日本囲碁ニュース (その他)
日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。
囲碁ニュース [ 2019年12月24日 ]
仲邑菫初段、ジャーナリストクラブ賞受賞
囲碁担当記者たちの投票によって決める「第37回日本囲碁ジャーナリストクラブ賞」に、仲邑菫初段(10)が選ばれた。英才特別採用推薦棋士の第一号として、今年4月、史上最年少で入段して注目を集めた仲邑初段は、期待どおりの活躍を見せ、対男性棋士に7勝2敗、対女性棋士に7勝4敗の成績を残した。あわせて14勝は、今年の新初段の中で最多勝の健闘ぶり。仲邑自身も「思ったより勝てた」と振り返る。12月17日、東京都千代田区の日本棋院で授賞式が行われ、記念品としてキャラクター「ライアン」の絵入りキャリーケースが送られると子供らしい笑顔で受け取っていた。
上野、女流棋士年間最多勝の新記録なるか
12月19日、上野愛咲美女流本因坊が、第45期棋聖戦ファーストトーナメントで黒番中押し勝ちを収めた。年間43勝目(25敗)となり、藤沢里菜女流立葵杯の持つ女流棋士の年間最多勝記録「43勝(23敗)」に並んだ。上野は26日にも対局を残しており、勝てば新記録達成となる。なお、12月20日現在、全棋士の勝ち星ランキングは芝野虎丸名人が52勝(17敗)でトップ、二位は一力遼八段の46勝(14敗)で上野は三位につけている。
囲碁ニュース [ 2019年12月10日 ]
張栩、日中決戦を制す
日本と中国の覇者による阿含・桐山杯第21期早碁オープン戦日中決戦(中国国際友好連絡会、中国棋院、日本棋院主催、阿含宗特別協賛)が、12月3日、中国広州市で打たれ、張栩九段が范廷鈺九段に白番1目半勝ちを収めた。日本勢の勝利は井山裕太九段以来4年ぶり。本棋戦で単独トップの5回目の優勝を果たした張自身は、初めて日中決戦を制した。「勝つのは難しい相手なので、打ちたい手を積極的に打とう」と臨んだ張だが、中盤までは苦戦を自覚したという。だが、范のわずかな乱れを捉えて形勢は不明に。難戦のなか、定石のない中央のヨセでリードを奪うと、そのまま逃げ切った。局後の張は「范廷鈺九段の碁はずっと研究しています。とても理想的で学ぶところが多い」、「AI世代には追いつけないと感じます。自分が日本で成績を残せるのはちょっと不思議な感じで、どの一局も奇跡だと思っています」と語り、今回の勝利については「勝てるとは思っていなかったので夢のようです。范廷鈺九段はとても強く、私とは1子ほど差があると感じます。彼に勝てる確率は低かったですが、彼が感じるプレッシャーも大きかったのでしょう。私は気楽に打てたので、その点ちょっと有利でした」と謙虚に分析。そして「中国の7目半のコミが心強かった」と終盤の心境を、「僕だけで4回も日中決戦で負けていて責任を感じており、いい結果を日本にもたらせてこれほどうれしい勝利はありません」という張らしい責任感のある真摯なコメントも残した。
鈴木、挑戦権を獲得
上野愛咲美女流棋聖への挑戦権をかけた第23期女流棋聖戦(株式会社NTTドコモ協賛)の挑戦者決定戦が12月5日、東京都千代田区の「竜星スタジオ」で行われ、鈴木歩七段が牛栄子二段に白番中押し勝ちを収めた。鈴木のタイトル戦出場は2015年の女流名人戦以来で、女流棋聖戦では初挑戦となる。鈴木は今年、女流立葵杯、女流本因坊戦でも挑戦者決定戦まで勝ち上がっている。いずれも上野女流棋聖に敗れはしたが、実力者ぶりは大いに発揮され、女流棋聖戦でも藤沢里菜女流立葵杯ら強豪を降し決勝譜もほぼ完勝の好局だった。「久しぶりの挑戦手合ですし、女流棋聖戦は初めてですし、相手が愛咲美ちゃんなので、楽しみなことしかありません。愛咲美ちゃんは強いし、性格もピュアでかわいく誰からも愛されるキャラクターです。子育て中ですが、家族も協力してくれるので、甘えながら準備をして、楽しく打ちたいです」と喜びを語った。夫の林漢傑八段も名人戦リーグ入りを決めるなど、夫婦そろって充実している印象だ。三番勝負は、1月16日に、神奈川県平塚市の「ホテルサンライフガーデン」で開幕する。
囲碁ニュース [ 2019年12月3日 ]
平田智也七段、悲願の初優勝
30歳以下・七段以下の若手棋戦、第14回広島アルミ杯・若鯉戦(日本棋院、日本棋院広島県本部主催。広島アルミニウム工業株式会社特別協賛)の本戦が、11月23日、24日に広島市で行われた。大会初日は1回戦と2回戦が行われ、二日目の決勝戦は、平田智也七段と六浦雄太七段のカードとなった。結果は平田の白番3目半勝ち。悲願の初優勝を果たした。現地の大盤解説会場に現れ、まず感想を尋ねられた平田は、感極まり、かすれた声で「ほんとに嬉しいです」。会場からは暖かく盛大な拍手が沸き起こっていた。
解説の山田規三生九段は「準決勝戦も完勝の名局。平田七段は元々強いのですが、この大会は特に充実していた」と話す。決勝の譜は、黒番の六浦が優勢を築いた中盤で、白番の平田が「取れないシチョウを追いかけて逃げられた後に隣の黒石を取る」という大技を決めた。局後平田が「シチョウ読めないんですよ。一手目は取れると思ってカカエたのですが、逃げられて大変なことになったと思いました」と振り返れば、六浦も「平田先生、シチョウを読めてないなと思いました」と応え、集まった地元ファンの笑いを盛り上げていた。この攻防で白がややポイントをあげ、その後ヨセで逆転。平田は「中央の形が運よくできていました」と控え目に勝因を語った。
囲碁ニュース [ 2019年11月28日 ]
訃報 小川誠子六段
11月15日、棋士の小川誠子六段がご病気のためご逝去されました。
女流本因坊などのタイトルを獲得され第一線で活躍されるかたわら、NHK杯テレビ囲碁トーナメントの聞き手を長年にわたり務められ、多くのファンに親しまれ愛され、優しく囲碁を広める草分け的存在となりました。文才もあり、新聞連載されたコラムの中の「忘れ得ぬ師の言葉」が、東京都世田谷区の小中学校の日本語教育の「哲学」の教科書に採用されたこともあります。
アマチュア囲碁界にも貢献を惜しまれず、パンダネットでは、パンダネット月例大会の審判長を長年務めていただき、会員の皆さまとのご縁を大切にされておりました。また、「国際アマチュア・ペア碁選手権大会」では第一回大会から30年間審判長を務めていただきました。
近年は日本棋院理事や棋士会長も歴任され、「一局一局、一瞬一瞬を大切にしていきたいなという思いと共に、本当に素晴らしい囲碁をもっともっと多くの方に知ってもらいたい、そのための何かお役に立ちたいと考えています。囲碁を通して素晴らしい方々にお目にかかるチャンスもたくさんありました。そういう意味でも、囲碁界に何か恩返ししたくて、どういう風に役に立てるのかな?ということを日々考えていますし、そういうふうにしていきたいと思っています」と語られていました。
通夜・告別式は、近親者にて執り行われ、お別れの会などの詳細はまだ決まっていないとのことです。
心よりご冥福をお祈りいたします。
囲碁ニュース [ 2019年11月27日 ]
アマ竜星戦森川さん初V 大関さん三冠ならず
