対局のマッチングはアプリが自動で行うところ(対局申込みを断られるということがない)
④ とても弱いロボットとの対局ができるところ(誰でも勝つ喜びを得られる)

実はこのアプリ、最初は初心者を対象に作られたものだったが、手軽さとゲーム感覚の面白さから次第に有段者の間でも人気が出て、今ではプロ棋士も参加しているという。
これから囲碁を始める方も、腕に覚えがある方も「囲碁クエスト」を試してみてはいかがだろうか。



囲碁ニュース [ 2015年4月1日 ]

第18回ゆうちょ杯ジュニア本因坊戦


 毎日新聞社が主催する第18回ゆうちょ杯ジュニア本因坊戦の全国大会が3月25、26日の二日間にわたって東京都港区にあるメルパルク東京で開催され、福岡代表の寺下龍太郎くん(中3)が初優勝を飾った。

 ゆうちょ杯ジュニア本因坊戦は毎年桜が咲き始めるこの時期に行われる。本大会の大きな特色は小学生と中学生合同参加である点と、全員が二日間で6局対戦し、その勝数で順位が決まるスイス方式である点だろう。夏の少年少女囲碁大会が小学生の部と中学生の部で分かれてトーナメントを行うのと好対照をなしている。実は、現4冠の井山裕太棋聖は本大会1回目の優勝者。その他にも棋士になった歴代優勝者は数多く、非常にレベルの高い大会だ。

 今回参加したのは各地域で予選を勝ち上がった38名。その中で全勝し、見事優勝したのは福岡代表の寺下龍太郎くん(中3)だった。地元の碁会所通いとインターネット対局で鍛えていると言う寺下くんは「(強い人ばかりの中で優勝できて)奇跡のよう」と満面の笑顔を見せた。東日本代表の林朋哉くん(中2)は院生経験を持つ実力者で優勝候補だったが、最終局で寺下くんに敗れて惜しくも準優勝。「優勝を目指していたので今は正直嬉しくない。碁も悪くなかったのに…」と口惜しさをにじませた。
 3位以下の入賞者は以下の通り。3位・中島光貴(東日本・中3)、4位・奈須春樹(九州都城・中3)、5位・北山雄貴(関西・中3)、6位・福田敏弘(福岡・中3)、7位・田中ひかる(北海道・小6)、8位・笠原悠暉(関西・小6)



囲碁ニュース [ 2015年3月25日 ]

米寿 杉内八段大活躍 女流本因坊本戦へ

 囲碁は体を使うスポーツとは違い、いくつになっても戦えるとはよく言われることだが、言うは易しで実際にそれを示すのは至難の業だろう。ところが、プロの世界でそれを実行してしまった人がいる。杉内寿子八段は今年で米寿(88歳)。その年で現役の棋士であるだけでも驚きだが、さらに驚くべきことに第34期女流本因坊戦の予選で、自分の娘や孫ほどの年齢の棋士たちをバタバタとなぎ倒し、本戦に駒を進めたのだ。もし杉内八段がこのまま快進撃を続け挑戦者になれば、藤沢里菜女流本因坊が16歳なので、なんと年の差5倍以上の挑戦手合いとなる。本戦は長く強豪ぞろいなので気が早いかもしれないが、想像するだけでもわくわくする話だ。

囲碁ニュース [ 2015年3月17日 ]

