日本囲碁ニュース (棋聖戦)

日本の囲碁ニュース・棋戦情報をお伝えします。
日本で行われている囲碁のイベントや棋戦情報を皆様にお伝えします。

囲碁ニュース [ 2019年11月21日 ]

河野が3期ぶりに棋聖挑戦

 井山裕太棋聖への挑戦権をかけた棋聖戦挑戦者決定トーナメント(読売新聞社主催)の最終局が11月14日に東京都千代田区の日本棋院にて打たれた。一力遼八段は、Aリーグ7戦全勝に挑戦者決定トーナメント戦の3勝を加えて10連勝。迎え撃つ河野臨九段は、Sリーグを3勝2敗で優勝し、前局の変則三番勝負第1局では一力に敗れた。一力の勢いに分があるかに思われたが、これがアダとなったようだ。黒番の一力が優勢に打ち進めながらも、中盤の中央の攻めが性急。局後、一力は「やりすぎた」と反省した。この機をとらえて逆転した河野が、その後は追い上げを寄せつけずに一力を投了に追い込んだ。河野が1勝のアドバンテージにものを言わせ、最終局で踏ん張った。棋聖戦は3期ぶり2度目の挑戦となる河野は「厳しい対局になると覚悟しています。しっかり体調を整えて臨みたいと思います」と新年から始まる七番勝負に気持ちを引き締めた。

囲碁ニュース [ 2019年11月13日 ]

一力、挑戦者に「あと一勝」

 井山裕太棋聖への挑戦権をかけた棋聖戦挑戦者決定トーナメント(読売新聞社主催)は、Aリーグ優勝の一力遼八段が快進撃を続けている。11月4日に、Sリーグ二位の高尾紳路九段を中押し勝ちで降し、11月11日には、Sリーグ優勝の河野臨九段との変則三番勝負第一局に、黒番2目半勝ちを収めた。河野に1勝のアドバンテージがあるため、これで1勝1敗となり、いよいよ挑戦権をかけた最終局に進む。今期棋聖戦無敗の一力がこのままかけあがるか、河野が意地を見せるか。注目の第三局は、間をおかず、11月14日に打たれる。

囲碁ニュース [ 2019年10月23日 ]

棋聖戦、挑戦者決定トーナメント始まる

 井山裕太棋聖への挑戦権をかけた棋聖戦挑戦者決定トーナメント(読売新聞社主催)がスタートしている。10月7日に行われた一局目、Bリーグ優勝の本木克弥八段とCリーグ優勝の鈴木伸二七段の一戦は、鈴木の黒番5目半勝ち。10月21日には、勝者、鈴木とAリーグ優勝の一力遼八段の一戦が打たれた。険しい競り合いから、鈴木の後悔の一手を咎めた一力が攻勢となり、そのまま流れを手放さずに早い終局となった。一力は、7月から9月に公式戦16連勝を記録し、10月にも世界戦で8強入りを決めるなど、充実した内容で快進撃を続けている。棋聖戦は現在のシステムになってから全て「Sリーグ優勝者」が挑戦者となっているが、好調の一力がこのジンクスを打ち破れるか注目される。Sリーグ2位の高尾紳路九段との次局は、11月4日に行われる。

囲碁ニュース [ 2019年3月28日 ]

井山、壮絶な戦いの末に、棋聖位七連覇

 第43期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)は、3月14、15日に、新潟県南魚沼市「温泉御宿 龍言」にて第七局が打たれた。「歴史に残る壮絶な名局」と評される313手の激戦の末、白番の井山裕太棋聖が、挑戦者の山下敬吾九段に6目半勝ちを収め、最終局までもつれる長い戦いが幕を閉じた。序盤、右辺の攻防では、井山が全ての白石を助けようとした手を、山下の剛腕が許さず、全ての白石が取られる結末に。一時は、「地合いで黒が60目リード」とも言われ、山下必勝と思われた。しかし、中盤以降、紛れを求める井山の打ち回しと、山下のわずかな迷いが重なり、攻め取りの形に持っていきながら、各所の白地を増やして井山が大逆転を果たした。井山は「ミスの多いシリーズで、最終局に勝てたことも幸運だった」、山下は「形勢を悲観しすぎ、無謀な手を打って崩れた局があったことが惜しまれる」と振り返った。平成最後の七番勝負にふさわしい、記憶に残る激戦だった。井山は来期、小林光一名誉棋聖の持つ「八連覇」のタイ記録をかけて七番勝負に臨むこととなる。

囲碁ニュース [ 2019年3月13日 ]

棋聖戦、山下逆転勝利で最終局へ

 井山裕太棋聖の3勝2敗で迎えた第43期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第六局が、3月7、8日の両日、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」で行われた。前局で逆転負けを喫し防衛を逃した井山は、ここで決めたいところ。だが「スコアは意識せずに」と臨んだ。山下は「目の前の一局に集中するだけ」と気合いを入れた。
 序盤の右辺の攻防で黒番井山の実利と白番山下の厚みという分かれとなるが、「実利が大きい」との評価が多く、黒優勢となった。その後山下が下辺の黒に襲いかかるしかなく、「黒がしのげば黒勝ち」という流れになる。難しい戦いの中、井山がしのぎ切り、誰もが「棋聖防衛」を確信したが、井山の一瞬のスキを捉えた山下が、左辺の黒を仕留めての逆転勝ちとなった。対戦成績は3勝3敗のタイとなり、決戦の場は最終局に持ち越された。注目の大一番は、3月14、15日に、新潟県南魚沼市「温泉御宿 龍言」で行われる。

囲碁ニュース [ 2019年3月5日 ]