第18回囲碁アマチュア竜星戦全国大会が11月23日、24日に東京市ヶ谷の日本棋院において行われた。これまでのアマチュア竜星戦はケーブルテレビ杯予選やネット大会の勝ち上がり者が全国大会で戦うというものだったが、今年より世界アマチュア囲碁選手権と合併し、ネット予選とともに各都道府県代表を加えた62名で争われ、優勝者は日本代表となることになった。そのためアマチュア三大大会も名人・本因坊・竜星となる。
今大会で最も注目を集めたのはアマ名人・本因坊の大関稔さんである。アマ三冠の偉業達成なるか。
大関さんは1回戦からアマ竜星戦の優勝経験のある小野慎吾さんとの対戦となり強豪の多いブロックとなったが、順当に勝ち上がりベスト4に進出。二日目に残った。昨年の世界アマチュア選手権の優勝者である川口飛翔さん、アマ名人準優勝など各大会で実績を残す闇雲翼さん、そして昨年の中部棋士採用試験で次点だった森川舜弐さんの4名がベスト4進出となった。
準決勝では大関さんが闇雲さんを、森川さんが川口さんを降し、決勝に進出した。決勝戦は日本棋院地下の竜星スタジオで収録、囲碁将棋チャンネルで放送される。大関さんは王者の貫禄を見せつけるように順当に勝ち上がってきたが、森川さんは初戦から接戦や逆転など粘り強さを見せての決勝進出となった。決勝戦は森川さんが大関さんを降し初優勝。大関さんは三冠目前で敗れてしまった。
森川さんは来年の世界アマチュア選手権に日本代表として挑むことになった。「まさか優勝できるとは思わなかった。自分が日本代表でいいのかと思ってしまうが、日本のためにも頑張りたい」と抱負を語った。
囲碁ニュース [ 2019年11月21日 ]
18歳の新女流本因坊誕生。上野二冠に
藤沢里菜女流本因坊が先勝した後、挑戦者の上野愛咲美女流棋聖が二連勝して王手をかけた第38期女流本因坊戦五番勝負(共同通信社主催)の第4局が、11月15日に、東京都千代田区の日本棋院で行われた。棋風どおり積極的に打つ上野が主導権を握るが、その後に緩着が出て藤沢が迫る。解説の鶴山淳志八段は、一時は黒番の藤沢に軍配をあげた。しかし、上野の勝負手からコウに突入し、藤沢の錯覚を誘った。200手まで、白番上野が中押し勝ちとし女流本因坊を奪取した。上野は「結果よりも内容を頑張ろうと思っていたのですが、予想外の結果で良かったです。2局目に勝っただけで満足していました」と控え目に喜びを語り、藤沢は「後半に読み間違いが多く、ちょっとまずいシリーズでした」と肩を落とした。これで女流タイトル5つを、藤沢が3、上野が2と分け合うことになり、2強時代がスタートした感じがある。
囲碁ニュース [ 2019年11月13日 ]
女流本因坊戦は、上野が王手
藤沢里菜女流本因坊の1勝、挑戦者の上野愛咲美女流棋聖の1勝で迎えた第38期女流本因坊戦五番勝負(共同通信社主催)の第3局が、11月6日に、東京都千代田区の日本棋院で打たれた。結果は235手まで上野が黒番中押し勝ちとし、タイトル奪取に王手をかけた。世界戦で多く打たれている布石から立ち上がり、中盤に入るあたりでは藤沢が優勢を築いた。右上隅の白に対して上野が手筋を放ちコウ残りの形に持っていくものの、一手の緩着から藤沢が主導権を握り続けた。しかし、「中央の戦いに問題がありました。感じの悪い手を打ってしまい……もう少し工夫しないといけなかった」と藤沢。上野がコウを決行して逆転に成功した。上野は「右上のコウを解消して少しいいかと思いましたが、全然計算ができず、最後の方で形勢がいいとわかりました」と控え目なコメントを残した。カド番に追い詰められた藤沢は、「次は気持ちを入れ替えて、一生懸命打ちたい」と気合いを入れ直した。新女流本因坊誕生か、藤沢が踏みとどまるか。注目の第4局は、11月15日に日本棋院にて行われる。
囲碁ニュース [ 2019年11月8日 ]
女流本因坊戦、上野が1勝を返しタイに
藤沢里菜女流本因坊に上野愛咲美女流棋聖が挑戦する第38期女流本因坊戦五番勝負(共同通信社主催)の第2局が、10月27日に秋田県能代市の「金勇」で行われ、上野が白番中押し勝ちを収めてスコアを1勝1敗のタイに戻した。序盤の藤沢の打ち回しが疑問だったようで、早くから上野がリードを奪ったが、中盤に藤沢が勝負手を放ち、相手の大石を取りかけに向かって本局のクライマックスを迎えた。しかし、最近は、攻めだけではなく、シノギにも定評のある上野が、検討陣を「強い!」とうならせる妙手ではね返した。上野は「ずっと攻められていたので、次はもうちょっと攻めたいなと思います」とシリーズを楽しんでいる様子。藤沢は「前半から苦しくしてしまい…勝負形になったと思ったのですが、(相手のシノギの手が)見えていなくて…」と振り返った後、「次局は自分らしく打ちたい」と抱負を語った。両者は現在、日本棋院の勝ち星ランキングで全棋士中3位と4位につけている。次局も好調どうしの好局が期待される。第3局は、11月6日に東京都千代田区の日本棋院本院で行われる。
第二回中庸戦は、黄翊祖九段が優勝
第2回「SGW杯中庸戦」(株式会社セントグランテ協賛)の本戦が11月3、4日に東京都千代田区の日本棋院で行われた。本棋戦は、日本棋院所属の31歳以上60歳以下、かつ七大棋戦、竜星戦、阿含桐山杯の優勝経験のない棋士に出場資格があり、本戦に勝ち上がった16名がスイス方式で順位を決定する。全勝をかけた今村善彰九段と黄翊祖九段の一戦には、趙治勲名誉名人と第1回優勝者の林漢傑八段と吉原由香里六段による大盤解説会も行われ、多くのファンを集めた。優勢を築いた黄に今村が猛追したが、今村に一瞬の錯覚があり黄が勝利を収めた。「とてもうれしい」と笑顔の黄は、期間中に九段昇段も決め、花を添えた。今村は「勝負形になったところで、ひどい負け方をしてしまい…」と無念の表情だった。2位は三村智保九段、3位は大場惇也七段、ポイントの関係で今村は4位に入った。
囲碁ニュース [ 2019年11月7日 ]
秋季関東学生囲碁団体戦 早稲田V
11月2日、東京市ヶ谷の日本棋院において秋季関東学生囲碁団体戦の最終戦が行われた。10月6日、27日と合わせて3日間に渡り関東の各大学が競った。当初開催予定だった10月13日は台風19号の影響で延期になるというアクシデントも起こった。
近年では早稲田大学一強の状態であり、慶應義塾大学、東京大学、東京理科大学がそれを追う展開である。今回も早稲田大学は学生最強位の星合真吾さん、昨年の学生十傑の津田裕生さんなど隙のない布陣。四回戦が終わり、上位四校は4連勝となり直接対決の勝負となった。
五回戦、早稲田大学と東京理科大学の対戦では学生本因坊の栗田佳樹さん(東京理科大)が主将戦を制するも早稲田の壁は崩せなかった。
最終日も早稲田は磐石で東京大学を5-0で降した。しかし最終戦、慶應義塾大学が意地を見せ早稲田を3-2で降して混戦となった。一方の東京大学と東京理科大学は4-1で東京大学が制した。この結果、早稲田と東京大学が6勝1敗で並んだが個人の勝ち数で早稲田大学の優勝となった。
早稲田大学は現在のレギュラーから2名が卒業するが来年は果たしてどうなるか。打倒早稲田を果たすのはどこの大学になるか注目である。
同時に行われた2部は國學院大學、3部は明星大学、4部は東京農工大学がそれぞれ優勝した。