女流名人戦

 謝依旻女流名人に鈴木歩六段が挑戦する第27期女流名人戦は、謝が2勝0敗で防衛して幕を閉じた。謝は自身の連覇記録また一つ伸ばし、今期で8連覇を達成したことになる。

 本棋戦は女流名人が挑戦者を迎え撃つ挑戦手合い方式。3番勝負でどちらかが2勝したところで女流名人位が決まる。挑戦者の鈴木はバランスの良い棋風が持ち味の強豪で、これまでも男性棋士に混ざって棋聖リーグ入りまであと一歩のところまで迫るなど、その実力を十分に示してきた。しかし、実力のわりにタイトルに恵まれていないという意見も…。鈴木自身もその点は意識していて、今回こそはと気合を入れていたようだ。一方の謝は剛腕という言葉がぴったりな力強い棋風。2013年に女流本因坊位を向井五段に奪われ不調を心配する声もあったが、その後は二冠を堅持している。
 謝の1勝0敗で迎えた2局目は3月11日に行われた。会場は京都府の平安女学院大学が所有する有栖館。かつて貴族の有栖川宮が住まわれていた豪邸を改装した学舎とあって、日本庭園が美しい雅な対局会場だった。対局は序盤で鈴木に失着があり謝がリードを奪ったが、中盤鈴木が力を発揮し形勢不明の混戦模様に…。しかし謝の冷静な対応が光り逆転には至らなかった。8連覇の偉業を成し遂げた謝は「ベストを尽くせた」と語った。

囲碁ニュース [ 2015年3月11日 ]

15歳 牛栄子さん 入段

 2015年4月、女流棋士特別採用試験で入段を決めた牛栄子(にゅうえいこ)さん(15歳)が棋士の仲間入りをする。3月時点での女流棋士の最年少は藤沢里菜女流本因坊(16歳)だが、牛さんが加わることで藤沢女流本因坊にも後輩ができることになる。
 牛さんは院生には入らず、ネット碁やアマチュアの大会で腕を磨いてきた。叔母さんは中国の棋士で叔父さんはマイケル・レドモンド九段、お母さんは昨年惜しまれながら世を去った昭和の巨匠呉清源九段の秘書をしていたという囲碁一家の中で育った。日々の生活に囲碁がある環境で育ったからか、いつの間にか棋士をあこがれ、目指すようになっていたのだと言う。
 昨年、女流棋士特別採用試験を受けた時には惜しくも次点だったが、今年は全勝という文句なしの成績だった。今後の目標を尋ねると、「目標とかは考えていません。一局一局、悔いのないように打ちたいです」という答え。幼い頃かわいがってもらったという呉清源九段については「呉先生の囲碁への姿勢は純粋で、そこを尊敬している」と話した。きっと牛さんの囲碁への姿勢も純粋なのだろう。結果を求めるよりもまず一手一手を大切に、探究心を持って盤に向かうことが一番大事で、それが楽しい。質問にハキハキと答える牛さんの澄んだ声からはそんな想いが伝わってきた。

囲碁ニュース [ 2015年2月24日 ]

第44回ジャンボ大会「月組」

 第44回ジャンボ大会「月組」が2月22日、日本棋院で行われた。本大会がユニークなのは、1チーム15人の団体戦である点だ。参加チームはAリーグとBリーグの2つに振り分けられ、それぞれ4局打つ。そして、スイス方式により各リーグ上位1位から4位までが決勝戦および順位戦に回る。(リーグ1位同士で決勝戦、2位同士で3、4位決定戦、以下同様)今回参加したのは全部で32チーム。1チーム15人の大所帯なので、参加者数は480人にもなる、文字通りジャンボな大会だ。
 規模の大きさはもちろん、出場者のレベルの高さも一つの見どころだ。アマ強豪の瀧澤雄太さん率いる多岐技会や、プロ棋士を数多く輩出している洪道場など、シニアから少年少女まで腕自慢が幅広く集う。
 久しぶりの仲間と再会するきっかけになるのも本大会の魅力だろう。大学のOB会がチームを結成している例は多く、中にはこの日のためにわざわざ大阪から出てくる人も…。他にもチームgoxi!など、SNSを媒介に結成されたものもあり、チームといい楽しみ方といい実にバラエティーに富んだ大会だった。


優勝した大熊義塾
 決勝に進出したのは優勝経験のある団碁汁特盛と大熊義塾。大熊義塾は20代の若手が中心のチームで、そのほとんどが院生経験者だ。結果は8勝7敗で大熊義塾の優勝。幹事を務める大熊悠人初段は「大熊義塾として参加したのは3回目、それ以前も別の名前で6回出場していました。準優勝は何度もあるけど、優勝は初めてなのでとても嬉しいです」と語った。結果は以下の通り優勝・大熊義塾、準優勝・団碁汁特盛、3位・新宿囲碁センター、4位・洪道場泉、5位・多岐技会、6位・囲碁クラブ秀哉、7位・彩の国連合、8位・明友会

バックナンバー