棋聖戦七番勝負、山下踏み止まる

 井山裕太棋聖の三勝一敗で迎えた第43期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第五局が、2月27、28日の両日、山梨県甲府市の「常盤ホテル」で行われた。一日目は、山下敬吾九段が形勢を損ね、うなだれる時間が長かったが、二日目、中央の戦いに入り、優勢に進めていた井山のたった一手を境に形勢が入れ換わる。その後は井山の追い上げに山下が的確に応じて、山下の黒番6目半勝ち。一勝を返してカド番をしのいだ。井山は「途中まで難しいと思っていたのですが……中央は、実戦よりいい形があったと思います」と振り返り、次局に向けては「がんばりたい」とだけコメントした。山下は「まだカド番であることは変わりないですが、もう一局打てるのは嬉しい」と笑顔がこぼれ、「なんとか最終局までいけるように、体調を整えます」と前向きに語った。
 昨年名人戦で、一勝三敗のスコアから三連勝してタイトルを手中にした張栩名人の巻き返しは、記憶に新しい。今週から十段戦挑戦手合いもスタートする井山棋聖の過密スケジュールも、名人戦の記憶と重なる。厳しい戦いとなることは必至だが、その中での名勝負を期待したい。第六局は、3月7、8日に神奈川県箱根町の「ホテル花月園」で行われる。

囲碁ニュース [ 2019年2月16日 ]

井山裕太棋聖、七連覇にリーチ

 井山裕太棋聖に山下敬吾九段が挑戦している第43期棋聖戦挑戦手合七番勝負(読売新聞社主催)の第三局が2月2、3日に長崎県西海市の「オリーブベイホテル」で、第四局が13、14日に埼玉県川口市「旧田中家住宅」で行われ、ともに井山棋聖が勝利。対戦成績を3勝1敗とし、棋聖位七連覇にあと1勝と迫った。
 第三局は、序盤から競り合いが始まり、戦い続ける展開となった。上辺で白番井山の大石が花見コウとなるものの山下が期待していたほどの成果は得られず、その後も「ところどころに誤算があった」と山下は振り返る。最後は黒の大石を仕留めて井山の中押し勝ちとなった。
 第四局は、序盤の右上隅の振り替わりで白番の山下が隅を制し、黒番の井山が厚みを築く展開となった。その後の右辺の変化や封じ手後の打ち方に山下は納得いかなかったようで、やや無理気味に仕掛けていき右下隅から激しい戦いに突入した。厳しい態度で応戦した井山が隙を与えず押し切り、中押し勝ちを収めた。
 井山は「後半、左辺を切断したときに、白にいい手がなければ(相手に時間がないので)いけると思った」、山下は「序盤の分かれが少し悪く、右下隅も予定の行動ではなかった」と振り返った。
 井山は「自分なりに精一杯準備して臨みたい」、山下は「一局でも多く打てるように頑張りたい」と次局への豊富を語った。第五局は、27、28日に山梨県甲府市の「常盤ホテル」で行われる。

囲碁ニュース [ 2019年2月1日 ]

山下九段、会心の勝利でスコアはタイに

 井山裕太棋聖に山下敬吾九段が挑戦している第43期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)の第二局が、1月21、22日の両日、鳥取県境港市「夢みなとタワー」で行われた。結果は山下九段の白番中押し勝ちとなり、スコアを一勝一敗のタイに戻した。序盤の左下の攻防で山下九段がリードを奪い、流れを渡さぬまま二日目に入る。井山棋聖の猛追に難しい局面となったが、山下九段が冷静に対処し左辺の大きな白地をまとめきった快勝の譜だった。局後、山下九段は「一勝一敗になったので、次も思い切り打ちたい」、井山棋聖は「一日目でダメにしました。次はもう少しいい碁を」と語った。第三局は2月2、3日に長崎県西海市「オリーブベイホテル」にて行われる。

囲碁ニュース [ 2019年1月21日 ]

棋聖戦が開幕。井山棋聖が先勝

 七連覇を目指す井山裕太棋聖に、十期ぶりの奪還を期す山下敬吾九段が挑戦する第43期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)が開幕した。第一局は、新春の10、11日の両日、東京都文京区の「ホテル椿山荘」で打たれ、172手まで、井山棋聖が白番中押し勝ちを収めた。序盤から「井山棋聖優勢」の評価が多かったが、二日目に入り山下九段が強手を放って巻き返し、一時は長期戦が予想された。だが、再び井山棋聖が黒模様で仕掛けていき、局面は険しくなる。「この白は取れなさそうだね」と、現地検討会場では、新聞解説の高尾紳路九段、金秀俊九段、村川大介八段らが推移を見守るなか、逆に井山が黒石を取って勝負をつけた。井山棋聖は「終始難しい碁だったが、下辺の黒を切断して行けると思った」と振り返り、山下九段は「一日目の時点で苦しくしてしまった」と反省の弁。二局目に向けて気を引き締めていた。第二局は、21、22日に鳥取県境港市の「夢みなとタワー」で行われる。

 
 

第44期棋聖戦、女流棋士Cリーグ入りなるか

 第43期棋聖戦七番勝負が開幕するなか、第44期棋聖戦のCリーグ入りをかけたファーストトーナメント予選が佳境に入りつつある。1月10日は、上野愛咲美二段が大場惇也七段を破って決勝進出を決めた他、藤沢里菜四段が武宮正樹九段を破って準決勝に進出。また、杉内寿子八段と謝依旻六段もそれぞれ準々決勝に駒を進めるなど女流棋士の進出が目立った。とりわけ杉内八段は昭和2年3月生まれ。90歳を越えられてのご活躍に、ネット上でも多くの棋士たちが称賛と敬意と応援の思いを書き綴っていた。女流棋士のリーガー誕生なるか、七番勝負とともに、こちらの戦いからも目が離せない。

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