女子の部は慶應義塾大学が早稲田大学を降し優勝。春季に続いて男女での早稲田大学優勝はならなかった。
囲碁ニュース [ 2019年10月30日 ]
第19回アマチュア囲碁団体戦
第19回アマチュア囲碁団体戦が10月27日、東京市ヶ谷の日本棋院において開催され、1チーム3人、無差別クラス13チーム、クラス別4クラス64チームが熱戦を繰り広げた。今回はこれまでと変更された点があった。クラス別戦はこれまでオール互先であったが今回からハンデ戦となった。さらに無差別クラスは優勝チームが関西の優勝チームと決戦を行っていたが、それが無くなった。無差別クラスの参加者の中には関西との決戦が無くなって寂しいという声もあった。
最近の無差別クラスは大学生チームが強く、どの団体戦も若手が活躍していたが、この日は秋季関東学生リーグと同日であり、大学生たちの参加が無かった。そのため企業チームや愛好団体チームも近年では年齢が少し高めに思える。そんな中でも若手と言える株式会社クレスコが3連勝した。社会人1年目のアマ名人本因坊である大関稔さんを主将に、大関さんと同年代の学生で活躍した石村竜青さん、渡邉達也さんという布陣。2連勝だった初台囲碁クラブが1勝1敗のTIS連合に敗れたことにより、3回戦終了時点で3連勝が1チームのみとなった。
最終戦は株式会社クレスコと2勝1敗の中で一番勝ち数の多い日本酒愛好会の決勝になった。日本酒愛好会(笹子理紗・花巻未生・光永豊)は1回戦でNECに1-2で敗れたが、その後2回とも3-0で勝っており、最終戦に勝つと勝ち数で優勝となる。最後は株式会社クレスコが勝利した。
株式会社クレスコは1回戦でメンバーの1人が遅れてしまうというアクシデントがあったもののチームワークで優勝を飾った。
囲碁ニュース [ 2019年10月23日 ]
一力、世界戦で八強入り
中国主催の世界戦、第4回夢百合杯世界オープン戦が北京の中国棋院で行われた。10月11日から三日連続の日程をこなし、一力遼八段が中国勢に3連勝して八強入りを決めた。主要な世界戦での日本勢ベスト8入りは、第22回LG杯朝鮮日報棋王戦で準優勝した井山裕太四冠以来2年ぶりとなる。また、本大会には主催者推薦枠にて仲邑菫初段も出場し、1回戦で敗退したものの世界戦の公式戦デビューを果たした。準々決勝は来年3月に予定されている。
囲碁ニュース [ 2019年10月16日 ]
女流2強のタイトル戦、初戦は藤沢が勝利
藤沢里菜女流本因坊に、上野愛咲美女流棋聖が挑戦する第38期女流本因坊戦五番勝負(共同通信社主催)が開幕。10月9日、岩手県花巻市の「佳松園」にて第一局が打たれた。両者の対戦成績は藤沢の4勝、上野の3勝と拮抗し、今年に入ってからは、女流棋聖戦、女流立葵杯に続く三回目のタイトル戦となる。竜星戦決勝戦で一力遼八段を崖っぷちまで追い詰めた力強さが記憶に新しい上野だが、藤沢も女流四冠の「貫録」をまとい一般棋戦でも活躍を続けている。今まさに「打てている」女流2強の激突だ。とりわけ早碁が得意なイメージのある上野は、今回の持ち時間「4時間」は初体験。序盤は両者共に早いペースで進み、黒番の上野が力強い一着からリードを奪った。その後の戦いで、上野はシノギの強さも見せ、優勢を築く。藤沢は「左下の白模様も荒らされてはひどいです。開き治りの気分でした」と振り返る。だが、藤沢は辛抱して追走し、終盤に入っても集中力を切らさなかった。逆に上野にミスが出て、ヨセで藤沢が抜き去り、308手まで白番3目半勝ちを治めた。敗れた上野は「中盤まで考えすぎて集中力を欠いてしまい、最後のほうは5か所くらいで錯覚していました」と反省する。そして「3連敗すると悲しいので、ひとつは勝てるように」と前を見た。「最後のほうでようやく勝ちになったと思いました」と振り返る藤沢は「これからも精一杯がんばります」と語った。注目の第二局は、10月27日に秋田県能代市の旧料亭「金勇」で行われる。
囲碁ニュース [ 2019年10月9日 ]
張栩、一力を降して早碁王者に
10月5日、阿含・桐山杯第26期全日本早碁オープン戦(日本棋院主催。阿含宗特別協賛)の決勝戦が、京都市山科区の阿含宗釈迦山大菩提寺行われた。決勝の舞台に勝ち上がったのは、七番勝負の渦中にあった張栩名人と、竜星戦に続いて「連覇」を狙う一力遼八段。結果は204手まで、張の白番中押し勝ちとなった。張は「一力さんには久しぶりに勝てました。まさか優勝できるとは思っていなかったのでうれしい」と振り返り、予定されている日中決戦にも「精一杯自分の力を出し、勝ちをもぎとりたいですね」と笑顔で話した。敗れた一力は「今日の碁はミスが多かった。またこの舞台に戻ってこられるようにがんばります」と語った。張の本棋戦の優勝は7年ぶり。優勝回数は5回目とし、井山裕太四冠を抜いて単独トップとなった。
孫、二連勝で新人王獲得
第44期新人王戦三番勝負(しんぶん赤旗主催)の第1局が9月30日に、第2局が10月7日に、いずれも東京・市ヶ谷の日本棋院で行われた。三番勝負に勝ち上がったのは、昨年名人リーグ入りを果たして昇段を決めたため今年が同棋戦出場のラストチャンスとなった孫喆七段と、昨年19連勝をあげるなどの活躍で注目された小池芳弘四段。第1局は難解な戦いの碁を孫が読み勝って、黒番5目半勝ちを収め、第2局も孫が大石を仕留めての白番中押し勝ちとなった。孫は「今日決めることができてよかった。結果を残せたので自信にし、他の棋戦もがんばりたいです」と気を引き締め、小池は「決勝まで残れたことを自分の実力だと自信にかえ、来期以降も優勝を目指したい」と抱負を語った。
囲碁ニュース [ 2019年10月2日 ]
一力遼八段、カカトで残して「竜星」連覇
全棋士が参加できる一般棋戦で史上初の女流棋士優勝なるか。CS放送の生中継もされる大注目の中、一力遼八段と上野愛咲美女流棋聖による、第28期竜星戦(株式会社囲碁将棋チャンネル主催)の決勝戦が東京・市ヶ谷の日本棋院会館内スタジオで打たれた。序盤で優勢を築いた一力は、着実な足取りで打ち進めていき、このまま勝利を手中にするかと思われた。しかし、手堅い勝ちコースからはずれると、局面が次第に紛れていく。参考にされていたAI(人口知能)の勝率を示す黒番の上野の数字は、一ケタから20パーセント、40パーセント…と上昇していった。そして、上野の攻めが炸裂し、中央の白の大石を追い詰めていくと、AIの勝率も90パーセントを超えた。解説の王銘琬九段は「白のシノギが見えません」、対局場で観戦していた芝野虎丸八段、大西竜平四段ら検討陣も「黒が勝ちそう」と見守った。しかし、「取れないと思っていた石が取れそうになって動揺して……間違えちゃいました」と局後の上野。その一手を捉えた一力が、文字どおり必死のシノギから珍しい「カケメ生き」にこぎつけ、大逆転の優勝と自身初の二連覇を決めた。一力は、「負けも覚悟しながら打っていたので、勝つことができ、正直ホッとしています」と冷や汗の一局を振り返った。強者一力をここまで追い込んだ上野にも、見事に逆転を果たした一力にもたくさんの拍手が送られたこの大熱戦は、語り継がれる一局となるだろう。
囲碁ニュース [ 2019年9月30日 ]
過去から現代を知る 囲碁史会
囲碁史会という組織をご存知だろうか。その名の通り囲碁の歴史を研究する会である。現在ではAIの登場で囲碁が大きく変わった。序盤の研究や対局した碁はAIにかければすぐ評価値を出してくれる。プロ棋士に限らずアマチュアも今ではAIを使って研究している。そして「AIはこう打つと言っている」という言葉が出てくる。そんな中でも古碁も注目されている。古碁は文字通り古い碁、江戸時代から明治もしくは大正までに打たれた碁であるが、AIが示している手が江戸時代の名手と言われる打ち手の手だったりする。碁聖といわれた本因坊道策などそうである。最近ではAIで江戸時代の碁を調べてみるとその強さが改めてわかったりする。さらに古碁を扱った囲碁の本も再び出版されはじめた。
さて、囲碁史会という組織であるが、古碁の研究をするのではなく歴史的な出来事、その人物になどについての研究をする。囲碁史会は奇数月の最終金曜日に市ヶ谷の日本棋院で行われる。9月27日の会では幻庵因碩全集出版の打ち合わせが行われていた。幻庵因碩は本因坊丈和のライバルとして知られ、百田尚樹の小説「幻庵」の主人公になっている。
「最近は皆AIばかりでこうした江戸時代の碁に目を向けてくれない。だからこそこういったものを作っていかないといけない」と出版の中心になっている方は語ってくれた。この日は他にも故・岩本薫九段の顕彰碑建立についても語られていた。
囲碁史会は福井正明九段を顧問、十段戦などに対局場を提供している大阪商業大学の谷岡一郎学長を会長として囲碁文化の保存・研究を行っている。日本棋院の100周年には囲碁史会として何らかの成果を発表したいと意欲を燃やしている。
囲碁ニュース [ 2019年9月18日 ]
上野愛咲美女流棋聖、決勝進出の快挙
全棋士が参加できる一般棋戦で、女性初のベスト4入りを果たした上野愛咲美女流棋聖が、さらに記録を更新。9月14日、第28期竜星戦(株式会社囲碁将棋チャンネル主催)の準決勝戦が打たれ、上野が許家元八段に白番中押し勝ちを収め、決勝進出を決めた。注目を集めCS放送にて生中継される中、上野は普段通りの落ち着いた様子で対局に臨み、序盤から優勢を築き、中盤にもつれた後も冷静に立て直して競り勝つ堂々の勝利。SNSには棋士たちからも「強い!」「強いすぎる」の声があがった。許は「序盤から(苦しいどころか)はっきり駄目だと思っていました。途中、中央の石を取ったときには難しくなったと思ったのですが、その後正確に打てなかったので仕方ありません。はっきりした勝つチャンスはなかった。完敗です」と振り返った。上野は「許先生の読みになんとかついていけました。勝てたのは運がよかったです。せっかくのチャンスなので、決勝戦もこのまま気楽に打てればいいかなと思います」と、気負った様子もなく笑顔で話した。
16日に打たれた一力遼八段と鈴木伸二七段の一戦は、鈴木が優勢を築くも、一力がぴったりと追走し、勝負所で力を発揮して抜き去った。連覇を期す一力と上野の大注目の決勝戦は、23日に打たれる。
囲碁ニュース [ 2019年9月12日 ]
竜星戦、上野愛咲美女流棋聖らベスト4が出揃う
第28期竜星戦(株式会社囲碁将棋チャンネル主催)のベスト4が出揃った。4名は、連覇(通算三期目)を狙う一力遼竜星、碁聖位を失ったものの天元戦挑戦者に名乗りを上げている許家元八段、「井山キラー」の本領を発揮して井山裕太四冠を降した鈴木伸二七段、そして、17歳の上野愛咲美女流棋聖だ。堂々の内容で元名人の高尾紳地九段、現タイトルホルダーの村川大介十段を退けての快挙で、全棋士が参加できる一般棋戦で女性棋士がベスト4に入るのは史上初となる。準決勝の許対上野戦は9月14日、一力対鈴木戦は16日、決勝戦は23日に、それぞれ午後8時からCS放送で生中継される。上野は「場違いな感じで夢のよう。準決勝は生中継なので早く終わらないようにがんばります」と、盤上の厳しさとは大きなギャップのあるおっとりした口調で抱負を語った。
囲碁ニュース [ 2019年8月21日 ]
アマ本因坊 大関さん二度目V
第65回全日本アマチュア本因坊決定戦全国大会が8月17日、18日の両日、東京市ヶ谷の日本棋院で行われた。アマ名人戦では20代の若手の活躍が目立ったが、アマ本因坊戦では昨年の優勝者平岡聡さんを中心とするベテランの巻き返しがあるのかというところも注目された。
1日目は64人を8つのリーグにわけ、各1人が決勝トーナメントに進む。各ブロック順当に実力者が勝ち上がった。やはり若手の活躍が目立ったが、平岡さんがアマ名人戦でベスト4に入った早稲田大学の津田裕生さんを破るなど意地を見せつけた。ベスト8は平岡さん1人が40代で残る7人が20代という結果になった。その平岡さんもベスト8で姿を消した。
決勝に進出したのはアマ名人戦で全国優勝、それに続きアマ名人三番勝負でも勝利した大関稔さん(神奈川)と昨年のアマ名人で今年学生本因坊になった栗田佳樹さん(東京)の2人。大関さんは安定した内容で勝ち進んできた。栗田さんは難しい内容の碁もあったが持ち前の終盤の強さを発揮し決勝進出となった。両者は7月末のアマ名人戦三番勝負でも戦っており、大関さんが2-0でアマ名人に返り咲き昨年のリベンジを果たしている。栗田さんとしては今度は自分がという思いもあったであろう。両者ともに終盤に自信を持っており息の長い碁になることが予測された。最後まで打たれたが途中から大関さんが優勢になるとそのままヨセで追いつかせず二度目の優勝を果たした。
囲碁ニュース [ 2019年7月26日 ]
高校選手権全国大会
7月22日から14日にかけて東京市ヶ谷の日本棋院で第43回全国高校囲碁選手権全国大会が行われ、全国から集まった高校生が熱戦を繰り広げた。22日、23日には団体戦、23日の午後から24日は個人戦が行われた。
男子団体戦では今年の世界アマ選手権で日本代表として戦った川口飛翔さんが主将を務める筑波大附属駒場高校(東京)と開成高校(東京)の東京同士の決勝となった。筑波大附属駒場は川口さんという絶対的エースに信頼を寄せ、自分が勝てばチームが勝てると副将、三将は優勝に闘士を燃やしていた。開成も過去に3連覇するなど三人とも実力が拮抗しており非常にバランスが取れたチームになっている。途中から主将戦は筑波大附属駒場の川口さんに形勢が傾き両者ともにあとの二人に注目することになった。主将戦を筑波大附属駒場が、三将戦を開成が取り、副将を半目差で制した開成が6度目優勝を果たした。
女子団体戦は洛南高校が安定した戦いぶりで2連覇を果たした。
23日午後からは個人戦が行われ、男女とも注目選手が多く登場した。男子では昨年準優勝の鈴木智大さん(神奈川)、世界アマ選手権全国大会でベスト4経験のある北芝礼さん(愛知)、中学生名人経験のある森田拳さん(京都)など高校の大会におさまらず全国で活躍する選手が多く登場した。予選リーグが終わり16名が決勝トーナメントに進出するが、この3名が同じブロックに入ることになった。鈴木さんが昨年の雪辱を果たし見事優勝した。
女子は岩井温子さん(京都)が3連覇なるかということが注目を集めた。岩井さんは安定した戦いぶりで決勝に進出。もう一方は昨年準々決勝で岩井さんに敗れた加藤優希さん(愛知)が勝ち上がった。熱戦の末、加藤さんが昨年の雪辱を果たし優勝、岩井さんの3連覇はならなかった。
囲碁ニュース [ 2019年7月24日 ]
趙治勲名誉名人、マスターズカップ4回目の優勝
50歳以上の七大タイトルホルダー経験者(16名に満たない場合は予選を行う)のトーナメント戦で行われる第9回フマキラー 囲碁マスターズカップの決勝戦が7月20日、東京の日本棋院本院で行われた。決勝に勝ち上がったのは、趙治勲名誉名人と小松英樹九段。序盤から黒番の趙が「らしさ」を見せる打ち回しでファンを楽しませる内容。形勢は、白の一手の緩着で逆転したようだ。149手まで、黒番中押し勝ち。趙が4年ぶり4回目の優勝を果たし、タイトル総獲得数の記録を75に伸ばした。大盤解説会場で解説と聞き手をつとめた河野臨九段と謝依旻六段を前に、局後の趙は「活躍できるのはシニア棋戦だけになりましたが、河野さんにも謝さんにも勝てるように、これからも精進していきたい」と話し会場を沸かせた。
囲碁ニュース [ 2019年7月17日 ]
仲邑菫初段、最年少白星
今年四月に史上最年少でプロ棋士になった仲邑菫初段が、7月8日、公式戦2局目となる女流棋聖戦の予選で、田中智恵子四段に勝利した。10歳4カ月は、最年少勝利記録。藤沢里菜女流本因坊が持っていた11歳8カ月の記録を大きく塗り替えた。仲邑は、大勢の記者に囲まれて、はにかみながら「嬉しい」と喜びを語った。
藤沢、扇興杯を制し、女流四冠に
藤沢里菜女流本因坊と謝依旻六段による第4回扇興杯女流最強位戦の決勝が、14日、滋賀県東近江市で行われ、281手まで、大激戦の末、最終盤に逆転して、黒番の藤沢が1目半勝ちを収めた。第2回以来の2度目の優勝で、平成29年11月以来、自身二度目の女流棋戦四冠達成となった。準決勝で上野愛咲美女流棋聖を降し、無冠返上を期した謝は「また一から頑張ります」とコメント。藤沢は「二転三転、四転五転する難しい対局でしたが、また来年、この場で成長した姿を見せられたらと思います」と前を向き続ける抱負を語った。
囲碁ニュース [ 2019年7月10日 ]
アマ名人戦 大関さんV
第14回朝日アマチュア囲碁名人戦全国大会が7月6日、7日の両日、東京市ヶ谷の日本棋院において行われた。招待選手を含む各57名が栗田佳樹アマ名人への挑戦権を目指した。
1回戦から世界アマチュア選手権で今年日本代表として出場した川口飛翔さん、何度もアマチュア日本一になっている平岡聡さんが敗退する中、招待選手が順当に勝ち上がった。2日目のベスト8の内6名が招待選手となった。その中でアマ名人準優勝経験のある夏冰さん(招待)を破って2日目に進出した片山浩之さん(東京)の活躍が注目を集めた。
ベスト4は全員が20代、前アマ名人の大関稔さんと学生十傑戦全国優勝の津田裕生さん、元アマ名人の平野翔大さんと昨年準優勝の星合真吾さんの対戦となり、大関さんと平野さんが決勝進出となった。
大関さんと平野さんは一昨年のアマ名人戦挑戦三番勝負と同じ顔合わせであり、学生大会の決勝で何度も優勝を争っている。白熱の熱戦を大関さんが半目差で制し、全国優勝となり栗田佳樹アマ名人への挑戦権を獲得した。昨年は栗田さんが大関アマ名人に挑戦、勝利をおさめている。立場を変えての二年連続の対戦となる。
大関さんは学生大会で大活躍し多くの学生タイトルを獲得、さらにアマ名人、アマ本因坊でも全国優勝するなどした。大関さんは「今年から社会人になり囲碁に割く時間は少なくなるが、これからも活躍できるように頑張りたい」と語っていた。
栗田アマ名人との三番勝負は7月27日、28日に行われる。栗田アマ名人防衛か、大関挑戦者返り咲きなるか、注目の三番勝負である。
囲碁ニュース [ 2019年6月26日 ]
テレビ囲碁アジア選手権、韓国選手の三連覇
第31回テレビ囲碁アジア選手権(主催:NHK、CCTV、KBS、日本棋院、中国棋院、韓国棋院)が、6月21日から23日までの3日間、東京都文京区「ホテル椿山荘 東京」で行われた。日本、中国、韓国から各2名と前年度優勝者によるトーナメント戦で、日本からはNHK杯で優勝した一力遼八段と、準優勝の井山裕太九段が参戦。久々の日本勢優勝に期待がかかったが、一力は中国の丁浩六段に、井山は韓国の申旻埈九段に惜敗し、一回戦で姿を消した。決勝戦には、丁と韓国の申眞諝九段が勝ち上がり、非公式ながら世界ランキング1位とされる申が、粘り強さを発揮して優勝を決めた。「終盤までは劣勢でしたが、相手のミスに助けられて勝つことができました。内容的には不満が残りますが、優勝できたことはとてもうれしい」と申。なかなか笑顔を見せなかったが、ゲスト棋士として招かれていた仲邑菫初段から花束を手渡されると、ひざをかがめて受け取りながら、思わず優しい笑みがこぼれていた。一力からは「結果が残せませんでしたので何も言えませんが、戦った感触としては、チャンスもありました。来年もまずNHK杯で結果を残し、この舞台に戻って一つでも多く勝てるようにがんばりたいです。自分が中心となり、若手皆で強くなっていきたいと思います」と頼もしい決意が聞けた。
囲碁ニュース [ 2019年6月20日 ]
藤沢2連勝で女流立葵杯を防衛
第6期会津中央病院・女流立葵杯三番勝負は、6月14日に第1局、16日に第2局が、いずれも福島県会津若松市「今昔亭」にて打たれた。藤沢里菜女流立葵杯が、上野愛咲美女流棋聖の挑戦を二連勝で退け、前身の会津中央病院杯から合わせて通算4期目となる三連覇を果たした。藤沢は、女流本因坊、女流名人と合わせた三冠を堅持し、女流棋戦の通算優勝回数を11と伸ばした。上野は1局目、2局目共に、布石で悪くしたと振り返る。「1局目は、なんとか難しい局面まで持っていけたのですが、里菜先生のいい手に対応できませんでした。2局目は、1時間以上長考して、いい手を打てず、もう長考はやめようと思いました」と笑顔で振り返りつつも「もう一局打ちたかったのですが」と無念さものぞかせた。今年に入り、上野はここまで21勝11敗だが、国内戦に限ると17勝3敗と一般棋戦でも大活躍している。最強の挑戦者を圧巻の強さで降した藤沢に、小林覚九段は「防衛戦は固くなりがちですが、挑戦者の気持ちで積極的に伸び伸び打っていた」とコメントを寄せた。藤沢は「今は碁を打ちたくてたまらない」と言う。女流界をリードする二人の成長と活躍に、今後も期待したい。
囲碁ニュース [ 2019年6月6日 ]
関東甲信越静囲碁大会
第64回関東甲信越静囲碁大会が静岡県函南町の富士箱根ランドにおいて6月1日、2日の両日おこなわれた。函南町は神奈川県から芦ノ湖、箱根峠を越えた県境に位置する。そこに1都9県からそれぞれの代表が集まった。1チーム5名の団体戦で東京、神奈川、埼玉、山梨と地元静岡からは2チームが参加、理事監督連合を加えた16チームが交流と優勝を目指した。
1回戦で埼玉Aと神奈川ミドルの強豪チームが対戦した。埼玉Aは元院生で埼玉県代表の伊藤裕介さんを主将に昨年学生十傑である津田裕生さんなど若手メンバーである。対する神奈川ミドルは木下暢暁さんを主将にした神奈川の県代表メンバーを集めたチーム。これを神奈川ミドルが3-2で制した。神奈川ミドルは3回戦でこれまた強豪の東京タワーと対戦した。これも神奈川ミドルが3-2で制し決勝に進出した。もう一方の山は神奈川の若手を中心とした神奈川ヤングが下馬評通り3回戦ともに5-0の圧倒的な成績で勝ち上がった。
決勝は神奈川ミドル(木下暢暁・窪庭孝・佐々木慶・府川浩二・片岸完次郎)と神奈川ヤング(大関稔・稲葉一宇・石村竜青・硯川俊正・高根宏之)という神奈川同士の対戦となった。若さの神奈川ヤングが勝つか、神奈川ミドルがベテランの意地を見せつけるかという対戦になったが、5-0で神奈川ヤングが勝利し、20-0の完全優勝となり、神奈川の2連覇となった。
囲碁ニュース [ 2019年5月22日 ]
早稲田 令和初のV
平成から令和に元号が変わり初めての春季関東学生囲碁団体戦が東京の青山学院大学において5月3日から5日にかけて行われた。
優勝候補は近年安定した成績を誇る早稲田大学。東京大学、東京理科大学、慶応義塾大学が打倒早稲田、そして優勝を目指し熱戦を繰り広げた。一部リーグの8校は前半の四回戦で4勝と4敗で明暗がわかれ、上位4校の争いとなった。
アマ大会で活躍する星合真吾さんを主将に昨年の学生十傑である津田裕生さん、ネット棋聖戦でも優勝経験のある石田太郎さんと昨年と主力が変わらぬ早稲田大学が東京大学、東京理科大学、慶応義塾大学の4校の争いを全て3-2で制し、令和初の優勝を果たした。
主将の星合さんは就職活動などで囲碁に集中できる環境ではなかったが後輩たちが頑張ってくれたと語った。
宝酒造杯東京大会
第12回宝酒造杯囲碁クラス別チャンピオン戦が4月の京都大会より各地区ではじまった。宝酒造杯は全国12地区13大会(東京2回)が行われる。名人戦から級位戦と各段と級位者の全国1位を決める大会とあり毎年多くの方が参加している。
5月18日、19日の両日に行われた東京大会は市ヶ谷の日本棋院に合わせて千人以上の参加者が集まった。県代表クラスの名人戦だけでなく各クラス大いに盛り上がった。
名人戦はアマチュア大会で活躍する強豪が勝ち上がっていったがその中で女性の笹子理紗さんが決勝まで進んだ。しかし決勝で敗退してしまい名人戦初の女性優勝とはならなかった。
宝酒造杯は一年かけて全国各地で予選を行い、来年の1月に京都において全国大会が行われる。
囲碁ニュース [ 2019年5月10日 ]
第15回オールアマ囲碁団体戦
4月28日、東京市ヶ谷の日本棋院において第15回オールアマ囲碁団体戦が行われ、無差別クラス24チーム、クラス別103チーム、635名もの人数が参加した。多いところでは6チームエントリーしたところもあった。
無差別クラスは毎年、全国レベルの強豪が集まり優勝を狙うチームは全員が全国トップクラスの実力者である。
前回優勝の星研も学生トップクラスの星合真吾さんを筆頭に今年も学生のトップクラスを揃えていたが2回戦で精濃運輸囲碁部に4-1で敗れた。精濃運輸囲碁部はアマ名人、本因坊で優勝経験のある大関稔さんや元院生Aクラスの村上裕貴さんなど星研に比べて一世代前の元学生強豪チームである。その精濃運輸囲碁部も3回戦で敗退するなどハイレベルである。
そんな中、優勝を果たしたのが山田と愉快な仲間たちである。同チームは昨年の内閣総理大臣杯でも優勝したチームで、昨年、プロ試験本戦で好成績をおさめていた山田凌馬さんを主将に現アマ名人の栗田佳樹さん、院生1位経験があり今年も外来からプロ試験を受ける予定の近藤登志希さん、院生A経験のある西山喬紘さん、同じく院生A経験があり少年少女囲碁大会でも全国優勝の経験がある高嶋渓吾さんと元院生トップクラスの若手メンバーである。本来なら今年の6月に行われる世界アマ選手権で日本代表として戦う川口飛翔さんも参加予定であったが、埼玉県のアマ名人戦県大会と同日だったためメンバーを外れたそうだ。4回戦合わせて19-1という圧倒的な成績であった。1敗をしてしまった近藤さんは「自分のせいで完全優勝を逃した」と悔しがっていたが、主将の山田さんは「この成績は上出来」と満足そうであった。
囲碁ニュース [ 2019年5月7日 ]
芝野虎丸七段がグランドチャンピオン
タイトルホルダーと賞金ランキング上位者16名による第6回(2018年)グランドチャンピオン戦(日本棋院、関西棋院主催。内閣府、文部科学省後援)の準決勝と決勝戦が、5月6日、日本棋院で行われた。
準決勝は、井山裕太グランドチャンピオン(シードにより準決勝から参戦)VS 一力遼阿含桐山杯・竜星と、許家元碁聖・おかげ杯 VS 芝野虎丸七段(賞金ランキング七位)のカードが組まれ、それぞれ井山と芝野が制して決勝に勝ち上がった。本棋戦の決勝戦は、公開対局で、すぐ隣では大盤解説も同時進行する趣向。会場には、大勢のファンが集まり、片岡聡九段と吉原由香里六段による大盤解説に耳を傾けながら熱戦を見守った。序盤から下辺で戦いが始まり、両者必死に読み合う険しい攻防が展開された。「出だしの戦いで苦しくしてしまって」と井山は振り返る。「その後、難しくなったかなとは思ったのですが、はっきりよくなったと思った場面はなかったですね」。中盤に入り、劣勢を意識した井山が、少しがんばった手を繰り出した機を、芝野が的確にとがめて勝負を決め、152手まで白番中押し勝ちを収めた。井山は「最近は厳しい後輩ばかりで全然先輩を敬ってくれなくて大変です」と笑顔で敗北宣言。芝野は「最近あまり囲碁の内容がよくないことが多くて、正直優勝できるとは全然思っていなかったので、嬉しいです」と照れながら話し、会場のファンからの拍手を集めていた。
囲碁ニュース [ 2019年4月23日 ]
仲邑菫新初段、デビュー戦は白星おあずけ
注目の「菫ちゃん」が、いよいよプロとして歩み始めた。英才特別採用推薦棋士の第一号、史上最年少棋士の仲邑菫初段(10歳)のデビュー戦、竜星戦の予選が4月22日に打たれた。対戦相手は同じく今年四月に入段した大森らん初段(16歳)。たくさんの報道陣に緊張した様子もなく、両者は盤面に集中して熱戦を繰り広げた。仲邑は中盤の中央の折衝で遅れをとったようだ。中盤以降は、大森が緩まず押し切り、白番中押し勝ちとなった。解説の三村智保九段は「大森さんの試合巧者ぶりがでた見事な一局でした」と総評。仲邑の白星発進はならなかった。大森は「緊張してこわかったのですが、勝てて嬉しいです」と笑顔でプロ初白星をかみしめていた。
囲碁ニュース [ 2019年3月28日 ]
藤沢、女流名人位を逆転防衛
藤沢里菜女流名人に、謝依旻六段が挑戦する第31期女流名人戦三番勝負は、挑戦者の先勝に続いて、第二局が3月14日に京都市平安女学院大学「有栖館」にて、第三局が22日に東京都千代田区の日本棋院にて行われた。 第二局は、難戦から白番の謝が優勢を築いたが、謝に失着があり藤沢が逆転。その後の険しい攻め合いも制して藤沢が一勝を返した。第四局は藤沢が「自分らしく打てた」と振り返る満足の一局となり、白番中押し勝ちで防衛し、三連覇を決めた。謝の無冠返上はならなかった。
一力、悲願のNHK杯初優勝
3月24日に第66回NHK杯テレビ囲碁トーナメント戦の決勝戦が放映され、一力遼七段が、井山裕太五冠を降して悲願の初優勝をとげた。井山のNHK杯三連覇はならなかった。 一力は過去に二回決勝戦に進みながら敗れており「今年こそ」と臨んだ一局だった。「優勝できホッとしている」と笑顔を見せた一力は、優勝・準優勝者が出場する「テレビアジア選手権でも結果を出したい」と意欲を見せた。井山は「三年連続で決勝戦に勝ち上がれたことは上出来。前回テレビアジア選手権で優勝したときは、NHK杯は準優勝でしたので、今回もと、ポジティブに考えたい」と語った。
囲碁ニュース [ 2019年3月15日 ]
女流アマ 吉田さん二度目V
第61回女流アマチュア囲碁選手権が3月9日、10日の両日、東京市ヶ谷の日本棋院において行われた。各6人が16のブロックにわかれて3回戦を行い、1人が決勝トーナメントに進出する。
予選リーグは順当な勝ち上がりが多い中、過去2回の優勝経験があり毎年好成績をおさめている大沢摩耶さんが予選敗退となった。大沢さんを破った松本実優さんは今年度の女流棋士採用試験で本戦まで進んだ実力である。女流アマ選手権では近年、元院生でプロ志望者、またはプロを目指していた10代後半から20代前半の優勝者や上位入賞者が多い。松本さんもそんな選手として注目を集めた。
ベスト4に進んだのは松本さん、藤原彰子さん、吉田美穂さん、久代迎春さんとなった。松本さん以外は優勝経験者。久代さんは2連覇を目指す。
準決勝は吉田さんと久代さん、藤原さんと松本さんというベテラン同士、若手同士の対戦となり、吉田さんと藤原さんの決勝となった。決勝戦はお互いの大石の目がなく、盤上全体に及ぶ大激戦を吉田さんが制し、第51回以来10年ぶりの優勝となった。若手が活躍する中、昨年の久代さんに続きベテランの優勝となった。久代さんと松本さんの3位決戦は松本さんが制した。
囲碁ニュース [ 2019年3月13日 ]
女流名人戦、謝依旻六段が先勝
藤沢里菜女流名人に、謝依旻六段が挑戦する第31期女流名人戦三番勝負(産経新聞社主催)が開幕した。昨年、11年ぶりの無冠となった謝だが、すぐにタイトル戦挑戦者に名乗りをあげて実力者ぶりを示した。両者が、女流タイトル戦の番碁、または決勝戦で頂点を争うのは8回目。女流囲碁界を盛り上げる両雄でもある。
第一局は、3月6日に、大阪府東大阪市の大阪商業大学で行われた。序盤、白番の藤沢が、上辺で思い切った「二段バネ」を見せ、その後の折衝で優勢を築いたが、終盤に入り、謝が勝負手を繰り出す。藤沢の打ち過ぎをとがめた謝が逆転に成功して、黒番中押し勝ちを治めた。藤沢は「気持ちを切り替えて次に臨みたいです」、謝は「次も一生懸命打つだけ」とコメントを残した。第二局は、14日に、京都市上京区の平安女学院大学で行われる。
囲碁ニュース [ 2019年2月26日 ]
日本勢、入賞ならず
SENCO CUP ワールド碁女流最強戦2019(センコーグループホールディングズ株式会社特別協賛)が、22日、23日、24日に行われた。昨年スタートした本大会は、日本から、万波奈穂扇興杯ら扇興杯女流最強戦の上位4名、中国、韓国、中華台北、欧米からそれぞれ一位の棋士が参戦し8名のトーナメントで争われる。日本勢は奮闘したものの、世界の壁は厚く、昨年に続いて3位入賞はならなかった。決勝に勝ち上がったのは、女流二強と言われる韓国の崔精九段と中国の於之瑩六段。大混戦を制し、於六段が大会二連覇を果たした。
期待のかかった上野愛咲美二段は、一回戦で中華台北の黒嘉嘉七段と互角の形勢だったが一手を境に流れを渡して惜敗。黒七段は「序盤から悪く、運よく勝てた」と振り返った。黒七段との三位決定戦に臨んだ佃亜紀子五段は、劣勢から必死の追い上げを見せ、「攻めまくっている」と検討陣がエールを送りつつ見守ったが、惜しくも届かなかった。於六段と崔七段は「来年も出場したい」と抱負を語り、佃五段は「日本が勝つまでこの大会を続けてください」と巻き返し宣言。若い新初段らと共に切磋琢磨して、近い将来の「日本が勝つ」日を期待したい。
囲碁ニュース [ 2019年2月23日 ]
上野、謝、棋聖戦Cリーグ入り決定
第43期棋聖戦挑戦手合七番勝負(読売新聞社主催)が佳境に入る中、次期挑戦者を目指す戦いも進行している。第44期棋聖戦のCリーグ入りをかけたファーストトーナメント予選は、決勝に進出した三人の女流棋士が注目を集めた。2月14日は、藤沢里菜女流本因坊と上野愛咲美女流棋聖がそれぞれ決勝戦に臨んだ。藤沢は広瀬優一二段に惜敗したが、上野は橋本雄二郎九段に黒番中押し勝ちを収め、現在の制度になってから女性棋士として鈴木歩七段に続く二人目のCリーグ入りを果たした。局後、上野はおっとりと「決勝は意識せず、いつもどおりに打てました。でも、負けそうになったときは悔しかったです」と独特のコメントで周囲を笑わせていた。
翌15日には、女流史上3番目に若い12歳でプロ入りを決めた妹の上野梨紗さんの記者会見が行われ、姉妹そろって明るい話題を囲碁界に運んだ。
21日は、謝依旻六段が、大竹英雄名誉碁聖を降してCリーグ入りを決めた。女性棋士2名がCリーグに参戦するのは史上初。活躍が期待される。
仲邑菫さん「うまく打てた」
2月20日、週刊碁企画の「新初段シリーズ」の特別対局として、今年4月に史上最年少の棋士となる仲邑菫さんが、台湾最強の女流棋士、黒嘉嘉七段に挑戦した。22日から始まる「SENCO CUP」に出場する黒七段の来日に合わせて実現したものだ。仲邑さんは中盤までは優勢を築く健闘ぶりだったが、ヨセで逆転されて中押し負けとなった。大盤解説を担当した小林覚九段は「昨年の張栩さんとの試験碁に始まり、井山裕太五冠、韓国女流ナンバーワンの崔精九段、曺薫鉉九段らトップ棋士との記念対局を見てきましたが、今回の碁が一番面白い。よく打てています」と成長を評価。仲邑さんも「うまく打てた」と自信をのぞかせた。
囲碁ニュース [ 2019年2月9日 ]
ジャンボ月組 バトリアヌス帝国V
2月2日、東京市ヶ谷の日本棋院において第48回ジャンボ大会月組が行われ1チーム15人、33チームが2ブロックにわかれて熱戦を繰り広げた。Aブロックは15人が強力なメンバーで構成され日本一の団体を目指し、Bブロックは仲間たちと参加し他の団体との対戦・交流に楽しんだ。
Aブロックは毎年のように優勝争いに関わっている多岐技会と大熊義塾、近年現役の学生を中心に構成されたバトリアヌス帝国、洪道場のOBを中心に構成されたパンダ道場が2連勝し、前評判通りの勝ち上がりとなった。
3回戦では前回決勝を争った多岐技会と大熊義塾、バトリアヌス帝国とパンダ道場の対戦となった。多岐技会は元アマ本因坊の瀧澤雄太さんを中心に世界アマ日本代表経験のある坂本修作さん、小学生から大学生まで活躍した癸生川聡さん等アマチュア強豪を集めた。大熊義塾は関西棋院の大熊悠人初段が学生のころからの仲間を集めたチームで、大関稔さんを筆頭に元学生タイトルクラスで構成されている。今大会において両チームは10年続けて対戦しておりまさにライバル同士である。昨年は多岐技会が大熊義塾を降し優勝したが、今回は大熊義塾が制した。大熊初段は昨年のリベンジをしたかったと語った。
一方のバトリアヌス帝国はアマ名人の栗田佳樹さん等現役学生を中心に構成された。チーム名はメンバーを集めた幹事の馬鳥さんからとったもの。パンダ道場も今年の世界アマ日本代表である川口飛翔さんを主将にしているチーム。これはバトリアヌス帝国が制した。
決勝は大熊義塾とバトリアヌス帝国になり、数年前まで学生囲碁界を引っ張ってきたチームと現役学生トップという先輩後輩と言える対決となった。昨年も対戦しており、そのときは大熊義塾が先輩の貫禄を見せたが、今年はバトリアヌス帝国が若手の勢いを見せ9-6で勝利、見事初優勝を果たした。
囲碁ニュース [ 2019年2月1日 ]
藤沢里菜四段、初の本戦勝利
昨年女流三冠を達成した藤沢里菜四段が、一般棋戦でも快挙の記録を残した。1月21日、第45期天元戦の本戦1回戦で、藤沢四段が勝利。史上初の女流棋士「本戦」初勝利となった。女流棋士は、藤沢自身も含め過去10人、のべ13回が本戦入りを果たしたことがあるが、初戦の壁を越えることはできなかった。藤沢四段は、韓国の女流ナンバーワン、崔精九段が「世界戦ベスト4が目標」と公言していることに刺激を受け、「男性にも負けていない。気構えを見習わなければ」と語る。今回も「女流本戦初勝利は光栄です」としながらも「ふだんと変わらず対局に臨みました。せっかく本戦に入れたので、一局でも多く打ち、勝ちたい」と話した。
上野愛咲美女流棋聖、最強挑戦者を退け防衛
上野愛咲美女流棋聖に、藤沢里菜三冠が挑戦する第22期女流棋聖戦(株式会社NTTドコモ協賛)の挑戦手合三番勝負が行われ、上野女流棋聖が二連勝のストレート勝ちで初防衛を果たした。第一局は、1月17日に神奈川県平塚市「ホテルサンライフガーデン」で打たれ、白番2目半勝ち。第二局は、1月28日に東京都千代田区の「竜星スタジオ」で打たれ、持ち前のパワーで圧倒して黒番中押し勝ちを収めた。上野女流棋聖は、昨年、16歳3カ月という女流棋聖戦史上の最年少記録で初タイトルを手にしたときも、謝依旻女流棋聖(当時)に二連勝。タイトル戦では負け知らずの勝負強さを発揮した。上野は、藤沢女流三冠を「あこがれの棋士」と呼び、「一勝できればと思っていたので驚いています。気負いがなかったのがよかったのかも。これから国際棋戦の出場機会が増えるので結果を残したいです」と前向きなコメントと共に喜びを語った。
囲碁ニュース [ 2019年1月29日 ]
第29回東日本大学OB・OG団体戦
1月20日、東京市ヶ谷の日本棋院において東日本大学OB・OG囲碁大会が行われた。東日本の大学OB・OG 13人の団体戦で、36チームが3ブロックにわかれて母校のために競い合った。
一番上のAブロックは一昨年優勝の早稲田大学は世界アマ日本代表経験のある坂本修作さんを主将に2年ぶりの優勝を目指したが、1回戦で明治大学に7-6で敗れた。連覇を狙う昨年優勝の慶應義塾大学は学生王座経験のある丹羽隼也さんを筆頭に20代の若手を若手中心のメンバー構成で1回戦を13-0で快勝。
2回戦では早稲田大学が1回戦で敗退したことにより、事実上の優勝争いと前評判が高かった慶應義塾大学と東京大学の対戦となり、6-6と最後に残る1局まで勝敗が決まらない大熱戦となったが、慶應が制し7-6と2回戦を制した。慶應は3回戦も一橋大学戦を13-0で制した。
決勝は慶應と1回戦で早稲田を破った明治大学との対戦となり、7-6で慶應義塾大学が連覇を果たした。
1回戦で敗れた早稲田も3位を決める4回戦で村上深さん率いる中央大学を破り3位となった。
来年のAブロックへの繰り上がりを目指すBブロックは北海道大学が優勝、東北大学が2位となった。
5人制のCブロックは5チームが参加し、東京外国語大学が優勝した。Cブロックの参加者からは「チーム数がどんどん減ってきて寂しい」という声があった。
囲碁ニュース [ 2019年1月16日 ]
ジャンボ雪組 横浜本因坊優勝
1月12日、東京市ヶ谷の日本棋院において第48回ジャンボ囲碁大会雪組が行われた。1チーム11人の団体戦で、企業、日本棋院支部が参加できる。この日は16チームが出場した。
今回注目を集めたのは初出場の全碁協中野坂上支部である。全日本囲碁協会のメンバーと中野坂上の囲碁サロンたつみに集まるメンバーで構成されている。元アマ本因坊の村上深さんを主将にアマ碁界のレジェンド菊池康郎さん、学生強豪の星合真吾さんなど豪華メンバーである。観戦者の数も多かったが2回戦で彩の国連合に5-6で敗れた。
優勝決定戦に進出したのは昨年優勝の横浜本因坊支部と彩の国連合である。
横浜本因坊は神奈川県の関内にある碁会所で、主将に府川浩二さん、副将に石村竜青さんなどベテランから若手まで神奈川県の県代表クラスを中心に集まっている。1回戦から3回戦まで11-0と隙のない勝利で優勝決定戦に駒を進めた。
彩の国連合は埼玉県の支部で浦和から川口にかけてあたりの強豪が集まっている。主将に曽我部敏行さん、副将に田熊秀行さんなど埼玉県代表に何度もなったことのあるベテランを中心に構成されている。
昨年も優勝争いをした両チームで、接戦が予想されたがスコアは9-2で横浜本因坊が勝利し見事優勝を果たした。
囲碁ニュース [ 2019年1月10日 ]
史上最年少の女流棋士誕生
日本棋院は、5日、英才特別採用推薦棋士の第一号として、小学校4年生の仲邑菫さん(9歳)の入段が決定したと発表した。「英才特別採用推薦棋士制度」は、世界戦の優勝を目指すなど、最高レベルの棋士となるために昨年12月に新設され、原則として採用は小学生に限るという。仲邑さんは今年4月1日から、国内では藤沢里菜女流三冠の11歳6カ月を抜き、10歳0カ月の史上最年少のプロ棋士となる。
仲邑さんの父は、日本棋院所属の棋士・仲邑信也九段、母はアマチュア強豪の幸さん。3歳のとき幸さんに手ほどきを受けた後、韓国への囲碁留学などで才能を伸ばしてきた。2016年には第11回関西ジュニアペア碁大会にお母さんと出場して優勝、昨年に行われた第4回パンダネットレディース囲碁トーナメントでも優勝するなど、数々の実績もあげている。取材陣に囲まれて、はにかむ様子はまだあどけないが、「目標にする棋士は井山裕太棋聖。中学生のうちにタイトルを取りたい」と話すときには勝負師の表情ものぞかせた。昨年、仲邑さんと対局をした張栩名人は「衝撃でした。必ず世界で戦える棋士になると強く思いました」、今年6日にイベントで公開対局をした井山裕太五冠は「男性棋士とまじって、天下を獲れる才能」と、それぞれ仲邑さんの強さを高く評価している。仲邑さんのプロ入りは、テレビや新聞、外国のBBCニュースなどでも取り上げられ、注目度は抜群。囲碁界が大きく盛り上がりそうだ。
囲碁ニュース [ 2019年1月4日 ]
藤沢、新記録を達成
2018年の年間最多勝ち星などが発表された。最多勝利は2年連続で、46勝(23敗)をあげた芝野虎丸七段。最多対局、69局と合わせてトップとなった。勝率一位は富士田明彦六段が8.37割(41勝8敗)の驚異的な数字で一位。連勝は小池芳弘三段の19連勝が一位にランキングされた。なお、藤沢里菜女流本因坊は、43勝(23敗)をあげ、2001年の小林泉美女流名人の41勝(18敗)を抜いて女流最多勝記録を更新し、一般でも一力遼八段(43勝23敗)と並んで勝ち星2位タイとした。こちらも2007年の謝依旻女流本因坊の3位を抜き、女流棋士の最高位を記録した。